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システム利用料の勘定科目は?仕訳方法や会計処理の方法を解説

企業では、会計ソフトや給与計算ソフトなど、さまざまなソフトウェアやシステムが業務に使用されていますが、大きく分けてクラウド型とインストール型の2種類があります。それぞれ仕訳方法が異なる他、システムを導入した後もサポート料やバージョンアップのための費用が発生することもあります。適切に会計処理を行うために、使用する勘定科目や仕訳のルールなどを正しく理解しておきましょう。
本記事では、システム利用料の会計処理に用いる勘定科目や、ソフトウェア・システムの種類別の仕訳方法、システム利用料の会計処理方法などを解説します。

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システム利用料の勘定科目には法的な定めはない

会計ソフトなど、業務で必要なソフトウェアやシステムを導入し、利用料を払った場合、そのシステム利用料は経費として計上できます。このとき、システム利用料についてどの勘定科目を用いるかは、法的な定めはありません。
勘定科目は、取引で発生するお金の流れについて「何に使ったのか」「なぜ入金があったのか」を表すためのラベルのようなもので、取引の内容に応じて、資産、負債、純資産、収益、費用の5つに分類されます。また、勘定科目は、仕訳の際に帳簿を確認したとき、取引内容がわかれば、どの勘定科目を設定するかは企業の裁量で決めることができます。例えば、企業が独自にシステム利用料という勘定科目を設けてもかまいません。
ただし、一度設定した勘定科目は、その後も社内で統一して使い続ける必要があります。経理担当者が変わるたびに勘定科目が異なると混乱を招くため、注意しましょう。一般的に、システム利用料を計上する際には、以下のような勘定科目が用いられます。

通信費:通信のために使った費用を処理する勘定科目

通信費は、通信のために要した費用を処理する勘定科目です。具体的には、電話料金や郵便関連費用(切手代、ハガキ代、電報料金など)、インターネット利用料などが該当します。クラウド型の会計ソフトのシステム利用料については、通信費として仕訳するケースが一般的です。

支払手数料:事務委託手数料や業務委託手数料などを処理する勘定科目

支払手数料は、事務委託手数料や業務委託手数料などを処理する勘定科目です。クラウド型の会計ソフトのシステム利用料については、支払手数料で処理することもあります。また、会計ソフトのサポート料やバージョンアップ費用を仕訳する際にも、支払手数料の勘定科目を使用することが可能です。

消耗品費:短期間に消耗する少額の物品を購入したときに処理する勘定科目

消耗品費は、事務用品などの消耗品や、使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の備品の購入費などを処理する勘定科目です。インストール型の会計ソフトを購入し、その取得価額が10万円未満だった場合は消耗品費として計上します。

ソフトウェア:ソフトウェアの購入、開発に関する支出を処理する勘定科目

ソフトウェアは、コンピューターのソフトウェアの購入や開発に関する支出を処理する勘定科目です。取得価額が10万円以上のソフトウェアは無形固定資産に該当し、原則として減価償却が必要なため、仕訳の際には、ソフトウェアの勘定科目を用います。

システム利用料は特定のシステムやソフトウェアなどを利用する際に発生する料金

システム利用料とは、特定のシステムやソフトウェア、プラットフォームを利用する際に発生する料金のことです。企業は業務において、会計ソフトや給与計算ソフトの他、販売管理システム、予約管理システムといった、さまざまなソフトウェアやシステムなどを利用することがあります。このようなソフトウェアやシステムを利用する対価として支払う費用が、システム利用料です。なお、導入や購入にかかる費用だけでなく、サポート料、メンテナンス料、更新費用、バージョンアップ費用などを支払った場合も、システム利用料に該当するため注意しましょう。
システム利用料は、買い切り型のソフトウェアやサブスクリプション型のクラウドサービスなど、さまざまなケースで発生します。また、料金の支払方法についても、月払いや年払い、一括払い、従量課金制など、ソフトウェアやシステム、サービスによって異なります。

システム利用料の仕訳方法

システム利用料の仕訳方法は、クラウド型とインストール型で異なります。例えば、多くの企業で導入されている会計ソフトも、クラウド型とインストール型の大きく2種類に分けられます。クラウド型の会計ソフトは、インターネット上のサービスを利用するものです。利用者はサービス提供企業に月払いや一括払いで利用料を支払います。その一方で、インストール型の会計ソフトはパソコンにソフトウェアをインストールして使うもので、「デスクトップアプリ」や「パッケージ型」などと呼ばれることもあります。また、一般的にインストール型の会計ソフトは買い切りで、一度購入した後は基本的に費用がかかりません。
なお、クラウド型とインストール型の会計ソフトでは、勘定科目や仕訳方法がそれぞれ異なります。具体的な仕訳例と共に詳しく見ていきましょう。

