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経理のペーパーレス化で業務を効率化!進め方のポイントを解説

経理のペーパーレス化で業務を効率化!進め方のポイントを解説

従来の経理業務では、請求書や領収書といった書類を紙で扱ってきましたが、近年、多くの業務がデジタル化する中、経理業務においてもペーパーレス化が注目を集めています。

本記事では、経理業務においてペーパーレス化が注目される背景や、ペーパーレス化を推進するメリットについてわかりやすく解説しています。ペーパーレス化の進め方とポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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ペーパーレス化とは、業務をデジタルで完結させるための体制づくりのこと

ペーパーレス化とは、従来は紙で扱われていた書類や資料を、電子データに置き換えて運用することです。
経理業務におけるペーパーレス化は、紙の書類をスキャンして電子化することだけではなく、データ上で仕訳や承認ができる体制の構築や、クラウド上で電子申請・承認ができるフローの確立なども含みます。ペーパーレス化は単に「紙をデータに置き換えること」にとどまらず、業務プロセスの見直しや効率化と一体で進めることが求められている取り組みです。

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経理業務でペーパーレス化の対象となる書類

経理業務で扱う書類は多岐にわたりますが、どの書類がペーパーレス化の対象になるのでしょうか。ペーパーレス化の対象となる書類には、以下のものがあげられます。

ペーパーレス化の対象となる主な書類

  • 請求書
  • 領収書
  • 帳簿類
  • 決算資料
  • 申請書類

これらの中には法的保存義務がある書類も含まれており、電子帳簿保存法によって保存期間や保存方法が明確に定められている書類も少なくありません。よって、経理業務においてペーパーレス化する書類を決める際には、関連する法令を確認することも必要です。

電子帳簿保存法の保存期間についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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経理業務のペーパーレス化が注目される背景

近年、経理業務のペーパーレス化が幅広い業界で注目されていますが、それにはどのような背景があるのでしょうか。背景として考えられるのは、以下の4点です。

業務効率化・コスト削減の必要性

ペーパーレス化が注目される背景の1つとして、業務効率化やコスト削減が幅広い職種で求められている点があげられます。

生産年齢人口が減少に転じ、多くの業界で人手不足が深刻化しつつある中、限られた人員で業務を推進するには効率化が欠かせません。経理業務においては、紙による伝票処理やファイリング、書類の回覧・押印といった従来の手作業が効率化の障壁となっており、これらを電子化することで作業の効率化やヒューマンエラーの削減が期待されます。

また、経営課題の1つとしてコストの削減が必要とされることも、ペーパーレス化が注目される背景といえます。ペーパーレス化によって紙やトナーの費用、郵送費用の削減が期待できるほか、手作業で進めていた作業を自動化できることで人件費の削減にもつながるでしょう。

電子帳簿保存法の改正

電子帳簿保存法の改正に伴い、2022年以降、紙で受け取った書類等をスキャンして保存する際、一定の要件を満たすことで原本を破棄できるルールに変更されました。こうした法制度への対応で、ペーパーレス化を推進しやすい環境が整ったことも背景の1つです。

さらに、電子的に授受した取引情報に関してはデータのまま保存することが義務付けられました。このように電子保存が義務化・推奨されていることは、ペーパーレス化を後押しする大きな要因となっています。

テレワークの普及

働き方の多様化にともない、テレワークを導入する企業が増えたこともペーパーレス化が注目される背景です。請求書などを紙で処理するにはオフィスに出社しなければなりませんが、クラウド上で電子的に処理できればオフィス以外の場所でも業務を進められます。こうした紙の制約を受けない業務体制を構築するにあたって、必然的に電子化・ペーパーレス化が求められるようになりました。

また、組織にとって重要な情報を保護する意味においても、ペーパーレス化による情報セキュリティの強化が注目されています。昨今はサイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まっているとはいえ、適切なセキュリティ対策が講じられたシステムであれば、紙の書類よりも情報保護の面で優れているケースも少なくありません。

業務における電子化の推進

近年、社会全体で業務を電子化する動きが加速していることを背景として、取引先との連携のためにペーパーレス化が注目されています。経理業務においては、クラウド上での書類のやりとりを求められる機会が増えており、取引関係を維持するにはペーパーレス化が必要とされることも少なくありません。

