給与明細のWeb化とは?電子化のメリット・デメリットを解説

2024/03/01更新

この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

かつては紙で作成するのが当たり前だった給与明細も、近年ではWeb化を進める企業が増えてきました。しかし、給与明細を紙からWebに切り替えようと思っても、「どうやって電子化すればいいかわからない」「Web給与明細にデメリットはないのだろうか」などと、戸惑う企業も多いかもしれません。

ここでは、給与明細のWeb化による企業側と従業員側、双方にとってのメリット・デメリットや、給与明細をWeb化する方法の他、Web給与明細の注意点やおすすめのWeb給与明細ソフトなどについて解説します。

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給与明細をPCやスマートフォンで見ることが可能に

給与支払に関連する法律のうち労働基準法では、従業員への給与明細の交付は義務付けられていません。しかし、所得税法において、給与を支払う者(企業)は支払を受ける者(従業員)に支払明細書を交付しなければならないと定められています。

また、健康保険や厚生年金保険といった社会保険料を給与から天引き(控除)した場合は、その控除額を従業員に通知することが、健康保険法などの法律によって義務付けられています。そのため、給与明細は従業員に給与を支払う際に、必ず交付すべきものだといえるでしょう。

そんな給与明細について、最近はWeb化を進める企業が増えてきています。給与明細のWeb化とは、従来は紙で従業員に渡していた給与明細を、インターネット上で見られるようにすることです。給与明細のWeb化によって、従業員は自分のPCやスマートフォンから給与明細を確認できるようになります。

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Web給与明細のメリット

給与明細をWeb化すると、会社にも従業員にもさまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

会社側のメリット

給与明細をWeb化することによる会社側の大きなメリットは、給与明細作成に関わるコストと業務負担を、大幅に軽減できることです。

コスト削減

Web化によって、従来のような紙の給与明細を作成する必要がなくなるため、ペーパーレス化が実現できます。用紙代や印刷代、封筒代なども不要になり、コスト削減につながるでしょう。当然、印刷や封入、配布にかかる作業も不要になるため、人件費も削減できます。

また、複数の拠点を持っている場合や、従業員がリモートワークをしている場合、紙の給与明細を郵送しているケースも少なくありません。Web給与明細なら、インターネット環境があれば、離れた場所へもかんたんに交付が可能。郵送の手間やコストも不要になります。

業務負担の軽減

Web給与明細は、業務の効率化にも大いに役立ちます。例えば、Web化することで、紙の給与明細のような印刷、封入、送付の作業がなくなります。また、正社員とアルバイトなど給与支給日の異なる従業員が混在する場合にも、給与明細の交付がかんたんです。

さらに、紙の給与明細は保管するスペースや保管方法にも配慮が必要ですが、Webならそのような心配もいりません。従業員から再交付を依頼されたときや、過去の給与明細を確認したいときにも、データ管理をしていれば容易に対応できます。

従業員側のメリット

給与明細のWeb化は、従業員にとってもさまざまなメリットをもたらします。

時間・場所を選ばず確認できる

Web給与明細の大きなメリットが、いつでもどこでも確認できることです。紙の給与明細は手元にないと見ることができませんが、Web化されていれば、インターネット環境さえあればどこからでも自分の好きなタイミングで閲覧することができます。外出先や出張中、リモートワーク中などでも、PCやスマートフォンからすぐに給与明細を確認できます。

管理が簡単

紙の給与明細は毎月溜まっていくため、収納や管理の手間が発生します。しかし、Web給与明細ならインターネット上でいつでも確認できるため、従業員が管理に気を配る必要がありません。

紛失リスクの低減

紙の給与明細には、紛失や棄損のリスクがあります。オンライン上で管理するWeb給与明細なら、紛失などのおそれはありません。

Web給与明細のデメリット

給与明細のWeb化にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。会社側、従業員側に分けて見てみましょう。

会社側のデメリット

Web給与明細の導入によって会社側に考えられるデメリットには、下記のようなものがあります。

社員への対応依頼

給与明細をWeb交付するには、メール送付やWeb閲覧といった具体的な交付方法とファイルの記録方法などを伝え、あらかじめ従業員の同意を得なければなりません。もし従業員の同意が得られない場合は、これまでどおり紙の給与明細を交付する必要があります。

紙と電子情報の混在

給与明細をWeb化しても、従業員から要望があったときには紙の給与明細を交付する必要があります。場合によっては、データと紙の給与明細が社内に混在してしまうかもしれません。その場合、データと紙媒体、それぞれの給与明細の交付・管理をすることになり、担当者の手間が増えてしまう可能性があります。

