「人件費」の主な勘定科目を解説!
執筆者: 柳原つつじ
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「もうちょっと給料をなんとかしてくれよ……」。サラリーマンならば、誰もが思ったことがあるかもしれませんね。しかし、脱サラして経営者の立場になれば、全く逆のことを思うはずです。「人を雇うのは、こんなにもお金がかかるのか……」。人件費は「給与手当」だけではありません。よって勘定科目も多種多様です。「賞与」「役員報酬」「役員賞与」……。困ることのないように、人件費にまつわる主な勘定科目を解説したいと思います。
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POINT
- 「給与手当」の勘定科目には、家族手当や時間外手当も含める
- 従業員の給与と役員の給与の勘定科目は分ける
- 福利厚生費と法定福利費の違いを理解する
給与手当・賞与・雑給
誰もが認める、人件費の勘定科目としての代表選手。それが「給与手当(給料手当)」です。説明するまでもありませんが、従業員の労働の対価として支払われるものです。
「基本給」だけではなく、残業をしたときの「時間外手当」や、扶養家族に応じて支払われる「家族手当」などの各種手当も「給与手当」に含みます。また、パートやアルバイトなど臨時の従業員に対して支払う給与を、正社員への給与と分けて「雑給」という勘定科目を用いることもありますが、これも「給与手当」に含めてしまって問題ありません。
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専従者給与
家族の従業員に支払う給与です。家族の従業員のことを「青色事業専従者」と言い、一定の手続きと条件を満たした青色申告の個人事業主だけに認められた給与の形態となります。節税効果が高いため、もし家族に給与を支払っている場合は、受けられるかどうかチェックしておきましょう。
賞与
次に「賞与」です。これはいわゆる「ボーナス」のことで、夏や冬に支給したときに用います。一般的には「賞与」の勘定科目を使用します。「給与の後払い」として考えて、賞与も「給与手当」の勘定科目に含めることもあります。
役員報酬・役員賞与
同じ給与と賞与でも、役員に対して支払う場合は異なる勘定科目を用います。役員に対する給与は「役員報酬」、役員に対する賞与は「役員賞与」という勘定科目を用います。
なぜ分けるのかといえば、社員に対する給与や賞与と、役員に対するそれとでは、大きく異なる点があるからです。それは「損金にできるかどうか」ということ。損金とは「収益から差し引くことができる費用」のことですから、支払う税金が変わってきます。
従業員への給与の場合は、原則として全額を損金として算入することができます。ここでいう「従業員」とは、社員だけではありません。パートやアルバイト、嘱託社員なども含みます。損金に入るということは、従業員に給与を支払えれば支払うほど、会社の法人税は軽減できるということになります。
では、役員の場合はどうかといえば、役員報酬については、明らかに高すぎる場合を除いて損金にできますが、役員賞与は原則として損金にすることができません。所得税や住民税のほか、法人税まで課せられることになります。
福利厚生費・法定福利費
会社が従業員に支払うのは、給与だけではありません。健康保険料(介護保険料含む)・厚生年金保険料(子ども・子育て拠出金)などの社会保険に加えて、労災保険や雇用保険の労働保険の費用なども、会社が一部(労災保険は、全額)負担します(社会保険と労働保険を加えて「社会保険」と呼ぶこともあります)。その分も含めて人件費を考える必要があります。これらは「法律で定められている福利厚生費」ということで「法定福利費」と呼びます。
ただ、私たちが一般的にイメージする「福利厚生」とは異なりますよね。「福利厚生費」には、社員旅行や健康診断の費用、結婚式のご祝儀、葬式の香典といった慶弔金などが含まれてきます。
また、従業員との飲食代、忘年会、新年会の費用なども「福利厚生費」には含まれます。
ただし、福利厚生費は、あくまで従業員のための費用なので、個人事業主の健康診断費用は、福利厚生費として認められません。
退職金
そして、人件費として影響が大きいのが、従業員が退職する際に支払う「退職金」です。
退職金は「過去の労働に対する対価」という側面と、「過去の労働に対する功労金」としての側面があると考えられています。退職金は損金として処理できますが、従業員と役員では、損金に算入する時期が異なりますので、注意しましょう。
以上、人件費にまつわる主な勘定科目について解説しました。
最後の「退職金」は従業員にとっては「退職時にもらえるお金」という認識ですが、経営者にとっては「従業員が辞めるたびに支払うコスト」となります。立場が変われば、見方も全く変わるわけですね。
人件費の勘定科目をしっかりと知り、正しい記帳を行うことで、経営状態をきちんと把握しましょう。
photo:Getty Images
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この記事の執筆者柳原つつじ
出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。
