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給与計算の年間スケジュールは?業務内容や毎月行う作業なども解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/09/04更新

従業員を雇用している企業で必ず行わなければいけない重要な業務が、給与計算です。給与計算においては、基本給や各種手当、社会保険料や税金の計算など、複雑な作業が数多く発生します。給与計算をスムースに進めるには、年間スケジュールを立てて計画的に進めていくことがポイントになるでしょう。

給与計算には、毎月行う業務と、1年の決まった時期に行う業務があります。全体の流れを把握して、いつ、どのような作業を行うのか、を確認しておきましょう。本記事では、給与計算の年間および月間のスケジュールと、給与計算の年間スケジュールを確認するうえで大切なポイントなどについて解説します。

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給与計算の業務内容

給与計算とは、従業員の給与などの金額を計算して支払う業務のことです。従業員の給与や賞与の他、役員に支払う役員報酬の計算も、給与計算業務に含まれます。

給与計算の業務内容は、勤怠情報の取りまとめから、支給額の計算や給与の振込処理など、多岐にわたります。さらに、給与計算においては、給与や賞与から差し引く税金や社会保険料の計算なども必要です。これらの煩雑な作業を滞りなく進めるには、毎月決まって行う業務と年間のスケジュールを把握しておくことが大切です。

給与計算における年間の主なスケジュール

給与計算業務の1年間のスケジュールは、一般的には以下のようになります。記載のない月は基本的に、この後で解説する毎月の業務のみを行います。

給与計算業務の年間スケジュール例(4月に入社や昇給、7月と12月に賞与を支給する場合)
業務内容
1月 ・源泉所得税特例納付(7~12月給与からの源泉徴収分:20日まで)※事前申請をしている場合のみ
・法定調書の提出(税務署:31日まで)
・給与支払報告書の提出(市区町村:31日まで)
・労働保険料の納付(分割納付の第3期分:31日まで)
4月 ・新入社員の社会保険に関する入社手続きなど
・健康保険料率・介護保険料率・雇用保険料率の変更の確認
・昇給による給与、手当などの変更の確認
6月 ・特別徴収税額決定通知書に基づき住民税額を変更。2024年については、定額減税のため、原則として6月分の住民税の特別徴収(給与からの天引き)は行わない
・6月支給の給与より順次、所得税に対する定額減税(月次減税)を行う
7月 ・特別徴収税額決定通知書に基づき住民税額を変更(6月と変わるため)
・賞与支給
・源泉所得税特例納付(1~6月給与からの源泉徴収分:10日まで)※事前申請をしている場合のみ
・社会保険の算定基礎届・労働保険申告書を提出(10日まで)
・賞与支払届の提出(年金事務所・健康保険組合:支給日から5日以内)
・7月支給の給与より順次、定額減税を反映した住民税の特別徴収を行う
10月 ・定時改定による社会保険料変更
・労働保険料の納付(分割納付の第2期分:31日まで)
・最低賃金の確認
12月 ・賞与支給
・年末調整(10月ごろから準備を始める)
・賞与支払届の提出(年金事務所・健康保険組合:支給日から5日以内)

2024年の給与計算業務において注意が必要なのが、定額減税の影響です。定額減税は、対象となる納税者本人とその扶養親族1人につき、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が2024年(令和6年)分の税金から控除される制度で、2024年度(令和6年度)税制改正により実施が決定されました。

所得税については、6月支給の給与の源泉所得税額から順次、定額減税額を差し引いていきます。6月分の源泉徴収税額から控除しきれなかった分は、7月分、8月分と、順次控除を行っていきますが、これを月次減税といいます。

住民税については、6月支給の給与からは徴収しません。7月以降は、定額減税後の住民税額を11等分した金額を、2025年5月の給与まで毎月徴収します。11等分するときに端数が出た場合は、7月の特別徴収に含めます。そのため、2024年の住民税の徴収額は6月、7月、8月以降とで変動があるでしょう。

