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入出金管理(出納業務)の必要性とは?課題や効率化の方法も解説

監修者:齋藤一生(税理士)

2024/08/26更新

入出金管理(出納業務)は、企業のお金の流れを知るための重要な業務です。企業経営を行ううえで入出金管理は必須だといえるでしょう。一方で、入出金管理には手間と時間がかかります。他業務で忙しく、管理業務が後回しになってしまうこともあるかもしれません。

ここでは、入出金管理の必要性と課題、効率良く管理するための方法などについて解説します。

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入出金管理(出納業務)とは入出金全般を管理すること

入出金管理とは、企業のお金の動きを管理することで、「出納業務」とも呼ばれます。企業活動では、必ず金銭の出入りが生じます。

例えば、50円のものを仕入れて100円で販売した場合、まず仕入れ先に50円を支払い、それから100円を受け取ることになるでしょう。そのため、入出金管理では、「50円の支払い」や「100円の受け取り」を記録し、管理します。入出金管理という名前のとおり、入金と出金の両方を管理しなければいけません。

なお、企業の持つ資産が変動しなくても、現金や預金に変動があった場合には記録が必要です。例えば、現金を預金口座に預けた場合、手元の現金が減り、預金が増えたことを記録しなければいけません。 このような記録を積み上げていくことで、企業の持つお金の現状とどのように金銭を動かしていったのか、流れを可視化できるのです。

入出金管理の仕訳例

日々の取引から生じる入金や出金は、現金と預金で行われます。現金と預金の入出金管理の仕訳例について見ていきましょう。

現金の入出金管理の仕訳例

現金で営業交通費を支払った場合や消耗品などを購入した場合、商品などを現金で売却した場合など、現金を支払ったり、受け取ったりした履歴を管理するために行うのが、現金の入出金管理です。

特に、小口現金を利用している企業では、現金で支払いを行うことが多いため、現金の入出金管理が頻繁に発生します。現金の入出金管理をしっかり行っていないと、帳簿残高と手元の小口現金残高が合わないといったトラブルにつながるため、注意が必要です。 下記に、現金を支払ったり受け取ったりした場合の仕訳例を3つ紹介します。

ボールペンを買って小口現金から500円を支払った
借方 貸方 摘要
消耗品 500円 現金 500円 ボールペン
商品を販売して現金1,000円を受け取った
借方 貸方 摘要
現金 1,000円 売上 1,000円 商品販売
普通預金口座から小口現金として10万円を引き出した
借方 貸方 摘要
現金 100,000円 普通預金 100,000円 A銀行普通預金引き出し

現金の入出金管理は、一般的な仕訳と同様に、「増えたものを借方」「減ったものを貸方」に記載するため、現金で支払いを行った場合は貸方に「現金」を、現金を受け取った場合は借方に「現金」を記載することになります。

なお、上記の「普通預金口座から小口現金として10万円を引き出した」例は、現金が増え、預金が減っており、現金と預金の入出金管理のどちらにも該当する取引です。

預金の入出金管理の仕訳例

企業では、預金口座を利用してさまざまな支払いを行います。また、取引先からの支払いなども預金口座への振込で行われることが多く、このような預金口座残高の変動を管理するのが、預金の入出金管理です。預金の入出金管理をおろそかにしていると、預金残高不足による支払い遅延といった大きなトラブルにつながることもあるため、適切な管理を行いましょう。

下記に、預金口座への入金や口座からの支払いがあった場合の仕訳例を3つ紹介します。

預金口座から電気代3万円が引き落とされた
借方 貸方 摘要
水道光熱費 30,000円 普通預金 30,000円 ◯月分電気代
預金口座に売掛金10万円が振り込まれた
借方 貸方 摘要
普通預金 100,000円 売掛金 100,000円 A社◯月分
融資を受けて、預金口座に100万円が入金された
借方 貸方 摘要
普通預金 1,000,000円 短期借入金 1,000,000円 B銀行