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経理業務をペーパーレス化するメリット

経理業務のペーパーレス化は、さまざまなメリットをもたらします。主なメリットは以下の5点です。

保管スペースとコストの削減

ペーパーレス化を推進することで、紙の書類を物理的に保管する必要がなくなります。これにより、オフィススペースを有効活用できることに加え、保管場所の確保に要していたコストを削減できる点がペーパーレス化の大きなメリットです。

電子化された書類であれば、必要な年数分の書類をサーバー上で一括管理できます。これらをすべて紙の書類として扱う場合、保管すべき書類が膨大な量にのぼり、管理コストがかさんでしまうでしょう。このように、保管にまつわるスペースとコストの削減につながることは重要なメリットの1つです。

印刷・郵送コストの削減

ペーパーレス化は印刷・郵送コストの削減というメリットをもたらします。請求書、経費精算書などを紙でやりとりする場合、用紙代やトナー代、郵送費がかかるほか、封入・発送作業に人件費がかかります。電子化することでこれらのコストを抑制できることに加え、やりとりの即時性も向上するため、業務スピードの改善効果も見込めるでしょう。

書類検索や業務フローの効率化

ペーパーレス化により電子データに適切なファイル名を付けるなどをすることで検索性が向上し、必要な書類を見つけやすくなることもメリットといえます。電子化された書類は簡単にキーワード検索できるようになり、業務時間の短縮につながるほか、書類を取り違えるといったヒューマンエラーの回避も期待できます。

さらに、ペーパーレス化によって申請・承認・確認などの業務フローが効率的になることも大きなメリットです。フローの電子化によって、移動や郵送によって発生していたタイムロスが解消され、業務の即時処理が可能になります。

業務の標準化・見える化

ペーパーレス化には、業務の標準化・見える化というメリットもあります。ペーパーレス化により統一されたシステム上で業務を進められるため、業務プロセスの標準化・見える化が可能です。結果として、業務のブラックボックス化や属人化が防止でき、内部統制の強化にもつながるでしょう。

セキュリティの強化

ペーパーレス化によりセキュリティ強化ができることもメリットです。電子化してサーバーに保存された書類はアクセス制限などをかけることができるため、紙の書類よりもセキュリティ対策を講じやすく、結果として情報漏洩対策を講じやすくなるでしょう。

また、電子化された書類を扱うためのデジタルツールやクラウドサービスの中には、通信の暗号化や認証強化、バックアップサービスといった情報漏洩対策が充実しているものも少なくありません。

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経理業務のペーパーレス化の進め方

ここでは、経理業務をペーパーレス化する際の基本的な進め方について解説します。順を追って進めることが、現場の混乱やツールの選定ミスを防ぐうえでも重要です。

1. 目的の明確化と社内での共有

経理業務のペーパーレス化において第一に取り組むべきことは、目的の明確化です。「コスト削減」や「働き方改革への対応」といったように、ペーパーレス化を通じて解決したい課題を明らかにし、さらにそれを関係者間で共有することにより、プロジェクトの方向性が定まります。

2. 業務フローの可視化

次に、既存の業務フローを可視化していきます。現状の業務フローが明らかになることで、具体的にどの箇所に課題があるのか、どの部分がペーパーレス化できるのかが判断しやすくなるためです。現場の担当者にヒアリング調査を実施し、既存の業務フローを書き起こしたり、図にまとめたりすることをおすすめします。

3. ペーパーレス化の対象書類の選定

ペーパーレス化する書類の対象範囲を絞り、スモールスタートすることで、無理なくペーパーレス化を進められます。経理業務に関連するあらゆる書類を一度に電子化するのは困難なため、法的保存義務の有無や、社内での使用頻度などに応じて優先順位を付けていくといいでしょう。

4. 電子帳簿保存法に則った運用体制の整備

ペーパーレス化を進めるうえでは、電子帳簿保存法に則った運用体制を実現することも大切なポイントです。法令の対象となる書類を確認すると共に、保存要件について正確に把握する必要があります。制度理解が不十分なままペーパーレス化を進めてしまうと、法令違反につながりかねません。