なお、所得税の定額減税については、月次減税の他、年末調整でも精算を行う年調減税が必要です。例えば、月次減税で控除しきれなかった減税分が残っている場合や、扶養親族の人数に変更があった場合などは、年調減税によって定額減税額を精算します。また、2024年6月2日以降に入社した従業員については、月次減税の対象にならないため、年末調整時に定額減税を適用することになります。

定額減税についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

年末調整の準備についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

毎月のスケジュール

次に、毎月行う給与計算の一般的なスケジュールを見ていきましょう。ここでは、「10日締め、当月25日払い」の例を紹介します。

11日以降:勤怠の確認と集計

初めに、このタイミングで退社や変更がないか確認を行います。

次にタイムカードや出勤簿を確認して、それぞれの従業員の勤怠情報を取りまとめます。確認すべき勤怠情報は、出勤日数と有給休暇の取得状況、欠勤日数、遅刻や早退の有無と労働時間、残業時間などです。
また会社によっては月の途中で、勤怠データを確認して、業務分散をするケースもあります。

その後、支給額と控除額の計算を行い、実際に従業員へ支払う額(差引支給額)を求めましょう。支給額と控除額については、主に以下のような内容を計算する必要があります。

主な支給額

  • 基本給
  • 各種手当(通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、資格手当など)
  • 時間外手当(割増賃金)

主な控除額

  • 欠勤控除
  • 遅刻早退控除
  • 社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)
  • 雇用保険料
  • 住民税
  • 源泉所得税

25日:給与支給

実際に支払う額を算出したら、それぞれの従業員へ銀行振込や手渡しなどで支給します。併せて、給与明細書を発行します。なお、金融機関への振り込み依頼をする場合、入金までに3営業日程度かかる場合もありますので、注意が必要です。

末日:前月分の社会保険料の納付

社会保険料の納付期限は翌月末日です。例えば、4月分の社会保険料の納付期限は5月末になります。毎月月末までに、前月に従業員の給与から差し引いた社会保険料と、事業主負担分の社会保険料を併せて納付します。

翌10日まで:源泉所得税と住民税の納付

従業員の給与から差し引いた所得税(源泉所得税)と住民税は、翌月10日までに納付することになっています。源泉所得税は税務署へ、住民税は市区町村へ納めましょう。

なお、源泉所得税については、給与(法人の場合は役員報酬も含む)を支払う人数が常時10人未満である場合は、半年分をまとめて納付できる特例があります。この特例を適用するには、あらかじめ「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出し、承認を受けなければなりません。

給与計算の年間スケジュールにおける重要なポイント

給与計算の年間スケジュールを確認する際には、いくつかのおさえておきたいポイントがあります。以下のポイントは毎年実施の時期が決まっているものですが、どの時期に、どんな確認が必要になるかを把握し、給与計算をスムースに行えるように準備しておきましょう。

社会保険料率の見直し

従業員の給与などから差し引く健康保険料と介護保険料の料率は、毎年春に見直しが行われます。基本的には毎年3月分(4月納付分)から改定になるため、最新の情報に注意するようにしましょう。また、雇用保険料の料率も、毎年4月に改定が行われるため確認が必要です。

なお、厚生年金保険料率については、年金制度改正に基づき2004年から段階的に引き上げられていましたが、2017年9月を最後に引き上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。

住民税の年度更新

従業員の給与から特別徴収(天引き)する住民税は、年末調整時に企業が提出した給与支払報告書の内容を基に、市区町村が税額を計算します。決定された住民税額は、毎年5月ごろに「特別徴収税額決定通知」によって、従業員が居住する市区町村から企業へ通知されるため確認が必要です。

特別徴収税額決定通知には、特別徴収する住民税額が記載されています。企業は、6月の給与から住民税の特別徴収を開始し、翌年5月まで、毎月の従業員の給与から住民税を控除します。住民税の特別徴収額は、毎月の給与計算に大きくかかわるため、毎年5月には必ず通知内容を確認しましょう。

