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買掛金元帳とは?役割や買掛金の管理方法、注意点を解説

会計帳簿のひとつである「買掛金元帳」は、仕入先ごとに買掛金を管理するための補助簿を指します。特に、頻繁に原材料や商品の仕入を行う企業の場合、一定期間内の取引金額をまとめて後払いにする掛取引を行うのが一般的です。そのため、掛取引において、買掛金を適切に管理することは非常に重要になります。また、買掛金元帳を活用するためには、買掛金や売掛金といった掛取引の特徴を正しく理解しておく必要もあるでしょう。
本記事では、買掛金元帳の役割や買掛金の管理方法の他、買掛金元帳を作成するときの注意点についても解説します。

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買掛金元帳とは買掛金を取引先ごとに管理するための補助簿のこと

買掛金元帳とは、仕入先ごとに取引や残高を管理するための補助簿のことです。仕入先元帳とも呼ばれ、仕入先別に、取引内容や取引金額を分類して記録します。
会計帳簿は、大きく主要簿と補助簿の2つに分類されます。主要簿には、仕訳帳と総勘定元帳の2種類があり、会社法で作成が義務付けられています。その一方で、補助簿は、主要簿を補完するために作成する会計帳簿です。買掛金元帳は補助簿にあたり、作成するかどうかは各企業の任意ですが、いつまでに、どの仕入先に、いくらの支払が残っているかを管理するときに役立ちます。万が一、買掛金の支払に漏れやミスが生じると、自社の信用を大きく低下させかねません。そのため、買掛金元帳を活用して買掛金の管理を行うことは、非常に重要だといえるでしょう。
さらに、買掛金元帳の内容を手元現金や預金残高と比較することで、支払のための資金が不足していないか、不足していた場合にどう対策するか、などについても事前に把握・検討できるようになります。

買掛金は商品やサービスの対価として将来的に金銭を支払うべき債務

買掛金元帳で買掛金の管理を行うためには、まず買掛金とは何かを理解しておく必要があります。買掛金とは、掛取引において商品やサービスの対価として将来的に金銭を支払うべき債務のことです。
掛取引は、一定期間内に行った取引金額を、まとめて後払いで精算する取引方法を指します。例えば、掛取引で商品などを仕入れた場合、受け渡しの際には代金の支払を行いません。1か月間など一定期間内の仕入金額を、後日、定められた期限までにまとめて支払います。
商品を仕入れるたびに代金のやりとりを行っていると、自社だけでなく仕入先にも手間がかかってしまうため、事業者間の取引においては、掛取引を行うケースが一般的です。
買掛金は、掛取引で商品などを仕入れた(購入した)際に用いる勘定科目で、後で代金を支払う義務があるため、企業の資産状況を表した貸借対照表では「負債」に含まれます。

こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

売掛金は商品やサービスの対価として将来的に金銭を受け取る権利

買掛金と反対の意味を持つのが、売掛金です。売掛金とは、売掛債権のことで、商品やサービスの対価として将来的に金銭を受け取る権利を指します。掛取引の際に用いる勘定科目という点では買掛金と同じです。しかし、売掛金は買掛金とは逆に、掛取引で取引先に商品を販売したり、サービスを提供したりした場合に発生し、貸借対照表では「資産」に当たります。
例えば、A社がB社から掛取引で仕入を行った場合、A社は買掛金が発生し、B社は売掛金が発生します。

こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

買掛金と間違いやすい勘定科目

買掛金と間違えやすい勘定科目に「未払金」と「未払費用」があります。仕訳の際に間違えないように、それぞれの勘定科目に該当する内容を確認しておきましょう。

未払金:単発的な取引から生じた債務

未払金とは、商品を購入したりサービスの提供を受けたりした場合に、代金を後から支払うときに使う勘定科目です。後で支払う義務がある債務を指す点で買掛金と似ていますが、買掛金が仕入などの継続的な営業取引で発生するものであるのに対し、未払金は単発的な取引から生じた債務を指します。
例えば、固定資産税や交際費、広告宣伝費、消耗品費、有価証券の購入代金などが未払金に該当します。具体的には、事務用品や消耗品、備品などを後払いで購入した場合の他、広告のデザイン費、自動車の修理費を後払いで依頼した場合などがあげられるでしょう。
なお、決算日時点で支払期日までに1年以上ある未払金は、長期未払金として扱われます。

未払費用:継続的な契約から生じた後払いの代金

未払費用とは、継続してサービスの提供を受けたりする場合に、代金が後払いとなっているものに使う勘定科目です。仕入などの営業取引における後払いは、買掛金で処理します。また、未払金は、商品やサービスの提供を受けた時点で支払いが確定し、それぞれが単発の取引として計上されます。対して未払費用は、買掛金と未払金のどちらにも該当しない、継続的な契約から生じたものに使われる勘定科目です。
未払費用としては、水道光熱費や保険料、地代家賃、リース料、給与、利息などの未払があげられます。なお、時間の経過に伴って費用が発生するため、未払費用は決算日など一定の計上時期で該当期間分の金額を計算する必要があります。

買掛金の管理方法

ここからは、買掛金の管理方法について解説します。買掛金は、買掛金元帳を活用して、しっかりと管理することが重要です。

買掛金元帳を作成する

買掛金元帳は仕入先ごとに作成し、記帳するタイミングは主に「買掛金が発生したとき(商品を仕入れたとき)」と「買掛金を支払ったとき」です。取引日や取引内容を記載し、買掛金が発生した(買掛金が増加した)場合は貸方へ、買掛金を支払った(買掛金が減少した)場合は借方へ、それぞれ金額を記録して残高を計算します。
買掛金元帳を作成すると、仕入先ごとの残高や取引状況を確認できるため、買掛金の支払漏れ防止に役立ちます。買掛金は、仕入先から見れば売掛金に当たるため、買掛金の支払を忘れてしまうと、仕入先は売掛金を回収できず、資金繰りに悪影響を及ぼしてしまうでしょう。そのような事態を防ぐためにも、買掛金元帳で買掛金を管理することはとても大切です。
ここからは、仕入先と以下のような取引があった場合の、買掛金元帳の記載例を紹介します。

