ARPUとは?計算方法やARPPU・ARPAとの違い、向上施策を解説
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サブスクリプション(月額課金)型のビジネスで、「ユーザー数が伸びているのに利益が思うように増えない」という状況に直面する担当者は少なくありません。
売上の総額だけを追っていると、顧客単価が下がっているのか、既存ユーザーの解約が増えているのかといった原因の切り分けが難しくなりがちです。こうした収益構造を「顧客数」と「顧客単価」に分解して把握するための指標がARPU(アープ)です。
本記事では、ARPUの定義や計算方法、ARPPU・ARPA・LTVといった関連指標との違いのほか、顧客単価を高める4つの施策や分析時の注意点について解説します。
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ARPUとは、1ユーザーあたりの平均売上を示す指標
ARPU(アープ)とは、「Average Revenue Per User」の頭文字を取ったもので、1ユーザーあたりから得られる平均売上を示すビジネス指標です。
【算出式】ARPU=総売上÷アクティブユーザー数
例えば、月間売上が500万円、月間アクティブユーザーが1,000人であれば、ARPUは500万円÷1,000人=5,000円となります。
ARPUはもともと通信事業者が加入者1人あたりの月額料金を把握するために使っていた指標で、現在はSaaSやサブスクリプション(月額課金)サービス、モバイルアプリなど、継続的に収益を得るビジネスモデル全般で重要業績評価指標(KPI)として用いられています。
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ARPUが重要視される背景
ARPUが重視されるようになった背景には、大きく2つの事情があります。
新規顧客獲得コスト(CAC)の上昇
SaaSやサブスクリプションサービス、モバイルアプリなど多くの市場でサービスは飽和状態に近づいており、新規顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)は高騰する傾向にあります。
新規顧客を獲得するよりも、既存顧客からの収益拡大に注力してARPUを高めるほうが、コストを抑えながら事業全体の収益性を高めやすいのが現状です。
顧客数だけでは見えない収益構造の把握
売上高やユーザー数といった総量の指標だけを追っていると、「低単価のユーザーを大量に獲得しているために利益が伸びない」といった状態を見落としやすくなります。売上を「ユーザー数×ARPU」に分解し、ARPUを継続的にモニタリングすることで、売上の伸び悩みの原因がユーザー数の減少にあるのか、顧客単価の低下にあるのかを切り分けて判断できます。
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【ビジネスモデル別】ARPUの計算方法
ARPUの基本計算式は「総売上÷ユーザー数」ですが、収益の発生の仕方はビジネスモデルによって異なります。実務では、ビジネスモデルに応じた計算式を用いることで、より実態に近い数値を把握できます。
| ビジネスモデル | 主な計算式 |
|---|---|
| サブスクリプション(月額課金) | ARPU=MRR÷アクティブユーザー数 |
| 広告課金 | ARPU=平均表示回数×CPM÷1,000(またはクリック数×CPC) |
| 都度課金 | ARPU=ARPPU×課金率 |
サブスクリプション(月額課金)モデルの計算式
月額課金制のサブスクリプションビジネスでは、月次経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)を用いて「ARPU=MRR÷アクティブユーザー数」で算出するのが一般的です。例えば、月間MRRが1,000万円、アクティブユーザーが2,000人であれば、1,000万円÷2,000人で、ARPUは5,000円となります。
なお、1社で複数のユーザー契約を結ぶBtoBサービスでは、アカウント単位の平均売上を示す「ARPA」も併用すると実態を捉えやすくなります。
広告課金モデルの計算式
基本無料のモバイルアプリなど、サービス自体は無料で提供し、広告表示やクリックによって収益を得るモデルでは、広告の表示回数や単価をもとにARPUを算出します。
広告の表示回数に応じた単価である「CPM(Cost Per Mille:1,000回表示あたりの広告単価)」を用いる場合は「ARPU=ユーザー1人あたりの平均表示回数×CPM÷1,000」、広告のクリック数に応じた単価である「CPC(Cost Per Click:1クリックあたりの単価)」を用いる場合は「ARPU=ユーザー1人あたりの平均クリック数×CPC」で計算します。
