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欠勤とは?企業に与える影響・給与計算方法を徹底解説

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何らかの理由で従業員が欠勤した場合、その従業員が担当している業務だけでなく、所属している部署全体の進捗に遅れが生じます。それだけでなく、勤怠管理や給与計算も、通常より複雑な処理を行う必要があります。

企業で人事労務業務に携わっているものの、欠勤・有給休暇・休職・休業の違いがあいまいになっているという方も少なくないかもしれません。本記事では、欠勤の概要と休みの種類によって異なる対応の違い、欠勤時の給与計算方法などについて詳しく解説します。

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欠勤とは

欠勤とは、従業員が本来勤務すべき日に従業員側の都合で出勤せず、企業へ労働力を提供しないことです。

自己都合の場合、企業は欠勤した日の給与を従業員へ支給する義務はありません。具体例として、体調不良や私用、子育てまたは介護といった家庭の事情、冠婚葬祭などの慶弔が挙げられます。ただし、法律的には欠勤について明確な定義はありません。そのため、欠勤の厳密な定義や取り扱いは、各企業が就業規則に則って処理するのが一般的です。

例えば、企業によっては、福利厚生の一環として病気休暇や慶弔休暇を認めているケースもあります。この場合、欠勤としては扱わず、有給休暇と同様に給与を支給する企業が多いようです。なお、振替休日など、事前に予定された休みは欠勤に該当しません。

有給休暇との違い

欠勤と有給休暇の最も異なる点は、給与支払いの有無です。有給休暇とは、労働基準法に基づき、一定の条件を満たした労働者への付与が企業に義務付けられている休暇であり、休暇中も給与の支払いが発生します。労働基準法第39条によって、企業は6か月以上の継続雇用で所定労働日の8割以上出勤した従業員に対して、10日以上の有給休暇を付与しなければなりません。また原則的に、有給休暇を取得する際は事前申請が必要だと明記しています。

その一方で、通常の欠勤の場合は、給与の支払いは発生しません。既定の有給休暇を使い果たした後に、個人的な理由で休みを取る場合、有給休暇の事前申請ができなかったときは欠勤扱いとするのが一般的です。

休職との違い

欠勤と休職の主な違いは、期間と企業の命令の有無です。基本的に、欠勤とは1~数日程度の休みを指します。欠勤の理由には、急な体調不良や家庭の事情が多いため、欠勤の連絡は当日受けることが多く、中には無断欠勤となっているケースもあるかもしれません。

その一方で、休職とは、1か月以上といった長期間にわたる休みを指しているのが一般的です。休職の理由として、傷病の治療や家族の介護、育児、学び直しなどが挙げられます。休みが長期となれば業務に影響するため、企業が従業員の状況を確認し休職命令を行います。休職期間中の場合、基本的に給与は支給しません。ただし、就業規則によっては、特定の条件下で手当を支給する企業もあるようです。

休業との違い

欠勤と休業は、休む理由が従業員側にあるか、企業側にあるかで判断します。先述のとおり、欠勤は従業員の個人的な理由によって発生しますが、休業は業績悪化や自然災害、設備の不具合など、企業側の事情や外的要因によって労働者が業務を行えないため発生する休みです。

休業中は、労働基準法第26条に基づき、企業側が平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務が生じます。欠勤と異なり、休業は労働者の意思にかかわらず発生するため、法的な保障が整備されています。

従業員の欠勤が企業に与える影響

欠勤は、従業員にとって、どうしようもない事情で生じるケースも多々あります。しかし、あまりに欠勤が頻発すると、業務の停滞や職場全体の士気が低下するなどの可能性があるため、適切な対応が求められます。

業務を遅延・中断しなければならなくなる

企業は各従業員を労働力として計算したうえで、事業・業務の計画を立てています。そのため、急な欠勤が発生すると、その従業員が担当する業務が宙に浮いてしまうため、他の従業員がカバーしなければなりません。きちんと業務が引き継がれていない状態では、予定どおりに業務を遂行するのは困難です。

