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適格返還請求書(返還インボイス)とは?交付のタイミングと注意点

監修者:税理士法人アンサーズ会計事務所

2024/01/19更新

インボイス制度では、適格請求書(インボイス)発行事業者は、インボイス(適格請求書)だけでなく、「適格返還請求書」も発行するケースが生じる可能性があります。適格請求書だけでなく、適格返還請求書の発行にも対応できる体制を作っておきましょう。

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この記事では、適格返還請求書がどのようなもので、いつ、誰に発行しなければいけないのか、詳しく解説します。

適格返還請求書とは返品や値引きの際に交付する適格請求書のこと

適格返還請求書とは、適格請求書発行事業者が商品の返品や値引きに応じた際に発行する必要がある書類のこと。「返還インボイス」と呼ばれることもあります。

発行しなければならないのは、課税事業者との取引を行った場合のみです。免税事業者や個人の消費者との取引で発行する必要はありません。

適格返還請求書はどんなときに交付する?

適格返還請求書は、売り手である適格請求書発行事業者が、買い手に対して何らかの理由で金銭を返金する、あるいはそれに類する行為を行った際に発行します。具体的には、下記のようなケースが考えられます。

商品の返品を受けたとき

買い手が商品を返品した場合、売り手は商品代金を返金することになります。この場合、適格返還請求書を発行しなければいけません。

商品を値引きしたとき

商品を値引きした場合、適格返還請求書の発行が必要です。例えば、ある商品を100万円で販売した後、5万円値引きすることになった場合は、適格返還請求書を別途発行します。

一方、販売する時点で値引きが決まっており、本来100万円の商品を95万円として販売する場合は、適格請求書に適格返還請求書の記載に必要な項目を併記して処理します。ただし、継続して値引きを記載する場合は、値引き前の合計金額といった一部の記載項目を省略できます。

販売奨励金を支払ったとき

販売奨励金とは、自社製品を販売業者などに販売してもらった際に支払う金銭のことです。例えば、「A社が販売している商品をB社が1つ販売するごとに100円の販売奨励金を支払う」という契約をしている場合、B社はA社の商品を売るほど利益が上げられますし、A社にとっても、B社が販促に力を入れてより多くの製品を売ってくれるというメリットにつながります。

A社とB社で行われる取引は「B社がA社の商品を仕入れて販売する」というものですから、通常、A社が売り手、B社が買い手です。しかし、仕入れた商品が売れた際の販売奨励金は、A社からB社に支払われる金銭です。そのため、B社はA社に対して適格返還請求書を発行します。

事業分量配当金を支払ったとき

事業分量配当金とは、商工組合や農業協同組合といった協同組合などが、組合員に対して支払う金銭です。組合を運営する際に余剰金などが発生した際に、事業の従事分量などに応じた事業分量配当金が支払われます。

事業分量配当金は組合が支払うものなので、通常の企業が事業分量配当金支払いに関する適格返還請求書を発行することはないでしょう。ただし、組合に属している事業主は、組合から配当金を受け取った際に、適格返還請求書の発行を受ける可能性があります。

適格返還請求書を交付するタイミング

適格返還請求書を発行するタイミングは、該当の返金などを行うときと同時です。例えば、返品による返金処理を行うのであれば、返金する際に適格返還請求書を交付してください。

ただし、適格請求書と適格返還請求書を1枚にまとめて発行することもあります。前述のように「前月分の割引を今月分の請求と同時に行う」「請求書の発行時点で確定している販売奨励金を請求から差し引く」といったケースが該当します。

このような場合、値引きや奨励金の額は請求額と相殺することが可能です。返金のタイミングは買い手からの支払いを受けるタイミングと同一なので、返金前に適格返還請求書を発行することになります。通常は支払い時に発行する適格返還請求書ですが、このケースでは適格請求書とまとめての発行で問題ありません。

なお、適格請求書を発行するタイミングは、通常、請求が確定した時点です。従来の請求書と変わりません。

適格返還請求書の保存期間

適格返還請求書は、発行する売り手側(返還等を行う側)も、受け取る買い手側(返還等を受ける側)も、下記のように一定期間の保存が必要です。適格返還請求書の保管は、インボイス制度導入後に仕入税額控除を受けるための要件のひとつとなりますので、適切に管理してください。

