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個人事業主に税理士はいらない?依頼すべきケースや費用相場を解説

監修者: 高崎 文秀

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個人事業主の中には、確定申告に悩む方も多いかと思います。特に経理の知識がない場合、不安になることもあります。このような場合、経理に詳しい税理士への依頼が有効です。ただし、費用の相場やどのような場合に依頼すればいいかわからない方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、個人事業主が税理士に依頼すべきケースや費用相場について紹介します。また、売上の目安や依頼方法、スポット契約の活用など、具体的なケースについても解説します。

個人事業主に税理士はいらない?

個人事業主といっても、その業種や事業規模はさまざまです。そのため、税理士が必要かどうかはケースバイケースとなります。最近では会計ソフトの進化により、税理士に依頼せずとも申告ができるケースも増えています。

ただし、確定申告(青色申告の場合)には簿記の知識が必要です。経理の知識がない場合や、数字の管理が苦手な場合は、税理士に依頼することで正確に申告できます。特に、売上が増えて会計処理が複雑になると、税理士に依頼した方が効率的で結果的に節税につながることもあります。

判断に迷う場合は、自身の会計知識や確定申告にかけられる時間、収入規模、そして事務処理の負担を総合的に考慮しましょう。

税理士への依頼がおすすめのケース

税理士は、確定申告や日々の会計処理に不安がある個人事業主にとって心強い味方です。ここでは、税理士への依頼がおすすめのケースについて解説します。

売上が多い

売上が多い個人事業主は、取引件数が増えるため日々の帳簿管理や会計処理の負担が大きくなります。取引の種類が多様化すると仕訳の判断が難しくなり、ミスが発生するリスクも高まります。税理士に依頼することで、正確な仕訳や節税対策のアドバイスを受けられ、事業運営の負担を軽減することが可能です。

税理士へ依頼する売上の目安は、課税売上が1,000万円を超える場合です。課税売上が1,000万円を超えると、2年後から自動的に課税事業者となり消費税の納税義務が発生します。消費税の計算は複雑なため、税理士に依頼することで申告ミスを防ぐことができます。

課税事業者についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

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インボイス登録事業者である

インボイス制度の導入により、課税売上が1,000万円未満でもインボイス登録事業者として登録すると、消費税の納税義務が発生します。登録事業者は、インボイスの発行・保存に加え、消費税の計算を正確に行う必要があります。

消費税の計算では、標準税率10%と軽減税率8%が混在し、原則課税という方式であれば仕入税額控除の計算も必要なため、所得税よりも複雑です。税理士に依頼することで、ミスのない正確な計算と適切な申告ができるため、安心して対応できます。

インボイス制度についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

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会計処理に自信がない

確定申告では、収入や支出を正確に記録し、適切な帳簿管理を行う必要があります。会計処理に自信がない場合や、数字の管理が苦手な場合は、ミスによる税務リスクを避けるために税理士のサポートを検討しましょう。

ただし、事業を始めたばかりで収入が少なく、白色申告であれば、ある程度の勉強で対応できる場合もあります。そのため、事業規模が拡大した際や青色申告に移行するタイミングで税理士に相談するのが理想的です。

税理士への依頼が不要なケース

税理士への依頼が必ずしも必要ではないケースもあります。事業規模や自身の知識レベルによっては、自分で会計処理や申告を行うことが可能です。以下では、具体的なケースについて解説します。

小規模である

事業が小規模の場合は、税理士に依頼せずに自分で確定申告を行えるケースがほとんどです。特に創業初年度で売上がほとんどない場合や、事業を試験的にスタートさせている段階では、会計処理や申告の負担が少なく節税効果も期待しにくいため、税理士への依頼は不要です。

また、収入や経費がシンプルであれば、帳簿の記録も比較的簡単に行えます。例えば、日々の売上や経費の記録を単純な一覧にまとめるだけでも、白色申告の要件を満たせます。経理業務に不安がある場合でも、会計ソフトを活用すれば効率的に対応可能です。

ただし、今後の売上増加が見込める場合や、事業の拡大を予定している場合は、早めに税理士に相談することで、正確な申告や節税対策がしやすくなります。

知識があって自分で対応できる

簿記や税務に関する知識がある場合は、事業規模に関係なく、自分で確定申告を行うことも可能です。簿記資格を持っている場合や、時間に余裕があって必要な情報を調べられる方であれば、会計処理や税務申告を正確に行えます。

近年では、優れた会計ソフトも普及しており、仕訳入力や申告書の作成をサポートする機能も充実しています。特に、経費の集計や税額計算が自動化されているため、会計ソフトを使いこなせる人であれば、税理士に依頼せずとも正確な申告が可能です。

