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住民税の簡単な計算方法や納税方法、社内の手続きをわかりやすく解説

監修者:川口 正倫(社会保険労務士)

2024/03/01更新

住民税の納税方法には、企業が従業員の納付する税額を給与から天引きして納付する特別徴収や、納税者が直接納付する普通徴収があります。ここでは、住民税の簡単な計算方法から特別徴収、普通徴収の違い、住民税に関する手続き方法まで解説します。

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住民税とは? 人によって金額が異なる

住民税とは、1月1日時点で住所を置いている市区町村や都道府県の公共施設、ゴミ処理、学校教育など、地域の行政サービスにかかる費用に充てられる税金です。住民税には、個人が納付する個人住民税と、法人が納付する法人住民税があります。

個人住民税には、所得に応じて金額が変わる「所得割」と、だれにでも一定の金額が課せられる「均等割」があり、納めなければならない税額は所得割と均等割を合わせた額です。基本的には前年度の所得によって住民税額が決まります。ただし、同じ月給や年収でも人によって扶養親族の人数などで変化する控除額が異なるため、同じ所得でも住民税が同じにはならないケースもあります。

住民税の計算方法や税率には地域差がありません。そのため、所得や、適用になる控除額が同じケースでは、どこの地域でも同じ税額になります。ただし、地域によっては環境保全にかかる費用として追加徴収を行っている自治体もあります。控除額、地域による追加徴収などの違いがあることから計算が複雑になりやすいため、注意しなければなりません。

住民税を簡単に計算する方法

住民税には所得割と均等割があり、両方を足した合計額で税額が決まります。基本的な税額は、所得割では課税所得に住民税の税率約10%を掛ける簡単な計算方法で算出が可能です。均等割は都道府県と市区町村ごとに1人当たりの金額が一律で定められており、東京都では、道府県民税が1,500円、市町村民税は3,500円の合計5,000円が設定されています。

課税所得金額とは、給与などの収入から必要経費を差し引いた所得金額から所得控除額を引いた金額のことです。会社員などで収入が給与所得に限られるケースでは、収入から給与所得控除を引いた給与所得が所得金額になります。

参考:総務省「個人住民税新規タブで開く

住民税を計算する手順

STEP.1 2-3 今年の年収 給与所得(控除or経費清算) STEP.2 2-3 所得 所得控除(基礎控除・社会保険料控除·保険料控除・配偶者控除·扶養控除等)を引く STEP.3 2-3 課税所得 税率を掛ける STEP.4 2-3 所得割 調整控除を引く 算出完了 住民税(所得割+均等割)

住民税のうち均等割は税額が一律で変わらないため、複雑な計算は不要です。先に所得や控除などから所得割の数字を出してから、均等割を足す手順で税額を出します。最初に所得金額、課税所得金額の数字を出す手順で進めていくと、所得割算出が可能です。以下に住民税の計算方法の手順を解説します。

参考:総務省「個人住民税新規タブで開く

1.所得金額を計算する

所得割額を出すには、最初に「収入金額(年収)-必要経費」の計算式を使って所得金額の算出が必要です。

前年に確定申告を行った場合には、確定申告書の所得が記載されている項目を確認すると合計所得額がわかります。会社員の場合には、収入金額から必要経費の代わりに給与所得控除額を差し引きます。給与所得控除額は、仕事をする際に必要となるスーツ代や文房具代など、会社に負担してもらえない費用の目安額を必要経費代わりに設定したものです。

給与所得控除は収入金額によって異なる額が定められています。給与収入が660万円未満では、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(所得税法別表第五)」を参照し、個人の給与額から「給与所得控除後の給与等の金額」を調べて年末調整計算用の所得金額の数字を出します。給与収入が660万円以上では、国税庁のサイト「給与所得控除」新規タブで開くから給与等の収入金額に対する給与所得控除額を調べてから所得金額の算出が可能です。

参考:国税庁「令和5年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表新規タブで開く

2.課税所得金額を計算する

課税所得金額は、所得金額がわかってから「所得金額-所得控除額の合計」の計算式を使って算出します。

所得控除には、「基礎控除」「社会保険控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「配偶者控除」「扶養控除」「医療費控除」などの14種類の控除があります。複数の控除の適用が可能な場合には、適用されるすべての控除額の合計を出して、上記の所得金額から差し引きます。

