勘定科目「販売促進費」とは?

2017/03/06更新

この記事の執筆者田下愛

勘定科目のひとつである「販売促進費」。この勘定科目は、事業の売り上げを促進するための経費とされていますが、「広告宣伝費」、「交際費」などとどうにも混同しがち。これらは違うものなのか?また、違いがあるならばどのようなところなのか?ほかの科目と区別がわかりにくい「販売促進費」について、今回は探ってみたいと思います。

POINT

  • 販売促進費は、店頭POPやキャンペーン費用など、売り上げ促進のために使う経費
  • 広告宣伝費との明確な区分はない
  • 販売促進費・広告宣伝費と交際費の違いは「不特定多数」か「特定」か。ただし例外も

そもそも、販売促進費とはどんな勘定科目なのか

販売促進費とは、その名のとおり、販売を促進するための費用の総称です。商品やサービスの売り上げを伸ばすために使った費用がこれに該当します。販売促進費として処理ができるのは、以下のようなものです。

  • 商品販売のためお店で使う店頭POPやポスターの費用
  • 販売促進のため配布する無料サンプルの費用
  • 販売促進のため、商品につけるおまけのプレゼントの費用
  • 販売促進のためのキャンペーンの費用
  • 販売手数料

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする

販売促進費と広告宣伝費の違いとは

販売促進費とどっち?と頭を抱えてしまいそうな勘定科目に、広告宣伝費がありますが、意味合いとしては、広告宣伝費は、販売促進費の中に含まれるものとなっており、この2つの明確な区分というのはされていないようです。実際にどちらの経費として処理するかは、事業主の判断にゆだねられているのが実情といえます。

ただし、一般的には、

広告宣伝費

新聞広告料や雑誌などのメディア掲載料、宣伝用のホームページ作成など、間接的な宣伝にかかった費用

販売促進費

特定の商品を売るためのキャンペーンの費用、販売手数料など、直接的な販売促進のためにかかった費用

という分け方をすることが多いようです。

交際費と販売促進費の違いは?

販売促進費とよく迷ってしまうもうひとつの勘定科目が、交際費です。

販売促進、広告宣伝の方法というのは、多岐にわたります。たとえば、何かをプレゼントしたり、旅行や観劇に招待したり……といった通常、交際費として取り扱われるような販促活動もあり、それだけに迷ってしまうところ。中小法人は、損金にできる交際費に上限があるだけに、違いをきちんと踏まえて仕訳したい勘定科目といえます。

ひとつの目安となるのが、おおよその場合において、

販売促進費(広告宣伝費)

「不特定多数」の者へのもの

交際費

「特定」の取引先などへのもの

であるということです。

ですから、例をあげると

観劇招待の場合

  • 特定の取引先の相手を観劇に招待した場合→交際費
  • 商品の販売キャンペーンとして、抽選で不特定多数を観劇に招待した場合→広告宣伝費(販売促進費)

贈答品の場合

  • 特定の取引先の相手にお歳暮やお中元を贈った場合→交際費
  • 商品のおまけとして買ってくれた不特定多数にプレゼントを配布した場合→広告宣伝費(販売促進費)

となります。

ただ、こちらは、例外などもあります。たとえば、社名入りのカレンダーや手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどのように、広告宣伝的効果を意図し、なおかつ少額の品については、特定の取引先に贈答する場合でも、交際費にはならず、広告宣伝費(販売促進費)となります。

また、以下のような場合は、不特定多数を対象としていることとはならないと国税庁HPでも明記されておりますので、注意してください。

  • 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  • 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  • 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  • 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  • 機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

国税庁HP交際費等と広告宣伝費との区分新規タブで開くより)

いかがでしたか?販売促進費は、他の経費との区別がわかりにくい勘定科目のひとつで、迷ってしまうことも多いでしょう。ただ、実際のところ、販売促進費、広告宣伝費の区分については、事業主が自身の基準で「これは販売促進費」「これは広告宣伝費」と判断して、問題は特にないといえます。その際に気をつけてほしいのは、一度決めた基準をころころ変えないこと。たとえば、同じ内容の経費を年度によって販売促進費にしたり、広告宣伝費にしたりしてしまうと、経費の流れが非常にあやふやなものとなりかねないので、そこは事業主としてきちんと決めて、毎年同じ勘定科目で処理をしていきましょう。

photo:Getty Images

よくある質問

販売促進費とはどんな勘定科目なの?

販売促進費とは、その名のとおり、販売を促進するための費用の総称です。商品やサービスの売り上げを伸ばすために使った費用がこれに該当します。

広告宣伝費の違い

広告宣伝費は、販売促進費の中に含まれるものとなっており、明確な区分というのはされていないようです。実際にどちらの経費として処理するかは、事業主の判断にゆだねられているのが実情といえます。

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする

会計ソフトなら、日々の帳簿付けや決算書作成もかんたん

日々の帳簿付けと法人決算をスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所(※弥生PAP会員の税理士・会計事務所)とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データの他、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成したCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営成績がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお応えします。製品の操作が不安な方や会計の業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

【無料】お役立ち資料ダウンロード

一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた

起業したての方におすすめ。
日々の帳簿付けから決算まで、これひとつですぐわかる!
全34ページで充実の内容です。

この記事の執筆者田下愛

フリーランスライター 雑誌、書籍、Webメディアで、ビジネス、政治からサブカルチャーまで幅広いジャンルで執筆、取材に奮闘中。著書に「選挙はエンターテイメントだ!」(HK INTERNATIONAL VISION)新規タブで開くがある。趣味はオーケストラでヴァイオリンを弾くこと。

初心者事業のお悩み解決

日々の業務に役立つ弥生のオリジナルコンテンツや、事業を開始・継続するためのサポートツールを無料でお届けします。

  • お役立ち情報

    正しい基礎知識や法令改正の最新情報を専門家がわかりやすくご紹介します。

  • 無料のお役立ちツール

    会社設立や税理士紹介などを弥生が無料でサポートします。

  • 虎の巻

    個人事業主・法人の基本業務をまとめた、シンプルガイドです。

事業のお悩み解決はこちら