取引内容

  • 前月繰越高(前月末時点での買掛金残高)は3,000円
  • 4月5日に商品1,000円を掛けで仕入れた
  • 4月10日に買掛金3,000円を現金で支払った

買掛金元帳の記載例

20××年 摘要 借方 貸方 借/貸 残高
4 1 前月繰越 3,000円 3,000円
5 仕入 1,000円 4,000円
10 現金で支払 3,000円 1,000円

回転率と回転期間を把握する

買掛金は将来支払うべき債務のため、大きくなりすぎると資金繰りの悪化につながります。資金が足りなくならないように、買掛金の状況をしっかり把握しておきましょう。なお、買掛金の状況を把握するには、「回転率」と「回転期間」という2つの指標が役立ちます。

買掛金の回転率

買掛金の回転率とは、企業の仕入で生じた買掛金が、どの程度効率的に支払われているかを示す指標のことです。買掛金の回転率は、年間の売上原価(仕入額)を、会計年度末の買掛金残高で割って算出します。

買掛金の回転率の計算式

買掛金の回転率=(売上原価÷買掛金残高)×100

一般的には、買掛金の回転率が高いほど支払までの期間が短いことを、低いほど支払に時間をかけていることを意味します。買掛金の支払は、資金繰りの面から見れば売上を回収した後に行うのが望ましいでしょう。しかし、回転率が高すぎると、売上を回収する前に支払が発生していることを表し、資金が足りなくなる可能性もあります。その一方で、回転率が以前に比べて著しく低くなっている場合は、資金繰りが悪化して支払を先延ばしにしていることを意味します。

買掛金の回転期間

買掛金の回転期間は、回転率を日数で表したもので、買掛金残高が売上高の何日分なのかを示しています。買掛金の回転期間は、会計年度末の買掛金残高を年間の売上原価で割って算出します。

買掛金の回転期間の計算式

買掛金の回転期間(月)=買掛金残高÷(売上原価÷12)

買掛金の回転期間(日)=買掛金残高÷(売上原価÷365)

買掛金の回転期間は、企業の資金繰りにかかわる経営的な判断材料のひとつです。一般的には、買掛金の回転期間が2か月(60日)を超えると、資金繰りの管理などで企業の負担が大きくなるといわれています。買掛金の状況は資金繰りに直結するため、注意深く経過をチェックすることが大切です。

これとは別に買掛金を支払うのにどのくらいの期間の売上が必要かということで、売上原価の代わりに売上高を用いるケースもあります。目的に応じて使い分ければよいでしょう。

買掛金の時効に気を付ける

買掛金の支払請求には時効があります。買掛金は5年間で消滅時効となるので、支払期日を過ぎてから5年が経過していれば、時効の成立を理由に支払を拒むことが可能です。ただし、5年の間に支払請求を受けた場合や5年間経過後に請求を受け、消滅時効の完成を知らないまま買掛金の一部を支払った場合などは、消滅時効を行使できません。
しかし、時効があるとはいえ、買掛金の支払を延期し続けていると、仕入先との信頼関係の悪化につながります。また、買掛金の未払は、自社の信用を失墜させ、他の取引にも悪影響を及ぼす可能性もあります。そのため、仕入などによって買掛金が発生した場合は、必ず期日までに支払うようにしましょう。

買掛金元帳を作成するときの注意点

買掛金元帳を作成するときには、日付や金額、計算を間違えないといった基本的なこと以外にも気を付けたいポイントがあります。買掛金をきちんと管理するためにも、以下の注意点を確認しておきましょう。

複数の仕入先を1つにまとめない

買掛金元帳は、複数の仕入先を1つにまとめずに、必ず仕入先ごとに作成しましょう。「取引が少ない」「帳簿を別々に作成するのが面倒」などの理由から、複数の仕入先を1つにまとめて買掛金元帳を作成すると、「仕入先ごとの買掛金を管理する」という本来の目的が果たせなくなってしまいます。

支払消込を活用する

買掛金を支払った際には、買掛金や未払金などを支払ったときに行う、債務の残高を減らす支払消込を活用しましょう。支払消込では、買掛金を支払ったとき、入出金情報と請求情報を突き合わせ、問題がなければ帳簿上の買掛金(債務)を消していきます。
買掛金元帳に発生した買掛金だけを記載し、支払消込を行わないと、買掛金の残高を正しく把握できなくなるため注意しましょう。また、支払消込は、支払漏れや支払金額の相違などを防ぐためにも役立ちます。買掛金が発生したときだけではなく、買掛金を支払ったときにも、必ず買掛金元帳に記録をすることが大切です。

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掛取引は、ビジネスの現場では一般的な取引方法です。掛取引で商品を仕入れたり、サービスの提供を受けたりしたときには、買掛金が発生します。買掛金を仕入先ごとに管理するための帳簿が、買掛金元帳です。買掛金元帳は法的な作成義務のない補助簿ですが、買掛金を適切に管理し、支払漏れや金額ミスを防ぐために重要な役割を持ちます。ただし、買掛金元帳を手作業で作成すると、記入漏れや転記ミス、計算間違いなどが起こりやすくなります。そんなときは、会計ソフトを使えば、通常の仕訳を行った際に自動で買掛金元帳を作成してくれるため、大変便利です。
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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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