なお、広告の平均表示回数や平均クリック数は、広告配信ネットワークの管理画面などから確認可能です。
都度課金モデルの計算式
ゲーム内アイテムの購入や漫画コンテンツ販売のように、ユーザーが必要なときに必要な分だけ課金する都度課金モデルでは、課金ユーザー1人あたりの平均売上を示す「ARPPU」と、全ユーザーに占める課金ユーザーの割合を示す「PUR(課金率:Paid User Rate)」を掛け併せて「ARPPU×PUR」でARPUを算出します。
さらに、ARPPUを「平均購入単価×平均購入回数」に分解すると、単価と購入頻度のどちらに課題があるかを特定しやすくなります。
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ARPUと関連指標(ARPPU・ARPA・LTV)との違い
ARPUと併せて語られることが多い指標に、ARPPU・ARPA・LTVがあります。
特に「ARPPU」と「ARPA」はARPUと名称も計算式も似ており混同されがちですが、対象とする範囲や時間軸、活用シーンが異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。
| 指標 | 対象とする範囲 | 表すもの | 基本計算式 | 主な活用シーン |
|---|---|---|---|---|
| ARPU | 全ユーザー(無料ユーザーを含む) | 1ユーザーあたりから得られる平均売上 | 総売上÷ユーザー数 | 全体の顧客単価・収益力の把握 |
| ARPPU | 課金ユーザー(有料ユーザーのみ) | 1課金ユーザーあたりから得られる平均売上 | 総売上÷有料課金ユーザー数 | 課金ユーザーの単価分析(フリーミアム等) |
| ARPA | 契約アカウント(契約企業・取引先) | 1アカウント(契約者・取引先)あたりから得られる平均売上 | 総売上÷アカウント(契約者・取引先)数 | 取引先単位の収益把握(1社が複数のユーザー契約を結ぶBtoB取引など) |
| LTV | 顧客1社(または1人)の取引全期間 | 顧客が初めて商品・サービスを利用してから関係が終了するまでに得られる利益の総額 | ARPU×契約継続期間 | 取引全期間の顧客価値の把握 |
ARPPU(課金ユーザー単価)との違い
ARPPUは、「Average Revenue Per Paying User」の頭文字を取ったもので、課金ユーザーあたりの平均売上を表す指標です。「ARPPU=総売上÷有料課金ユーザー数」で算出します。
無料ユーザーを含む全ユーザーを分母とするARPUに対し、課金ユーザーのみを対象範囲とする点が違いです。
一部のモバイルアプリやソフトウェアなど、基本機能を無料で提供し高度な機能を有料にするフリーミアムモデルでは、ARPUが低くてもARPPUが高いケースがあります。その場合は、無料ユーザーを有料ユーザーへ転換する施策に課題があると判断できるでしょう。
ARPA(アカウント単価)との違い
ARPAは、「Average Revenue Per Account」の頭文字を取ったもので、1アカウント(契約者・取引先)あたりの平均売上を表す指標です。「ARPA=総売上÷アカウント数」で算出します。ARPUがユーザー単位で売上を見るのに対し、ARPAは取引先との契約単位で見る点が違いです。
1社で複数のユーザーが利用するBtoBサービスや1人で複数の回線を持つスマートフォン契約などでは、ユーザー数の増減だけでは収益貢献度の違いが見えにくくなります。契約単位のARPAを併用することで、実態に近い評価がしやすくなります。
LTV(顧客生涯価値)との違い
LTVは、「Life Time Value」の頭文字を取ったもので、顧客生涯価値を表す指標です。1人の顧客がサービス・商品の使用開始から終了までの全期間にもたらす利益の総額を指し、「LTV=ARPU×契約継続期間」で算出します。
ARPUとの違いは時間軸で、ARPUが特定期間における収益力を示す「点」の指標であるのに対し、LTVは契約継続期間全体を通じた「線」の指標です。ARPUはLTVを構成する要素の1つとして扱われます。
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ARPUを高める主な施策
ARPUを高めるには、顧客単価を引き上げる施策と、収益の土台となる利用継続・無料ユーザーの課金転換を促す施策の両面から進める必要があります。ここでは、代表的な4つの施策を紹介します。
アップセル・クロスセルを促進する
