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売上がいくらになったら青色申告したらいい? 税理士さんに聞いてみた

執筆者:安田博勇

2023/08/01更新

世の中には、「売上規模がそれほど大きくないから」という理由で、青色申告にしていない白色申告者が一定数いるのだとか。

筆者は青色申告者であり、また「やよいの青色申告 オンライン」のユーザーです。青色申告メリットは十分に感じているのですが、そう聞くと本当にメリットがあるのか不安に感じてしまうときも……。

そこで税理士・宮原裕一先生に、

  • 売上規模で青色申告にするしないに違いがあるのか?
  • いくらだったらいいのか?
  • 青色申告にしないことでなにかメリットはあるのか?

率直なご意見をうかがってきました。

青色・白色の選択は本当に事業規模に関係する?

安田:フリーランスとして編集・ライター業をしている安田と申します。私も個人事業主で、事業開始をして間もなく青色申告に切り替えています。しかし確定申告をする人の中には白色申告の方もけっこういるのだとか……。

宮原:国税庁の統計新規タブで開くを見ると、青色申告の方はだいたい半分くらいだったのが、白色申告の記帳が義務化されるようになってから徐々に増えてきました。平成28年分の青色申告の方は6割超えたようですね

安田:実際、宮原先生もまだ白色申告者が多いと感じますか?

宮原:仕事上で白色申告者に巡り合う機会は少ないですが、確定申告の時期に税理士会が開く無料相談などに行くとお見かけすることはあります。やはり私も「もったいないなぁ」なんて思ってしまいますよね。

安田:青色申告が本当に得なのか、あるいは「青色にしない」(白色のままでいる)ことにメリットはあるのか。そのあたりが今日うかがいたいテーマです。よろしくお願いします!

宮原:なんでも質問してください!

安田:白色申告をするか、青色申告をするかの選択に、事業規模って関係するんですか?

宮原:少なくとも「事業規模が小さければ白色申告のほうが……」なんて根拠はありません。私は、そうした回答者さんの本音も結局は「記帳が面倒」ってことだと思うんですよ。

安田:どういうことでしょう?

宮原:つまり、白色より青色のほうが節税効果のあることはわかっている。でも自分の事業所得からすると課税対象が小さい分、還付金の見返りは小さい……。その見返りに比べれば「帳簿付けが面倒」……そんな事業者が多いのでは。

安田:なるほど。たしかに帳簿付けって最初は不安でした。

宮原:開業したばかりで税務署へ届け出に行くと、記帳指導がまとめられたパンフレットなんかが置かれていて、たいていそこには手書きのやり方が書いてある。それを読んで「あ〜、面倒くさそう!」って(笑)。

安田:私はほとんど最初から会計ソフト派ですが、やはり紙での帳簿付けって大変なんですか?

宮原:65万円の青色申告特別控除を受けるには、借方・貸方を使った複式簿記でなければいけません。とすると一概に「簡単だよ」とは言えませんよね。

安田:私も紙の帳簿なんて到底つけられません。

宮原:手書きだと、なにか1つの項目が抜け落ちていれば後々計算が合わなくなったり……。そんなイメージも、青色申告が敬遠される要因になっているかもしれませんね。

  • 税制改正により、2020年分の確定申告から青色申告特別控除の要件が変わりました。青色申告特別控除65万円を受けるためには、複式簿記での帳簿付けなどに加え、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告が必要です。(2020年10月1日 追記)

副業・兼業者にとっての青色申告

安田:少しテーマが逸れるのですが、今、「働き方改革」として会社員の方たちの間にも徐々に副業・兼業の普及促進が進んでいますよね。

宮原:そうですね〜。

安田:ハンドメイド品等のネット販売から、ブロガー、YouTuber、アフィリエイターといった活動まで、給与所得者による副業・兼業の職域も広がっているように感じます。これからはこうした方々も青色申告と無関係ではなくなる?

宮原:ただご注意いただきたいのは、青色・白色ということ以前に、それが「事業所得」なのか「雑所得」なのか、その線引きの問題があるということです。

安田:それはつまり?

宮原:事業所得であるかどうかは「独立性」「営利性・有償性」「反復性・継続性」といったことなどから総合的に判断するのですが、たんに給与所得者が片手間でやっている商売は、雑所得とされる可能性があります。

安田:本人が「事業所得」だと主張して開業し、青色申告をしていても、申告後に認められないこともあり得る?

