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決算早期化を実現させるには?メリットや注意点などを解説

監修者:税理士法人 MIRAI合同会計事務所

2023/12/04更新

すべての企業は、事業年度ごとに、営業活動の成果や財政状態を明らかにするために決算を行う必要があります。法人の決算は仕組みが複雑なうえ、作成しなければいけない書類も多く、時間がかかってしまうことも珍しくありません。業務負担を軽減させるには、決算の早期化・効率化を目指す必要があります。では、決算業務を早期化させるには、具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか。

ここでは、決算業務を早期化させるメリットや、決算の早期化を目指すうえで考えられる課題、決算早期化を実現するための改善策などについて解説します。

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決算とは、経営成績と期末の財政状態を明らかにするための手続きのこと

決算とは、一会計期間の経営成績と期末の財政状態とを明らかにするために行う手続きのことです。

決算では、その会計期間(事業年度)における企業の「収益」「費用」「資産」「負債」などを計算して損益をまとめ、決算日時点の資産、負債、純資産を確定させます。このとき、会社の業績を明示するための書類として作成するのが、一般的に貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの決算書です。決算は、これらの決算書によって、企業の経営状態などを可視化する作業ともいえます。

法人は、会社の規模にかかわらず、事業年度ごとに必ず決算を行わなければなりません。事業年度は1年以内の任意の期間で自由に決めてよいことになっていますが、大半の企業では1年間としています。

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法人決算の流れ

年に1度の年次決算の流れは、大きく次の7つのステップに分けられます。ここでは、法人決算の流れについて順を追って説明します。

法人決算の流れ Step1:日々の記帳を漏れなく正確に行う Step2:決算整理の前に試算表を作成する Step3:決算整理仕訳を行う Step4:決算書を作成する Step5:取締役会・株主総会での承認を得る Step6:法人税申告書を作成する Step7:税務署等に提出・納税する

1 日々の記帳を漏れなく正確に行う

決算を行うには、あらかじめ当年度分の記帳をすべて終わらせておく必要があります。また、記帳が完了したら、帳簿のデータと実際の残高が合致するかどうかを確認しましょう。

2 決算整理の前に試算表を作成する

記帳が完了したら、次は試算表を作成しましょう。試算表とは、記帳の整合性をチェックするための集計表の役割を持つ書類のことです。試算表を作成し、試算表の借方、貸方の合計値が一致しているかどうかを確認します。

3 決算整理仕訳を行う

試算表が完成したら、次は決算整理仕訳を行いましょう。決算整理仕訳とは、事業年度をまたぐ取引について、今期分と来期分に分けて整理する仕訳などのことです。入金や支払いが来期になる取引などを確認し、帳簿を修正します。

4 決算書を作成する

決算整理仕訳が完了して試算表が確定したら、決算書を作成します。作成する具体的な書類としては、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書の財務三表が挙げられます。中小企業の場合はキャッシュ・フロー計算書の作成義務はないため、貸借対照表と損益計算書の2点のみ作成すれば問題ありません。

5 取締役会・株主総会での承認を得る

決算書が完成したら、会社法によって定められている機関から決算書の内容について、承認を得る必要があります。株式会社の場合は、原則として取締役会、株主総会で承認を受けます。

6 法人税申告書を作成する

決算書をもとに納めるべき税額を計算し、法人税申告書を作成します。法人が申告する税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税などです。

7 管轄の税務署等に提出・納税する

作成した法人税申告書を決算書と共に管轄の税務署等に提出し、確定した税金を納めます。各種税金の申告と納付の期限は、原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。

このように、法人の決算には膨大な工数がかかります。決算業務を毎年行っていても、1つひとつの作業に手間と時間がかかり、その他の業務が滞ってしまうことも珍しくありません。

さらに、決算の後には各種税金の確定申告があります。確定申告には「決算日の翌日から2か月以内」という期限が定められているため、期限に間に合うように決算業務を終わらせなければなりません。決算にかかる負担を軽減し、スムースに業務を進めるには、これらの複雑な工程を伴う決算をできるだけ早期化させることが重要です。

