2022/04/28 確定申告を税理士に代行してもらう際の注意点や費用相場を解説

個人事業主であれば、毎年確定申告をしなければなりません。また、確定申告には白色申告と青色申告があり、いずれの場合でも帳簿の作成が必要です。特に青色申告で最大65万円の青色特別控除を受けたい場合は、複式簿記と呼ばれる方法で記帳することが求められます。しかし、確定申告は手間がかかるため、税理士に依頼したいと考える方もいるでしょう。

この記事では、確定申告の必要性と税理士に確定申告を依頼するメリット・デメリットの他、税理士に確定申告を代行してもらう際の費用相場などを解説します。

前年の所得と税金を確定させて申告・納税する確定申告

確定申告とは、前年1月1日から12月31日までの1年間の所得と税金を確定させ、税務署に申告・納税する手続きのことです。

確定申告を行うことによって所得税と復興特別所得税の税額が確定します。源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合は、確定申告によってその過不足が調整されます。会社員など給与所得がある方の大半は、給与から税金が天引きされており、年末調整で税額が調整されるため、確定申告は必要ありません。

赤字でも確定申告は必要?

赤字の場合は所得税がかからないため、確定申告を行う義務はありません。しかし、税金の還付を受けたり、所得を証明したりするためには確定申告が必要です。特に青色申告の場合は、赤字を翌年以降3年間繰り越すこともできます。赤字でも確定申告をしておいた方がいいでしょう。

確定申告は税理士に依頼できる

確定申告は手間がかかりますが、個人事業主は毎年行わなければなりません。しかし、日々の業務が忙しかったり、仕入れや支払いなどのお金のやりとりが多かったりすると、確定申告の手続きを行っている時間がないという方もいるかもしれません。そのような場合は、税務の専門家である税理士に確定申告の手続きを依頼することができます。

確定申告を行わなかった場合のリスクやペナルティ

個人事業主は毎年確定申告を行う必要がありますが、行わなかった場合はどうなるのでしょうか。ここでは、確定申告を行わなかった場合のリスクやペナルティについて解説します。

延滞税や無申告加算税、重加算税などが課せられる

本来収めるべき税額 100万円 延滞税加算時 105万円(税額 100万円+延滞税 5万円)無申告加算税加算時 115万円または120万円(税額 100万円+無申告加算税 15または20万円) 重加算税加算時(税額 100万円+重加算税 35または40万円)

確定申告を行わなかった場合、本来納めるべき税金の他に延滞税や無申告加算税、重加算税などが課せられます。
延滞税とは、期限までに税金を納めなかった場合に課される税金です。税率は年によって異なります。
無申告加算税は税金の申告期限を過ぎてしまったり、無申告だったりした場合に課される税金です。納付すべき税額によって、原則として15%または20%が加算されます。
また、重加算税は故意に所得を隠蔽したり、確定申告をしなかったりした場合に課される税金です。納付すべき税額の35%または40%が加算されます。

住民税も無申告になる

確定申告を行わなかった場合、住民税も無申告となるケースがあります。確定申告を行えば住民税も確定しますが、所得があるのに確定申告を行わなければ、住民税も無申告になります。その場合、地域によって税率は異なるものの、住民税にも延滞金が課せられます。

税金の還付を受けられない

確定申告を行わなければ、税金の還付が受けられません。確定申告を行えば、所得税を多く納付していた場合に還付される場合もあります。報酬から源泉徴収されていると必要以上に税金を納めていることもありますが、確定申告を行わなければその還付が受けられません。

所得を証明できない

個人事業主にとって確定申告書の控えは、所得を証明する書類になります。住宅ローンや自動車ローン、住まいを借りるための賃貸契約、保育所の入園申請、給付金の申請など、所得証明を求められる場面は多々あります。しかし、確定申告を行わなければ、自身の所得を証明することができません。

税理士に確定申告を依頼するメリット

確定申告の手続きは手間がかかりますが、確定申告を行わなければリスクやペナルティがあります。手間をかけずに確定申告を行うには、税理士に確定申告を依頼するという方法がありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。税理士に確定申告を依頼するメリットについて、詳しく見てみましょう。

