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賞与(ボーナス)にかかる源泉所得税の計算方法は? 税率や特殊なケースも解説

2024/03/01更新

この記事の監修中川 美佐子(税理士)

賞与にかかる所得税を計算する際、それぞれの従業員の状況によって計算式が異なり、企業の担当者を悩ませることが多々あります。ここでは、賞与にかかる源泉所得税の計算式をはじめ、源泉徴収税額表の見方や前月の給与がなかった場合の源泉徴収の計算方法などイレギュラーなケースの計算方法について解説します。

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賞与は源泉所得税や社会保険料等が天引きされている

賞与を受け取る際には、毎月の給与と同じように源泉所得税や社会保険料が天引きされています。受け取り時にすでに差し引かれている金額は、総支給額のおよそ2割から3割であることが一般的です。残りの7割から8割が実際に受け取る手取り額ということになります。

賞与の支給時に控除されているのは、社会保険料、雇用保険料および源泉所得税です。住民税は、前年の給与と賞与との合計額(前年総所得)から算出された税額を12(か月)で割り、毎月の給与から一定額が控除されているため、賞与からは天引きされません。源泉所得税や社会保険料はそれぞれ異なる計算方法で算出され、なかには毎月の給与とは異なる方法で計算されるものもあります。

賞与から天引きされている源泉所得税の計算方法

賞与から天引きされている源泉所得税は次の計算式で算出できます。

源泉所得税=(賞与の支給額-社会保険料の額)×源泉徴収税率

計算式内の「社会保険料の額」とは「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」を指します。源泉徴収税率は、賞与が支給される月の前月の社会保険料控除後の給与の額をもとに計算されます。

賞与支給月の前月の社会保険料控除後の給与の額と、その方が扶養している人数により、賞与に掛ける税率が決まります。源泉徴収税率は国税庁のサイトで公開されている源泉徴収税額表の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表新規タブで開く」で確認できます。具体的には、次のようになります。

条件
  • 前月給与の総支給額:300,000円
  • 前月の社会保険料総額:60,000円
  • 扶養人数:2名

この例の場合、計算の基準となる所得は、300,000円から社会保険料総額の60,000円を控除した240,000円です。算出された基準額と扶養人数とを、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表新規タブで開く」に当てはめると、この例での税率が2.042%であることがわかります。

上記の例では「甲」欄を使用しましたが、「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されていない場合には「乙」欄を使用します。以下は賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表です(一部抜粋)。表の詳細については、以下の国税庁のサイトで確認できます。
国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和5年分)新規タブで開く

所得税率 扶養親族等の数
0人 1人 2人
0.000% 68,000円未満 94,000円未満 133,000円未満
2.042% 68,000円以上
79,000円未満
94,000円以上
243,000円未満
133,000円以上
269,000円未満
4.084% 79,000円以上
252,000円未満
243,000円以上
282,000円未満
269,000円以上
312,000円未満
6.126% 252,000円以上
300,000円未満
282,000円以上
338,000円未満
312,000円以上
369,000円未満
8.168% 300,000円以上
334,000円未満
338,000円以上
365,000円未満
369,000円以上
393,000円未満
10.210% 334,000円以上
363,000円未満
365,000円以上
394,000円未満
393,000円以上
420,000円未満

賞与から天引きされる社会保険料の計算方法

所得税率が算出できたので、次に必要なのは社会保険料の金額です。それぞれ異なる計算式で算出する必要があります。

前月給与なし・賞与が10倍超になる場合の所得税の計算方法

賞与にかかる税額・税率の基本的な計算方法は上記のとおりですが、場合によっては所得税を計算するための賞与支給月の前月の給与がないこともあります。その際には、通常とは異なる計算方法が必要です。また、前月の給与はあっても金額が少なく、賞与が給与の10倍を超えてしまうような場合も計算方法が変わってきます。

