源泉徴収とは?対象の報酬や計算方法・源泉徴収税額表の使い方を解説

2024/03/01更新

「源泉徴収」とは、給与などの支払いからあらかじめ所得税と復興特別所得税を差し引くことで、その給与を支払う事業者は必ず行わなければならない手続きです。

しかし、「源泉徴収」という言葉自体は知っていても、実際にその仕組みや徴収額の計算方法、納付方法などについての細かな点までわからないという方は多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「源泉徴収制度」の基本的な内容についてわかりやすく解説していきます。

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源泉徴収とは?必要な人と不要な人

源泉徴収とは、給与や報酬を支払うときに、原則として毎月事業者が所得税を差し引いて国に納税する制度です。報酬料金の源泉徴収はすべての人に行われるのではなく、対象となる職種・報酬と対象にならない職種・報酬があります。

それでは、どのような人・職種が源泉徴収の対象になるのでしょうか。ここからは源泉徴収が必要な職種・報酬、必要ではない職種・報酬について解説します。

源泉徴収の対象となる職種や報酬

源泉徴収の対象となる職種や報酬は、次のとおりです。

  • 1.
    原稿料や講演料など
  • 2.
    弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 3.
    社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • 4.
    プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 5.
    映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • 6.
    ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  • 7.
    プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 8.
    広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

引用:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは新規タブで開く

上記の報酬・料金などは、支払いを受ける人が個人の場合に源泉徴収の対象となる範囲です。

源泉徴収の必要がない職種や報酬

源泉徴収の必要がない職種や報酬は、以下のとおりです。

  • 源泉徴収の対象となる職種以外の職種の報酬であり、所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われる報酬
  • バーなどの従業員が経営者以外から直接受ける報酬

上記に該当している報酬は、源泉徴収の必要はありません。ただし、基準があいまいな部分もあるため、報酬を支払う企業によっては源泉徴収の対象としているケースもあります。そのような場合は、確定申告時に調整を行うようにしましょう。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算方法を解説します。ただし、一部の報酬・料金などについては例外規定があります。

1回の報酬が100万円以下のとき

1回の報酬が100万円以下のときの源泉徴収税額は、次の計算式を利用して算出します。

源泉徴収税額 = 報酬金額(税込) × 10.21%

ただし、報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた税抜金額を源泉徴収の対象としても差し支えありません。例えば、源泉徴収が必要な50万円(税込)の報酬を支払ったときの計算式は次のとおりです。

500,000円 × 10.21% = 51,050円(源泉徴収税額)

1回の報酬が100万円を超えるとき

1回の報酬が100万円を超えるときの源泉徴収税額は、次の計算式を利用して算出します。

源泉徴収税額 =(報酬金額(税込)– 100万円)× 20.42% + 102,100円

例えば、源泉徴収が必要な200万円(税込)の報酬を支払ったときの計算式は次のとおりです。

(2,000,000円 – 1,000,000円)× 20.42% + 102,100円 = 306,300円(源泉徴収税額)

源泉徴収税額表とは

源泉徴収税額表とは、会社が支払う従業員の給与・賞与から所得税を源泉徴収する際に、その金額を計算するときに参照する資料です。源泉徴収税額表は、毎年国税庁が公表します。

参考:令和5年分 源泉徴収税額表新規タブで開く

なお、給与の源泉徴収税額と、賞与・退職金の源泉徴収税額の計算方法は異なります。ここからは、給与と賞与・退職金の源泉徴収税額の計算方法について解説します。

給与の源泉徴収の計算方法

給与の源泉徴収税額に関する計算方法について簡単に説明します。給与の支払いからの源泉徴収の場合は、国税庁の定める「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」を利用して計算します。この税額表に基づき、給与所得の金額や扶養親族の数などを算定して源泉徴収税額が決まっていく仕組みです。

基本的なルールとして、まずは「甲欄」と「乙欄」の区分のどちらに該当するかを知ることが重要になります。

「甲欄」に該当するのは 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している従業員です。一般的な会社員の多くは、この「甲欄」の区分に該当すると考えていいでしょう。一方、「乙欄」に該当するのは「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されていない従業員です。ただ、注意すべきなのは「扶養控除等申告書」の提出を怠っていた場合です。この場合は、本来「甲欄」に該当するはずの人である可能性もあるので、「扶養控除等申告書」の提出の有無についてはよく確認しておく必要があるでしょう。

扶養控除等申告書を提出していない人へ支払う給与の場合、源泉徴収税額表の金額の高い「乙欄」の数字に合わせて源泉徴収します。「乙欄」は金額が高く設定されているため、「扶養控除等申告書」を申告し忘れた場合には、給与取得者の手取り額が大幅に減る、つまり納税額が高くなるというわけです。

「扶養控除等申告書」を提出している人への支払い給与からは、金額の低い税額表の「甲欄」に合わせて源泉徴収が行われます。また、「扶養控除等申告書」を提出していて、なおかつ支払う社会保険料等控除後の給与額が月8万8,000円未満というケースでは、源泉徴収は必要ありません。ただし扶養する人数によっては、給与がこの金額を超える場合でも源泉徴収の必要がなくなることもあります。都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って源泉徴収の金額を確認しましょう。

賞与・退職金の源泉徴収の計算方法

賞与の源泉徴収税額についても、国税庁の定めた「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を利用して算出できます。

「甲」「乙」の区分によって徴収額が変わるという点は給与の場合と同じです。ただし、「前月中に普通給与の支払いがない」「賞与の額が前月中の普通給与額の10倍を超える」というケースでは、源泉徴収の金額の計算方法が異なりますので注意しましょう。基本となる計算方法の手順は次のとおりです。