参考:国税庁「所得控除のあらまし新規タブで開く

3.所得割を求めて住民税を計算する

課税所得金額を出した後には、所得割の税率を掛けてから税額控除額を引く計算式「課税所得金額×税率(10%)-税額控除額」で住民税の所得割を算出します。

所得割の税率は、都道府県民税が4%、市区町村民税が6%で合計税率が10%です。税額控除額は、課税所得金額に税率を掛けた金額から一定の金額を控除できる控除額です。税額控除には、総合課税の配当所得があるケースでは配当所得の10%もしくは5%を控除する「配当控除」、課税所得の中に外国で既に課税されている所得があるケースでは一定額が控除される「外国税額控除」、国や地方公共団体、一定の法人などに対して寄付をしたケースで控除が受けられる「寄附金税額控除」といったさまざまな控除があります。この計算で求めた所得割額に均等割額を加えると、住民税額の算出が可能です。

参考:国税庁「寄附金を支出したとき新規タブで開く
参考:国税庁「No.1200 税額控除新規タブで開く

住民税が非課税になるケース

住民税には、収入や世帯の状況によって非課税になるケースもあります。所得割だけ納税が不要なケースと所得割・均等割両方の納税が不要なケースがあるため、非課税になる条件も確認しなければなりません。なお、住民税の非課税限度額を計算する際の扶養親族には、16歳未満の年少扶養親族も含まれます。

所得割だけ非課税になるケース

均等割は納付が必要でも所得割は非課税になって納める必要がないケースには、配偶者・扶養親族がいない単身者で特定の条件を満たした人と、配偶者・扶養親族がいて特定の条件を満たした人の2パターンがあります。

単身者とそうではない人とでは、必要な条件が異なります。単身者では、前年の所得金額が45万円以下だと所得割の納付が必要ありません。一方、配偶者または扶養親族がいる人は、所得が一定の金額以下で所得割を納める必要がなくなります。非課税になる額は市区町村によって異なるため、正確な数字は住所のある自治体に確認しなければなりません。東京23区の例では、住民税が均等割だけ発生するかどうかは「35万円×(本人、同一生計の配偶者、扶養親族の合計人数)+42万円以下」の計算式で出した数字が、条例で定めた額以下の場合です。

所得割・均等割の両方が非課税になるケース

住民税の所得割と均等割の両方が非課税になるのは、生活扶助を受けている場合や、未成年・寡婦などで前年の所得額が自治体の定める金額に満たない場合です。

住民税の非課税世帯になるケース
  • 1月1日時点で生活保護法の定める生活扶助を受けている
  • 未成年者、ひとり親、寡婦(夫)、障害者で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与収入だけの場合には204万4千円未満)
  • 前年の合計所得金額が各自治体(市区町村)の条例で定めている金額以下(東京23区で非課税になる所得金額は、単身者が「45万円以下」、同一生計配偶者や扶養親族がいると「35万円×(本人、同一生計の配偶者、扶養親族の合計人数)+31万円」の計算式で求めた金額が定められた額以下で非課税になります。)

法人住民税の計算方法

法人が支払う法人住民税とは

法人住民税は、店舗や事務所などの住所地の自治体に納める税金です。法人には、法人住民税以外にも法人税や法人事業税などの税金も課されるため、生じる税金を毎年納めなければなりません。

法人も、個人と同様に事業を運営する際には地域社会から提供される公的サービスを利用します。自治体が公的サービスの提供にかかる費用を、各法人が負担する目的で設定しているのが法人住民税です。法人住民税は、原則、事業年度が終了した日の翌日から2か月以内に納めなければなりません。個人住民税では、自治体が税額を計算して納税通知書を本人や勤務先に送るため、税金を納める個人が自分で税額計算する必要はありません。ところが法人住民税の場合は、法人が自社の住民税額を計算して、2か月以内には自治体に申告と納付を行います。

参考:総務省「法人住民税・法人事業税新規タブで開く

法人割と均等割で成り立っている

法人住民税には「法人割」と「均等割」があり、法人割は法人税を基に算出する税額で、均等割は資本金や従業員数などから算出する税額です。この2種類を合計した金額が法人住民税額になります。

法人税割とは

法人住民税の法人税割は、法人税の税額に基づいて算出が可能です。法人税額を計算してから、その金額に税率を掛ける「法人税額×税率」の計算式で金額を出します。

法人税割の税率は、基本的な標準税率が国で定められています。標準税率には、都道府県民税が1%、市町村民税には6%の標準税率が設定されているため、それぞれの税率を使用して税額の算出が必要です。ただし、どちらの税率も制限税率の範囲内で各自治体が税率を変更できるため、自治体がすべて標準税率を採用しているわけではありません。自治体によって税率が異なることから、自社の法人税率を確認する際には、事務所の住所地の自治体窓口などで確認しなければなりません。

均等割とは

法人住民税の均等割は、一律の税額が設定されている個人住民税とは異なり、企業の資本金や従業員数などによって税額が決まります。均等割にも都道府県民税と市町村民税があります。都道府県民税額の標準税額は、資本金が1,000万円以下では税額が2万円、1,000万円超1億円以下では5万円、1億円超10億円以下では13万円など、資本金によって納税額が定められています。