決算早期化に伴う4つのメリット

決算早期化を実現すると、担当者の業務負担を軽減できる以外にも、さまざまなメリットがあります。決算の早期化による主なメリットは、下記のとおりです。

現状の把握と対策の検討をすみやかに行うことができる

決算を早期化するメリットは、企業の経営状況や財政状態をスピーディーに把握したうえで、対策できるようになることです。

現状と課題を素早くつかむことによって、有効な改善策も打ち出しやすくなるでしょう。どれほど優れた施策でも、時期を逃してしまうと意味がありません。決算の早期化によってリアルタイムの経営状況が可視化されれば、より効果的な経営戦略を検討できるようになります。

決算業務を見直すきっかけになる

決算の早期化には、業務効率化につながるというメリットもあります。なぜなら、決算にかかる期間を短縮するには、1つひとつの工程を見直し、効率化していくことが必要不可欠だからです。業務フローや内容を見直す過程で、無駄な作業や改善すべき課題、ミスの原因などが見つかることもあるでしょう。各工程を効率化することによって、決算業務全体の時間と手間を軽減できるうえ、ミスの防止にも役立ちます。

人件費の削減につながる

決算早期化によって、必要以上の人件費を削減できるというメリットも生まれます。決算早期化のために業務効率化を図ると、おのずと従業員の作業時間は減少します。決算期は経理業務をするうえでは繁忙期ですが、決算業務が早期化・効率化されれば、業務にかかる時間が少なくなるでしょう。会社にとっては人件費の削減になりますし、従業員にとっては業務負担の大幅な軽減につながります。

外部からの信用・評価の向上につながる

金融機関や投資家など、外部からの信用度向上に役立つ点も、決算早期化のメリットといえます。決算において作成する決算書は、企業の経営状況などを外部に示すための重要な資料です。金融機関や投資家が融資や投資を検討する際にも、決算書は大きな判断材料になります。決算にかかる期間が短縮されれば、外部の第三者に会計資料を求められたときにも、素早く正確な情報を提示できるでしょう。適切な情報提供は健全な経営体制を示すことにもなり、外部からの信用度や評価の向上につながります。

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決算早期化のボトルネックになりうること

このように、決算早期化にはさまざまなメリットがあります。しかし、メリットを理解していても、なかなか決算早期化が進まないケースは少なくありません。決算早期化のボトルネックのうち、社内のボトルネック、組織体制のボトルネック、担当部署内のボトルネックについてそれぞれ説明します。

社内のボトルネック:請求書のやり取り

決算をはじめとした会計処理は、経理部門だけで完結できるものではありません。例えば、取引先から発行された請求書や領収書を他部署から回収しなければ、仕訳を進めることもできず、決算手続きが遅れてしまいます。

「提出期限を忘れていた」「取引先から請求書を受け取るのが遅れた」などの理由で、他部署から請求書などが届くのが遅れるケースは少なくありません。さらに、提出された書類に不備があると、確認や修正のために余計な手間がかかります。

決算にかかわらない従業員にしてみると、「請求書1枚くらい遅れても問題ないだろう」と考えている可能性もあります。決算や会計処理の重要性を周知するとともに、請求書などをスムースにやりとりできるような体制を整えましょう。

組織体制のボトルネック:業務システムと申請プロセス

企業によっては、既存の業務システムや申請プロセスが、決算早期化のボトルネックになっていることもあります。

例えば、「営業部門と経理部門の間で共通するツールが存在しない」「経費精算に必要な承認数が多く、申請書類の提出が遅れる」などの問題が、非効率な作業を生み出してしまっているケースもあります。業務システムと申請プロセスの見直しは、決算だけではなく、社内業務全体の効率化にもつながります。他部署とも連携して、現在の体制に改善点がないかどうかを検討してみましょう。

担当部署内のボトルネック:手書きでの帳簿付けなどのアナログで属人的な業務

月末や期末に集中する手書きでの帳簿付けなどのアナログで属人的な業務は、決算早期化のボトルネックになりうる点の1つです。

請求書の処理や月次決算のために、月末・月初は忙しくなりがちです。また、年次決算を行ううえでは、期末にも多大な作業が発生します。そのような中、手書きや手入力で帳簿をつけていたりすると、余計な手間と時間がかかり、作業の属人化を招く原因にもなります。誰でもかんたんに使いやすいツールを導入し、業務をうまく分担するなど、作業の一極集中と属人化を解消する工夫が必要です。

