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耐用年数とは?減価償却資産の種類や計算方法などを解説

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耐用年数とは、資産の種類や使用目的ごとに決められた減価償却をする年数のことで、減価償却費の計算に必要です。そのため、減価償却資産を購入した際は、必ず耐用年数を調べなければいけません。

ここでは、耐用年数の調べ方や減価償却の計算方法、中古で減価償却資産を購入した場合の処理方法などについて解説します。耐用年数がどのようなもので、どうやって減価償却の計算に用いるのか理解しておきましょう。

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耐用年数とは、資産の種類や使用目的ごとに決められた減価償却をする年数のこと

耐用年数とは、資産の種類や使用目的ごとに決められた減価償却をする年数のことです。例えば、機械設備などを購入したとしても、永久に使い続けることはできません。使い続けるうちに劣化していき、いずれ使えなくなります。

なお、減価償却を行うためには、資産ごとの耐用年数を把握することが必要です。耐用年数の考え方は、会計上と税法上で異なります。

会計上の耐用年数は、資産の使用方法や使用頻度などを踏まえて、それぞれの企業が個別に設定することができます。例えば、同じ設備を使用している2つの企業で、A社は頻繁に設備を使うので耐用年数を3年、B社ではそれほど設備を使わないので耐用年数を6年と設定したとしても、実態に即していれば会計上の問題はありません。

しかし、税金の計算をするときに、同じ設備について企業ごとにそれぞれ違った耐用年数を設定していると、課税の公平性が崩れてしまいます。そのため、税法では「減価償却資産の耐用年数等に関する省令新規タブで開く」によって、固定資産の材質や構造などに応じ、細かく耐用年数が決められており、これを「法定耐用年数」と呼びます。

資産の種類や細目ごとの耐用年数は、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表新規タブで開く」に一覧が記載されているため、減価償却を行う際は参照してください。

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耐用年数に応じて経費を分割して計上する減価償却

減価償却とは、事業で使用する固定資産をそれぞれの耐用年数に応じて取得価額を分割し、経費計上する会計処理の方法です。一定の会計期間の損益を計算する期間損益計算を適切に行うためには、会計期間ごとの経費と、経費によって生み出された利益を正確に算出する必要があります。減価償却を行わずに取得価額を一括で経費計上すると、正確な計算ができません。

例えば、ある年に設備投資として1,000万円を投じ、それによって製品の製造能力が上がって売上が伸びたとします。売上の伸びは設備投資をした年だけに起こることではなく、該当の設備を使い続ける間、製造能力の向上が見込めます。

しかし、単年で経費を計上してしまうと、設備投資をした年が大幅な赤字になり、その後は黒字になるといったことになりかねません。そこで、耐用年数を用いて、経費を該当の年数で分割して計上する減価償却を行うことが必要になります。

なお、減価償却によって、生み出された利益とかかった経費を正確に計算できるようになりますが、税務上は一定の耐用年数を用いて計算しなければいけません。ある設備を購入した企業Aが「この設備は10年使える」と考えて10年で減価償却を行い、同じ設備を購入した企業Bは「この設備は5年しか使えない」と考えて5年で減価償却を行うと、損益計算の方法に差異が生まれてしまうためです。

経年によって価値が変わらない固定資産は減価償却を行わない

減価償却を行う減価償却資産は、機械装置や器具・備品、車両・運搬具、ソフトウェアなど、経年によって価値が下がる固定資産が該当します。

一方、経年で価値が変わらない固定資産は、減価償却を行いません。具体的には、土地や一定の要件を満たす美術品などが、非減価償却資産に該当します。

なお、骨董品などの美術品については、1点100万円以上であり、経年によって価値が減少することが明らかでないものは非減価償却資産です。以前の基準では1点20万円以上が基準になっていましたが、2015年から変更されました。

その他、固定資産であっても、取得価額が10万円未満の物は減価償却せず、消耗品費として全額を一括費用計上します。取得価額が10万円未満であるかどうかについては、税抜経理方式を適用している場合は消費税等抜きの価額、税込経理方式を適用している場合は消費税等込みの価額を取得価額として判定します。つまり、税抜き方式の方が有利だといえるでしょう。