前月の給与がない場合の計算方法

前月の給与が支給されていない場合には、まず「(賞与総支給額-賞与から天引きされる社会保険料)÷賞与の計算期間」で計算のもととなる金額(その月の社会保険料等控除後の給与等の金額)を算出します。賞与の計算期間には、賞与が半年ごとに支給される場合は6を、また半年を超える場合は12を代入します。

次に国税庁が公開している「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)新規タブで開く」を使って、先ほど算出した金額と扶養人数とから、該当する税額を確認します。ここに記載されている税額は1か月分です。半年ごとに賞与が支給される場合は6を、また半年を超えて支給される場合には12を掛けて、賞与に対する所得税額を算出します。具体的には、次のようになります。

条件(扶養控除等申告書の提出がある場合)
  • 賞与は半年ごとに支給
  • 賞与総支給額:800,000円
  • 給与から天引きする社会保険料:160,000円
  • 扶養人数:0人

その月の社会保険料等控除後の給与等の金額は(800,000円-160,000円)÷6=106,666円(小数点以下切り捨て)となり、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)新規タブで開く」で確認すると、1か月の税額は1,030円です。半年ごとに賞与が支給されるので、所得税額は1,030円×6=6,180円となります。

前月給与がなく、賞与が10倍超になる場合の計算方法

前月に支給された給与の額が少なく、賞与の額が前月の給与の10倍を超えてしまうような場合も通常とは異なる計算が必要です。

まず「(賞与総支給額-4つの社会保険料)÷賞与の計算期間+(前月の給与-社会保険料)」で計算のもととなる金額(その月の社会保険料等控除後の給与等の金額)を算出します。次に「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で、その金額と扶養人数とに該当する税額を確認します。さらに「税額-前月の給与から源泉徴収された金額」で1か月分の税額を算出して、賞与が半年ごとに支給される場合は6を、また半年を超えて支給される場合は12を掛けて計算します。

具体的には、次のようになります。

条件(扶養控除等申告書の提出がある場合)
  • 賞与は半年ごとに支給
  • 賞与:1,000,000円
  • 賞与にかかる社会保険料の総額:190,000円
  • 前月の給与:90,000円
  • 前月の給与にかかる社会保険料:18,000円
  • 扶養家族:0名

この例では、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額は、(1,000,000円-190,000円)÷6+(90,000円-18,000円)=207,000円です。「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)新規タブで開く」で207,000円以上209,000円未満、扶養0名の欄を確認すると5,050円と記載されています。次に前月の給与、90,000円に対する所得税額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で確認すると230円です。「5,050円-230円=4,820円」で1か月分の所得税額が算出されるので、6か月分の賞与にかかる税額は「4,820円×6=28,920円」です。

賞与の所得税の計算ツールにExcel(エクセル)は使える?

Excelでは複雑な計算式も使用できるため、所得税を計算する際に便利です。一度数式を入れてしまえば、次からは賞与額などを入力していくだけでよいので、手で計算する時のように毎回数式を確認する必要はなくなります。Excelはオフラインでも操作できるため、情報漏洩のリスクを避けられます。ただし、一から数式や細かい設定を行うのは時間がかかり、複雑な内容なので専門知識が必要になります。

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賞与の所得税を正しく求めよう

賞与の源泉所得税額を計算するには、毎月の給与にかかる源泉所得税の算出方法と違い手順を踏んで複雑な計算をしなければいけません。特に賞与は金額が大きいため、計算の桁も大きくなり、正しく計算することが難しくなります。

賞与の源泉所得税額を正しく計算するためには、給与計算ソフトの導入がおすすめです。弥生の給与計算ソフト「弥生給与」や「弥生給与 Next」「やよいの給与計算」は、給与計算業務に必要な機能を網羅し、給与・賞与計算、社会保険料の計算、年末調整を確実にできるうえ、給与支払報告書の電子提出にも対応しています。
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この記事の監修中川 美佐子(税理士)

税務署の法人税の税務調査・申告内容の監査に29年勤務後、令和3年「たまらん坂税理士法人」の社員税理士(役員)に就任。法人の暗号資産取引を含め、法人業務を総括している。

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