「確定申告が済んだあと」に保存しておくべき書類
執筆者:柳原つつじ
2023/08/01更新
確定申告時には、領収書や請求書など、さまざまな資料をかき集める必要があります。「なぜ、もっと早くから整理しておかなかったのだろう……」と過去の自分を呪いながら、なんとか確定申告を終えたという人も少なくないでしょう。しかし、確定申告が終われば用なしではなく、保管すべき書類があります。解説していきましょう。
POINT
- 「確定申告書」の控えはさまざまな申請に用いる可能性がある
- 請求書の保存期間は、個人では5年
- 個人事業主の帳簿書類の保存期間は、青色申告では7年、白色申告では5年
確定申告書の控えを保存
所得税の確定申告書を提出すると、捺印された控えを受け取ります。確定申告書の控えは、住宅ローンや自動車ローン、奨学金などの申請に必要となります。お子さんがいる場合は、学童保育などの申し込み手続きに必要になることもあります。控えだからといって放置することなく、しっかりと保存しておきましょう。
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請求書の保存期間は?
見積書・納品書・請求書なども保存しておかなければなりません。これらは「証憑(しょうひょう)書類」と呼ばれており、法人税法、所得税法、消費税法などで保存期間が定められています。また、個人か法人かで保存するべき期間が異なります。
個人事業主は5年間、請求書を保存しなければなりません。白色申告でも、青色申告でも同じです。個人の場合も、保存期間は請求書の日付からではなく、確定申告の期限日(3月15日)からカウントします。
また、注意したいのが、消費税を納税している場合です。消費税の納税義務者は、帳簿および請求書などを7年間、保存する必要があります。あやまって5年で処分してしまわないように、注意しましょう。
そして、2023年10月1日に開始するインボイス制度。インボイス制度開始後は、インボイス(適格請求書)を受け取った課税事業者が仕入税額控除を受ける場合には原則、個人か法人かにかかわらず、該当の請求書を7年間保存しなければいけません。
売手側もインボイス(適格請求書)の控えを作成・保管することが適格請求書発行事業者の義務になります。そのうえで、インボイス(適格請求書)の発行側(売手側)は、控えも7年間保存します。2023年分以降は、個人事業主であっても請求書を7年間保存すれば、間違いが起こりにくいでしょう。
今回は、確定申告が終わった後の書類保存についてご紹介しているので、法人については割愛します。
法人についてはこちらの記事「請求書の保管期間とは?保存年数やおすすめの保管方法を徹底解説」を参照ください。
領収書の保存期間
膨大な量になりがちな領収書もまた、保存すべき書類のひとつです。
帳簿書類の保存期間については、個人事業主の場合、青色申告の場合には7年間保存しなければなりませんが、白色申告の場合は5年間保存することが義務づけられています。
なお、2023年10月に開始されるインボイス制度開始後は、インボイス(適格請求書)を受け取った課税事業者が仕入税額控除を受ける場合には原則、個人か法人かにかかわらず、該当の請求書を7年間保存しなければいけません。
「適格”請求書”」とありますが、請求書だけでなく、必要な項目を満たしていれば、納品書・領収書・レシートなど名称は問いません。そのため、2023年分以降は、個人事業主であっても課税事業者の場合は、領収書を7年間保存すれば、間違いが起こりにくいでしょう。
以上、確定申告後に保存しておくべき書類について説明しました。
保存方法については、原則としては紙で保存しなければなりません。しかし、請求書を保管するにあたって、気をつけなければならないのが2022年1月の電子帳簿保存法改正です。
この電子帳簿保存法の改正によって、2022年1月1日以降、電子データとして受け取った請求書は、原則として紙に印刷して保存することができなくなりました。ただし、2年間の猶予(正確には宥恕)があるため、完全に電子的な保存が義務付けられるのは2024年1月1日からです。猶予期間に、電子的に受け取った請求書の管理方法について検討してください。
photo:Getty Images
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この記事の執筆者柳原つつじ
出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。