資金管理とは?お金の管理が重要な理由や管理方法、ポイントを解説
監修者: 奥 典久(奥典久税理士事務所)
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企業や個人事業の経営において、資金の流れを正確に把握し、安定的に運用するために欠かせないのが「資金管理」です。売上や支出の変動が大きい中小企業や個人事業では、予期せぬ資金の変動があった際や将来の成長を見据え、柔軟に対応できるよう資金管理を行わなければなりません。
本記事では、資金管理の基本的な考え方、財務との違い、実務における資金繰りの進め方をわかりやすく解説します。また、会計ソフトを活用した効率的な管理方法や電子帳簿保存法の制度に触れながら、健全な経営を実現するために実践すべきポイントを紹介します。
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資金管理とは?財務と経理の役割の違い
資金管理とは、企業や個人事業が運営に必要な資金を確保し、効率的かつ安定的に運用・管理するための一連の活動を指します。資金管理の内容は大きく「資金計画」と「資金統制」に分かれます。
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- 資金計画:将来の資金需要を見据えた計画を策定し、資金の調達・運用を検討する段階
- 資金統制:資金計画に基づき、資金を確保する実効的な段階
このように、資金管理は資金計画と資金統制の整合を図りながら進めていくのが基本です。
的確な資金管理を行うためには、「財務会計」と「管理会計」といった会計情報が欠かせません。財務会計は外部への報告を目的に行うものであり、管理会計は経営判断を支援する役割を担います。この2つの会計情報は、資金管理の正確性を支える重要な情報源となります。中小企業の場合では、経理担当者や経営者自身が、資金管理業務を兼任することも少なくありません。
資金の安定運用を実現するには、資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書を効果的に活用し、日々の現金の流れと将来の資金状況を正確に把握しておく必要があります。
財務の役割
財務の役割は、企業や個人事業の資金を将来にわたり安定的に確保・活用することです。資金調達や資金運用、資金計画の立案に加え、予算管理やリスク管理を通じて財務体質の健全化と資金の最適配分を図ります。
具体的には、資金計画に基づいて金融機関との交渉により調達条件を整え、負債コストや返済スケジュールを管理しながら余剰資金の運用方針を定めます。これにより、キャッシュ・フローの安定化と資金繰りの平準化を目指すことが可能です。
また、経理が作成する貸借対照表や損益計算書などの数値をもとに、財務は予算・利益・資金の各管理を行い、資金の過不足を常にモニタリングし、調達・返済・投資などの経営判断に活かすことも財務の重要な役割です。
経理の役割
経理の役割は、日々発生する取引を正確に記録し、現金や預金、売掛金・買掛金などの動きを帳簿や伝票で管理する収支管理を行うことです。具体的には、帳簿上の残高と実際の残高を照合し、企業や個人事業のお金の流れを把握することで、健全な収支管理を維持します。
月次や年次の決算では、取引記録を整理して貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を作成し、企業や個人事業の財政状況や経営実績を正確に記録・報告する役割を担います。仕訳や帳簿から得られる数値は、意思決定を行う際の基礎となる重要な資料です。
請求・入出金・固定資産管理などの状況を正確に把握することは、企業や個人事業全体の信頼性を高めることにつながります。
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経理業務における「資金管理」:資金繰りが責務
経理における資金管理業務とは、日々の入出金や取引の記録を通じて資金の流れを正確に把握し、将来の資金繰りを安定させることです。資金の過不足を早期に捉え、支払いや投資を滞りなく行うことが、健全な経営の土台となります。
適切な資金繰りを行うためには、売上や仕入、経費などのデータを正確に集計し、現金や預金の残高を常に把握できる状態にしておかなければなりません。これにより、資金不足に陥ることを防ぎ、投資や支払いの判断をより確実に行えます。
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経理が行う資金業務の主な内容
資金業務には、経営を安定させるための多様な実務が含まれています。