手間と時間を削減できる

税理士に確定申告を依頼するメリットの1つは、手間と時間を削減できることです。確定申告書の作成などに手間がかかると、本業にかけるべき時間を圧迫してしまうこともあります。税理士に確定申告を依頼すれば、手間や時間を大幅に削減でき、本業に集中できるようになるでしょう。さらに、記帳代行も併せて依頼すれば、帳簿を作成する手間もなくなります。

正確な内容で申告できる

正確な内容で申告できることも、税理士に確定申告を依頼するメリットです。確定申告書の内容に誤りがあった場合、税務署から指摘を受けたり、場合によっては延滞税などのペナルティを受けたりする可能性がありますが、税理士に確定申告を依頼すれば確定申告を正しく行ってもらえます。
例えば、青色申告では最大65万円の青色申告特別控除が受けられますが、条件を満たしていなければ、控除額が減額されてしまいます。しかし、確定申告を税理士に依頼すれば、正しく確定申告を行ってもらえるため安心です。
また、経費として認められるかどうかわからないといった場合でも、専門家としての視点からアドバイスが受けられるでしょう。

確定申告書の信頼性が高まる

税理士に確定申告を依頼した場合は、税務署に提出する確定申告書に税理士の署名が入ります。そのため、自分で確定申告を行う場合に比べて、信頼性を高めることができます。ただし、税理士が確定申告を行ったとしても、税務調査の対象になる可能性がなくなるわけではありません。

税理士に確定申告を依頼するデメリット

税理士に確定申告を依頼すると多くのメリットがありますが、当然のことながら費用が必要になる点がデメリットといえるでしょう。依頼する内容によって費用は異なりますが、自分で確定申告を行う場合にはかからない費用が必要になります。

税理士に確定申告を依頼することで、費用以上の節税効果を得られる場合もあります。メリットとデメリットを検討したうえで、税理士に依頼するかどうかを決めるといいでしょう。

税理士と会計士の違い

税理士と会計士の業務内容の違い 税理士の場合 税務代理 税務書類の作成 税務相談 公認会計士の場合 監査証明業務

個人事業主が確定申告を専門家に依頼する場合、公認会計士にも依頼できるのではと考える方もいるかもしれません。
税理士は、納税者に代わって税務申告をする「税務代理」、納税者に代わって税務書類を作成・提出する「税務書類の作成」、税に関する相談を受ける「税務相談」の3つの業務を行う専門家です。確定申告書の作成や税務署への提出を代行できるのは税理士だけです。

一方、公認会計士は、企業が作った財務諸表などをチェックして、不正や間違いなどがないかを確かめる「監査証明業務」を行う監査と会計の専門家です。なお、公認会計士は、一定の要件を満たせば税理士登録をすることもできます。

個人事業主が確定申告を依頼するのであれば、税理士に依頼するのが一般的です。特に、監査業務を行っている公認会計士の多くは、記帳代行などには対応していません。しかし、公認会計士兼税理士として記帳代行や確定申告に対応していることもあるため、確定申告の実績があるかどうかを確認するといいでしょう。

確定申告を税理士に依頼した方がいいタイミング

確定申告は自分で行うことができますが、状況によっては税理士に依頼した方がいい場合があります。ここでは、どのようなタイミングで税理士に依頼したらいいかを紹介します。

年間の売上が1,000万円を超えた場合

年間の売上が1,000万円を超えた場合は、税理士に確定申告を依頼した方がいいでしょう。年間の売上が1,000万円を超えると、個人事業主でも2年後から消費税の申告義務が生じます。消費税の申告手続きを自分で行うのは手間がかかるため、確定申告だけでなく税理士との顧問契約の検討をおすすめします。

課税所得が500万円を超えた場合

課税所得が500万円を超えた場合も、税理士に確定申告を依頼した方がいいタイミングです。年間の売上が1,000万円を超えていなくても、経費や控除額によっては、課税所得が大きくなる場合があります。課税所得が500万円を超えたら、税理士に依頼することで節税できる可能性が高くなります。

個人事業主から法人化(法人成り)する場合

個人事業主が法人化(法人成り)する際も、税理士に依頼することを検討した方がいいでしょう。個人事業主を廃業して法人化する場合、最終年度の確定申告を行う必要があります。売上や経費の区分などを正しく計上して確定申告を行うことは手間がかかるため、税理士に依頼することをおすすめします。