電子帳簿保存法の対象文書と保存方法の概要は下図のとおりです。

電子帳簿保存法の対象文書と保存方法

電子帳簿保存法の対象文書と保存方法

電子帳簿保存法の対象書類と保存方法については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

5. 適切なシステム・ツールの選定

ここまでに解説してきたペーパーレス化の目的や満たすべき要件を踏まえて、自社に合ったシステム・ツールを選定していきます。複数のシステム・ツールについて情報収集し、機能性のほか、サポート体制やセキュリティ対策、コストなどを比較しましょう。

経理業務に特化したクラウドサービスは多数存在します。こうしたサービスの導入時には、情報セキュリティ上の観点から各サービスを比較することも重要なポイントです。具体的には、ISO/IEC 27001といった情報セキュリティに関する認証を取得しているか、データセンターは国内に設置されているか、シングルサインオンを安全に行うためのSAML認証に対応しているかなどが考えられます。

6. 業務フロー・社内ルールの整備

導入するツールが決定したら、業務フローや社内ルールが実際の運用に合うように整備していく必要があります。
例えば、申請フローの電子化や承認プロセスの変更など、実態に即したルールを定めることが大切です。また、策定した社内ルールを周知し、各担当者にしっかりと理解してもらわなければなりません。ペーパーレス化の趣旨や目的と共に、新たな業務フローを丁寧に説明することが重要です。

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経理業務をペーパーレス化する際のポイント

経理業務のペーパーレス化を推進するにあたって、いくつか重要なポイントがあります。特に、以下の4つのポイントについては必ず対策を講じておきましょう。

セキュリティポリシーの策定

ペーパーレス化において、状況に応じたセキュリティポリシーの策定は不可欠といえます。紙がデータに置き換わることで、これまでとは異なる運用ルールが必要になるからです。例えば、ファイル共有やデータの保存・バックアップなどに関しては、必ず社内で統一された認識に基づいて運用されていなければなりません。セキュリティポリシーと併せて順守事項をガイドラインとしてまとめ、周知徹底を図りましょう。
クラウドサービスを利用する場合には、ベンダーが講じているセキュリティ対策のレベルに関しても必ず確認する必要があります。

ネットワーク障害に備えた対策

クラウドサービスを利用する場合にはインターネット接続が不可欠ですが、通信障害やサーバーダウン時には業務停止のリスクがあるため、万が一の事態に備えて対策を講じておかなければなりません。データのバックアップを徹底するなど、ネットワーク障害が起こりうることを前提に運用方法を考えておくことが大切です。

社内への教育・運用定着

ペーパーレス化に伴い、既存の業務フローや社内ルールが大きく変更されるケースも少なくないため、社内への教育や運用定着に向けた取り組みも重要なポイントとなります。ツールやシステムの操作方法を丁寧にレクチャーすると共に、担当者ごとの理解度に応じてフォローする仕組みを整えることをおすすめします。

ペーパーレス化の目的達成を見据えた推進

ペーパーレス化推進においては、導入から運用、定着までの過程を通して、電子化の目的達成を見据えて進めていくことも重要なポイントです。

例えば、作業効率の向上が当初の目的だったにもかかわらず、操作方法が複雑でわかりにくいツールを導入した結果、かえって効率が悪くなるようでは本末転倒といわざるをえません。ペーパーレス化を推進する目的が社内に浸透していないと、形式的な「紙の電子化」にとどまってしまうおそれがあります。
業務プロセス自体の最適化までを視野に入れて、ペーパーレス化を進めていきましょう。

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経理業務の効率化とペーパーレス化を同時に進めよう

経理業務のペーパーレス化は、単なる書類の削減にとどまらない、業務効率化に向けた重要な施策といえます。電子化のメリットを十分に引き出すためにも、自社に合った運用体制を築いていくことが重要です。

今回紹介した進め方やポイントなどを参考に、業務フローの見直しや標準化、セキュリティ強化を含めたペーパーレス化を推進してはいかがでしょうか。ペーパーレス化による業務効率化が、持続可能な経理業務の体制づくりにつながる第一歩となるでしょう。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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