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デジタル給与とは?導入によるメリット・デメリットなどを解説

2023年4月の労働基準法改正により、給与を電子マネーやスマホ決済アプリで支払う「デジタル給与」が解禁されました。これにより、現金支給や口座振込という従来の給与支払方法に、「給与のデジタル払い」という選択肢が加わったことになります。

解禁はされたものの、デジタル給与が実際に運用されるのはまだこれから先のようです。しかし、世の中のキャッシュレス化の流れもあり、今後はデジタル給与を導入する会社が増えていくと考えられます。

ここでは、デジタル給与の概要や、デジタル給与のメリット・デメリットの他、デジタル給与の導入にあたって必要な手続きなどについて解説します。

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2023年4月から解禁されたデジタル給与とは

デジタル給与(給与のデジタル払い)とは、従業員の給与を、電子マネーやスマートフォンの決済アプリを利用して支払う制度のことです。2023年4月1日の労働基準法の一部改正により、従来の現金支給や口座振込といった給与支払方法に加えて、デジタル給与の支払いが可能になりました。

デジタル給与が解禁された背景には、日本におけるキャッシュレス決済の普及促進という目的があります。2018年に政府が策定した「キャッシュレス・ビジョン」では、日本のキャッシュレス決済比率を2025年までに40%、将来的には80%まで引き上げることを目標として掲げています。

デジタル給与の受け取りができるのは、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(キャッシュレス決済サービスを提供する会社)の口座に限られます。なお、デジタル給与は解禁されましたが、2023年4月以降に指定申請を行った資金移動業者を厚生労働省が審査している最中で、審査には数か月かかる見込みです。2023年8月時点では、まだ給与のデジタル払いが利用できる状態ではありません。

デジタル給与のメリット

デジタル給与は、振込手数料の問題やキャッシュレス決済の普及に役立つ一方で、管理の負担や利用できる業者の範囲などで課題があります。給与を支払う会社側、受け取る従業員側において、それぞれのメリットを見ていきましょう。

会社側のメリット

口座振込より手数料がかからない場合がある

会社側のメリットの1つは、デジタル給与は口座振込に比べて振込手数料が低くなる可能性があることです。一般的に資金移動業者は、銀行などの金融機関よりも振込手数料が低く設定されています。給与振込にかかる手数料が軽減されれば、従業員の多い会社ほど大きな経費削減になるでしょう。

さまざまな人材の雇用機会の増加につながる

デジタル給与の導入は、さまざまな人材の確保にも役立ちます。キャッシュレス決済が普及しつつある中、新しい制度を取り入れていることを優秀な人材に向けてアピールでき、雇用機会の増加や企業イメージの向上につながるでしょう。

従業員側のメリット

キャッシュレス決済利用時の利便性が上がる

国内のキャッシュレス決済比率は年々増加しており、最近では、「ちょっとした買い物であれば現金を持たずに出掛ける」という人も少なくありません。デジタル給与であれば、銀行口座などから決済アプリにチャージする必要がなくなり、キャッシュレス決済の利便性がさらに高まります。日常的にキャッシュレス決済を利用する従業員にとっては、大きなメリットになるでしょう。

給与の一部だけデジタル給与払いにすることもできる

給与をデジタル払いにする場合は従業員の同意が必要ですが、その際に、デジタル給与として受け取る範囲や金額は従業員自身が設定できます。「月々の給与のうち◯万円だけをデジタル給与にする」など、ライフスタイルに合わせて設定することで、自己資金の管理がしやすくなります。

デジタル給与のデメリット

デジタル給与は、手数料の削減やキャッシュレス決済利用時の利便性アップにつながる一方で、会社側の管理の負担や、従業員のデジタル給与受け取り時の上限金額制限などで課題もあります。会社側、従業員側、それぞれのデメリットを見ていきましょう。

会社側のデメリット

デジタル払いと口座振込の二重運用で負担が増加する

デジタル給与を利用するかどうかは、各従業員によって希望が異なります。デジタル給与を希望しない従業員に対しては、従来どおり口座振込での給与支払いが必要になります。また、デジタル給与を希望する場合でも、全額ではなく「給与の一部のみをデジタル払いにしたい」と考える従業員もいるでしょう。