また、業務を肩代わりした従業員には、もともと抱えている業務があるため、大きな負担が生じます。このように、予定外の欠勤が多い従業員がいると、その影響が連鎖的に広がっていくため、業務やプロジェクトの遅延や中断を招くおそれがあります。

企業の秩序が乱れる

従業員の欠勤が頻発した場合、組織内での秩序の乱れや職場全体の士気が低下する可能性もあります。欠勤した従業員の穴を埋めるために、他の従業員の業務量が増えてしまうと、不満やストレスが高まりやすくなり、モチベーションの低下や生産性の低下につながりかねません。

特に、欠勤の理由が社会的に共感されにくかったり、無断欠勤であったりした場合は注意が必要です。欠勤者に対する不信感が強くなり、場合によっては、職場の雰囲気や人間関係が悪化することも考えられます。また「あの人が許されるなら自分も」といったように、職場の規律が緩む可能性もあります。そのような事態に陥れば、従業員の離職率の上昇や組織全体の統率力の低下にもつながりかねません。

従業員が欠勤した場合の給与計算には「欠勤控除」を用いる

原則的に、従業員が欠勤した場合、欠勤した分の給与を基本給から差し引く「欠勤控除」という処理を行います。欠勤控除は「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づくものであり、欠勤した分の給与を差し引いて求めるのが一般的です。

欠勤控除の計算方法

月給制の場合、欠勤控除の計算は以下の手順で行います。

(1)1日当たりの給与額を算出
最初に、その月の所定労働日数で月給を割り、1日あたりの給与額を求めます。なお、月の所定労働日数を求める計算式は「年間の所定労働日数÷12(か月)」です。
  • 1日当たりの給与額 = 月の給与額 ÷ 月の所定労働日数
(2)欠勤日数を乗じて控除額を算出
次に(1)で計算した1日当たりの給与額に欠勤日数を乗じ、控除額を算出します。
  • 欠勤控除額 = 1日あたりの給与額×欠勤日数

なお、遅刻や早退の場合にも「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、欠勤控除の処理が必要です。ただし、遅刻や早退時の欠勤控除は、以下のように1分単位で計算します。

  • 欠勤控除額=(月の給与額÷月の所定労働時間数)×欠勤時間数

欠勤控除についてはこちらの記事で解説しています。

欠勤が多い従業員にどのように対応すべきか

特定の従業員の欠勤が続く場合、本人の事情や法令を考慮しながら適切に対応することが大切です。

従業員本人から欠勤理由を聞く

まず、欠勤した理由を本人に確認する必要があります。

勤怠管理システムなどを活用している場合は、従業員と面談する前にこれまでの欠勤状況を客観的に整理しておくと良いでしょう。弥生のクラウド給与サービスを活用すれば、勤怠管理システムと連携することで、欠勤時の給与計算を自動化することが可能です。欠勤日数や欠勤控除額などの客観的なデータを示すことで、欠勤が企業と従業員双方に与える影響も認識しやすくなります。

理由が不合理な場合は改善指導をする

欠勤の理由が正当でなかった場合、対象となる従業員に改善指導を行います。

例えば、寝坊や二日酔いといったような生活習慣に起因する欠勤には、生活改善の指導を行います。産業医を通じて、健康管理や生活改善に関するアドバイスを提供するのも効果的です。また、従業員自身に改善計画を立ててもらい、それを報告書として提出してもらうようにすれば、主体性と責任感をもって改善に取り組めるようになります。

もし可能であれば、フレックスタイム制の導入を検討するのも1つの方法です。ただし、フレックスタイム制は、従業員のライフスタイルに合わせやすい一方で、勤怠管理や給与計算が複雑化します。必要に応じてツールの見直しも行いましょう。