耐用年数と耐久年数との違い

耐用年数と似た言葉として耐久年数がありますが、その内容は異なります。ここでは、耐用年数と耐久年数との違いについて見ていきましょう。

耐用年数:資産が一定の価値を持ち続けられる期間

耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって定められた公的な基準で、資産の種類や使用目的ごとに決められた減価償却をする年数のことです。利用状況などによっては、耐用年数を経過する前に資産が破損して使えなくなることもあります。耐用年数を超えても使い続けられることもありますが、耐用年数を超えて使い続けられたとしても、会計上は耐用年数を基に減価償却を行わなければいけません。

なお、耐用年数を超えて残る固定資産の価値を「残存簿価」と呼びます。耐用年数を超えて減価償却資産を使い続ける場合は、減価償却資産が残っていることを示すために「残存簿価1円」を残す処理を行うことが必要です。

減価償却では、取得価額を耐用年数の期間で償却していくことになります。しかし、減価償却資産を使い続ける場合は、最後の償却を行う際に減価償却費から1円を差し引いた金額を償却して1円を帳簿上に残すのが一般的です。

この処理によって、減価償却資産がまだあることを帳簿上で確認できるようになります。1円の残存簿価は、該当の減価償却資産を利用しなくなったタイミングで、帳簿から除く除却処理をしてください。

耐久年数:資産を使い続けられると見込める期間

耐久年数とは、メーカーなどが独自の調査や試験によって設定している一定の基準に基づいて発表している「該当の資産を使い続けられると見込める期間」のことです。まったく根拠のない数字ではありませんが、法律によって定められているものではないため、企業の資産について会計処理をする際には使用することはできません。

メーカーが定めた耐久年数についても、使用状況などによって実際の使用可能期間とは前後する可能性があります。とはいえ、個別の製品について、ある程度「どのくらい使えるのか」という目安がわかるので、設備の買い替えサイクルなどを検討する際に役立てられるでしょう。

減価償却の計算方法

減価償却の計算は「定額法」または「定率法」で行いますが、どちらを利用するのかは事業者の立場や購入した固定資産の種類に応じて変わります。原則として個人事業主はすべて定額法、法人の場合は、車両や工具器具備品、機械装置は定率法、ソフトウェア、建物、建物附属設備は定額法で減価償却します。

ここでは、定額法と定率法、それぞれの具体的な計算方法について見ていきましょう。なお、個人事業主、法人のいずれも、原則以外の計算方法を希望する場合は、税務署へ「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」の届け出が必要です。

定額法

定額法は、耐用年数の間、毎年一定額を償却していく方法です。毎年計上する減価償却費は、下記の方法で算出します。

定額法の減価償却費の計算式

定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

定額法の減価償却率は、国税庁の「減価償却資産の償却率等表新規タブで開く」で確認ができます。ただし、この表に記載されているのは、耐用年数別の償却率です。まずは耐用年数を調べて、それに応じた償却率を確認してください。

例えば、パソコンの減価償却費の計算方法は下記のとおりです。

40万円で購入したパソコンの減価償却費

  • パソコンの価格:40万円
  • パソコンの耐用年数:4年
  • パソコンの定額法の償却率:0.25

40万円で購入したパソコンの場合、減価償却費は「40万円×0.25=10万円」です。よって、3年間は毎年10万円ずつ減価償却を行いますが、耐用年数を超えて減価償却資産を使い続ける場合は、減価償却資産が残っていることを示すために、残存簿価1円を残す処理を4年目に行い、9万9,999円を計上します。

なお、年の途中で取得した減価償却資産については、1年分の減価償却費を12で割り、実際に業務に使用した月数を掛けて減価償却費を算出してください。

定率法

定率法は、耐用年数に応じて一定の比率で費用にしていく減価償却の方法です。定率法の減価償却費は、下記の方法で算出します。

定率法の減価償却費の計算式

定率法の減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

定率法は、最初の償却費が高く、年々減少していきますが、計算した減価償却費が「償却保証額(取得価額×保証率)」を下回った後は、「改定取得価額×改定償却率」の計算式を用いて、毎年一定額を減価償却します。