宮原:そうです。その場合、その方の副業・兼業は「雑所得」。そして雑所得は青色の特典は受けられない……。

安田:すんなりとはいかないものなんですね。

宮原:業種・職種もさまざまで、正直なところ、きちんと明文化されるまでには至っていません。あくまでケースバイケースで対応されているのが実状なんです。

「開業したてで赤字や事業収入が少ない方こそ青色にしたほうがいい、そう断言できます。」

安田:再び個人事業主の青色申告の話に戻るのですが、以前試算してみたところ、年収500万円(所得350万円)の人が白色→青色に切り替えた場合、住民税・健康保険も合わせると年間20万円くらいの節税を生むことがわかりました。

宮原:なかなか大きな額ですよね。

安田:年収500万円でもそれだけ節税効果がある。では、これが例えば年収300万円とか事業規模が小さくても、青色にしたほうがいいですか?

宮原:事業収入が少ない方こそ青色にしたほうがいい、そう断言できます。その根拠となるのが「純損失の繰越控除」です。

安田:……どんな制度でしたっけ?

宮原:赤字になった年があっても、その分を3年間繰り越せます。

安田:……。

宮原:わかりやすく説明しましょうか。例えば、開業1年目に300万円の赤字、2年目に100万円の赤字が出て、3年目に100万円黒字だった場合。1年目の赤字のうちの「−100万円」と、3年目の黒字「+100万円」を相殺できます。

安田:1年目は赤字なのでもちろん所得税額ゼロ。相殺された3年目も黒字が相殺され、所得税額がゼロになる?

宮原:そのとおりです。4年目までは1年目の繰越分が200万円残っているような状態なので、たとえば4年目が「+150万円」の黒字ならこれも相殺し、4年目の所得税額もゼロ。これは白色にはないメリットの1つです。

世の中には、「売上規模がそれほど大きくないから」という理由で、青色申告にしていない白色申告者が一定数いるのだとか。

筆者は青色申告者であり、また「やよいの青色申告 オンライン」のユーザーです。青色申告メリットは十分に感じているのですが、そう聞くと本当にメリットがあるのか不安に感じてしまうときも……。

そこで税理士・宮原裕一先生に、

  • 売上規模で青色申告にするしないに違いがあるのか?
  • いくらだったらいいのか?
  • 青色申告にしないことでなにかメリットはあるのか?

率直なご意見をうかがってきました。

青色のメリット「減価償却特例」「青色事業専従者」

安田:ほかにも青色申告のメリットってありますか?

宮原:有名なのは30万円未満の「減価償却の特例」でしょうか。白色申告でも10万円〜20万円未満の固定資産を3年で経費にできる「一括償却」できるのはご存じですよね?

安田:はい。例えば12万円(耐用年数4年)のパソコンなら、通常(個人事業主の場合)年間3万×4年間で減価償却しますが、10万円〜20万円未満の固定資産は一括償却にした場合「3年」で均等割して4万×3年間で経費計上します。

宮原:そのとおり。青色申告の「減価償却の特例」では、30万円未満なら購入した年度内に全額償却できるので12万円丸々を経費にできます。

安田:全額経費にできると所得金額がかなり下がる分、節税効果は大きいですよね。

宮原:あとメリットとしては「青色事業専従者」が認められることです。家族従業員を青色事業専従者として届け出れば、給与全額を経費計上できます。

安田:仮に所得500万・専従者給与200万の配偶者がいる場合なら、青色申告の場合、課税対象所得は300万となりますね。

宮原:これが白色申告ならば、同じ枠組みで最大86万円の控除を受けるのみ。課税対象所得は414万円ですから、100万円以上の所得を減らせるのは大きいですよね。もちろん、専従者がもらった給与にも税金はかかりますが、税率が下がるのでトータルの税金は少なくなりますよ。

帳簿は事業者を守ってくれるもの

安田:青色申告のメリットを感じるのは、なんといっても、確定申告の書類を作成して還付金の額がわかったときです。

宮原:課税される所得金額が下がれば、還付金も大きくなります。

安田:でも自分の経験も含めてよく言われているのは、数ヵ月後に国民健康保険や住民税の明細書が届いたとき。「あれ、去年より少ないかも」なんて、納付額が下がるときに驚いたりするものです。

宮原:もらうときより払うときのほうが、インパクトも大きいんでしょうね(笑)。

安田:となると「青色申告にしないことのメリット」は「複式簿記で帳簿を付けなくていい」ってことのみですかね……。

宮原:でも、安田さん。実はきちんとした複式簿記の帳簿があることに、大きなメリットがあるんですよ。たとえば税務調査。「推計課税」ってわかりますか?

安田:……。聞いたことあるような、ないような(笑)。

宮原:推計課税は、個人・法人に対する税務調査のとき、納税者が帳簿をそろえていなかったり、内容の信頼性が乏しかったりなどから税務署が税金の実額を計算できないとした場合に、収入の状況や事業の規模、同業者の相場などから「これくらいだろう」、と実際の所得税・法人税の額が「推計」で算出される額のことなんです。

安田:実際よりも多い追徴課税を求められることもある?

