青色申告承認申請書の書き方|申請期限・必要なものを丸ごと解説
所得税の確定申告には、白色申告(しろいろしんこく)と青色申告(あおいろしんこく)の2種類があります。とくに青色申告は、節税メリットが高いので、青色申告を検討したことがある方や次の確定申告は青色申告に移行しようと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、青色申告を行うためには、事前に適切な準備と手続きを行わなければなりません。そこで、青色申告をするために提出する「所得税の青色申告承認申請書(以降、青色申告承認申請書)」の書き方や提出時の注意点をまとめています。
これを読めば青色申告の手続きがスムーズにできるため、これから書類を提出する人はぜひ参考にしてみてください。
青色申告承認申請書とは?
青色申告承認申請書とは、確定申告を青色申告でしたい場合に、所轄の税務署へその申し出をするために提出する書類です。
青色申告承認申請書は、事前に提出が必要です。確定申告のタイミングで青色申告をしたいと思っても間に合いません。
青色申告に切り替えたい人は、青色申告承認申請書の提出期限を確認して、提出しましょう。
青色申告とは?
青色申告は確定申告の種類の1つで、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得や税金の額を計算し、翌年の2月16日~3月15日の間に、管轄の税務署に申告を行う手続きのことです。
確定申告は「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、申告者は事業内容や売上にかかわらず、好きなほうを選択できます。
青色申告は、白色申告に比べて帳簿作成が難しいのですが、その分受けられるメリットも多いのが特徴です。具体的には、要件に従って確定申告をした場合「青色申告特別控除」の特典があり、最大65万円の特別控除が受けられます。他にも家族に支払う給与を経費にできたり、3年間赤字を繰り越せたりするなど、青色申告は節税メリットが大きいです。
青色申告がはじめての方にはYouTubeで見られる解説動画もおすすめです。
青色申告の申請をする際に必要な書類とダウンロード先
青色申告を希望する場合に提出する書類は「青色申告承認申請書」です。書類は以下の場所で入手できます。
国税庁のホームページからダウンロードする | 国税庁:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続 |
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なお、個人事業主として開業をする際に提出する開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)も国税庁のサイトから入手できます。
弥生が運営する起業・開業ナビでは「弥生のかんたん開業届」というクラウドサービスを提供しております。「弥生のかんたん開業届」は画面に沿って操作するだけで開業届を含む必要書類を作成することができる無料のサービスです。
開業届だけでなく所得税の青色申告承認申請書も同時に作成できます。
開業届をまだ提出していない方は、弥生のかんたん開業届の利用を検討してみてください。
「弥生のかんたん開業届」は仕様上、開業届を作成してから青色申告承認申請書を作成するようになっています。
開業届をすでに提出している人も各項目を確認しながら青色申告の関連申請書類を手書きより簡単に作成できます。
開業届は再提出不要ですので、ぜひ青色申告の申請書類作成にお役立てください。
必要書類の提出先と提出期限
青色申告承認申請書の提出期限は以下のとおりです。
書類の種類 | 提出期限 | 補足 |
---|---|---|
青色申告承認申請書 | 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで | その年の1月16日以後に開業した場合は、事業開始日から2か月以内 |
書類の提出方法は以下のいずれかの方法を、自分で自由に選択できます。
- 国税庁の電子申告(e-Tax)で提出する
- 税務署に郵送で提出する
- 税務署の窓口で提出する
青色申告承認申請書の書き方
青色申告承認申請書の書き方を解説します。
- ※国税庁:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続
記載すべき項目は以下のとおりです。
- 所轄の税務署
- 提出日
- 基本情報
- 青色申告を始めたい年
- 事業の所在地
- 所得の種類
- 青色申告の取り消しまたは取りやめの履歴
- 本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
- 事業承継の有無
- 簿記の方式
- 帳簿について
- 特記事項
- 関与税理士
所轄の税務署
所轄の税務署を記載します。所轄税務署の調べ方は国税局・税務署を調べるから検索してください。
提出日
実際に提出する日を記載します。「開業日」とは異なりますので注意してください。
基本情報
住所・氏名・電話番号(携帯電話の番号でも可)などの基本情報を記載します。
- 自宅と事業所が同じ場合は[住所地]にチェック
- 国内に住所がないが日本で納税する場合などは[居所地]にチェック
- オフィスがある場合はその住所を記載し[事業所]にチェック
開始年分
青色申告を開始したい年分を記入します。
例えば、2024年分から青色申告をしたい場合は「2024年分」と記載します。
事業の所在地