定率法の減価償却に必要な数値は、それぞれ下記の方法で求めることができます。

定率法で減価償却するときに必要な数値の求め方

  • 未償却残高:取得価額-前年までの減価償却費
  • 償却率:「減価償却資産の償却率等表」を参照
  • 保証率:「減価償却資産の償却率等表」を参照
  • 改定取得価額:償却保証額を満たさなくなる年の期首未償却残高
  • 改定償却率:「減価償却資産の償却率等表」を参照

ここで、取得価額100万円、耐用年数5年の固定資産を定率法で償却する場合について見ていきましょう。

取得価額100万円、耐用年数5年の固定資産を定率法で償却する計算式

  • 償却率:0.4
  • 保証率:0.108
  • 償却保証額:100万円×0.108=10万8,000円
  • 改定償却率:0.5
  • 1年目の減価償却費:100万円×0.4=40万円
  • 2年目の減価償却費:(100万円-40万円)×0.4=24万円
  • 3年目の減価償却費:(100万円-40万円-24万円)×0.4=14万4,000円
  • 4年目の減価償却費:(100万円-40万円-24万円-14万4,000円)×0.5=10万8,000円
  • 5年目の減価償却費:(100万円-40万円-24万円-14万4,000円)×0.5-1円=10万7,999円

4年目の減価償却費を計算すると、「(100万円-40万円-24万円-14万4,000円)×0.4=8万6,400円」となり、償却保証額の10万8,000円に満たなくなるため、それ以降の年は「改定取得価額×改定償却率」の計算式を用いる必要があります。よって、10万8,000円が4年目の減価償却費です。

5年目も、4年目と同様に10万8,000円が減価償却費となりますが、資産を使い続ける場合は、残存簿価1円を残すため、10万7,999円が減価償却費です。

主な減価償却資産の種類と耐用年数

減価償却資産の耐用年数は「建物、建物付属設備」「構築物、生物」「車両・運搬具、工具」「器具・備品」「機械・装置」というカテゴリーごとに定められています。国税庁の耐用年数表の中から、それぞれの項目別に主な償却資産の種類と耐用年数を紹介します。下記の表にないものは、国税庁の「耐用年数表新規タブで開く」を確認してください。

とはいえ、減価償却資産は多岐にわたります。一覧のどの項目に当てはまるかわからない場合や、そもそも当てはまる項目がない場合もあるかもしれません。耐用年数を間違えてしまうと正確な計算ができなくなってしまうため、不安な場合は税理士や国税庁に確認したうえで処理してください。

主な「建物、建物付属設備」の耐用年数

構造・用途 細目 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 事務所用のもの 24年
店舗・住宅用のもの 22年
飲食店用のもの 20年
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの 50年
住宅用のもの 47年
飲食店用のもの
延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの
34年
その他のもの 41年
工場用・倉庫用のもの(一般用) 38年
アーケード・日よけ設備 主として金属製のもの 15年
その他のもの 8年
電気設備(照明設備を含む) 蓄電池電源設備 6年
その他のもの 15年
給排水・衛生設備、ガス設備 15年

主な「構築物、生物」の耐用年数

構造・用途 細目 耐用年数
農林業用のもの 主としてコンクリート造、れんが造、石またはブロック造のもの
果樹棚、ホップ棚
14年
その他のもの
例:頭首工、えん堤、ひ門、用水路、かんがい用配管、農用井戸、貯水そう、肥料だめ、たい肥盤、温床わく、サイロ、あぜなど
17年
主として金属造のもの
例:斜降索道設備、農用井戸、かん水用または散水用配管など
14年
主として木造のもの
例:果樹棚またはホップ棚、斜降索道設備、稲架、牧さく(電気牧さくを含む)など
5年
繁殖用(家畜改良増殖法に基づく種付証明書、授精証明書、体内受精卵移植証明書または対外受精卵移植証明書のあるものに限る)
役肉用牛
乳用牛
6年
4年
繁殖用(家畜改良増殖法に基づく種付証明書または授精証明書のあるものに限る) 6年
競走用 4年
3年
かんきつ樹 温州みかん 28年
その他のもの 30年
なし樹 26年
桃樹 15年