「アップセル」は、現在利用しているプランより上位の高価格プランへの移行を促す施策、「クロスセル」は利用中のプランに関連する別の機能やサービスの追加契約を促す施策です。
いずれも、顧客の利用状況や、不便に感じていること・求めていることを把握したうえで、上位プランや追加機能が顧客にとってどのような価値をもたらすかを具体的に提示することが成果につながります。
料金プラン・価格設定を見直す
提供している価値に見合った価格になっているかを定期的に見直すことも、ARPU向上に直結する施策の1つです。機能や利用量に応じて複数の料金プランを設定し、上位プランへ移行するメリットを明確にすることで、自然にアップセルを促しやすくなります。
顧客ロイヤリティを高め、解約率を下げる
ARPUは平均値であるため、顧客単価の高い優良顧客が解約すると数値は大きく下がります。逆にいえば、ARPUが大きく下がっている場合、優良顧客の解約が相次いでいないか確認が必要です。
顧客満足度を定期的に把握し、不満の要因を早期に改善して解約率を抑えることが、ARPUの安定・向上につながります。
無料ユーザーの有料転換を促す
基本機能を無料で提供するフリーミアムモデルを採用している場合は、無料ユーザーを有料プランへ転換することもARPU向上の有効な手段になります。有料プランで得られる機能や利便性の違いを具体的に伝え、一定期間無料で有料機能を試せるトライアルを設けることで、転換のハードルを下げられます。
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ARPU分析で注意すべきポイント
ARPUは顧客単価を可視化する便利な指標ですが、数値の変動だけを見て判断すると事業の実態を見誤ることがあります。分析の際には、以下の点に注意しましょう。
数値の増減だけで良し悪しを判断しない
顧客単価の低いユーザーが大量に解約すると、分母であるユーザー数が減るためARPUは上昇しますが、これは顧客基盤の縮小を意味する不健全な上昇と言えます。
反対に、新規ユーザーを大量に獲得した直後は、顧客単価の低いユーザーが増えてARPUが一時的に下がることもあります。
ARPUの変動だけで判断せず、必ずユーザー数の増減(新規・解約の内訳)と併せて確認しましょう。
算出の基礎となる売上・顧客データの正確性を確保する
ARPUは総売上をユーザー数で割って算出するため、元になる売上データや顧客データが正確でなければ数値の信頼性が損なわれます。
受注管理と請求管理が別々のシステムや台帳で運用されていると、顧客ごとの売上を集計する際に手作業での突き合わせが必要になり、集計のずれがARPUの精度低下につながりやすくなります。
受注から売上・請求までのデータを一元的に管理できる仕組みを整えておくことが、正確なARPU把握の土台になるでしょう。
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ARPUは、総売上をユーザー数で割ることで算出できる、顧客1人あたりから得られる平均売上を示す指標です。ARPPU・ARPA・LTVといった関連指標と使い分けつつ、アップセルや料金プランの見直し、解約率の低減といった施策を組み合わせることで、顧客単価の安定的な向上に役立ちます。
ARPUの数値を信頼できるものにするには、算出の基礎となる売上・顧客データの正確性の確保が欠かせません。受注から売上・請求までのデータが複数の台帳やファイルに分かれていると、顧客ごとの売上を集計する手間がかかるうえ、転記ミスも起こりやすくなります。
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よくあるご質問
ARPUとARPPUはどちらを見ればよいですか?
無料ユーザーを含めた全体の顧客単価を把握したい場合はARPU、課金ユーザーの顧客単価を把握したい場合はARPPUが適しています。両者が混在するフリーミアムモデルでは、併用して分析するのがおすすめです。
ARPUとARPAはどちらを優先すべきですか?
1人のユーザーが個人として契約するサービスであればARPU、1つの契約に複数のユーザーが所属するBtoBサービスであればARPAの方が、実態に近い数値を把握しやすくなります。 ユーザー数と契約数が一致しないビジネスでは、両方の指標を併用することが望ましいでしょう。
ARPUを高めれば必ず売上は伸びますか?
ARPUの向上だけを追い求めると、無理なアップセルや値上げによって解約率が上がり、かえって収益が縮小するおそれがあります。売上はユーザー数とARPUの掛け合わせで決まるため、ユーザー数の維持・拡大とのバランスを取りながら、ARPUを高めることが重要です。
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