ただし、税制改正への対応や複雑な取引が発生する場合は、自分で対応しきれない可能性もあるため、必要に応じて税理士への依頼を検討しましょう。

個人事業主が税理士に依頼する場合の費用相場

税理士に依頼する際の費用は、依頼内容や契約形態によって大きく異なります。特に個人事業主の場合は、事業規模や売上に応じて必要なサポート範囲が変わるため、自身の事業に合った契約を選ぶことが重要です。

税理士に依頼する際、主にスポット契約と顧問契約の2種類があります。スポット契約とは、確定申告の時期など特定の業務のみを税理士に依頼する契約形態です。スポット契約は、依頼範囲が限定的なため、コストを抑えつつ専門家のサポートを受けられる点がメリットです。ただし、日常の経理業務や帳簿管理は自分で行う必要があり、あくまで一時的な依頼となります。確定申告書の作成・提出のみを依頼する場合、売上にもよりますが、費用相場は5〜10万円程度です。

一方、顧問契約は月々の経理業務や税務に関するアドバイスを継続的に依頼する契約形態です。顧問契約は、日常的な経理業務から確定申告まで一貫してサポートを受けられるため、経理の負担を大きく軽減できるのが魅力です。特に経理業務に不安がある人や、事業が成長して取引件数が増えてきた場合におすすめの契約形態です。売上が1,000万円以下の事業主の場合、顧問料の相場は月額2〜3万円程度です。さらに、記帳代行を依頼する場合は、月額5,000〜1万円の追加費用が発生します。

また、経理業務のすべてを税理士に任せたい場合は、顧問契約と確定申告の代行をセットで依頼することが一般的です。この場合の相場は、顧問料2〜3万円/月に加えて、確定申告のスポット費用5〜10万円がかかります。

税理士の費用は事務所によって大きく異なるため、複数の事務所を比較して選ぶことが大切です。また、契約内容やサービス範囲を事前にしっかり確認しておくと、後々のトラブルを防げます。

丸投げする際の費用相場については、以下の記事もご覧ください。

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税理士に依頼できる主な業務

税理士は、確定申告の代行に加え、さまざまな業務を請け負います。以下では、依頼できる具体的な業務について紹介します。

1. 記帳代行

記帳代行は、日々の取引内容を帳簿に記録する業務です。売上や経費のデータを基に帳簿を作成し、正確な会計処理をサポートします。

税理士に記帳代行を依頼する場合は、領収書や請求書、銀行口座の明細などをまとめて渡すか、会計ソフトを通じてデータを共有します。近年では、クラウド会計ソフトを使って取引データをリアルタイムで税理士と共有する方法が一般的です。

記帳代行を利用すると、煩雑な経理作業から解放されるだけでなく、帳簿の正確性も向上します。特に仕訳が多い事業や、経理業務に不安がある人にとって便利なサービスです。

2. 確定申告

確定申告は、事業所得や経費を申告し、所得税などの税金を納める手続きです。申告書の作成や必要書類の整理、税務署への提出までの一連の作業を税理士に代行してもらえます。

税理士に確定申告を依頼すると、申告漏れや計算ミスを防げるだけでなく、節税対策のアドバイスも受けられます。特に青色申告で特別控除を受ける場合は、正確な帳簿作成が求められるため、税理士のサポートが役立ちます。また、税理士によるサポートを受けることで、確定申告の負担が大きく軽減され、事業に集中できるのも大きなメリットです。

確定申告の代行の注意点については、以下の記事をご覧ください。

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3. 税務書類の作成

個人事業主が必要とする税務書類には、以下のようなものが該当します。

  • 個人事業等の決算書
  • 所得税・消費税の確定申告書
  • 償却資産税申告書
  • 源泉徴収票

これらの書類の作成代行は税理士の独占業務であり、専門的な知識が求められます。自分で作成するには手間や時間がかかるため、税理士に依頼することで業務負担を軽減できます。

4. 税務代理

税務代理は、税務署への対応を代理で行う業務で、税理士のみが行える独占業務の1つです。主に以下のような対応を依頼できます。

  • 税務署からの問い合わせへの対応
  • 税務調査への立ち会い
  • 税務トラブルに関する交渉

税務署から問い合わせがあった場合や税務調査の際に税理士が同席することで、適切な対応ができるだけでなく、予期せぬトラブルを未然に防げます。また、申告ミスを指摘された場合でも、税理士が交渉することで適切な解決策を見つけられます。

5. 税務相談

税務相談は、税金に関する疑問や手続きについて税理士に相談できるサービスで、独占業務の1つです。例えば、以下のような相談が可能です。

  • 青色申告の控除の適用条件
  • 必要な書類の種類や作成方法
  • 申告スケジュールの立て方

税理士に相談することで、最新の税制に基づいた適切なアドバイスを受けられます。また、年間の収支管理の最適化や節税対策、税務調査に関するリスク回避など、経営に関する多岐にわたるサポートを得られます。

