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給与デジタル払いとは?開始時期やメリット、導入の流れを解説

キャッシュレス決済が普及する中、「給与のデジタル払いが解禁」というニュースが話題となりました。

従業員の利便性向上のために、給与デジタル払いの導入を検討している企業も多いかもしれません。給与をデジタル払いとすることは、企業や従業員にどのような影響を与えるのでしょうか。

ここでは、給与デジタル払いの開始時期や、デジタル払いのメリット・デメリットのほか、給与デジタル払いを導入する流れなどについて解説します。

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給与デジタル払いは第3の給与支払い手段

起業が従業員へ給与を払う方法「現金」「銀行振込」「デジタル払い」

給与デジタル払い(デジタル給与)とは、従業員の給与を、電子マネーとしてスマートフォンの決済アプリを利用して支払うことです。従来の現金手渡し、銀行振込に続く、第3の給与支払い手段といわれています。

給与デジタル払いでは、企業は従業員の給与の全部または一部を、銀行口座ではなくスマートフォン決済アプリなどの口座に支払います。なお、デジタル給与の支払先として利用できるのは、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(キャッシュレス決済サービスを提供する会社)の口座に限られます。

給与デジタル払いの開始時期は未定

「デジタル給与解禁」というニュースを見聞きしたことのある方も多いかもしれませんが、実は、給与デジタル払いの開始時期はまだ決まっていません。

給与デジタル払いの解禁とは、2023年4月施行の改正労働基準法によって、資金移動業者が厚生労働省に指定申請を行えるようになったことを指します。2024年1月19日現在、全国の財務局等に登録されている資金移動業者のうち4社は、給与デジタル払いに向けた指定申請を提出済みであると厚生労働省は発表しています。

現在は、2023年中に指定申請を行った資金移動業者を、厚生労働省が審査しているさなかだと考えられます。給与デジタル払いに対応可能な資金移動業者が指定されれば、厚生労働省のウェブサイト等に掲載される予定ですが、2024年1月19日現在、厚労省から指定資金移動業者の公表はまだありません。

給与デジタル払いのメリット・デメリット

給与デジタル払いの導入を検討する際に気になるのが、企業や従業員への影響です。ここからは、給与デジタル払いのメリットとデメリットを、企業側、従業員側に分けて、それぞれご紹介します。

給与デジタル払いの企業側のメリット

給与デジタル払いは、現金手渡しや銀行振込とは異なる、新しい給与の支払い方法です。導入による企業側のメリットとしては、次のようなものが考えられます。

振込手数料削減の可能性

給与デジタル払いは、口座振込に比べて振込手数料を抑えられる可能性があります。一般的に資金移動業者への振込手数料は、銀行などの金融機関よりも低く設定されています。給与振込にかかる手数料を抑えられれば、従業員の多い企業ほど大きな経費削減につながります。

企業イメージの向上

給与デジタル払いの導入は、企業イメージの向上にも役立ちます。給与デジタル払いという新しい制度を積極的に取り入れることで、「多様性を重視し、社会の変化に適切に対応する」という企業姿勢を示すことが可能です。

雇用機会の増加

前述した企業イメージの向上によって優秀な人材が集まり、雇用機会が増加するというメリットも期待できます。

現金の取り扱いに関するコスト削減の可能性

給与をデジタル払いにすることで、現金を取り扱う機会が減少します。給与支払いに伴って取り扱う現金の割合が減ることで、管理コストを削減できる可能性があります。

日払い・週払いなどへも対応しやすくなる

前述したように、給与をデジタル払いにすると振込手数料を抑えられる可能性があるため、日払い・週払いなどにも対応しやすくなります。従来の銀行振込では、手数料が高いために月払いとしていた給与も、手間やコストを抑えられるのであれば、従業員の働き方に合わせた柔軟な対応が検討できるでしょう。

給与デジタル払いの従業員側のメリット

給与のデジタル払いは、企業だけでなく、給与を受け取る従業員にとってもメリットがあります。導入によるメリットは、次のようなものが考えられます。

キャッシュレス決済の利便性が上がる

従業員にとっての大きなメリットは、キャッシュレス決済の利便性が向上することです。日常生活の中で、キャッシュレス決済を利用できる場面は年々増加しており、最近では「ちょっとした外出であれば現金を持たずに出掛ける」という人も少なくありません。給与デジタル払いなら、銀行口座から決済アプリにわざわざチャージする手間がなくなり、キャッシュレス決済をより便利に使えるようになります。

お金の管理がしやすくなる

給与デジタル払いには、従業員が自分のお金を管理しやすくなるというメリットもあります。給与をデジタル払いにするには従業員の同意が必要ですが、その際、デジタル給与として受け取る範囲や金額を従業員自身が設定できます。「月々の給与のうち◯万円だけをデジタル払いにして、残りは銀行振込などにする」など、都合に合わせて設定できるので、生活費や貯蓄などの管理を行いやすくなります。

使い慣れたキャッシュレス決済サービスを利用できる

従業員が現在使用しているキャッシュレス決済サービスと、企業が利用する資金移動業者が同じであれば、スマートフォンに新たなアプリを入れる必要もなく、使い慣れたキャッシュレス決済サービスをスムーズに利用できます。

なお、従業員がデジタル給与の受け取りに利用できるのは、厚生労働大臣の指定を受け、なおかつ企業と従業員が労使協定を締結した範囲の資金移動業者の口座に限られます。企業が利用する資金移動業者と、従業員が普段利用しているキャッシュレス決済サービスが異なる可能性も十分考えられるでしょう。