市町村民税額は、従業員数と資本金によって納税額が定められている税金です。資本金の区分は都道府県民税と同じで、従業員数が50人を超える場合には50人以下の法人よりも納税額が高額になっています。従業員数が50人以下の場合の標準税額は、資本金が1,000万円以下では税額が5万円、1,000万円超1億円以下では13万円、1億円超10億円以下では16万円など、区分ごとに税額が異なります。標準税額は、総務省の税額表で確認が可能です。均等割は、法人の利益に関係なく課税されるため、決算で赤字の場合でも納税しなければなりません。

参考:総務省「法人住民税新規タブで開く

住民税の徴収と納税方法

個人の住民税には、特別徴収と普通徴収の2種類の徴収方法があります。給与から天引きされる方法が特別徴収、納税者本人が納付を行う方法が普通徴収です。

特別徴収

特別徴収は、会社員やパートなど、勤務先から給与収入がある場合の住民税の徴収方法です。特別徴収では、納税者本人が納付する予定の住民税を、勤務先が毎月本人の給与から天引きして翌月の10日までに自治体へ納付します。毎月の給与から年に12回住民税を徴収して納付するため、1回ごとの本人の支払い負担が抑えられる納付方法です。

住民税の計算は、前年度の給与支払報告書で個人の年収を確認した自治体が行います。企業側は、5月に自治体から届く、6月分から翌年5月分まで1年分の納付書に基づいて税金を納めます。既に決定している納税額を給与から天引きして納付するため、税額計算や、年間の納税額を調整する年末調整などの手間はかかりません。ただし、毎月正しい納税額を給与から天引きし、期日までに納付するといった手続きを適切に行う必要があります。

普通徴収

個人事業主、フリーランスで給与所得以外の収入がある場合、退職して求職中の場合には、普通徴収で住民税を納めます。住民税は前年度の所得を税務署に提出した確定申告書の内容から計算されて納税額が決まる税金です。当年度に収入がない場合でも納税が必要なケースがあるため、注意が必要です。

普通徴収では、5月ころに自治体から本人の自宅に納税通知書と納付書が届きます。納付書が届いたら、本人が納付書を使用して期日までに税金を納付しなければなりません。住民税の納付は、納付期限が6月末までの1括納付か、納付期限が6月末、8月末、10月末、翌年1月末までの4期の分割納付から選べます。

原則として、給与所得者は特別徴収で住民税を納付します。ただし、会社の規模や地域によっては、住民税を普通徴収に切り替えることが可能です。普通徴収の場合には、現金納付以外にPay-easyやクレジットカード払いに対応している自治体もあります。

従業員の入社・退社時に発生する住民税に関する手続き

従業員が転職して入社する場合

従業員が転職で入社してくる場合、前職場から自社に特別徴収を切り替える手続きを行います。

前職場から「給与所得者異動届出書」が届くため、新しい勤務先など必要な項目を記入してから従業員の住所地の自治体に提出しなければなりません。提出は、入社した月の翌月10日までに行います。普通徴収で住民税を納付していた従業員である場合、「特別徴収切替届出(依頼)書」を作成して自治体に提出し、特別徴収に切り替えます。

従業員が退職する場合

従業員が転職のために退職する場合、退職月の翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を作成して転職先の企業に送ります。送付後は、転職先の企業が特別徴収の引き継ぎ手続きを行うため、自社では退職者の住民税の納付に関する業務が不要になります。

退職後に再就職していない場合には、何月に退職するかによって住民税の徴収、手続き方法を変えなければなりません。退社日が1月1日から5月31日の場合には、原則として5月分までの住民税を給与からまとめて天引きする一括徴収を行います。6月1日から12月31日までに退社した場合は、給与から通常どおりに1か月分だけを徴収して納付します。ただし、従業員から希望があった場合には、翌年5月分までの住民税について退職金などを超えない範囲で一括徴収が可能です。

住民税を適切に納税しよう

住民税は、所得割と均等割で構成されています。住民税のだいたいの金額は前年度の所得などから計算が可能です。ただし、正確な金額は納税通知書に記載されているため、従業員分を自社で計算する必要はありません。住民税を自治体に納付する際には、納税通知書の税額を基に期限内に納めます。

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この記事の監修者川口 正倫(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。
総務・人事の分野で零細企業から上場企業まで勤務後、社会保険労務士に転身。平成19年社会保険労務士試験合格、その後平成31年に特定社会保険労務士の付記登録。『労務事情令和4年3月15日号』(産労総合研究所)に「年4回賞与の取扱いについて」を記事寄稿・『年金復活プランがよくわかる本』(Kindle本)を出版。

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