理由によっては休職も視野にいれた話し合いをする

欠勤が頻繁に発生し、なおかつ欠勤理由の早期解消が困難な場合には、従業員へ一定期間の休職を提案するのも解決策の1つです。特に、体調不良や家庭の事情が理由となっている場合、本人の意思や努力だけでは早期に解決できないことがあります。この場合、一旦まとまった休職期間を設けることで、従業員は原因に対して落ち着いて対処できるでしょう。また、企業側にとっても不安定な出勤状況によって業務が滞るリスクを軽減できます。

なお、休職を提案する際は、従業員の健康や生活を配慮し、前向きにサポートするメッセージを伝えるよう意識しましょう。「十分に回復できるよう、ゆっくり休んでからまた復帰してほしい」といったように、前向きな姿勢を示して従業員の不安を軽減し、信頼関係を維持できるように努めましょう。

即時解雇はできない

無断欠勤が発覚したとしても、対象者を即時に解雇することは法的に認められていません。従業員を解雇する際、企業は30日前に予告を行うか、30日分以上の平均賃金を支払う義務があると労働基準法に明記されています。また、解雇するためには、その処置が仕方にない判断だと認められるだけの正当な理由が必要です。

解雇が適切かどうかは、欠勤の頻度や理由、企業の事情などを総合的に判断したうえで決まるため、慎重な対応が求められます。「注意や指導をしたのに改善が見受けられない」などの記録を取っておくことも大切です。解雇が適切かどうか客観的に判断するためにも、勤怠管理システムなどを活用し、従業員1人ひとりの欠勤状況を正確に把握できる体制を整備しましょう。

欠勤時の取り決めはあらかじめ明確にしておく

欠勤に関するルールは、あらかじめ就業規則や労働契約に明記しておきましょう。具体的には、欠勤時の連絡方法、欠勤控除の計算方法、許容される欠勤の範囲などを明示することで、労使関係のトラブルを未然に防ぐことが可能です。

特に無断欠勤や頻繁な欠勤に対して解雇や減給・降格などの罰則を課す場合、企業側は明確なルールに基づいて対応する必要があります。従業員に対して、欠勤に関する企業の方針を事前に示しておけば、不合理な理由による欠勤を自制してくれる可能性が高くなります。

従業員の欠勤管理には「勤怠管理システム」がおすすめ

従業員の欠勤管理や給与計算を素早く正確に行うには、勤怠管理システムの導入が有用です。勤怠管理システムを利用すると、従業員の出勤状況や欠勤データを簡単に把握できるため、給与計算に必要なデータもリアルタイムに更新できるようになります。

また、法改正や制度変更があった際、迅速に対応できるツールがあれば、常に最新の法規に基づいた正しい計算を行えます。これにより、担当者が法改正に対応しきれないことで起こるトラブルも未然に防ぐことが可能です。

また、勤怠管理システムとスムーズに連携できるクラウド給与サービスを活用すれば、大幅な業務効率化が見込めます。弥生のクラウド給与サービスを活用すれば、従業員の勤怠データを自動的に取り込めるため、データに基づいた正しい給与計算を素早く行えます。さらに、シンプルでわかりやすい画面構成となっているため、導入初期からスムーズに運用できる点も弥生のクラウド給与サービスの大きな強みです。

欠勤について理解を深めて適切に対処しよう

欠勤とは、有給休暇や企業の休暇制度の範囲外で、従業員の私的な理由で取得する休みです。欠勤は有給休暇と異なり、休んだ分の給与を支給する義務がありません。また、頻発する欠勤は業務に多大な影響を及ぼしかねないため、問題を解決するための適切な対応が求められます。

勤怠管理や給与計算など、複雑な業務の負担を軽減するには、勤怠管理システムとクラウド給与サービスを連携して活用するのがおすすめです。業務効率化を目指し、「弥生給与 Next」の導入をぜひご検討ください。

  • 本記事は2024年9月時点の情報を基に執筆しています。

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この記事の監修者勝山 未夢(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。 立命館大学法学部国際法務特修卒業後、新卒より社会保険労務士法人にて勤務。

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