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期ズレとは?発生しやすいケースや影響などを解説

期ズレとは?発生しやすいケースや影響などを解説

企業会計には正確性が求められるため、基本的には、帳簿の記載内容と実態との間にズレが生じることは避けなければなりません。こうしたズレの要因の1つが「期ズレ」です。

本記事では、期ズレが発生しやすいケースのほか、期ズレが会計の正確性や企業の信頼性に及ぼす影響について解説します。期ズレを正しく理解するために欠かせない発生主義と実現主義についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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期ズレとは、売上や経費が発生した時期と会計上で計上される時期にズレが生じること

期ズレ(期間差異)とは、本来計上すべき会計期間と、実際に売上や経費を計上した期間が異なることを指します。期ズレが発生すると財務諸表の正確性に影響を及ぼすだけでなく、企業の財務状況の把握を困難にする可能性があります。また、税務申告に影響を及ぼす場合もあるため、会計処理を正しく行い、期ズレの発生を未然に防ぐことが大切です。

企業における基本的な取引は、受注・生産・納品・請求・入金という流れで行われます。この流れの途中で決算日を迎えると、計上のタイミングにズレが生じるケースもあるでしょう。期ズレが発生する原因とその対策を理解することは会計業務に限らず、経理担当者がコスト管理や収支予測を正確に行ううえでも欠かせません。期ズレが生じる原因を把握し、適切な防止策を講じることによって、経営の見通しをより正確に立てられるようになります。

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期ズレにおける発生主義と実現主義の考え方

期ズレが発生する背景を理解するには、会計処理における発生主義と実現主義の違いを理解しておく必要があります。発生主義と実現主義は、収益や費用を計上するタイミングを判断するための基本的な会計原則です。両者の違いを理解することは、期ズレ防止に直結する重要なポイントとなります。

発生主義と実現主義の主な違い

発生主義 実現主義
定義 経済活動が発生した時点で収益・費用を計上する 収益が確定した時点で記帳する(費用も成果が確定してから計上)
記帳のタイミング 実際の支払・受取に関係なく、取引が発生した段階で記帳 実際に成果や取引が確定した時点で記帳
企業会計での採用原則 費用には発生主義を適用 収益には実現主義を適用

発生主義とは、実際の支払や受取のタイミングにかかわらず、取引・経済活動が発生した時点で費用を計上する考え方を指します。それに対して、実現主義は収益が確定した時点で記帳する考え方で、確実性を重視する点が特徴です。

会計の実務上、発生主義と実現主義の違いは記帳のタイミングにあります。発生主義は経済活動が発生した時点で、実現主義は成果が確定した時点で収益や費用を計上するのが基本です。

売上が実現した当期ではなく、実際に入金された翌期に収益を記帳してしまうと、期をまたいでしまい、本来の会計期間に反映されないおそれがあります。

また、実現主義を適用せずお金を支払った時点で費用を計上すると、支払済みの前金だけが反映され、必要以上に経費が膨らんで見える原因となる場合があるでしょう。企業会計においては、収益には「実現主義」、費用には「発生主義」が原則として適用されます。これは、収益が確定するまで計上を認めず、費用は経済的な価値が消費された時点で認識するという会計の基本的な考え方に基づいています。

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期ズレが発生しやすいケース

期ズレが特に発生しやすいケースとして、月次決算や決算期末があげられます。月次決算とは、1か月ごとに売上や費用を集計し、経営状態や財務状況を把握することです。四半期決算より短い期間ごとに経営状態を把握できるため、経営判断や資金繰りの精度向上を目的に多くの企業で実施されています。

月次決算において、経費の発生時期と支払時期がずれることが予見される場合は、経過勘定を用いた適切な処理が必要です。経過勘定とは、会計期間をまたぐ取引を正しく反映するために用いる会計処理を指します。経過勘定の処理では、主に「前払費用」「未払費用」「前受収益」「未収収益」といった勘定科目が使用されます。これらの勘定科目を用いることで、費用や収益を本来の発生期間に対応させ、期ズレを防止することが可能です。ここでは、売上および経費に関して期ズレが特に発生しやすい代表的なケースを見ていきましょう。

経過勘定についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

売上の期ズレ

売上の期ズレが発生しやすい典型的なケースとしては、以下の2つがあげられます。

  • 締め日が月の途中に設定されている場合
  • 役務提供よりも先に入金が行われた場合

それぞれどのような状況が想定されるのか、実際の仕訳例と併せて確認していきましょう。

締め日が月の途中に設定されている場合

月の途中で締め処理を行っている企業では、締め日以降の収益(売上)が翌月(または翌期)に計上される可能性があります。本来であれば前月(前期)に計上されるべき収益が、翌月(翌期)に計上されると、期ズレの原因となります。このような場合、締め日以降の収益が役務の提供済みであれば「未収収益」、未提供であれば「前受収益」として記帳することで、期ズレの防止が可能です。

