副業で年間100万円稼いだらどうなる?副業にかかる税金と対策を解説
監修者:齋藤一生(税理士)
2024/08/22更新
副業の収入が年間で100万円に達したら、税金がかかるのか気になっていませんか?具体的にどのような税金がかかり、節税する方法を知りたいという人もいるでしょう。
本記事では、副業で年間100万円稼いだ場合にかかる税金と、やるべきことについてわかりやすく解説します。副業で節税するための対策についても併せて紹介しますので、参考にしてください。
副業の収入には税金がかかる
副業で年間100万円を稼いだ場合、かかった経費によって住民税や所得税がかかるかどうかが決まります。また、本業の給与収入と副業の収入が合算されて増えることにより、これらの税金が上がっていきます。具体的な所得税や住民税の算出方法は下記のとおりです。
所得税の算出方法
所得税とは、所得に対してかかる税金のことです。収入から必要経費を差し引いた金額が所得であり、副業の売上のために支払ったお金を経費として差し引くことができます。
例えば、副業のために購入した材料費やPC・ソフトウェアなどの購入費、インターネット回線使用料など、経費として計上できるものは少なくありません。これらの経費を差し引いた金額が課税所得となり、課税所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
所得税額は、以下の速算表を参考に、課税所得に所得税率を掛け、控除額を差し引いて算出します。
例えば、副業収入が100万円、経費が40万円かかったとすると、副業の所得は60万円です。
この人の本業の所得が700万円だとすると、副業の所得60万円との合計は760万円となります。
そこから所得控除を引いて課税所得を計算するのですが、所得控除が160万円だとすると、課税所得は600万円となります。
課税所得600万円に対する所得税額は、600万円×20%-42万7,000円=77万2,500円となります。
そこから既に源泉徴収されている所得税額を差し引いた金額を確定申告で納税することになります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
なお、2037年12月31日までの期間は、所得税に加えて「復興特別所得税」がかかります。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源を確保することを目的に創設された税金です。復興特別所得税は所得額にかかわらず、一律2.1%となっています。
住民税の算出方法
住民税とは、居住地の都道府県や市区町村に納める税金のことです。住民税の徴収方法には「所得割」と「均等割」の2種類があります。
個人住民税の場合、所得割の標準税率は、所得に対して市区町村民税が6%、道府県民税・都民税が4%の合計10%です。均等割は所得にかかわらず定額で課税される住民税で、都道府県税が1,500円、市区町村民税が3,500円課税されます。
住民税は、副業の所得があれば、年間20万円以下であっても市区町村に申告が必要ですが、確定申告を行えば、別途、住民税の申告は不要となります。確定申告は、ほかにも税金の還付を受けられる場合には行った方が良いでしょう。
副業の所得がある場合は確定申告、または住民税の申告が必要
副業の収入がたとえ100万円だったとしても、経費等が80万円を超える場合、経費を除いた年間の所得が20万円以下となるため、確定申告を行う必要はありません。
しかし、所得が20万円以下であっても住民税の申告はしなければなりません。本業の給与所得と副業所得を合計した年間の総所得額を計算したうえで、納めるべき所得税額を計算しなくてはならないからです。
つまり、副業で何らかの所得がある人は、所得税+住民税(もしくは住民税のみ)を納める必要があるのです。
確定申告を行うメリット
前述のとおり、年間の副業所得が20万円を超えたら確定申告が必須です。確定申告を行うことで得られるメリットもあります。結果として、本業の年収が100万円上がった場合と比べると、副業で100万円稼いだ方が、手取りが多くなる場合があります。
以下のように、収入源が本業の給与のみの場合と本業+副業が収入源の場合とでは、適用される控除は同じですが、副業の収入がある場合は副業で発生した経費が計上できる点に違いがあるからです。
収入源が本業の給与所得のみの場合に引けるもの
- 給与所得控除
- 基礎控除
- 社会保険料控除
収入源が本業の給与所得+副業収入の場合に引けるもの
- 給与所得控除
- 基礎控除
- 社会保険料控除
- その他、副業で発生した経費
自宅で副業に取り組んでいる場合は、家賃や電気代などのうち副業で使用している割合で家事按分して経費とすることもできます。副業の関係経費をきちんと計上することによって、本業の給与所得のみが収入源の場合と比べて手取りを増やせる可能性があるのです。