税理士に確定申告を依頼した場合の費用相場

依頼内容 費用相場
個人事業主が記帳、確定申告作成のみ依頼

数万円

帳簿作成から依頼

売上500万円未満であれば10万円

売上500万~1,000万円未満は15万円

売上1,000万円以上は20万円

顧問契約

記帳代行があれば月額3万円

記帳代行がなければ月額1万円程度

税理士に確定申告を依頼するとさまざまなメリットがありますが、当然費用がかかります。個人事業主が記帳し、確定申告書の作成だけを税理士に依頼する場合、数万円が相場です。帳簿作成から依頼する場合は、売上500万円未満であれば10万円、売上500万~1,000万円未満は15万円、売上1,000万円以上は20万円が相場になります。

また、税理士と顧問契約を結ぶ場合、顧問料の相場は記帳代行の有無によって異なり、記帳代行があれば月額3万円、記帳代行がなければ月額1万円程度が相場です。一般的に、顧問契約の場合でも確定申告書の作成は別途料金がかかります。

税理士に確定申告を依頼する際に準備するもの

税理士に確定申告を依頼する際には、必要資料を準備しておかなければなりません。記帳代行から依頼する場合に必要な資料を紹介します。

1 領収書、現金出納帳などの現金収支に関する書類 2 通帳コピー、振込明細など預金収支に関する書類 3 売上請求書の控え、売上管理表など売上に関する書類 4 支払請求書の控え、支払管理表などの支払いに関する書類 5 賃金台帳、給与明細などの給与に関する書類 6 クレジットカード明細などの書類

領収書、現金出納帳などの現金収支に関する書類

税理士に確定申告を依頼する場合、領収書、現金出納帳などの現金収支に関する書類が必要になります。現金出納帳は金銭出納帳とも呼ばれるもので、現金の入出金を記録した帳簿のことです。現金出納帳がある場合は領収書などの資料とあわせて提出します。現金出納帳は、領収書だけではわからないお金の使用目的を把握できる重要な会計帳簿のため、日々帳簿に記録して保存しておくといいでしょう。

通帳コピー、振込明細など預金収支に関する書類

通帳コピー、振込明細など預金収支に関する書類も、税理士に確定申告を依頼する際に必要です。インターネットバンキングなどで通帳がない場合は、明細の電子データを保存するか、印刷しておきましょう。

売上請求書の控え、売上管理表など売上に関する書類

売上請求書の控えなどの売上に関する書類も税理士に渡すよう準備する必要があります。仕入れや支払いなどのお金のやりとりのことを会計上では取引といい、売上管理表(売上台帳)は、この取引の中で発生した売上を集計した帳簿のことを指します。売上管理表を作成している場合は、売上請求書の控えなどとあわせて提出しましょう。

支払請求書の控え、支払管理表などの支払いに関する書類

支払請求書の控えや支払管理表などの支払いに関する書類も、税理士への依頼の際に必要です。仕入れ先や外注先から届いた支払請求書の他、支払請求書をもとに作成した支払管理表がある場合は支払管理表も用意しましょう。

賃金台帳、給与明細などの給与に関する書類

従業員を雇っている場合は、賃金台帳か毎月の給与明細を税理士に渡す必要があります。賃金台帳とは、労働基準法によって作成が義務付けられている、従業員への給与の支払い状況を記載した書類です。

クレジットカード明細などの書類

税理士に確定申告を依頼する際には、クレジットカード明細などの書類も必要です。クレジットカードを使用したら必ず明細を保管しておきましょう。Web明細サービスを利用している場合は、明細の電子データを保存しておく、または印刷しておくようにしてください。

確定申告を依頼できる税理士を探す方法

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「税理士紹介ナビ」はこんな方におすすめ

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記帳業務を丸ごとプロに任せたい方

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信頼できる税理士を見つけて節税効果を高めよう

確定申告を税理士に依頼することで、確定申告書の正確性と信頼性が高まるだけでなく、帳簿や確定申告書の作成にかかる時間を大幅に削減できます。税理士に支払う費用はかかるものの、それを上回る節税メリットを得られるケースもあるため、確定申告に負担を感じているのであれば税理士への依頼を検討した方がよいでしょう。「どうやって税理士を探したらよいかわからない」という場合は、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 新規ウィンドウで開く」をご活用ください。

監修:森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/ 新規ウィンドウで開く
著書に「プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて 新規ウィンドウで開く」がある。

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