主な「車両・運搬具、工具」の耐用年数

構造・用途 細目 耐用年数
一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの) 小型車(総排気量0.66L以下のもの) 4年
その他のもの 6年
2輪・3輪自動車 3年
自転車 2年
運送事業用・貨自動車業用・自動車教習所用のもの 小型車(貨物自動車にあっては積載量が2t以下、その他のものにあっては総排気量が2L以下のもの) 3年
大型乗用車(総排気量3L以上のもの) 5年
その他のもの 4年
自転車、リヤカー 2年
測定工具、検査工具(電気・電子を利用するものを含む) 5年
型(型枠含む)鍛圧工具、打抜工具 プレスその他の金属加工用金型、合成樹脂、ゴム・ガラス成型用金型、鋳造用型 2年

主な「器具・備品」の耐用年数

構造・用途 細目 耐用年数
家具、電気機器、ガス機器、家庭用品(他に掲げてあるものを除く) 事務机、事務いす、キャビネット
主として金属製のもの
その他のもの
15年
8年
応接セット
接客業用のもの
その他のもの
5年
8年
冷房用・暖房用機器 6年
事務機器、通信機器 電子計算機
パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)
4年
複写機、計算機(電子計算機を除く)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの 5年
光学機器、写真製作機器 カメラ、映画撮影機、映写機、望遠鏡 5年
看板、広告器具 看板、ネオンサイン、気球 3年

主な「機械・装置」の耐用年数

構造・用途 細目 耐用年数
農業用設備 7年
木材・木製品(家具を除く)製造業用設備 8年
家具・装備品製造業用設備 11年
飲食料品卸売業用設備 10年
飲食料品小売業用設備 9年
飲食店業用設備 8年
自動車整備業用設備 15年

中古資産を減価償却する場合の耐用年数の算出方法

中古で購入した資産を減価償却する場合は、新品で購入した場合と耐用年数の考え方が違う点に注意しなければいけません。中古資産の耐用年数は、取得価額や購入時点での経過年数に応じて決まります。

耐用年数は、下記の流れで算出してください。

1.中古資産を取得した金額と新品で購入したときの金額を確認する

該当の資産を取得したときの金額が、同じ資産を新品で購入したときの金額の50%相当額を超える場合は、耐用年数を用いて減価償却を行います。

例えば、180万円で中古の普通自動車を購入した場合、まったく同じ自動車を新車で購入した場合の金額を確認します。仮に、新車価格が300万円だったとすると、耐用年数は新車の耐用年数と同様の6年です。同様に、120万円で中古の普通自動車で購入した場合は、新車価格300万円の50%相当額を超えないため、別途耐用年数を見積もります。

2.中古資産を購入した時点での経過年数を確認する

中古資産が新品で購入したときの金額の50%相当額を超えない場合は、購入した中古資産が作られた日から中古資産として購入された日までの経過年数を確認し、該当の資産の耐用年数と比較してください。

そのうえで、すでに耐用年数が過ぎている中古資産の場合は「法定耐用年数×20%」、耐用年数の一部が経過した中古資産の場合は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」といった簡便法で耐用年数を算出します。

耐用年数が6年の普通自動車の場合を例に、中古車が7年落ちだった場合と4年落ちだった場合の耐用年数を計算してみましょう。

7年落ちの場合は「6年×20%=1.2年」となり、計算結果が2年に満たない場合は2年とするという決まりがあるため、耐用年数は2年です。一方、4年落ちの場合は「(6年-4年)+4年×20%=2.8年」となり、1年未満の端数は切り捨てるため、耐用年数は同じく2年です。

耐用年数のルールを知って正しい原価計算を行おう

減価償却資産を購入した際は耐用年数の間、毎年減価償却費を計上しなければいけません。単年で処理が終わるわけではないため、長期的に正しく管理する必要があります。

Excelなどで減価償却費の計算や管理をすることもできますが、手間がかかりますし、ミスのもとにもなるでしょう。「弥生会計 オンライン」などの会計ソフトを活用し、処理するのが確実です。正確な減価償却費の計算と決算の簡便化のために「弥生会計 オンライン」をご検討ください。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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