そのほか、副業の収入や報酬から源泉徴収をされている場合、確定申告を行うことで還付される場合は、副業所得が20万円以下でも確定申告を行った方がよいといえます。
なお、医療費控除や住宅ローン控除などを受けるために確定申告を行う場合は、副業所得が20万円以下であっても、本業の給与所得に合算する必要があるため注意してください。
住民税の納税方法は2種類
副業所得にかかる税金のうち、住民税を納める方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。それぞれの徴収方法の特徴とメリットを押さえておきましょう。
普通徴収
普通徴収とは、住民税を納税者自身が納める方法です。1年間の副業収入を基に算出された住民税額を、翌年4回に分けて納めることになります。副業分の収入にかかる住民税を普通徴収にする主なメリット・デメリットは次のとおりです。
普通徴収のメリット
- 本業の給与から副業分の住民税が控除されない(副業をしていることを勤務先に知られにくくなる)
普通徴収のデメリット
- 年4回忘れずに納付する必要がある
普通徴収を選ぶには、確定申告の際に住民税を「自分で納付」するよう選択する必要があります。ただし、副業が給与所得の場合に限っては、実際に普通徴収を適用するかどうかは居住地の自治体の判断に委ねられている点に留意しておきましょう。
自治体によっては特別徴収となり、本業の給与収入+副業収入の総額にかかる住民税額が本業の勤務先に通知されてしまう可能性があります。この場合、本業以外に収入を得ている事実が判明する原因となりかねません。本業の勤務先で副業に関する規則の確認をしておきましょう。
特別徴収
特別徴収とは、給料や賞与から住民税を控除し、納税者に代わって勤務先の企業が住民税を納付する方法です。副業分の収入にかかる住民税を特別徴収にした場合、次に挙げるメリット・デメリットが想定されます。
特別徴収のメリット
- 住民税を自分で納付する必要がない
- 1回当たりの納税額を抑えられる
特別徴収のデメリット
- 副業による収入があることを勤務先が把握する可能性がある
年間100万円の副業収入を得ている人の場合、経費の金額が低いと相応の所得金額になります。したがって、本業の給与と副業の報酬を合わせた総所得額にかかる住民税が、本業のみの場合と比べて高くなります。
本業の勤務先で計算した住民税額と照らし合わせれば、どの程度の副業所得があるのか、会社側が推測できます。副業の所得について勤務先に知られたくない場合には、住民税を普通徴収にした方がよいでしょう。
副業する人の節税対策
副業に取り組む人が活用できる主な節税対策として、次のものが挙げられます。
副業する人が行える主な節税対策
必要経費を計上して所得を減らす
副業に使用しているものであれば、パソコンや参考書籍代、インターネット料金などを経費として計上することができ、収入から差し引くことが可能です。
青色申告をする
副業が事業所得としての条件を満たしている場合は、青色申告を選択することができます。青色申告は青色申告特別控除で最大65万円の控除額が増えるため、節税につながります。
ふるさと納税を利用する
ふるさと納税の寄附金は、税金控除限度額の範囲内で所得税の還付や住民税の控除に反映され、節税となります。
税金をクレジットカードで支払い、ポイント還元を活用する
クレジットカードで税金を支払った場合には、所定の手数料がかかることがあります。還元されるポイントはカード会社ごとに異なるため、手数料とポイント還元率を確認したうえで節税効果が得られるかどうか判断する必要があります。
QRコード決済で納税する
電子マネーのQRコード決済であれば手数料はかからないものもあるため、必要に応じて活用するのがおすすめです。
副業の所得が20万円超なら必ず確定申告をしよう
経費を差し引いた所得が20万円を超えた場合には、確定申告を行う必要があります。そのうえで、納めるべき所得税・復興特別所得税・住民税を確実に納付することが大切です。今回紹介した節税対策を参考に、確定申告や納税の際には活用できる節税方法を試してみてください。
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副業が雑所得の場合、帳簿付けは義務ではありませんが、帳簿を付けておくと所得の計算が容易です。帳簿付けをすれば事業所得で申告できる可能性もあります。
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会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。
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