個人事業主が税理士に依頼するメリット

税理士に依頼することで、経理業務の負担を軽減し、節税対策や資金調達のサポートを受けることが可能です。以下では、具体的なメリットについて解説します。

本業に集中でき時間の節約になる

日々の収支を正確に記帳することは、事業運営に必要な作業ですが、多くの個人事業主にとって手間のかかる作業でもあります。特に確定申告の時期が近づくと、膨大な作業量に追われることも少なくありません。

税理士に依頼すれば、経理業務を一任できるため、煩雑な作業から解放されます。浮いた時間を本業に費やすことで生産性が向上し、結果として売上アップにつながる可能性もあります。

正確に会計処理ができる

会計処理は専門知識が必要であり、慣れていないとミスを招きやすい作業です。小さなミスでも税務調査での否認の対象となる可能性があり、追徴課税のリスクが生じます。また知識がない方が自分でやると、どうしても時間がかかってしまうことが多くなります。

税理士は最新の税法に基づいて正確な会計処理を行い、適切な経費の計上などをサポートすることが可能です。これにより会計処理に関する悩みから解放されることができます。特に収入が増えるほど会計処理の複雑さが増す傾向にあるため、事業の成長に伴って税理士のサポートを受けることが推奨されます。

効果的な節税対策ができる

個人事業主は、正しく経費を計上することで税負担を軽減できます。ただし、個人事業主の中には経費の範囲や節税対策の方法を十分に理解できていない方も少なくありません。また、節税対策の方法を誤ると追徴課税の対象となるリスクもあるため、注意が必要です。

税理士は経費の仕訳方法や節税対策のノウハウを熟知しており、適切なアドバイスを行うことができます。例えば、家事按分の割合や減価償却資産の計上方法など、自分では気づきにくい節税ポイントを指摘してもらえるため、結果的に納税額の圧縮につながります。

融資や補助金申請のサポートが受けられる

事業の資金繰りにおいて、銀行融資や補助金の活用は重要な手段です。しかし、これらの申請には正確な財務データや事業計画書の提出が求められ、専門知識が必要です。

税理士に依頼すれば、申請に必要な書類の作成や手続きのサポートを受けられます。また、税理士が作成した書類は信頼性が高く、審査通過の可能性が上がります。さらに、補助金や助成金制度の最新情報についてもアドバイスを受けられるため、資金調達の選択肢が広がるのがメリットです。

従業員を雇うよりも安い

経理担当者を従業員として雇う場合、毎月の固定費が大きな負担となります。給与や社会保険料に加え、指導や管理といった教育コストも発生し、経理業務を任せるまでには時間がかかります。

一方、税理士に依頼すれば、コストを抑えることが可能です。税理士は税務のプロフェッショナルとして経理業務を遂行してくれます。指導や管理の手間もかかりません。スポット契約なら必要なときにだけコストを支払えばよいですし、顧問契約でも、売上の規模によっては従業員を雇うよりも安く済む場合があります。

個人事業主が税理士に依頼するデメリット

税理士に依頼することで多くのメリットがありますが、依頼には注意すべきデメリットも存在します。特に、以下に紹介する点に注意してください。

費用が発生する

税理士への依頼には費用が発生し、小規模事業者にとっては大きな負担となる場合もあります。例えば、年間の売上が300万円の場合、税理士費用が年間30万円かかると仮定すると、手元に残る収入は270万円まで減少します。節税対策で税額を抑えたとしても、税理士費用が収入を圧迫する可能性があるため、費用対効果を考えることが重要です。

経理の知識がなく不安な方は、確定申告の時期だけスポット契約を活用する方法がおすすめです。また、会計ソフトを使って日々の経理業務を自分で行い、専門的な部分のみ税理士に依頼することで費用を抑えられます。オンライン税理士であれば対面契約より安価な場合が多いため、コストを重視する方は検討してみましょう。

コミュニケーションコストがかかる

税理士に依頼すると、日々の経理資料の送付や確認のためのやり取りが必要になります。特に毎月の経費や支出が多い事業者の場合、税理士とのコミュニケーション頻度が増えることで手間がかかり、逆に本業に支障が出る可能性もあります。

このような事態を避けるためには、事前に自身の業務スタイルに合った税理士を選ぶことが大切です。例えば、レスポンスが早くメールで簡潔に対応してくれる税理士や、クラウド会計ソフトを利用してデータ共有がスムーズにできる税理士を選ぶと、やり取りの負担を軽減できます。事前にどのような連絡手段や対応スピードを希望するかを伝え、ミスマッチが起きないようにしましょう。

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この記事の監修者高崎 文秀

高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役
早稲田大学理工学部応用化学科卒

都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業し、現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また通常の税理士業務の他、一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行っている。

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