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健康診断の費用は経費になる?条件や仕訳方法などを解説

健康診断の費用は経費になる?条件や仕訳方法などを解説

従業員が健康診断を受けた際、その費用を経費にできるのか気になる方もいるのではないでしょうか。健康診断の費用は、一定の条件を満たせば経費として認められますが、その条件を正しく理解しておくことが大切です。

本記事では、健康診断の費用を経費にできる条件を法人・個人事業主のケースについてそれぞれ解説します。健康診断の費用の仕訳方法や経費計上における注意点もまとめていますので、実務の参考にしてください。

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健康診断の費用は一定の条件を満たせば経費として認められる

企業が従業員の健康管理を目的に実施する健康診断の費用は、一定の条件を満たせば経費として計上できます。経費として認められるために重要なのは、業務との関連性が明確であることです。健康診断の費用は、従業員の労働力維持や生産性確保のために必要な支出と見なされます。

法人における健康診断のポイント
  • 従業員に健康診断を受けさせることは、労働安全衛生法新規タブで開くにより義務付けられている
  • 正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトの健康診断の費用も、常時雇用される者に該当し、労働安全衛生法に定める法定健康診断を満たせば経費として計上できる
  • 法定健康診断の基準を超える内容の健康診断でも就業規則等で内容が定められていて、社会通念上妥当な範囲であれば経費として計上できる
  • 健康診断の費用は、原則として「福利厚生費」として処理されるが、検査内容によっては別の勘定科目が適用される場合もある

福利厚生費についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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健康診断の費用を経費として計上するための条件

健康診断には、大きく分けて「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類があります。それぞれの概要と具体例は以下のとおりです。

健康診断の主な種類と具体例

種別 概要 具体例
一般健康診断 業種・職種を問わず、広く実施される健康診断
  • 定期健康診断(年1回)
  • 雇入れ時健康診断
  • 特定業務従事者健康診断
  • 海外派遣労働者健康診断
  • 結核健康診断
  • 給食従業者の検便
特殊健康診断 人体にリスクのある業務に従事する人を対象とした健康診断
  • 有機溶剤健康診断
  • 鉛健康診断
  • 特定化学物質健康診断
  • 高気圧業務健康診断
  • 電離放射線健康診断
  • 石綿健康診断
  • じん肺健康診断 など

こうした健康診断の費用を経費計上するには、いくつかの条件を満たす必要があります。以下で詳しく見ていきましょう。

すべての従業員が同等水準の健康診断を受けること

健康診断の費用を経費として計上するための条件は、すべての従業員に対して、年齢や性別などに応じた違いがあっても、同等水準の健康診断を実施することです。
特定の従業員のみを対象としていたり、検査内容に差があったりする場合、その費用は福利厚生費として認められず、会社が負担した場合はその者への給与所得として所得税の課税対象となる可能性があります

検査内容が一般的で、費用が常識の範囲内であること

健康診断の費用が一般的で常識の範囲内であることも、健康診断の費用を経費として計上するための条件の1つです。
健康診断で、過度に高額な検査やオプション検査などの特別な内容が含まれる場合は、業務とは関係のない個人的な支出と見なされる可能性があります。このようなケースでは、経費計上を否認されかねません。

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個人事業主は、自身の健康診断の費用を経費に計上できない

個人事業主が自身の健康診断に支出した費用は、経費に計上できません。業務との直接的な関連性がないため、個人的な健康管理や生活費と見なされるからです。ただし、家族以外の従業員を雇っている場合には、その従業員にかかる健康診断の費用を経費に計上できます。

個人事業主における健康診断の費用のポイント
  • 自身の健康診断費用を事業資金から支払った場合は、「事業主貸」の勘定科目で処理する
  • 健康診断の費用を経費にできない場合でも、健康診断の結果、治療や再検査が必要となった場合は、その後の診療費・検査費用に加えて健康診断の費用も医療費控除の対象となる
  • 医療費控除を受けるには、医療機関の領収書を保管し、確定申告時で正確に申告する必要がある
  • 従業員を雇っている場合は、その従業員の健康診断の費用を経費に計上できる

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健康診断の費用の仕訳方法

ここでは、健康診断の費用の仕訳方法について、法人と個人事業主に分けて紹介します。それぞれの仕訳例を見ていきましょう。

まず、法人が従業員に健康診断を実施した場合の仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:健康診断の費用として1人8,000円を50人分、普通預金から支払った場合