決算早期化に向けた6つの改善策

決算早期化のボトルネックを把握したら、それを解消する方法を検討しましょう。決算早期化に向けた改善策には、すぐに取り組めるものも多くあります。いきなりすべてを変えようとするのではなく、まずは下記のような改善策からはじめてみるとよいでしょう。

現状業務の棚卸しを行う

改善に向けてまず行うべきは、自社の決算業務の棚卸しです。決算にかかわる業務について、作業プロセスや工数、担当者ごとの作業内容、作業量、所要時間などを洗い出しましょう。それまで何となく進めていた業務を具体的に可視化することで、業務の偏りや無駄、ネックになっている部分などが見えてくるはずです。

業務プロセスを見直す

業務の棚卸しを行ったら、次に取り組みたいのが、業務プロセスの見直しです。決算期だけではなく日常業務も含めて、形骸化したルールや無駄なやりとりがないかをチェックしてみましょう。「なくなっても問題ない」と思われる工程が見つかったら、一度削ってみて、業務に影響がないかどうかを検証します。

締め切り日の設定・申請しやすい仕組みをつくる

取引先からの請求書や経費精算書類などは、提出締め切り日をしっかりと社内に周知することが大切です。その場合、ただ一方的に締め切り日を告知するだけではなく、「なぜこの日までに必要なのか」「提出が遅れるとどのような影響があるのか」を併せて伝えることが大切です。同時に、他部署との連携を進め、申請書類や提出書類をスムースにやりとりできる仕組みを構築しましょう。

月次決算を実施する

事業年度末に行う年次決算(本決算)とは別に、1か月ごとに行われる決算のことを、月次決算といいます。年次決算のような法的な義務はなく、実施するかどうかは企業の任意ですが、月次決算を実施し、年に1度の年次決算の手間を軽減できれば、結果的に決算早期化につながるでしょう。

例えば、決算を行うには当年度分の記帳を完了させる必要がありますが、ミスや漏れが見つかると、遡って修正するのはかなりの労力がかかります。月次決算を行うことでこまめな確認が可能になり、もし帳簿が合わないことがあっても、少ない負担ですぐに修正できます。

スピード重視で見積り計上をする

決算業務には慎重さが必要ですが、月次決算を行う場合はスピードを優先するのも1つの方法です。例えば、金額や勘定科目などが確定しないものがあれば、ひとまず見積りで計上し、翌月に細かい確認をすることも可能でしょう。月次決算ではあえて完璧を求めず、作業にメリハリをつけることも大切です。

会計システムの導入・変更を行う

決算早期化に効果的なのが、会計ソフトなどを導入し、会計処理の自動化を図ることです。法人の決算業務を手作業で行うのは非常に困難です。手書きや手入力で作業をするには専門知識が不可欠ですし、書き間違いや抜け漏れ、計算ミスなども起こりやすくなります。また、紙や表計算ソフトで帳簿をつけていると過去の取引データを探しにくく、照合などに時間がかかってしまいます。

会計ソフトを導入すれば、取引の記録や仕訳、計算、帳簿作成などが自動化され、業務にかかる手間と時間を大幅に削減できます。初心者でも使いやすい会計ソフトを選べば、属人化の解消にもつながるでしょう。

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会計ソフトなら、日々の帳簿付けもかんたん

決算をはじめとした会計処理の効率化のためには、日々の帳簿付けをスムースに進めることが大切です。帳簿付けをスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用でき、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所※弥生PAP会員の税理士・会計事務所とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データのほか、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成いただいたCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営状態がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお答えします。製品操作が不安な方や業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

決算の早期化に向けた第一歩は、経理業務の効率化

年に1度の決算には、複雑かつ膨大な工数がかかります。決算業務にかかる時間を少しでも短縮するなら、業務の見直しと効率化が欠かせません。決算の早期化に向けた効果的な対策の1つが、会計ソフトの導入です。会計ソフトを活用して日々の記帳が効率化されれば、決算業務が楽になるのはもちろん、日常の経理業務の負担を大幅に軽減することもできます。

決算をはじめとした会計処理の効率化のために、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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