宮原:あります。というか実際がわからないときに推計課税があるのですよ。でも、青色申告の納税者なら簡易簿記も含めて帳簿がばっちりと整っているはずということで、青色申告者には推計課税ができないことになっています。これは多くの事業者の方に知っておいていただきたい!

安田:帳簿が事業者のことを守ってくれるというわけですね! ところで青色にすると税務調査に入られやすいみたいなことってあるんですか? なんか都市伝説っぽい話ですが。

宮原:まったく関係がないと言っていいと思います。税務署のコンピューターにあるデータベースから、税務調査の対象になる事業者(例えば、所得の増減が激しい人など)をフィルタリングして選んでいるので、青色だからどうこうということはありませんね。

「税理士としても、クラウド確定申告ソフトはとても便利なんです」

宮原:ところで安田さんはどの会計ソフト(確定申告ソフト)を使っているのですか?

安田:やよいの青色申告 オンライン 」です。私はMacユーザーなのですが、青色申告に切り替えたタイミング(2014年)で、ちょうどMacにも対応した同製品がリリースされました。だからほとんど開業当初から会計ソフトに頼りっきり。取引入力が簡単なので、複式簿記をつけている感覚はありませんが(笑)。

宮原:帳簿付けが苦手だという方なら、確定申告ソフトはマストアイテムといっても過言ではないでしょうね。

安田:特に最近は「やよいの青色申告 オンライン」のようなクラウド確定申告ソフトが出てきたことで、会計業務がぐっとやりやすくなりました。しかもクラウド会計はイニシャルコストも少なく、運用費が安い。

宮原:我々税理士としても、「やよいの青色申告 オンライン」はとても便利なんですよ。

安田:どういうことでしょう?

宮原:「やよいの青色申告 オンライン」は、顧問先のお客様といつも同じデータを共有できます。仮に事業が拡大して我々税理士に一部業務を委託したいとなったときもきっと移行しやすいはずです。

安田:なるほど! 帳簿付けということ以外で青色申告にデメリットって何かあったりしますか?

宮原:う〜ん、まったく思いつかないですね(笑)。確定申告ソフトを使うにしても、多少は会計のことを知っておかなければいけませんが、これは事業者として当然といえば当然のこと。

安田:デメリットではないですね。

宮原:もう一歩踏み込んでお応えするなら、会計ソフトユーザーにとっては、青色申告・白色申告の手間感はほとんど同じです。先ほど安田さんがおっしゃったように、会計ソフトを使っていれば複式簿記をつけている感覚すらないくらい、取引入力が簡単です。

安田:ならば、控除額が大きく、かつ、いろいろな特例を受けられる青色申告65万円控除にしたほうが、断然お得ですよね。会計ソフトの導入コストがあるにせよ「青色申告にしないことのメリット」は「まったくといっていいほどない」といえそうです。

宮原:そのとおりです!

安田:ところで、毎年改版されているムック本『個人事業主・フリーランスのための青色申告新規タブで開く』(KADOKAWA・刊)では、今回も宮原さんが監修を務められているとか。

宮原:12月から全国の書店やコンビニで販売されています。今回の確定申告で該当する変更についてや素朴な疑問と回答なども載っているので、安田さんも今回の確定申告にぜひお役立てください!

安田:さっそく購入します! 本日はどうもありがとうございました。

宮原裕一 みやはら・ゆういち

1972年生まれ。税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」新規タブで開くは全国の弥生ユーザーから好評を博している。公式HP:宮原裕一税理士事務所新規タブで開く

青色申告ソフトなら簿記や会計の知識がなくても青色申告できる

青色申告ソフトを使うことで、簿記や会計の知識がなくても青色申告することができます。

今すぐに始められて、初心者でもかんたんに使えるクラウド青色申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」から主な機能をご紹介します。

やよいの青色申告 オンライン」は初年度無料で使い始められ、無料期間中もすべての機能が使用できますので、気軽にお試しいただけます。

初心者にもわかりやすいシンプルで迷わず使えるデザイン

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取引データの自動取込・自動仕訳で入力の手間を大幅に削減

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確定申告書類を自動作成。e-Taxに対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに

画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書等の提出用書類が自動作成されます。青色申告特別控除の最大65万円/55万円の要件を満たした資料の用意もかんたんです。またインターネットを使って直接申告するe-Tax(電子申告)にも対応し、最大65万円の青色申告特別控除もスムースに受けられます。

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日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に儲けが出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。

この記事の執筆者安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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