希望の資金移動業者を使えない場合は、①企業が指定する資金移動業者の口座を新たに開設するか、②デジタル払いでの給与受け取りを一時断念しなくてはなりません。

給与デジタル払いの企業側のデメリット

給与デジタル払いにはメリットがある一方、知っておきたいデメリットもあります。企業側に考えられるデメリットとしては、以下のようなものがあります。

給与支払い業務の増加

給与デジタル払いを利用するかどうかは各従業員の任意であり、企業から強制することはできません。デジタル給与を希望しない従業員に対しては、従来どおりの方法による給与支払いが必要です。

また、デジタル給与を希望したとしても、全額ではなく「給与の一部のみをデジタル払いにしたい」と考える従業員もいるでしょう。企業にとっては、銀行振込とデジタル払いという2種類の給与支払い方法に対応しなければならず、それぞれの振込手数料が必要となるうえ、業務負担も増加する可能性があります。

管理コストの増加

給与デジタル払いを導入する場合、従業員の同意書や口座情報など、管理しなければならない情報が増えます。従来の給与支払いに利用していた銀行口座の情報などに加え、新たな情報についても、漏えい等がないよう適切に管理できる体制を整えなければなりません。

給与支払い方法の多様化に伴うフローの作成や、従業員ごとの支払い方法の管理など、業務負担や管理コストが増加する可能性があります。

給与デジタル払いの従業員側のデメリット

利便性が高くメリットが大きいと思われがちな従業員側にとっても、給与デジタル払いは以下のようなデメリットがあるため注意が必要です。

口座入金額の上限が100万円

資金移動業者の口座は預貯金口座ではないため、入金できる金額の上限が100万円までと定められています。100万円を超えた場合は、あらかじめ従業員が指定した銀行口座に自動的に出金されますが、その際の送金手数料は従業員負担となる可能性があります。

セキュリティ対策が必要

給与のデジタル払いを利用する際には、給与を受け取る従業員側もセキュリティ対策が必要です。特に、電子マネーは現金に比べて送金が容易なので、不正利用の被害を防ぐために、日ごろからスマートフォンなどのセキュリティ対策に注意を払うことが大切です。スマートフォンの紛失や盗難、決済アプリの不具合、不正利用リスクなどへの対処法についても、十分認識しておく必要があります。

指定資金移動業者の破綻時の不安

給与デジタル払いは新しい制度なので、万が一指定資金移動業者が破綻したときにはどうなるかという前例がありません。給与受け取りに利用していた資金移動業者が破綻した場合は、口座の残高が保証機関から速やかに弁済されることになっていますが、具体的な弁済方法は資金移動業者ごとに異なります。もしもの場合に備え、破綻時の対応についてもあらかじめ確認しておくことが大切です。

給与デジタル払い導入の流れ

給与デジタル払いは、従来の口座振込による給与支払いよりも、導入手続きが複雑です。給与デジタル払いが開始されたときに、スムーズに対応できるよう、導入の流れを把握しておきましょう。

1. 事前準備

まず事前準備として、給与デジタル払いに対する従業員のニーズを確認しましょう。デジタル給与のメリット・デメリットを把握したうえで、従業員の意向をヒアリングやアンケートなどで調査します。制度の周知を含め、従業員にどの程度のニーズがあるかを確認しておくことで、「コストをかけて給与デジタル払いを導入したのに、あまり利用されない」というようなミスマッチ防止につながります。

2. 労使協定の締結

給与デジタル払いの導入にあたっては、企業と従業員の間で労使協定を結ばなければなりません。労使協定を締結する際には、デジタル給与の対象となる従業員の範囲や、対象となる賃金の範囲とその金額、実施開始時期、指定資金移動業者の選定などについて合意が必要です。労使協定は、労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で締結します。

3. 指定資金移動業者の決定

厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の中から、給与デジタル払いに利用する事業者を選定します。同時に、給与規程の改定も必要です。
改定後、事業所の常用労働者数が10人以上の場合には、労働基準監督署への届出を行います。

4. 従業員へ運用開始の周知

労使協定の締結や給与規程の改定内容について従業員に説明し、給与デジタル払いの運用開始を社内に周知します。利用可能な資金移動業者のほか、同意書や口座IDといった届出が必要な情報などについても、しっかりと告知しておきましょう。必要に応じて説明会など開催することを推奨します。

5. 給与デジタル払い希望者からの同意書提出

給与デジタル払いを行うには、希望する従業員から同意書を提出してもらう必要があります。同意書には決まった様式はありませんが、主に以下のような項目を記載します。厚生労働省のウェブサイトに「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書新規タブで開く」の例が公開されているので、参考にしてみてください。

同意書の主な記載項目

  • 内容確認
  • 同意の有無
  • 資金移動業者に移動する賃金の範囲と金額
  • 指定資金移動業者名、サービス名、口座番号(アカウントID)、名義人
  • 資金移動業者口座への支払い開始希望時期
  • 代替口座として指定する金融機関名、預貯金の種類、口座番号、名義人

従業員から同意書を受け取ったら、希望する開始時期より給与のデジタル払いがスタートとなります。

給与のデジタル払いなど、給与に関する業務の増加に給与計算ソフトを

2023年4月の改正労働基準法の施行により、給与のデジタル払いが解禁となりました。給与デジタル払いにはメリットがあるものの、企業側にとっては支払い業務や管理業務の負担が増加するなどのデメリットもあります。給与デジタル払いが開始されたときスムーズに対応するには、運用フローや管理体制をしっかり想定しておく必要があります。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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