複数の店舗や事務所がある場合の記載欄です。「〇〇営業所」「〇〇事務所」など、事業所名と住所を記載します。
所得の種類
自身の所得の種類をチェックします(個人事業の場合は[事業所得])。なお、青色申告は、どのような所得でも無条件に申告できるものではありません。青色申告の対象となる所得は「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3種類になります。
青色申告の取り消しまたは取りやめの履歴
過去に青色申告承認の取消し・取りやめをしたことがある場合は年を記載のうえ、チェックしてください。
本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
「本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日」欄には、その年の開業した日を記入します。
以下のいずれかの場合にのみ、開業等の年月日を記載します。
-
1.1月16日以後に開業した場合でその年から青色申告にしたい場合
-
2.青色申告事業者から事業の承継をした場合
今まで、白色申告で申告していた場合など、開業してから年数が経過している場合やわからない場合は、特に過去の開業日を調べて、記載する必要はありません。1月16日以降に開業した場合で、開業日から提出日が2か月以上あく際は翌年分からの承認となります。1月15日以前に開業した場合には、3月15日までに提出しないと、翌年分からしか青色申告できません。
事業承継の有無
事業承継に該当する場合は、相続開始年月日と被相続人の名前を記入します。
簿記方式
記帳する簿記の形式を選択します。
- 複式簿記:最大55万円または最大65万円の特別控除
- 簡易簿記:最大10万円の特別控除
提出後に簿記の種類を変えたい場合、とくに申請する必要はありません。確定申告時に実際に提出した様式によって控除額が判断されます。
備付帳簿名
自分が使用している(これから記帳する)帳簿にチェックを入れます。種類は基本的には以下の8種類を選択しましょう。
これらは、「やよいの青色申告 オンライン」を利用して記帳した場合、自動的に作成できるので心配ありません。
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
- 預金出納帳
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
特記事項
特筆すべき事項があれば記入します。
関与税理士
顧問契約を結んでいる税理士がいればここに記入します。
開業届とは
個人事業主として、事業を開始する場合、「個人事業の開業・廃業等届出書」通称「開業届」を税務署に提出します。
開業届を提出していなくても罰則はないため、事業や所得税の確定申告を行うことは可能です。
しかし「開業届」は、事業をしている証明にもなるので、提出していない場合は、速やかに提出をしましょう。
青色申告承認申請書を提出する際の注意点
青色申告承認申請書を提出する前に、以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 【青色申告承認申請書】複式簿記だと会計処理が複雑になる(最大65万円控除・最大55万円控除の場合)
- それぞれの書類の控えを用意しておく
複式簿記だと会計処理が複雑になる
複式簿記による記帳を選択すると、会計処理が煩雑になる点がデメリットです。また、ある程度の簿記知識が求められるため、はじめて青色申告に挑戦する人は難しいと感じることが多いでしょう。しかし、「やよいの青色申告 オンライン」は、「やよいの白色申告 オンライン」からのデータ移行だけでなく、ほぼ同じような使い方で、専門知識がなくても青色申告に必要な複式簿記での記帳ができます。青色申告初心者にとって非常に心強いツールですので、安心してください。
それぞれの書類の控えを用意しておく
青色申告承認申請書の提出時は、かならず控えを作成し受付印を押印してもらいましょう。郵送で提出する際は本紙と控えの2部を作成し、切手を貼付した返信用の封筒を入れておきます。青色申告を申請している証明になるので、大事に保管しておいてください。
青色申告承認申請書を提出する際によくある質問
青色申告承認申請書の提出時によくある質問に回答します。
- 青色申告承認申請書の提出期限が過ぎたらどうなる?
- 青色申告承認申請書を提出した後に白色申告をする場合、青色申告の取りやめが必要?
青色申告承認申請書の提出期限が過ぎたらどうなる?
青色申告承認申請書の提出期限を過ぎた場合、その年分は白色申告しかできなくなります。すでに事業を行っていてその年から青色申告にしたい場合は、その年の3月15日までとなっています。
青色申告承認申請書を提出した後に白色申告をする場合、青色申告の取りやめが必要?
取りやめの申請は必要ありません。青色申告の承認は青色申告が「できる」という承認ですので、書類を特に出さずとも白色申告で確定申告をしても構いません。
その場合は、青色申告特別控除など青色申告のメリットが受けられないだけです。
なお、複式簿記の帳簿付けが難しかったとしても、最大10万円の青色申告特別控除を狙える可能性はあります。
青色申告承認申請書まとめ
「やよいの青色申告 オンライン」は、複式簿記の知識がない人にも使いやすい仕様になっていて、青色申告がはじめてでも迷わずに青色申告書類の作成と申告ができます。確定申告の疑問を解決してくれるサポートサービスも充実しているので、「ひとりでできるか不安…」という人にもぴったりです。
白色申告から青色申告への切り替えを検討している方は、以下の動画もぜひ参考にしてみてください。