クラウド型の会計ソフトの仕訳方法

クラウド型の会計ソフトは、インターネット上のサーバーにパソコンやスマートフォンといった端末でアクセスし、サービスを利用するしくみです。クラウド型の会計ソフトは、資産ではなくサービスに対して支払をしていることになるため、無形固定資産には該当しません。クラウド型の会計ソフトの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:月払いのクラウド型の会計ソフトの利用料金3万円を支払った

借方 貸方
通信費 30,000円 普通預金 30,000円

クラウド型の会計ソフトにかかる費用は、月払いや一括払いでシステム利用料を支払ったときに、通信費などの勘定科目で処理します。貸方科目は、口座から利用料金を引き落とした場合は普通預金、現金で支払った場合は、現金を用います。

仕訳例:使用中のクラウド型の会計ソフトについて、サポート費用8,000円を支払った

借方 貸方
支払手数料 8,000円 普通預金 8,000円

クラウド型の会計ソフトでサポート料やバージョンアップ料などが発生した場合は、支払手数料の勘定科目で計上します。また、通信費や諸会費などの勘定科目を用いることもあります。

インストール型の会計ソフトの仕訳方法

インストール型の会計ソフトの場合は、取得価額が10万円未満か10万円以上かによって、会計処理の方法が異なります。それぞれのケースごとの仕訳例を見てきましょう。

仕訳例:取得価額が8万円のインストール型の会計ソフトを購入した

借方 貸方
消耗品費 80,000円 普通預金 80,000円

取得価額が10万円未満であれば、購入時に消耗品費として計上します。なお、購入手数料やセッティング費用などがかかった場合は、それらも取得価額に含めます。

その一方で、取得価額が10万円以上の場合は、無形固定資産に当たるため、原則として減価償却が必要になります。自社の業務で使用するソフトウェアの法定耐用年数は5年です。また、ソフトウェアの減価償却方法は、毎年一定額の減価償却費を計上していく定額法で行います。
10万円未満かどうかを判断する場合、消費税の税抜経理を行っている場合は税抜金額、税込経理を行っている場合は税込金額で判断します。

50万円のインストール型の会計ソフトを購入し、セットアップ費用10万円と共に支払ったケースを例に、購入時と決算時の仕訳例を見ていきましょう。

購入時の仕訳例

借方 貸方
ソフトウェア 600,000円 普通預金 600,000円

購入時には、会計ソフト本体の購入代金だけでなく、セットアップ費用も含めてソフトウェアの勘定科目で計上します。

決算時の仕訳例

借方 貸方
減価償却費 120,000円 ソフトウェア 120,000円

決算時には、ソフトウェアの減価償却を行います。定額法でソフトウェアの耐用年数が5年であるため、減価償却費は「60万円÷5年=12万円」になります。

システム利用料の会計処理方法

クラウド型の会計ソフトの場合は、上述したインストール型のような減価償却がないため、仕訳は比較的シンプルです。しかし、クラウド型の会計ソフトには、利用料を月払いで支払ったり、1年分や複数年分の利用料を一括払いしたりするなど、さまざまな支払のパターンがあります。システム利用料の支払い方によって、会計処理方法が変わる場合があるため注意しましょう。

システム利用料が月払いの場合

毎月定額のシステム利用料を支払う場合は、支払の都度、通信費などの勘定科目で計上します。仕訳方法は、前述したクラウド型の会計ソフトを購入した場合と同様です。

仕訳例:月払いのクラウド型の会計ソフトの利用料金2万円を支払った

借方 貸方
通信費 20,000円 普通預金 20,000円

システム利用料が一括払いで契約期間が1年以下の場合

クラウド型の会計ソフトを導入するときには、利用料を数か月または1年分、一括払いで契約するケースがあり、契約期間が事業年度をまたぐかどうかで会計処理方法が変わります。契約期間がすべて当期内に収まっていれば、月払いの場合と同様に、システム利用料の支払時に費用を計上します。

仕訳例:クラウド型の会計ソフトを購入し、半年分の利用料金12万円を一括払いで支払った

借方 貸方
通信費 120,000円 普通預金 120,000円

その一方で、利用料金の対象となる契約期間が事業年度をまたぐ場合は、前払費用として処理が必要になります。前払費用とは、継続的なサービスを受けるために前払いした費用のうち、まだサービスの提供を受けていない部分について計上する勘定科目です。