なお、「融資を受けて、預金口座に100万円が入金された」例で、融資の返済期間が1年を超える部分の元本の金額については「長期借入金」となります。

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入出金管理(出納業務)を行うメリット

入出金管理(出納業務)をしっかり行うことで、企業の経営に役立てることができます。入出金管理によって企業が得られるメリットは、下記のとおりです。

資金の流れがわかりやすくなる

入出金を記録することで、資金の流れが可視化されます。いつ、どこに対して、いくら支払ったのかを記録し分析することで、経営に役立てることができます。

例えば、「前年に比べて8月の支払いが極端に多い」といったことがあれば、原因を確認したり必要な対応をとったりすることが可能です。また、年間の資金の流れを見ることで、会社の経営状態がどのように推移しているのかを資金面から確認できます。

入出金管理は、売上や支払いではなく実際の資金の流れを見るため、キャッシュが不足するおそれがないかどうかのチェックにも役立ちます。

予算を立てやすくなる

入出金管理を行うと、お金が必要な時期と金額をつかみやすくなり、予算が立てやすくなります。企業には、納税や賞与など、支出が多くなりやすいタイミングがあります。細かい金額は毎年異なりますが、入出金管理を行うことで、おおよその予算をつかみやすくなるでしょう。いつ、どのくらいの現金が必要なのかを事前に把握できれば予算を立てておけるため、健全なキャッシュフローを保てます。

入出金管理(出納業務)が負担になる理由

入出金管理(出納業務)は、何かと手間がかかりがちな業務です。入金管理が経理担当者の負担になりやすい理由について見ていきましょう。

請求書と入金一覧を照らし合わせてチェックする入金の消込

取引先からの入金の消込は、正しい金額が入金されているかどうかを確認するために重要です。しかし、手作業で入金の消込を行う場合、請求書と入金一覧を照らし合わせて一つひとつチェックしていかなければならず、手間がかかります。

請求書名と入金名が違う、複数の請求書分をまとめて支払っている、手数料を差し引いているなど、請求書どおりの入金がない場合は、より多くの時間と労力を要するでしょう。

定期的に発生する帳簿残高と現預金の突き合わせ

入出金管理では、定期的に現金出納帳預金出納帳と実際の現預金の残高を照らし合わせて、ずれがないか確認を行います。万一、ずれていた場合は、記帳漏れや記帳ミスなどがあるため、原因を突き止めなければいけません。

特に、現金は記帳内容のミスだけでなく、現金を支払う際のミスが起こっている可能性もあるため、こまめなチェックが必要ですが、スムースに原因が判明するとは限りません。例えば、「1円を落としてしまった」というような場合、なかなか理由が判明せず手間取ることもあるでしょう。

小口現金の精算

営業交通費や経費精算を現金で行っている企業では、従業員と現金のやりとりが発生します。やりとりの回数が増えれば、それだけ残高にずれがないかどうかの確認や記帳の手間も増えるほか、細かいお金を用意しておく手間もかかります。

入出金管理を手作業で行うことで起こる問題

企業は、日常的にさまざまな支払いを行うほか、売掛金の入金日には多数の振込が行われます。これらを手作業ですべて記録しなければならない入出金管理は、経理担当者の負担になりやすく、人手がかかる業務です。

入金管理を手作業で行うことによって起こり得る問題について、具体的に見ていきましょう。

経理担当者のリソース不足が起こりやすい

経理担当者の人数や労働時間に対して処理しなければならない入出金の件数が多いと、どうしても過度の負担がかかります。請求書の発行を行わなければならないタイミングなど、入出金管理以外の経理業務にリソースを割かなければならない時期は、スムースな処理ができない可能性が高まります。

経理業務に必要なリソースは企業の規模などによって異なりますが、専任の担当者がいなかったり、規模に対して担当者数が少なかったりする状況で経理業務をやりくりしている企業では、リソース不足が起こりやすくなるでしょう。

ミスが発生しやすい

入出金管理を手作業で行っている場合、ヒューマンエラーが起こるリスクが高まります。例えば、支払金額を1円間違えただけでも、手元の残高と帳簿上の残高が合わないといったトラブルが発生し、原因を突き止めるための調査を行わなければいけません。通常業務を行いながら原因追究をしなければならないため、経理担当者の負担はさらに大きくなります。

ヒューマンエラーによって正確な管理ができていないと、正しい決算が行えないといった大きな問題にもつながる危険性があるため注意が必要です。

入出金管理業務(出納業務)を効率化するには?