仕訳例:得意先に貸し付けを行い、受取利息1万8,000円を未収収益として計上する場合

借方 貸方
未収収益 18,000円 受取利息 18,000円

役務提供よりも先に入金が行われた場合

入金が翌期であっても、納品や提供が当期内であれば、当期の収益として計上する必要があります。企業会計では収益は実現主義に基づき、取引が確定した時点で計上するのが原則です。反対に、入金が当期で役務提供が翌期の場合は、「前受収益」の勘定科目を使用して処理します。

仕訳例:賃料の一部10万円を決算時に前受収益として計上する場合(支払時点では「受取地代家賃」で計上していた場合)

借方 貸方
受取地代家賃 100,000円 前受収益 100,000円

経費の期ズレ

経費に関して期ズレが発生しやすい代表的なケースには、以下の2つがあげられます。

  • 決算前に経費を前払いした場合
  • ローンや分割払いによる商品購入の場合

決算前に経費を前払いした場合

備品やサービスの代金を決算前に支払ったものの、商品が未到着、またはサービスが未提供の場合には、その支払は翌期の費用として処理するのが基本です。当期の費用として計上すると、未発生の費用まで含まれてしまい、期ズレの原因となります。このような場合は「前払費用」などの適切な勘定科目を用いて処理します。

仕訳例:支払済みの保険料1万8,000円を前払費用として計上する場合(支払時点では「保険料」で計上していた場合)

借方 貸方
前払費用 18,000円 保険料 18,000円

ローンや分割払いによる商品購入の場合

支払が分割される場合、費用は商品受領を基準として計上し、その日に記帳します。未払となる金額については、「買掛金」や「未払金」などの勘定科目で処理します。なお、支払期限が決算日の翌日から1年を超える場合は「長期未払金」として区分する必要があります。商品を受け取る前に支払が済んでいる場合も、適切な前払い処理を行わなければ期ズレの原因となるため注意しましょう。

仕訳例:150万円の社用車を購入し、頭金50万円を支払った場合(購入時)

借方 貸方 摘要
車両運搬具 1,355,000円 現金 500,000円 自動車本体/頭金支払額
租税公課 65,000円 未払金 1,000,000円 自動車税など税金/
ローン元本金額
保険料 20,000円 自賠責保険料
支払手数料 50,000円 登録代行手数料
預託金 10,000円 リサイクル預託金

仕訳例:ローン返済時の場合

借方 貸方
未払金 30,000円 普通預金 33,000円
支払利息 3,000円

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期ズレが及ぼす影響

期ズレにより申告所得が過少となった場合、過少申告加算税の対象となる可能性があります。また、税務調査で指摘された場合は、企業の信頼性や業務の透明性が問われるリスクがあるため注意しましょう。ここでは、期ズレが及ぼす影響について紹介します。

過少申告加算税が課されるリスクがある

期ズレが及ぼす影響の1つは、過少申告加算税が課されるリスクがあることです。
期ズレにより収益や費用の計上が適切に行われていない場合、本来納めるべき法人税、所得税の額が過小に申告される可能性があり、過少申告加算税が課されることがあります。期ズレの発生を防ぐには、日々の記帳と申告を正確に行うことが大切です。会計ソフトを導入するなどして、会計業務の精度向上を図りましょう。

税務調査で指摘を受けることがある

税務調査で指摘を受けることも、期ズレが及ぼす影響としてあげられます。
税務調査においても、期ズレはよくある指摘事項の1つです。売上や仕入の計上時期がずれていたり、経費の前払い・後払い処理が不適切だったりする場合には、税務調査担当者から詳細な説明を求められることがあります。このような事態に備えるには、関連資料を整理し、明確な記録を残すことが大切です。また、税理士との連携も欠かせません。普段から税理士と相談しやすい関係を築いておくことで、不明点を早期に解決し、税務リスクを軽減できます。

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仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。 

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期ズレを防ぐ正確な記帳には会計ソフトの活用がおすすめ

期ズレは財務諸表の正確性を損なうだけでなく、企業の信頼性や透明性を低下させる要因にもなります。収益には実現主義を、費用には発生主義を適用し、期ズレが発生しやすいケースを事前に把握しておくことが有効な防止策です。また、期ズレを防ぐには、日々の記帳を正確に行うことが大切なポイントとなります。売上や仕入を適切な時期に計上し、期ズレの発生を防ぎたい場合は、会計ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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