借方 貸方
福利厚生費 400,000円 普通預金 400,000円

次に、個人事業主が従業員の健康診断の費用を支払った場合は、以下のように仕訳します。

仕訳例:健康診断の費用として1人8,000円を従業員2人分支払った場合

借方 貸方
福利厚生費 16,000円 現金 16,000円

個人事業主の場合も、仕訳の基本的な考え方は法人と同じです。

なお、所定の条件を満たしていても、正社員とパート・アルバイトの間で健康診断の実施の有無や検査項目に差がある場合は、その差が合理的でなければ福利厚生費ではなく給与として所得税の課税対象になる可能性があるため注意しましょう。

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健康診断の経費計上における注意点

健康診断の費用を経費計上する際には、いくつかの注意点があります。間違えやすい点が多いため、処理前に必ず確認しましょう。

消費税が課税される

健康診断の経費計上における注意点として、消費税が課税されることがあげられます。
健康診断は自由診療に分類されるため、消費税の課税対象です。法人がその費用を支払う場合は、課税仕入として処理し、消費税を含めて会計処理します。医療機関からの請求書には消費税額が記載されているため、基本的にはその金額のとおりに記帳すれば問題ありません。

配偶者の健康診断の費用は福利厚生費の対象外になる

配偶者の健康診断の費用は福利厚生費の対象外になることも、健康診断の経費計上における注意点の1つです。
法人が負うべき法定健診の義務は従業員本人に限定されていることから、従業員の配偶者が健康診断を受けた場合、その費用は福利厚生費の対象外となります。なお、個人事業主が青色事業専従者として家族を雇っている場合も、事業主自身と同様に家族の健康診断の費用も経費にはできないため注意しましょう。

健康診断の費用が、福利厚生費ではなく給与や役員報酬として扱われる場合がある

健康診断の経費計上における注意点として、健康診断の費用は場合によって福利厚生費ではなく、給与や役員報酬として扱われる場合があることも含まれます。
以下のようなケースでは、健康診断の費用が給与や役員報酬として扱われる場合があるため注意しましょう。

健康診断の費用が給与や役員報酬として扱われるケース
  • 役員のみを対象に健康診断を実施した場合
  • 高額な人間ドックを役員に提供した場合
  • 従業員全体ではなく一部に対してのみ人間ドックを実施した場合
など

福利厚生費として認められるためには、すべての従業員が同等水準の健康診断を受けることが前提です。そのため、健康診断の対象者や費用の負担範囲について、社内で明確なルールを定め、事前に従業員へ周知しておくことが必要になります。不明瞭な運用は、経費処理の誤りや税務上の指摘につながる可能性があります。

健康診断の結果は企業も保管する必要がある

健康診断の結果は企業も保管する必要があることも、健康診断の経費計上における注意点です。
健康診断の結果は従業員に配布するだけでなく、企業にも保存義務があります(労働安全衛生法第66条)。そのため、従業員の同意を得たうえで個人票を作成し、所定の形式と保存期間を守って管理しましょう。

健康診断の結果の保存形式と保存期間
  • 保存形式:紙もしくは電子データ
  • 保存期間:一般健康診断は5年、特殊健康診断は種類に応じて5~40年
特殊健康診断の種類と個人票の保存期間
  • じん肺健康診断:7年
  • 電離放射線健康診断、除染等電離放射線健康診断、特定化学物質(特別管理物質)健康診断:30年
  • 石綿健康診断:40年
  • 上記以外:5年

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健康診断費用の仕訳は会計ソフトで効率的に進めよう

健康診断の費用は、一定の条件を満たせば福利厚生費として経費に計上できます。ただし、法人と個人事業主では条件が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。健康診断の費用の仕訳は、毎年発生する定例的な業務となります。会計ソフトを活用することで、仕訳を正確かつ効率的に行えるでしょう。

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よくあるご質問

マスクの購入費用は税務上、会社の経費になりますか?

マスクの着用が業務上必要な場合(勤務中の着用が義務付けられているなど)、購入費用は経費として計上できます。ただし、私生活で使用するマスクや従業員以外(家族など)に支給するマスクの費用は、原則として個人負担です。

会社で常備薬を用意している場合、その薬代は会社の経費になりますか?

会社に常備されている薬の購入費用は、会社の経費として計上可能です。薬を全従業員に配布していなくても、全員が利用できる状態であれば、福利厚生費として処理できます。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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