入出金管理(出納業務)を効率良く行うためには、経理業務の進め方を見直すことがおすすめです。入出金管理の方法を見直すことで、負担を軽減すると共に、正確性の高い処理が可能になります。

ここでは、入出金管理にかかる手間を軽減し、正確性を高める方法を3つ紹介します。

社内のキャッシュレス化を促進する

社内で現金を扱わないようにすれば、現金の入出金管理が必要なくなります。小口現金の管理は、経理担当者にとって負担の大きい業務です。キャッシュレス化を促進し、現金を取り扱わないようにすれば、経理担当者の負担軽減につながります。

キャッシュレス化の方法として最も一般的なのが、法人カードの活用です。従業員用の追加カードを発行して、経費を法人カードで支払ってもらうようにすれば、精算の必要がなくなります。なお、キャッシュレス化をしても仕訳自体は必要ですが、現金を管理しない分、手間を省けるでしょう。

入出金管理ソフトなどのツールを導入する

入出金管理ソフトや会計ソフトなどの便利なツールを導入すれば、経理業務を大幅に効率化できます。前述の法人カードと連携をとれるソフトや、預金口座と連携できるソフトなら、預金の入出金管理を自動化できます。自動仕訳された内容の確認をするため、手間がかからず数字の入力間違いといったヒューマンエラーが起こる心配もありません。

また、経費精算ソフトと会計ソフトを連携させることで、経費精算業務の効率化もできるでしょう。経理業務では、同じ数字を何度も入力したり、取り扱ったりすることがあるため、それぞれのソフトを連携させて自動化することで、効率良く業務を進められます。

経理業務の一部を外部委託する

経理業務は、税理士事務所や経理代行業者などに委託が可能です。外部委託の範囲は任意に設定できる場合が多く、決算業務のみを委託することもできれば、日々の記帳なども含めて委託することもできます。

預金通帳やレシートなどを定期的に委託先に提出して仕訳を行ってもらうようにすれば、日々の記帳が不要になります。口座残高と記帳内容の齟齬がないように対応してもらったり、提出したレシートや営業交通費の明細などを漏れなく記帳してもらったりすることが可能です。外部委託を活用することで、経理業務や入出金管理の大幅な効率化を実現できます。

ただし、小口現金など、自社で対応しなければならない業務もあります。社内で現金を取り扱う場合、該当の業務については自社で対応しなければいけません。一方、経費精算を振込対応にすれば外部委託をすることも可能です。できる限り外部委託の範囲を広げたい場合は、精算方法の変更を含めて検討してみてください。

しかし、外部委託には一定のコストがかかります。自社で経理担当者を追加で雇用したり、システムを導入したりする場合と比較して、どちらが自社に適しているか検討しましょう。また、外部委託で振込作業も依頼する場合は、ネットバンキングの振込設定は外部に任せても、最終的な承認は自社で行った方が安全と言えるでしょう。

会計ソフトを導入して正確な入出金管理(出納業務)を行おう

企業の金銭の流れを知り、コントロールするためには、正確性の高い入出金管理(出納業務)が必要です。手動で管理を行っている企業は経理担当者の負担が大きくなっているおそれがあるため、管理方法について見直してみましょう。

会計ソフトを利用すれば、入出金管理にかかる手間と時間が大幅に削減されるうえ、記録の漏れやミスの防止にもつながります。「弥生会計 オンライン」などの自社に合った会計ソフトを選び、会計業務の効率化を目指しましょう。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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