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- 適切な資金繰り:経理が資金繰りを適切に管理することにより、余剰資金の活用や資金不足への対策を早期に講じられるようになり、経営の安定につながります。
- 帳簿や伝票の正確な作成と管理:自社や自事業の経営状況を数値で正確に把握するための土台となります。
- 正確な帳簿管理:円滑な決算作業と信頼性の高い財務報告を行うための前提条件となる作業です。
- 資金業務:単に現金の出入りを管理するのではなく、経営を安定させるための資金繰り管理、資金計画、金融機関との話し合いなどが含まれます。
資金繰り表の作成や入出金スケジュールの調整
経理業務の中で、特に重要とされるのが資金繰りの管理です。企業や個人事業主が日々の取引を滞りなく行うためには、入金と支払いの時期を正確に把握し、資金不足を未然に防ぐことが求められます。
経理担当者は、現金・預金の収入・支出を月別などの期間でまとめた資金繰り表を作成し、常に最新の情報に更新する必要があります。これにより、収支状況が把握でき、一時的な資金不足への対策を早期に講じられる体制を整えられます。
また、売掛金 の回収(売掛金入金)と支払(買掛金・人件費・税金など)のスケジュール調整も重要な業務です。具体的には、取引先との支払条件や入金期日について営業部門と連携し、最終的な承認や調整などを行います。徹底した管理によって経営の安定性を高め、急な支出にも柔軟に対応できる体制を築くことが重要です。
帳簿や伝票の作成と管理
経理業務の基盤となるプロセスが、帳簿や伝票の作成と管理です。日々の取引を正確に記録し、証拠書類である伝票を適切に整理・保管することは、企業や個人事業の経営状況を正しく把握するために欠かせません。
取引内容は簿記の原則に従って仕訳し、現金出納帳や仕訳帳などの帳簿に記入します。日常的な記録の積み重ねは、企業や個人事業活動の全体像を把握するための数値となり、経営判断に活かせる重要な情報源となります。
月次や年次の決算期には、これらの帳簿をもとに試算表や財務諸表などの作成が必要です。日々の帳簿管理を正確に行うことは、スムーズな決算作業の進行に欠かせないことです。また、法令に準拠した信頼性の高い財務報告を行うためにも重要です。
請求や支払い業務
取引先との信頼関係を維持するうえで欠かせない基本業務です。取引内容や契約条件に沿って、正確な金額と期日で入出金を処理します。経理担当者は、仕入れ先への買掛金の支払や社員の経費精算など、社外・社内双方の支払いを確実に実施しなければなりません。
支払期日の厳守によって企業や個人事業の信用が保たれ、安定した取引関係を維持できます。売上は、請求書の作成・発行から入金確認までを一貫して管理します。請求金額や振込期日を明確に伝えることは、入金遅延の防止だけでなく、資金繰りの安定にもつながる要素です。
こうした正確な入出金管理が、企業や個人事業全体のキャッシュ・フローを健全に保つ基盤となります。
給与計算と勤怠管理
従業員へ正確な報酬を支払うために、給与計算と勤怠管理を行います。勤務日数や労働時間をもとに、基本給・残業代・各種手当を計算し、社会保険料や所得税などの法定控除を適用したうえで、支給額を確定します。
経理担当者は、勤怠データを精査して遅刻・早退・休日出勤などを正確に反映させ、労働基準法などの関連法令に基づいた給与処理を行わなければなりません。正確な給与処理は、従業員とのトラブルを未然に防ぎ、内部統制の信頼性を高めることにつながります。
さらに、給与・賞与支給後には源泉徴収や社会保険料の納付といった事務手続きも必要です。これらの手続きを、期限内に適切に処理することが、法令遵守と従業員の安心感につながります。
入金管理
入金管理は、企業や個人事業の資金状況を正確に把握するために欠かせない経理業務です。売掛金や小口現金などの入金を日々確認し、帳簿と照合します。これにより、資金の流れを明確にし、資金繰り表やキャッシュ・フロー管理の精度を高めます。
正確な入金管理によって、経営判断の信頼性の維持や、資金不足のリスクを未然に防止することが可能です。入金内容が請求情報や取引先データと一致しない場合は、不明入金として原因を調査します。入金元や金額の特定を誤ると、売上計上や回収管理に支障が生じるため、迅速かつ正確に対応しなければなりません。
定期的な確認を継続することは、未回収金の早期発見や取引先との誤認防止にも有効です。入金管理の徹底は、安定した資金運用と健全な経営体制を築くために欠かせません。
税務関連業務
決算で確定した数値をもとに税額を算出し、納税申告書に用いる必要書類を作成します。法人税・消費税・法人事業税・法人住民税といった税目ごとに関連資料を用意し、税務署や都道府県・市区町村へ提出します。
