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年末調整で国民年金保険料は控除できる?書き方や控除証明書について解説

2024/10/02更新

「国民年金保険料は年末調整で控除できるのだろうか?」「必要な書類や書き方を知りたい」年の途中で会社員になった方や転職した方の中には、このような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。結論からいえば、国民年金保険料は年末調整で控除できます。

ここでは、会社員でも国民年金保険料の控除を受けられるケースや年末調整に必要な書類、その書き方について解説します。

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年末調整で国民年金保険料は控除できる

国民年金保険料は年末調整で控除できます。年の途中から会社員になった人はもちろん、年のはじめから厚生年金保険料を払っている会社員も、厚生年金保険料の中に国民年金保険料が含まれているため控除可能です。以下で国民年金保険料と厚生年金保険料の違い、国民年金保険料の控除額の計算方法を見てみましょう。

国民年金保険料と厚生年金保険料の違い

日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金の2種類で、下表のとおりそれぞれ違いがあります。

国民年金保険 厚生年金
(国民年金の内容も含まれる)
対象者 20歳以上60歳未満のすべての人 会社員、公務員など
保険料 加入者がすべて負担 勤め先との労使折半
受給資格
  • 受給資格期間が10年(120か月)以上
  • 65歳から受給可能
  • 老齢基礎年金を受け取れる方など
  • 65歳から受給可能

厚生年金の労使折半の具体例として、月額給与250,000円の場合を見てみましょう。標準報酬月額は260,000円です。したがってこの例では「260,000円×18.3%=47,580円」が納める厚生年金保険料額となり、雇用主と労働者が半分ずつ負担します。
参考:日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)新規タブで開く

国民年金は基礎的な保障を提供し、厚生年金はそれに上乗せする形で給付を受けられるのが大きな違いです。

国民年金保険料の控除額の計算方法

国民年金保険料の控除額は、その年に実際に支払った社会保険料の全額です。

例えば、1か月当たり16,520円の国民年金保険料を支払っている場合、1年間の控除額は16,520円×12か月=198,240円になります。この金額を合計所得金額から差し引いて残った金額が課税対象です。他にも控除できる社会保険料や、社会保険料以外の所得控除(医療費控除など)があれば所得から差し引きます。

このように、支払った国民年金保険料は全額所得控除になり、確定申告で控除手続きが可能です。

会社員が年末調整で国民年金の控除を受けるケース

会社員は通常厚生年金を給与天引きで支払っていますが、中には年の途中まで国民年金保険料を支払っていた方もいるでしょう。例えば以下のケースがあります。

  • 個人事業主が年の途中で会社員になった
  • 20歳以上の学生や無職だった方が年の途中で会社員になった
  • 配偶者や扶養親族の国民年金保険料を支払った
  • 滞納や免除していた国民年金保険料を会社員になってから支払った
  • 国民年金を前納していた

それぞれ詳しく解説します。保険料の控除についてより詳しく知りたい方は「年末調整の保険料控除とは?申告できる保険の種類や控除額を解説」を参考にしてください。

個人事業主が年の途中で会社員になった

年の途中で個人事業主から会社員になった場合は、年末調整で国民年金保険料を控除できます。なぜなら個人事業主は、国民年金保険料を自分で支払っているからです。

例えば、8月まで個人事業主で9月から会社員として就職した場合、個人事業主の期間は国民年金保険料を、会社員になってからは厚生年金保険料を払っています。このような場合は、国民年金保険料と厚生年金保険料の両方を年末調整で控除可能です。

学生や無職だった方が年の途中で会社員になった

学生や無職だった方が年の途中で会社員になった場合、就職した会社で年末調整を行い、国民年金保険料を控除します。学生や無職は第一号被保険者に該当し、就職する以前は国民年金保険料を支払っているからです。