適格返還請求書の保存期間

  • 法人:原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間(ただし、欠損金が生じた年については、10年間保存しなければいけません。欠損金とは、課税所得額がマイナスになること。いわゆる赤字決算の場合が該当します)
  • 課税事業者の個人事業主:確定申告期限の翌日から7年間
  • 免税事業者の個人事業主:確定申告期限の翌日から5年間

なお、適格返還請求書は、買い手側が要件を満たす形で発行した支払通知書で代用できます。この場合も、支払通知書の保管が必要です。

適格返還請求書の交付が必要となるケースの具体例

ここまで解説した適格返還請求書について、具体的な例をもとに考えてみましょう。

課税事業者であるC社は、ある年に課税事業者・D社から仕入れた商品200万円分を返品したとします。この年のC社の課税売上高は3,000万円、返品分を含めた課税仕入れは1,200万円。消費税率はどちらも10%です。

この場合、返品がなければ、C社の課税売上高は3,000万円、課税仕入れは1,200万円、売上総利益は1,800万円です。しかし、実際には返品が行われているため、課税仕入れは1,000万円、売上総利益は2,000万円です。

C社が納めるべき消費税は、返品がなければ3,000万円×10%-1,200万円×10%=180万円ですが、返品によって課税仕入れにかかる税額が変わるため、実際には200万円になります。

適格返還請求書は、このように返品した際に生じるずれの根拠を残し、内訳を明確にするために売り手(例の場合D社)が発行する書類です。

取引の流れをまとめると、下記のようになります。

返品が行われた課税事業者同士の取引と書類発行の流れ

  • 1 C社が仕入れを行い、D社からC社に対して適格請求書が発行される
  • 2 適格請求書にもとづき、C社からD社に支払いが行われる
  • 3 C社からD社に返品が行われる
  • 4 D社からC社に適格返還請求書が発行され、返金が行われる

C社は、返品を行う前の適格請求書と、返品の事実を証明する適格返還請求書の両方を保存することで取引の流れを証明し、正しい計算を行えるようになります。

なお、適格返還請求書は、適格請求書と同様に、要件を満たす支払通知書によって代用することもできます。

適格返還請求書の記載要件

適格返還請求書には、規定の記載項目があります。正しく経理処理するためには、要件を満たすことが必要です。なお、フォーマットに決まりはありません。受け取る側がわかりやすいように、必要な情報を記載してください。

適格返還請求書の記載要件
  • (1) 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
    適格返還請求書を発行する事業者の氏名または名称と、適格請求書発行事業者の登録番号です。適格返還請求書は、返金をする側が発行するものですから、売り手側の氏名または名称を記載します。
    なお、適格返還請求書は、適格請求書発行事業者が発行する書類です。登録番号のない事業者は、たとえ返品があったとしても適格返還請求書の発行はできません。
  • (2) 対価の返還等を行う年月日
    適格返還請求書は、返還等を行うタイミングで発行します。書類の発行日欄にも、支払いを行う日付を記載。これによって、いつの消費税計算に適用させるべきなのかがはっきりします。
  • (3) 対価の返還などのもととなった取引を行った年月日
    そもそもの取引日について記載します。例えば、返品する商品を買い手が購入した日などが該当します。販売奨励金の支払いのように日付を個別に記載するのが難しい場合「◯/1~◯/30」と期間を区切ったり「◯月分」と記載したりすることも可能です。
  • (4) 対価の返還などの取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
    対価の返還などの取引内容とは、返還等の理由になる取引内容についての詳細です。返品であれば、返品する商品名と個数、販売奨励金であれば、奨励金の対象となる商品名などが該当します。なお、軽減税率の対象品目が含まれる場合、それとわかるように記載しておく必要があります。
  • (5) 税率ごとに区分して合計した対価の返還などの金額(税抜または税込)
    返還等を行う金額の合計額を、税率ごとに記載。税抜でも税込でも構いませんが、どちらかわかるように明記しておきましょう。
  • (6) 対価の返還などの金額に係る消費税額などまたは適用税率
    返還等を行う金額にかかる消費税額について、税率ごとに記載します。または、(5)の金額の税率がわかるように、適用税率を記載することも可能です。両方併記しても構いません。