各税金の申告および納付期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。経理担当者は期日を守り、正確に申告・納税を完了させる必要があります。
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経理の資金管理は会計ソフトで行うのがおすすめ
手作業による資金管理は、担当者の負担が大きくなりがちです。また、経理担当者にかかる負担が増大すると、入力ミスや確認漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすくなります。こうした課題を解消するには、会計ソフトの活用がおすすめです。会計ソフトを活用すると、入出金データの一元管理が実現し、キャッシュ・フローを可視化する仕組みを整備できます。
数値の管理ミスなどを防げる
会計業務を手作業で行う場合、入力や計算作業でのヒューマンエラーが生じやすくなります。わずかなミスも集計全体に影響するため、正確に資金状況を把握できないおそれがあります。会計ソフトを導入すれば、自動計算や自動仕訳機能の活用により、ヒューマンエラーを大幅に削減することが可能です。
また、銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引データを自動で取得できるため、日々の記帳作業にかかる負担を軽減できます。入出金データの自動取り込みや勘定科目の自動分類にも対応しているため、作業精度とスピードの両面で大きな改善が期待できます。
最新かつ正確な資金状況を常に把握できることで、信頼性の高いデータを経営判断に活用できるのは、企業や個人事業主にとって大きなメリットです。
資金繰りやキャッシュ・フローを最適化できる
会計ソフトを活用することで、日々の入出金データを自動的に集計し、資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書も効率的に作成できます。この仕組みにより、経理担当者は常に最新の資金状況を把握しやすくなり、将来的な資金不足の兆候を早期に察知することが可能です。
また、グラフやダッシュボード機能の活用により、過去から現在までの資金推移を視覚的に分析できるようになるため、経営課題の発見や改善に有用です。リアルタイムで資金の流れを確認できるようになると、売上や支出の変動に応じた融資や支払いスケジュールの調整なども判断しやすくなります。
結果として、資金繰りの最適化と経営判断の迅速化が進み、健全なキャッシュ・フローの維持につながります。
コンプライアンスを強化できる
会計ソフトを選定する際は、最新の税法や会計基準に対応した形式で帳簿や財務諸表を作成できるかどうか、見極める必要があります。これにより、法令遵守が実現します。また経理処理の正確性と透明性が向上し、不適切な会計処理や記録漏れなどのリスクを大幅に抑えられるのもメリットです。さらに、修正履歴や操作ログを自動で記録できる機能によって内部統制を強化できるため、不正防止に貢献します。
会計ソフトを活用すると、必要なデータを体系的に整理できるため、監査や税務調査にも迅速かつ正確に対応できる可能性が高くなります。その結果、コンプライアンスの強化だけでなく、取引先や金融機関からの信頼性向上も実現します。
電子帳簿保存法にも対応できる
電子帳簿保存法では、帳簿や書類を電子データとして保存することを認め、改ざん防止や検索性の確保など一定の要件を満たすことを義務付けています。近年では、中小企業や個人事業主にも電子帳簿保存法への対応が求められており、紙中心の管理体制を見直す動きが広がっています。
一般的な会計ソフトでは、電子帳簿保存法の要件を満たす改ざん防止機能や検索機能、タイムスタンプ機能などが搭載されており、会計ソフトを導入するだけで法規制に対応することが可能です。
このように、会計ソフトの導入は、帳簿や証憑の電子保存が円滑に行えるようになるほか、ペーパーレス化によるコスト削減、業務効率化の推進、コンプライアンス体制の強化といった多くのメリットをもたらします。
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資金管理をしっかりと行い健全な経営を目指そう
資金管理の基盤は、入出金の可視化と記録の正確性です。日々の記帳から決算書の作成までを一貫して行うことで、キャッシュの過不足を防ぎ、的確な経営判断を行えます。
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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)
奥典久税理士事務所 代表
簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。