例えば、事業年度が4月1日~3月31日の企業において、10月1日に1年分のシステム利用料24万円(1か月当たり2万円)を支払ったと考えてみましょう。この場合、当期の費用に該当するのは、支払ったシステム利用料のうち10月~3月の6か月分です。残りの6か月分については、既に支払ってはいるものの、サービスの提供を受けるのは翌期のため、当期の費用としては計上できません。そのため、決算時に、翌期に対応する金額を前払費用に振り替える処理を行います。システム利用料の支払時と決算時、翌期首の仕訳例は、以下のとおりです。

支払時の仕訳例

借方 貸方
通信費 240,000円 普通預金 240,000円

支払時には、支払ったシステム利用料を全額費用計上します。

決算時の仕訳例

借方 貸方
前払費用 120,000円 通信費 120,000円

支払時に計上した1年分のシステム利用料のうち、当期に該当するのは6か月分です。そのため、決算時には当期分と翌期分の料金を計算し、翌期分に該当する金額を前払費用に振り替えます。

翌期首の仕訳例

借方 貸方
通信費 120,000円 前払費用 120,000円

翌期になったときには、前払費用に振り替えた費用を、決算で行った仕訳とは逆の仕訳を行って、再度、元の費用に振り戻す作業を行います。

ただし、上記の原則的処理のほかに、一定の要件を満たす1年以内の期間のシステム利用料の前払いについては、支払時に費用計上することが税務上認められています。(短期前払費用の特例)

システム利用料が一括払いで契約期間が1年以上の場合

2年分や3年分など、複数年分のシステム利用料を一括払いで前払いする場合も、上と同様に前払費用で処理します。なお、決算後1年を超える場合には、長期前払費用の勘定科目を使用します。例えば、事業年度が4月1日~3月31日の企業において、4月1日にクラウド型の会計ソフトを購入し、同日から2年分のシステム利用料48万円(1年当たり24万円)を支払ったとしましょう。その場合の、支払時、決算時、翌期首の仕訳例は以下のとおりです。

支払時の仕訳例

借方 貸方
通信費 480,000円 普通預金 480,000円

支払時には、支払ったシステム利用料を全額費用計上します。

決算時の仕訳例

借方 貸方
(長期)前払費用 240,000円 通信費 240,000円

決算時に、翌期分の利用料を前払費用(長期前払費用)に振り替えます。

翌期首の仕訳例

借方 貸方
通信費 240,000円 (長期)前払費用 240,000円

翌期首には、決算時と逆の仕訳を行い、再度費用に計上します。

システム利用料の会計処理における注意点

システム利用料の会計処理を行う際には、主に2つの注意点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

一度決めた勘定科目は継続して使用する

前述したように、システム利用料に用いる勘定科目に税法上の定めはありませんが、一度決めた勘定科目は、担当者が変わっても継続して使い続けることが大切です。
企業会計においては、「一度選択した会計処理の方法は継続して使用しなければならない」という継続性の原則に基づく処理が必要になります。同じ取引であるにもかかわらず、経理担当者や事業年度によって使用する勘定科目が変わると、経営状態の継続的な把握が困難になる可能性があります。そのため、システム利用料にどの勘定科目を使うかを決めたら、ルール化して社内に周知しておきましょう。

定期的な見直しと更新が必要

会計ソフトをはじめとするシステムの利用料については、購入時の初期費用の他に、サポート料や更新費用、バージョンアップ費用などが発生することがあります。業務目的で使用するソフトウェアやシステムに関連する費用が発生したときは、その都度適切な会計処理が必要です。システム利用料は損金計上が可能なため、適切に会計処理を行うことがコスト管理にもつながります。また、追加費用についても計上漏れがないように、定期的に見直しを行いましょう。

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ソフトウェアやシステムにかかるシステム利用料は正しく計上しよう

システム利用料を仕訳する際に用いる勘定科目については、税法上の定めはありません。ただし、システム利用料の勘定科目を一度決めたら、社内でルール化し、継続して使い続けることが大切です。
クラウド型の会計ソフトのシステム利用料を、事業年度をまたいで前払いする場合や、取得価額が10万円以上のインストール型の会計ソフトを購入した場合などは、仕訳方法が異なります。そのため、システム利用料を適切に効率良く会計処理するには、会計ソフトの利用がおすすめです。システム利用料の仕訳方法を把握したうえで、会計ソフトを利用してミスのないように会計処理しましょう。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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