なお、前述のとおり、適格返還請求書は、適格請求書と1枚にまとめて発行することも可能です。適格返還請求書と適格請求書、それぞれの必要項目を満たすように作成してください。なお、宛先や発行者名、登録番号など、重複する箇所について2度記載する必要はありません。

一方、返還等の対象となる取引の項目や金額は別途記載しなければいけません。適格請求書に必要な記載項目は下記のとおりです。

適格請求書に必要な記載項目

  • 1 発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 2 取引年月日
  • 3 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 4 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  • 5 税率ごとに区分した消費税額等
  • 6 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
適格請求書の例

適格返還請求書を交付する際の注意点

適格返還請求書には、注意すべきポイントがあります。これまでに説明してきたこととも重なりますが、特に間違えやすい点について、改めてご紹介します。

適格返還請求書は売り手に交付義務がある

適格返還請求書を発行する義務があるのは、適格請求書発行事業者の登録を行った課税事業者が、課税事業者である買い手に返金をする際です。つまり、適格返還請求書を発行できるのは、下記の両方を満たす場合だけで、それ以外のケースでは発行できません。

適格返還請求書の発行に必要な要件

  • 買い手と売り手双方が課税事業者
  • 売り手側が適格請求書発行事業者の登録をしている

そもそも適格請求書を発行できない免税事業者や、適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者が適格返還請求書の発行をすることはありません。適格返還請求書や適格請求書の発行を希望する事業者は、適格請求書発行事業者の登録申請書新規タブで開くをインボイス登録センターに郵送して登録手続きを行ってください。

販売奨励金制度を設けている場合、適格返還請求書の交付が必要

適格返還請求書は、割引や返品対応時だけでなく、販売奨励金の支払い時にも発行する必要があります。販売奨励金や、それに類似する制度を設けている企業では、対応できるように準備を進めてください。

準備の具体例として、フォーマットの作成や、いつ誰がどのようなフローで作成するのかといったシステム構築などが挙げられます。不備なく書類を作るために、適格返還請求書に対応した請求書発行システムの導入なども視野に入れて検討するのがおすすめです。

適格返還請求書を交付する必要がない取引とは?

適格返還請求書は、適格請求書発行事業者が売上などの対価を返金する場合などに発行しなければならない書類です。ただし、交付する必要がない場合もあります。どのような場合で交付の必要がないか確認していきましょう。

返還などを行う金額が税込1万円未満の取引

適格請求書を発行すべき取引にかかる返金などであっても、1万円未満であれば適格返還請求書の交付義務が免除されます。例えば、振込手数料分を減額して支払うといった少額のケースでは、適格返還請求書を発行する必要がありません。

適格請求書の交付義務が免除される取引

適格請求書の交付義務が免除されている取引の場合、適格返還請求書の交付も同様に免除されています。適格請求書の交付義務が免除されている取引とは、下記のとおりです。

適格請求書の交付義務が免除される取引

  • 3万円未満の公共交通機関の運賃
  • 3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売
  • 郵便ポストに差し出された郵便物
  • 卸売市場での生鮮食品などの販売(一定の要件を満たすもの)
  • 農業協同組合、漁業協同組合、森林組合などに委託して行う農林水産物の販売(一定の要件を満たすもの)

適格返還請求書の発行が必要かどうか確認しておこう

インボイス制度が導入されると、請求業務や税額計算業務にさまざまな影響を及ぼします。返品や値引き、販売奨励金の支払い時に必要な適格返還請求書も、そのひとつです。必要になってから慌てることがないよう、準備を進めておくことが大切です。まずは、業務内容や取引状況を確認して、適格返還請求書の発行が必要になるかどうか確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者 税理士法人アンサーズ会計事務所

吉祥寺にオフィスを構えて10年以上の実績と、40名以上のスタッフのマンパワーで、個人事業主から従業員100名を超える会社まで、幅広く対応中。司法書士、社会保険労務士など他士業との連携で法人のお悩み事にワンストップで対応可能。

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