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賃金とは?定義や給与との違い、支払いでの注意点などを解説

賃金とは?定義や給与との違い、支払いでの注意点などを解説

賃金は、企業などの雇用側が従業員の労働に対して支払うものです。基本給の他、残業代や各種手当も含まれます。労働基準法では、賃金に関するさまざまなルールが定められ、違反をすると罰則の対象になることもあります。従業員を雇用する際は、賃金の定義や支払方法などを正しく理解しておかなければなりません。

本記事では、労働基準法や所得税法における賃金の定義や、賃金と額面や手取りとの違い、使用者が知っておくべき賃金のルール、支払方法などについて解説します。

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賃金とは労働の対償として支払うすべてのもの

賃金とは、使用者である企業などが従業員に、労働への報酬として払うすべての金額を指します。

労働基準法第11条では賃金とは、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定義されています。基本給や時間外手当の他、住宅手当や家族手当など、該当する従業員にのみ支払われる手当も、労働協約、就業規則、賃金規程、労働契約などで支給条件が定められていれば、すべて賃金に含まれます。

賃金については、労働基準法第15条において明示義務が定められており、労働契約を締結する際、使用者は労働者に対して賃金の額や支払方法などを、書面(労働条件通知書)で明示しなければなりません。また、就業規則にも、賃金の決定方法、計算方法、支払方法などを記載する必要があります。なお、賃金については詳細な取り決めが必要になるため、就業規則とは別に賃金規程(給与規程)を作成することも可能です。

労働条件通知書についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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法律の違いによる賃金の定義

同じ賃金でも、労働基準法と所得税法では、取り扱いが多少異なります。それぞれの定義の違いについて解説します。

労働基準法上の賃金とは?

労働基準法による賃金の定義は、賃金・給与・手当・賞与など労働への報酬として、使用者が労働者に払うものすべてを指します。手当の名称にかかわらず、労働の対償であることが条件です。もちろん、残業代も含まれます。

労働基準法が目的とするのは労働者の保護です。役員は会社に使用される労働者ではないため、取締役、会計参与、監査役に支給される役員報酬については、労働基準法上の賃金に該当しません。

賃金に含まれないもの

前述したように、賃金とは「労働の対償として労働者に対し使用者が支払うすべてのもの」です。会社から払われるものであっても、労働への報酬ではない「実費弁償的なもの」と「恩恵的なもの」は賃金に該当しません。

実費弁償的なものとしては、出張旅費、宿泊費、移転料、寝具手当、工具手当、制服・作業服費、車両手当・通信手当(従業員の車や携帯電話を業務に利用した場合に、使用状況に応じて支給するもの) が挙げられます。また、恩恵的なものとしては災害見舞金、結婚祝金、死亡弔慰金があります。 

所得税法上の賃金とは?

所得税法第28条では、「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」と定めています。

労働基準法が労働者の保護を目的として、労働条件の最低基準を定めているのに対し、所得税法は個人の所得に対する公平な課税を目的としています。そのため、所得税法においては、賃金のみならず役員報酬なども含めた広い範囲を「給与」として捉え、課税対象としています。

また、賃金に当たる各種の手当は、基本的に給与所得にも該当しますが、一定額以下の通勤手当や出張手当、宿直手当などは所得税法において非課税となる場合があります。

通勤手当については、こちらの記事で解説しています。

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賃金と給与・額面・手取りの違い

賃金について区別がつきにくいのが、「給与」「額面」「手取り」との違いです。これらの言葉は混同されやすいため、それぞれの意味を明確に理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの違いについてわかりやすく解説します。

賃金と給与の違い

賃金は労働基準法など労働関係の法律で使用される用語で、給与は主に所得税法で使われる用語です。賃金は従業員に毎月支払われる報酬の総称であり、給与は従業員と役員に支払われる報酬の総称となります。

賃金と給与は似ていますが、対象となる手当の範囲や定義に違いがあります。賃金では通勤に関する手当を含めた総支給額が基準となり、労働基準法で定められた「労働の対価として支払われるすべてのもの」を指します。

一方、給与は、会社などの雇用主が従業員に対して支払う労働の対価全般を示す一般的な総称であり、基本給や諸手当、賞与なども含みます。

なお、所得税法第28条第2項では、給与所得は「その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額」と定められています。つまり、給与所得とは、給与や賞与などの収入金額(給与等)の合計から、給与所得控除を差し引いた金額を指します。