会社側は、デジタル払いと口座振込の2つの方法で給与を支払わなければならず、業務負担が増加する可能性があります。

管理コストが上がる可能性がある

デジタル給与の導入にあたっては、従業員の同意書や口座情報など、適切な管理が求められます。従来の給与支払いに使用していた銀行口座の情報に加え、新たな情報についても管理体制を整えなければならないため、管理コストが上がります。

従業員側のデメリット

希望の資金移動業者を使えない可能性がある

従業員がデジタル給与の受け取りに利用できるのは、厚生労働大臣の指定を受け、なおかつ会社と従業員が労使協定を締結した範囲の資金移動業者の口座に限られます。現金化できないポイントや暗号資産での給与支払は認められません。

会社が利用する資金移動業者と、自分が普段利用しているキャッシュレス決済サービスが同じとは限りません。希望の資金移動業者を使えない場合は、会社が利用する資金移動業者の口座を新たに開設する必要が出てきます。

資金移動業者の口座は入金できる上限が100万円

資金移動業者の口座は預貯金口座ではないため、入金できる金額の上限が100万円までと定められています。100万円の上限を上回った場合は、あらかじめ指定した銀行口座に自動的に出金されてしまいます。その際、送金手数料がかかる場合があるため注意が必要です。

スマートフォンなどのセキュリティ対策が必要

デジタル給与を利用する際は、セキュリティにも十分注意を払わなければなりません。電子マネーは比較的容易に送金ができるため、不正利用の被害を防ぐためにも、日頃からスマートフォンなどのセキュリティ対策に万全を期す必要があります。スマートフォンの紛失や盗難、決済アプリの不具合などの対処法についても、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

会社側に必要とされる導入の手続きと流れ

デジタル給与の導入について、さまざまなメリット・デメリットを確認してきましたが、実際に導入するときにはどのような手続きが必要なのでしょうか。ここからは、会社がデジタル給与を導入する際に必要な手続きについて、流れに沿って解説していきます。

1. 会社で利用する資金移動業者の選定

厚生労働大臣が指定する資金移動業者の中から、給与のデジタル払いに利用する事業者を選定します。利用できる資金移動業者一覧は、厚生労働省のWebページに掲載される予定です。自社で使用している給与計算システムなどと連携できる資金移動業者を選ぶと良いでしょう。

2. 労使協定の締結

デジタル給与の導入にあたっては、会社と従業員で労使協定を結ぶ必要があります。労使協定は、労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で締結します。労使協定を締結する際には、利用する資金移動業者の他、デジタル給与の対象となる従業員の範囲や金額、デジタル給与の実施開始時期などを定める必要があります。

3. 就業規則の改定

デジタル給与を導入する場合は、賃金に関する就業規則の改定が必要です。就業規則とは別に給与規程(賃金規程)を設けている場合は、その内容を改訂します。就業規則や給与規程の改定時には、給与をデジタル払いで支給することに加え、資金移動業者に関する項目、口座振込との併用ルールなどについても記載しておきましょう。

4. 従業員への周知と説明

労使協定の締結や就業規則の改定内容について従業員に説明し、社内に周知させます。ちなみに、デジタル給与は口座残高の現金化や払い戻しも可能です。利用する資金移動業者とともに、口座の上限額や口座残高で可能なことなども、しっかりと説明しておきましょう。不正出金や資金移動業者の破綻など、トラブル時の対応については、特に入念な説明が必要です。

5. 希望する従業員は同意書を提出

デジタル給与は、希望する従業員のみが利用する給与支払い方法です。社内への説明後、従業員のうち希望者がいれば、デジタル給与に関する同意書を提出してもらいます。

同意書には決まった様式はありませんが、デジタル給与で受け取る金額や、資金移動業者の口座番号、開始希望日、上限金額を超えた場合の振込先口座などの記載が必要です。厚生労働省のWebサイトに同意書の例がありますので、参考にするといいでしょう。

従業員から同意書を受け取ったら、希望する開始時期よりデジタル給与の支払い開始となります。

※厚生労働省「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書新規タブで開く

デジタル給与の導入に備えて、給与計算を効率化しよう

2023年4月より、デジタル給与が解禁されました。今後、資金移動業者の審査が完了するに従い、デジタル給与を導入する会社が増えていくかもしれません。

デジタル給与は、導入することで利便性が高まる一方、課題も多くあります。大切なのは、事前に社内の給与計算の仕組みを効率化し、今後デジタル給与を導入することになったときもスムーズに対応できる体制を整えておくことです。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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