ただし、2024年については、定額減税があるため、原則として6月の給与からの特別徴収は行いません。また、定額減税の影響で、特別徴収税額決定通知が例年よりも遅れる可能性があります。

労働保険の年度更新

労働保険料(雇用保険・労災保険)の納付は、その年度の見込み賃金を基に企業が雇用保険料と労災保険料を算定、申告して前払いをする「年度更新」という方法で行われます。

具体的には、その年度に支払う予定の賃金総額を基に、まずは概算で労働保険料を算出して納付します。その後、年度末に賃金総額が確定してから、実際の保険料(確定保険料)との差額の精算が必要です。

年度更新の手続き期間は、毎年6月1日~7月10日と定められています。企業は毎年、この年度更新の期間に、前年度の精算と新年度の概算保険料を申告・納付する手続きを行わなければなりません。

社会保険の算定基礎届

算定基礎届とは、従業員が支払う社会保険料を決定するために、企業が毎年7月に日本年金機構または健康保険組合へ提出する書類です。

従業員が負担する社会保険料の金額は、「標準報酬月額」によって決まります。標準報酬月額とは、従業員の月々の給料を一定の幅(等級)に区分して等級に当てはめた金額で、健康保険料と厚生年金保険料を算定する際の基準となります。標準報酬月額は、毎年4~6月の各月に支払われた報酬の平均支給額を基にして見直しが行われます。この見直しのために提出する書類が算定基礎届です。

算定基礎届の提出期間は、毎年7月1日~7月10日(土日祝の場合は翌平日)と決まっています。算定基礎届によって届け出た内容は、その年の9月から翌年8月までの保険料額の計算に適用されます。

年末調整

年末調整とは、給与所得者の所得税を確定させ、納税額の過不足を調整するために、企業が年末に行う手続きです。

役員や従業員の所得税は、給与や賞与から源泉徴収(天引き)され、本人に代わって企業が国に納めます。ただし、源泉徴収される所得税は概算であって、1年分の所得税を確定させるために、年末においてその精算作業が必要です。そこで企業は、1年間の給与が確定した時点で正しい所得税額を計算し、それまで源泉徴収された所得税との差額を精算します。この手続きを年末調整といいます。

一般的に、年末調整の準備は10月ごろから始まります。また、年末調整の計算を終えたら、源泉徴収票や法定調書合計表、給与支払報告書といった書類を作成し、翌年1月31日(土日祝の場合は翌平日)までに税務署や市区町村へ提出する必要があります。源泉徴収票については、従業員本人への交付もしなければなりません。

源泉所得税の納付

従業員の給与などから源泉徴収した所得税(源泉所得税)は、原則として、給与などを支払った月の翌月10日までに国に納付します。

ただし、給与(法人の場合は役員報酬も含む)を支払う人数が常時10人未満で、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の申請を行い、承認を受けた企業は、半年分の源泉所得税をまとめて納付することが可能です。その場合の納付期限は、1月~6月の源泉所得税が7月10日、7月~12月の源泉所得税が翌年1月20日となります。

固定給(昇給時や諸手当)の変更

従業員の基本給や手当、通勤費といった固定的賃金に変更があると、「月額変更届」の提出が必要な場合があります。月額変更届とは、社会保険料を算定するベースとなる標準報酬月額を変更するために、日本年金機構または健康保険組合へ提出する届出書類のことです。

標準報酬月額は、毎年1回、算定基礎届によって見直しが行われます。しかし、年の途中で報酬額が大幅に変動した場合は、実際の給与額と標準報酬月額がかけ離れたものになってしまう可能性があります。そのため、昇給や降給、手当の追加などで固定的賃金が大きく変動し、所定の要件に該当した場合は、算定基礎届の提出時期を待たずに、月額変更届を提出して標準報酬月額を変更することが必要です。

給与計算はスケジュール管理が大切

給与計算には、毎年または毎月、必ず行わなければいけない業務があります。手続きの中には、期限が設定されている内容も多いため注意が必要です。給与計算のスケジュールを把握し、計画を立てて業務を進めるようにしましょう。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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