なお、給料という言い方もありますが、厳密な定義はありません。一般的には、給与は基本給に加えて残業代や各種手当を含めた総支給額を指し、「給料」はその中の基本給部分を意味することが多いといえます。

賃金と額面の違い

額面は、給与明細に記載されている従業員に払う報酬の総額のことです。賃金とほぼ同じ意味で使用され、基本給にプラスして、残業代や各種手当を含みます。社会保険料や税金などを控除する前の総支給額となるため、一見すると額が大きいように感じますが、実際に従業員が受け取るのは控除後の金額です。給与明細には一般的に、「総支給金額」として記載していることが多いようです。

賃金と手取りの違い

手取りとは、従業員が実際に受け取る金額のことであり、額面(賃金)から社会保険料などを控除した金額を指します。給与明細には「差し引き支給額」として記載されることが多く、一般的に、額面の70~80パーセント程度です。額面から控除される主なものには以下があります。

  • 税金:住民税、所得税
  • 社会保険料:厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、介護保険料など
  • 企業によっては旅行積立金や組合費、財形貯蓄など

住民税は、前年の所得に基づいて課税されます。一般的には、学生で前年に所得がない場合は社会人1年目の課税はなく、2年目の6月から住民税が天引きされることが多いです。ただし、社会人1年目でも、前年に一定以上の所得があれば課税されます。介護保険については従業員が40歳以上になると、加入が義務付けられています。

社会保険料、源泉所得税については以下の記事で解説しています。

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賃金額には原則が定められている

賃金の額は、使用者である企業が独自に決定できますが、労働基準法などで定められた、以下の原則に基づいて決定する必要があります。

男女同一賃金の原則

労働基準法第4条には、性別による賃金格差を禁じる規定があり、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならない」と定められています。したがって、男女を別々に採用し、異なる賃金体系を適用したり、性別を理由に格差のある賃金制度を設けたりすることは、労働基準法違反となります。

また、生計維持者でないことを理由に賃金を引き下げることも違反となります。ただし、個人の技術力、年齢、勤続年数、職務内容の相違などに基づく賃金の差は、法律違反には該当しません。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、正規雇用者とパートや派遣などの非正規雇用者との間にある不合理な待遇差を解消するために、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)を基に厚生労働省によるガイドラインで示されている制度です。

正社員や契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、同一事業所内で同じ仕事をする従業員に対しては同じ水準の賃金を払わなければなりません。

その同一労働同一賃金のベースとなる考え方に、「均等・均衡待遇」があります。これは、職務内容が同じであれば、同じ賃金を払う必要があり、職務の内容に合理的な差があれば、それに応じた賃金を払うというものです。雇用形態の違いのみを理由に、賃金や福利厚生などの待遇に関して、不合理に差を設けることを禁じています。

最低賃金制度

最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が定めた賃金の最低限度額のことです。使用者は従業員に対して、最低賃金以上を払わなければなりません。

最低賃金は最低賃金法第3条により「時間によって定めるものとする」とされています。最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業を対象にした「特定(産業別)最低賃金」があります。地域別最低賃金は産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。

「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の両方に該当する場合は、高い方の金額が適用されます。最低賃金額以上となっているかどうかは、月の賃金額を時間当たりの金額に換算したものを、その従業員が働く都道府県および産業の、地域別最低賃金および特定(産業別)最低賃金の時間額と比較することで調べられます。従業員が働く産業に特定(産業別)最低賃金が定められていない場合は、地域別最低賃金との比較のみです。

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賃金支払の五原則

労働基準法第24条では、支払方法についても定めています。「賃金支払の五原則」とも言われる、それぞれの内容について解説します。

通貨払の原則

労働基準法第24条の冒頭では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。つまり、賃金は現金で支払わなければならず、旅行券やギフト券、商品券などの金券で支払うことは違反です。ただし、労働協約による定めがあれば、現物支給が認められる場合があります。また、本人の承諾があるなど一定の条件を満たせば、指定された口座への振り込みが可能です。

直接払の原則

労働基準法第24条にあるように、従業員本人に賃金を直接払わなければなりません。従業員の親権者や家族・親族、法定代理人や委任を受けた任意代理人であっても、本人以外の人に賃金を支払うことは違反となります。