まず、前月の給与から社会保険料などを控除した「給与所得額」を確認し、ここから税額表の「扶養家族等の人数」の列をたどって「賞与の金額に乗ずるべき率」を見つけ出します。この「賞与の金額に乗ずるべき率」を社会保険料控除後の賞与額に乗じて算出した金額が「賞与に対する源泉徴収額」です。

退職金については、こちらも国税庁の定めた「退職所得の源泉徴収税額の速算表」を用いて算出することになります。

退職金の源泉徴収の計算では、「退職所得控除額」を最初に算出するところから始めます。そのひとつの基準となるのが「勤続年数が20年以下かどうか」という点です。勤続年数20年以下の場合は「40万円×勤続年数」が、勤続年数が20年超であれば「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」が退職所得控除額となります。その次に、退職金から今計算した「退職所得控除額」を控除し、その残額の2分の1を算出します。この金額が「課税退職所得金額」です。この金額に基づいて、今度は国税庁の定める「退職所得の源泉徴収税額の速算表」で課税退職取得金額ごとの所得税額と控除額を参照しましょう。これによって源泉徴収税額を算出することが可能です。

だれがいつまでに?源泉徴収税の納税について解説

源泉徴収税額がどの報酬にどのくらい課税されるのか計算しました。ここからは、だれがいつまでに源泉徴収税を納税するのかについて解説します。

源泉徴収税の納税方法

源泉徴収税は、源泉徴収義務者が税務署に納付します。源泉徴収義務者とは、次の人を指します。

  • 給与を支払っている雇用主
  • 給与の支払っている学校や官公庁、人格のない社団・財団
  • 預金利子を支払う銀行
  • 配当を支払う会社 など

なお、次の要件に該当する場合は、源泉徴収義務者には該当しません。

  • 2人以下の家事使用人に対しての給与を支払っているだけである
  • 1人社長の個人事業主が支払っている税理士報酬 など

どのようなケースで源泉徴収が必要なのか理解し、徴収義務を果たすよう注意しなければなりません。

参照:国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは新規タブで開く

源泉徴収税の納税時期

源泉徴収税の納税時期は、給与などを支払った月の翌月10日までです。ただし、給与を支払う従業員の数が常時10人未満である雇用主が次の条件を満たす場合には、特例により半年分をまとめて納めることができます。

  • 給与や退職金から源泉徴収をした所得税・復興特別所得税であること
  • 税理士や弁護士、司法書士などの報酬から源泉徴収をした所得税・復興特別所得税であること

上記の特例を満たした場合は、次の時期にまとめて源泉徴収税を納税します。

  • 7月10日までに納付(1月から6月までの源泉徴収税分)
  • 翌年1月10日までに納付(7月から12月までの源泉徴収税分)

1月10日までの納付分は、12月20日までに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を税務署に提出し承認を得られた場合、1月20日が納付期限となります。ただし、2024年は1月20日が土曜日であるため、2024年に限り1月22日(月)が納付期限です。

参照:国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例新規タブで開く

源泉徴収税の納税地

源泉徴収税の納税地は、給与・報酬の支払いが行われた日に支払い場所(会社・事務所)を管轄する税務署に納付します。例えば、東京都荒川区の事務所に勤務する神奈川県の従業員に給与を支払った場合、支払い場所である東京都荒川区の税務署に納税します。なお、会社や事務所を移転させた場合の納税地は、移転後の住所を管轄する税務署に変わります。

参考:国税庁「No.2532 給与等に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納税地新規タブで開く

源泉徴収に関してよくある質問

源泉徴収に関してよくある質問は、次のとおりです。

  • 源泉徴収をしないとどうなる?
  • 個人事業主でも源泉徴収は必要?
  • 源泉徴収では何が引かれている?

源泉徴収は仕事をする多くの人にかかわる税金です。そのため、源泉徴収について疑問に思うことも多いでしょう。ここからは源泉徴収に関する質問と回答を紹介します。

源泉徴収をしないとどうなる?

源泉徴収をしないと、不納付加算税や延滞税がかかります。不納付加算税が課税されると本来納税すべき源泉徴収税額に加え、その源泉徴収税額の10%を支払わなければいけません。税務署から不納付の指摘を受ける前に源泉徴収税を納税した場合は、不納付加算税の税率が5%に下がります。また、源泉徴収税の支払いが遅れた分の延滞税も課税されます。不納付加算税や延滞税が課税されるのは、雇用主である源泉徴収義務者です。

個人事業主でも源泉徴収は必要?

個人事業主でも源泉徴収されます。源泉徴収されるかどうかは、個人事業主の職種・報酬内容によって決まります。先述した、源泉徴収される職種・報酬に該当する人は、個人事業主でも源泉徴収されることに留意しなければなりません。また、職種・報酬の内容によっては源泉徴収されないケースもあります。どのようなときに源泉徴収されるのか、把握しておくことが大切です。

源泉徴収では何が引かれている?

源泉徴収では、給与・報酬に応じた所得税と復興特別所得税が引かれています。ただし源泉徴収で引かれている所得税と復興特別所得税は概算であるため、年末調整や確定申告にて調整しなければなりません。実際より多く納税していた場合には還付金としてお金が戻ってきます。反対に実際より少なく納税していた場合には、徴収金として給与から差し引かれてしまいます。還付金が戻ってくるのか、徴収金が課されるのかは人によって異なるため注意しましょう。

源泉徴収の業務をスムーズに進めるなら給与計算ソフトがおすすめ

 

源泉徴収は税金の徴収をスムーズに行うための仕組みなので、事業経営者にとって基本的な手続きや決まりを理解しておくことは重要です。従業員を雇っているなど、源泉徴収の義務があるという場合は、制度の仕組みの基本やそれぞれの計算方法をしっかりと理解し、適正に納付するように心がけておきましょう。

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