情報漏洩・データ改ざんのリスク

給与明細をデータで管理する以上、情報漏洩やデータ改ざんなどが起こらないよう、十分な配慮が必要になります。給与明細は従業員の大切な個人情報です。ウイルスや不正侵入への対策の他、社内の管理ルールもしっかりと定めておきましょう。

システム導入に伴うコスト

Web給与明細のシステムを導入するには、初期費用やシステム利用料がかかります。また、データの管理方法やシステムの運用方法なども含め、従業員教育コストも必要です。

従業員側のデメリット

では、従業員側にとっては、給与明細のWeb化によってどのようなデメリットがあるのでしょうか。

閲覧用の端末が必要

Web給与明細はインターネット上で確認するものなので、PCやスマートフォンといった端末機器が必要になります。閲覧者がWeb給与明細に対応できるデバイスを持っていない場合は、会社のPCで閲覧するか、紙に印刷することになり、かえって手間がかかります。

紙面で欲しいときは印刷が必要

場合によっては、給与明細をオンラインで確認するだけではなく、紙面で欲しいというときがあるかもしれません。例えば、住宅や車の購入にあたってローン契約を結ぶ際などに、収入証明書類として給与明細の提示を求められることがあります。そのような場合、対応する月の給与明細の印刷を、会社(担当者)に依頼する手間が発生します。

給与明細をWeb化するには?

給与明細をWeb化するには、システムの導入が必要です。Web給与システムは、大きく次の3種類に分類されます。

専用型システム

専用型システムとは、他で作成した給与明細データを取り込んでWeb化し、従業員に交付するシステムです。機能がシンプルで扱いやすい一方、給与計算自体は手作業や別のシステムで別途行わなければなりません。すでになんらかの給与計算システムを導入しており、「給与明細のWeb交付だけできればいい」という場合におすすめです。

給与計算一体型システム

給与計算一体型システムは、給与計算から給与明細のWeb交付までを一貫して行うことができるシステムです。給与明細の作成・交付はもちろん、給与計算にかかる手間も削減できるため、業務効率化に役立つでしょう。ただし、現在使用中の給与計算システムがある場合は、新システムの導入に伴いデータなどの移行作業が発生します。

労務管理一体型システム

労務管理一体型システムは、Web給与明細や給与計算にとどまらず、入退者手続きや社会保険の管理、年末調整に関わる業務など、労務管理全般を一括して行えるシステムです。労務管理と給与計算、給与明細など、必要な機能のカスタマイズができ、バックオフィス業務全体の効率化に役立ちますが、多機能な分取扱いが難しく、導入費用も高額になりがちです。

給与明細をWeb化する際の注意点

Web給与明細を導入する際には、次のような点に注意が必要です。Web化によるメリットを最大限活かすためにも、しっかり確認しておきましょう。

システム導入体制の整備

給与明細のWeb化にあたっては、自社に合ったシステムを導入することが大切です。自社に必要な機能が備わっていなければ導入する意味がありませんし、多機能すぎて使いこなせなくても費用が無駄になってしまいます。導入するシステムに自社のニーズに合った機能があるか、あらかじめきちんと確認しておきましょう。同時に、必要な機器の用意や対応にあたる人員の配置、予算の確保といった準備も必要です。

必ず従業員の同意をとる

前述したように、給与明細のWeb化には従業員の同意が必要です。

また、Web化にあたっては、必ず事前に従業員の閲覧環境を確認しましょう。PCやスマートフォンといった端末がなく、Web給与明細を受け取れない従業員に対しては、環境整備などのサポートが必要です。

セキュリティ対策の確保

給与明細のWeb化には、適切なセキュリティ対策が不可欠です。きちんとセキュリティ対策がとられているシステムを導入することはもちろん、社内における管理ルールの策定や、従業員のセキュリティ意識を高める教育などを実施しましょう。

給与明細のWeb化には給与計算ソフトの導入がおすすめ

給与明細のWeb化は、コストの削減や業務効率化、管理の簡便化などにつながるもの。そのため、給与明細を紙からWebに切り替えることは、会社にも従業員にもメリットが大きいといえます。

Web化をスムースに進めるコツは、自社に合ったシステムを導入すること。特に、Web給与明細を初めて導入する企業には、給与計算から給与明細のWeb交付まで一貫してできる給与計算ソフトがおすすめです。

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さらに、税金や保険料率の変更にも自動で対応するため、給与計算のたびに最新の料率や法令をチェックする必要がありません。支給、控除、差し引き支給額を自動計算できるので、給与計算の手間やミスも軽減されます。便利な給与計算ソフトを活用して、給与計算と給与明細に関わる業務を効率化しましょう。

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この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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