ただし、代理人への支払いは禁じられていますが、「使者」についてはこの限りではありません。例えば本人が病気や入院中などの場合に、使者(本人が依頼した第三者)が賃金を受け取ることは認められます。代理人と使者の判別は難しいですが、本人に支払うのと同一の効果があるかどうかが判断基準です。また、従業員が借金をしている場合に、債権者から会社に支払いを請求されたケースでも、支払いは違法とされます。ただし、国税徴収法および民事執行法による賃金の差し押さえがされた場合は、債権者に支払うことが可能です。

全額払の原則

賃金は、労働者に対してその全額を支払わなければなりません。例えば、銀行振込で賃金を支払う際に振込手数料を差し引くことは、全額払いの原則に反するため違反となります。また、会社が労働者に金銭を貸し付けていたとしても、その債権と賃金を相殺することはできません。ただし、法令で控除が認められている社会保険料や税金、労使協定であらかじめ取り決めのある社内預金や積立金、社宅賃料などは、賃金から差し引くことが可能です。

毎月払の原則

労働基準法第24条第2項には、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定めており、賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。たとえ年俸制であっても同様です。また、月の途中で入社した場合も、翌月にまとめて2か月分の賃金を支払うことは認められません。

ただし、臨時に支払われる賃金や賞与、労働基準法施行規則第8条に定められた算定期間が1か月を超える手当などについては、例外として毎月の支払いでなくても問題ありません。

一定期日払の原則

支払日が不安定で間隔が一定しないことによって、労働者が計画的に生活を送ることが困難になることを防ぐために設けられた原則です。賞与のように臨時に支払われるものを除き、賃金は「毎月○○日」など、支払日を明確に特定しなければなりません。例えば、月給制で「毎月第4金曜日」と定めたり、「売上ノルマを達成しだい」などの条件により支払日が変動したりするような場合は、労働基準法違反となります。

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賃金の支払いについての注意点

賃金の支払いについては、労働基準法でいくつかのルールが定められています。これらのルールを把握しておくことで、トラブルの防止につながります。ここでは、賃金の支払いに関する主な法律の内容について解説します。

非常時は期日前でも賃金の支払い義務がある

労働基準法第25条では、「使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない」と定めています。

非常の場合とは、労働者本人または労働者の収入によって生計を維持する人の、出産や疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事情による1週間以上の帰郷を指します。このような非常時に際して労働者から請求があった場合は、支払期日前であっても、会社は既に行われた労働に対する賃金を支払う義務があります。

賃金の原則に違反すると罰則がある

賃金支払の五原則に反すると、労働基準法第24条違反となり、30万円以下の罰金となります。さらに、時間外労働や休日労働、深夜労働に伴う割増賃金が未払いだった場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となるので注意してください。

最低賃金以上の賃金を支払わなかった場合も、最低賃金法や労働基準法に罰則が規定されています。賃金額が地域別最低賃金額を下回った場合は50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額を下回った場合は30万円以下の罰金です。

賃金請求権の時効が延長されている

賃金が正しく支払われなかった場合、労働者は会社などの使用者に対して未払賃金を請求できます。例えば「給与計算にミスがあった」「割増賃金が適切に支払われていない」などで未払賃金があった場合、過去にさかのぼって多額の請求が行われる可能性があります。最低賃金を下回っている場合にも差額が請求されます。

なお、未払賃金の請求権には時効がありますが、2020年4月1日施行の改正労働基準法によって、消滅時効期間は従来の2年から5年に延長されました。ただし、経過措置として当分の間は消滅時効期間が3年となっています(2025年4月19日現在)。

また、時効期間延長の対象となるのは、賃金、休業手当、出来高払いの保障給、年次有給休暇中の賃金、時間外・休日労働などに対する割増賃金、非常時払、未成年者の賃金です。

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賃金は、法律により明確なルールが定められています。特に労働基準法第24条に記されている「賃金支払の五原則」は、適切な賃金管理を行ううえで重要な基本です。たとえ計算ミスであっても、未払いが発生すれば従業員に不利益を与えてしまい、信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。正確な賃金の支払いを実現するためには、賃金に含まれるもの・含まれないものを正しく理解し、ミスや漏れのない計算を行うことが大切です。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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