以下の表で被保険者について確認しましょう。

第一号被保険者 第二号被保険者 第三号被保険者
対象者 自営業者、学生、無職 会社員、公務員 第二号保険者に扶養されている配偶者
※専業主婦など
年齢要件 20歳以上60歳未満 70歳未満 20歳以上60歳未満
保険料 国民年金保険料
月額16,520円(令和5年度)
厚生年金保険料
(国民年金保険料含む)
標準報酬月額×18.30%
標準賞与月額×18.30%
労使折半
標準報酬月額は上限65万円×18.30%=118,950円
標準賞与額は1回につき上限150万円×18.30%=274,500円
負担なし

参考:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険の被保険者のしおり新規タブで開く

第一号被保険者が年の途中で会社員になる場合、就職以前は国民年金保険料を支払っています。そのため、年末調整で控除を受けられるので、覚えておきましょう。

配偶者や扶養親族の国民年金保険料を支払った

会社員で配偶者(自営業で働いており第一号保険者となっているケース)や一緒に生活している子ども(20歳以上の学生など)の国民年金保険料を支払っている場合は、年末調整で控除できます。

その年に支払った国民年金保険料であれば、過去3年分をまとめて支払った場合でも、本年度の控除の対象です。年末調整前に、配偶者や子どもの国民年金保険料の支払い状況を確認しておきましょう。

滞納や免除されていた国民年金保険料を会社員になってから支払った

国民年金保険料の滞納や免除をされていて、会社員になってから支払った場合は、その支払った金額を年末調整で控除できます。社会保険料は未払いのものは控除できず、支払った年の年末調整で控除できるからです。

過去に失業などにより収入が減少してしまい、国民年金保険料を納められずに未払いになっている方もいるでしょう。就職を機に滞納分の国民年金保険料をまとめて支払った場合も、その年の年末調整で控除を受けられます。

国民年金を前納していた

国民年金保険料を前納(まとめて前払い)した場合、支払った年の年末調整でまとめて控除ができます。社会保険料の控除は支払った年分の社会保険料が対象となるからです。

また、国民年金保険料は前納すると割引されます。詳細は以下のとおりです。

納付方法 1か月 半年 1年 2年
毎月支払う場合 16,520円 99,120円 198,240円 402,000円
前納:現金 98,310円
割引:810円
194,720円
割引:3,520円
387,170円
割引:14,830円
前納:口座振込 16,470円
割引:50円
97,990円
割引:1,130円
194,090円
割引:4,150円
385,900円
割引:16,100円

参考:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険の被保険者のしおり新規タブで開く

表を見てもわかるように、現金支払いで最大2年分の国民年金保険料を控除でき、16,100円もの割引を受けられます。国民年金保険料を前納した人が就職した場合は、まとめて支払った社会保険料をその年の年末調整で控除できます。

年末調整で国民年金保険料を控除する際の必要書類と書き方

年末調整で国民年金保険料を控除する際に必要な書類や記入例を解説します。

  • 年末調整の必要書類の書き方
  • 控除証明書は添付が必要
  • 領収証書があれば控除証明書は不要

年末調整の必要書類の書き方

年末調整時(11月ごろ)に勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」が配られるので記入します。記入箇所は「社会保険料控除」欄です。給与所得者の保険料控除申告書は記入枠も多いため、実際にどこに記入するのか画像で確認しましょう。

引用:国税庁「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書新規タブで開く

続いて、社会保険料控除額の具体的な書き方を確認します。子どもの社会保険料を負担した場合は以下のとおりです。

本年中に支払った保険料だけ管理しておけば書くのは難しくありません。

控除証明書は添付が必要

国民年金保険料を年末調整で控除する際に「社会保険料控除証明書」の添付が必要です。給与所得者の保険料控除申告書の裏面に「証明書類の添付箇所」と記載があるので添付しましょう。

社会保険料控除証明書は日本年金機構から送付されます。送付される時期は以下の2パターンです。

初回納付時期 書類送付時期
パターン1 1月~9月 10月下旬~11月上旬
パターン2 10月以降 翌年2月上旬

参考:日本年金機構新規タブで開く

控除証明書をなくしてしまった場合は年金事務所で再発行ができます。また、添付時によく疑問に上がるのが「何を使って添付したらよいか」です。特に法律上のルールはないので、のりやセロハンテープ、書類とじ器など、勤務先のルールにしたがいましょう。

領収証書があれば控除証明書は不要

年末調整の書類を提出する際、国民年金保険料の控除証明書の添付が必要です。しかし、保険料を支払ったことを証明する領収証書を添付すれば控除証明書は必要ありません。

ただし、提出する税務署によって異なるため、領収証書の添付を希望する場合は勤務先に確認しておくとよいでしょう。

年末調整に間に合わない場合は確定申告が必要

年末調整で社会保険料控除の記入を忘れた場合や、前職からの転職が年末調整時期に間に合わなかった場合は個人で確定申告が必要です。

  • 国民年金保険料を確定申告する流れと必要な書類
  • 確定申告も忘れてしまった場合

それぞれ詳しく解説します。国民年金保険料の確定申告をする場合のポイントを確認しましょう。

国民年金保険料を確定申告する流れと必要な書類

国民年金保険料を確定申告する場合、期間は毎年2月16日から3月15日です。控除のための書類が年末調整に間に合わなくても、確定申告であれば間に合います。

必要書類は以下のとおりです。

  • 現在勤めている先の源泉徴収票
  • 社会保険料控除証明書

国民年金保険料の控除申請が年末調整に間に合わなかったときは、2月16日から3月15日に間に合うように書類を集めて税務署に提出します。確定申告のより詳しいやり方は「確定申告のやり方は?初めての方向けに流れや手順、申告方法を解説」で解説しているので参考にしてください。

確定申告も忘れてしまった場合

年末調整に間に合わず、確定申告も忘れてしまった場合は早めに申告をしましょう。所得税が払われなかった日数に応じて、延滞税と加算税が発生するためです。

無申告加算税について

加算税は確定申告書を申告期限までに提出せず、納付すべき税金があった場合に課税されます。加算税は、本来納付する予定だった金額によって課税金額が変わります。加算税の割合は下表のとおりです。

条件 加算税(納付金額に対して)
本来の納付金額が50万円以下 15%
本来の納付金額が50万円超 20%
税務署から指摘される前に納付 5%

また、加算税は以下の条件を満たしている場合は課されません。

  • 申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われている
  • 期限内申告をする意思があったと認められた
  • 過去5年で無申告加算税または重加算税が課税されていない

確定申告ができていない場合は早く申告すれば加算税の負担が軽くなるので、気づいた時点で申告をしましょう。
参考:国税庁「確定申告を忘れたとき新規タブで開く

延滞税について

延滞税は、支払うべき税金を法定納付期限までに納付していない場合に課税されます。延滞税の計算方法は以下の表をご覧ください。

法定納付期限の翌月から2か月まで 納付すべき金額×延滞税の割合×日数÷365
(1万円未満切り捨て)
2か月を経過した翌日から完納する日まで 納付すべき金額×延滞税の割合×日数÷365
(1万円未満切り捨て)

延滞税の額は2つの計算額の合計です。また、延滞税の割合は条件によって違います。

納付期限 延滞税
納付期限の翌日から2か月 年率「7.3%」か「特例基準割合(2.4%)+1%」のどちらか低い方
2か月以上 年率「14.6%」か「特例基準割合(8.7%)+7.3%」のどちらか低い方

特例基準割合はその年によって数値が変わります。
参考:国税庁「延滞税の割合新規タブで開く

このように延滞税は法定納付期限(3月15日)から納付までの期間が長くなるほど課税額が大きくなるので、1日でも早く税務署に納付しましょう。

年末調整で国民年金保険料を控除できるケースは複数ある

会社員であっても、その年に国民年金保険料を支払っているケースはさまざまあります。その年に支払った国民年金保険料は、勤めている会社の年末調整で控除申請が可能です。必要書類を集めて勤め先から書類が配布されるまでに準備しておきましょう。

また、年末調整までに提出書類がそろわない場合は確定申告が必要です。確定申告が不安な方は確定申告ソフトをオススメします。「やよいの白色申告 オンライン」は無料ですべての機能が利用可能です。「やよいの青色申告 オンライン」も初年度無料で利用できるので導入を検討してみてください。

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