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引当金とは?計上するための要件や引当金の種類、仕訳例などを解説

2024/03/06更新

この記事の監修NA税理士法人

決算期において知っておかなければいけないことの1つに、引当金の会計処理があります。引当金は日常の経理業務では発生しないお金なので、正しい処理方法を理解しておかないと、決算直前に慌てることになってしまいます。「引当金とは具体的にどのようなお金を指すのだろう」「引当金をどうやって仕訳すれば良いかわからない」など、戸惑う方も多いかもしれません。

ここでは、引当金の意味や目的、引当金の種類のほか、引当金を計上する際の仕訳例についても解説します。

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引当金とは未来の支出に備えて先に計上しておく見積金額のこと

引当金とは、来期以降に発生する可能性が高い支出に備えて、あらかじめ計上しておく見積金額のことです。「何のための支出に備えるか」ということによって、貸倒引当金や賞与引当金、退職給付引当金、修繕引当金などいくつかの種類があります。

事業を営むうえで、将来的な損失や費用が予測されるケースは少なくありません。場合によっては、取引先の倒産によって、売上代金が支払われない貸倒れが起こる可能性もあります。また、「ボーナスの査定期間は当期、支給日は来期」というように、ボーナスの査定対象期間と支給日が期をまたぐこともあるでしょう。

これらは、実際に確定した損失や費用ではありませんが、来期以降に発生した場合、その原因は当期にあります。そのため、将来の支出を見越して見積もった金額を、引当金(この場合は貸倒引当金や賞与引当金)として計上します。

ただし、将来予測できる支出が、すべて引当金に該当するわけではありません。引当金として計上するには、下記の4つの要件を満たす必要があります。

引当金の要件

  • 将来の特定の費用または損失であること
  • 発生が当期以前の事象に起因すること
  • 発生の可能性が高いこと
  • 金額を合理的に見積もることができること

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引当金を計上する目的は会計処理の正確性を高めること

引当金を計上する目的は、企業会計原則に含まれる発生主義や保守主義に基づいて、より正確性の高い決算書を作成することです。

決算書に引当金が記載されていないと、その分、当期の純資産が過大に計上されることになってしまいます。また、実際に来期以降に支出が発生した際には、企業の利益が大きく減ったように見えてしまうでしょう。企業の財務状況を正しく示すためには、引当金を適切に計上することが大切です。

ここでは、企業会計における発生主義や保守主義とは、それぞれどのような考え方なのか解説します。

発生主義とは取引発生時に費用を計上する考え方

発生主義とは、取引が発生したタイミングで費用を計上する考え方です。実際にお金が動いたときではなく、その費用や収益が発生した時点で会計帳簿に記録します。企業会計原則では、すべての費用および収益は、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならないとされています。

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保守主義とは不利な事態に備えて健全な会計処理をしなければならないという考え方

保守主義とは、企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合に備えて、健全な会計処理をしなければならない、という考え方です。例えば、取引先の経営状況が厳しく売掛金の貸倒れが懸念されるような場合、確定を待たず事前に貸倒引当金を設定し、債権を正しく評価することが経営の健全化につながります。

引当金の種類

前述したように、引当金には、貸倒引当金や賞与引当金、退職給付引当金、修繕引当金などいくつかの種類があります。これらの引当金は、評価性引当金と負債性引当金の大きく2つに分類できます。

ここでは、これら2つの引当金について、それぞれ説明します。

引当金の種類
分類 種類
評価性引当金 貸倒引当金、投資損失引当金
負債性引当金 賞与引当金、退職給付引当金、修繕引当金

評価性引当金

評価性引当金とは、将来発生する可能性が高い損失に備える引当金のことで、貸借対照表の「資産の部」にマイナスの値で記載されます。評価性引当金に分類されるのは、貸倒引当金や投資損失引当金などです。

貸倒引当金

貸倒引当金とは、債権の貸倒れに備えて設定される勘定科目です。貸したお金が返ってこなかったり、商品などの売上代金が支払われなかったりすることを、貸倒れといいます。貸倒引当金の対象となる債権は、売掛金、貸付金、未収金、受取手形などの資産です。これらの債権に貸倒れのリスクがある場合、「貸倒引当金」の勘定科目で、マイナスの資産として計上します。

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投資損失引当金

投資損失引当金とは、子会社などへの投資にかかわる損失に備えて計上する勘定科目です。会計基準においては、非上場の子会社株式などに対して減損処理ができるのは、実質価額が著しく低下した場合に限られます。

しかし、「減損処理の対象ではないものの、既に子会社の株式の実質価値が低下している」「子会社株式の回復可能性を見込んで減損処理を行わなかったが、リスクに備える必要がある」というような場合は、その低下相当額を投資損失引当金として計上することが可能です。

なお、投資損失引当金を計上した場合は、その計上基準を会計方針に記載する必要があります。

負債性引当金

負債性引当金とは、将来発生し得る支出・費用に備える引当金のことで、貸借対照表の「負債の部」に記載されます。負債性引当金には、賞与引当金、退職給付引当金、修繕引当金などが該当します。

賞与引当金

賞与引当金とは、翌期に支払う賞与のうち、当期に属するのが合理的と見なされる金額を計上する勘定科目です。

例えば、3月決算で、賞与の支給が6月と12月の年2回というケースを考えてみましょう。6月の賞与の査定対象期間を1月から6月、12月の賞与の査定対象期間を7月から12月と仮定します。この場合、3月末の決算時に、来期の6月に支給される賞与のうち当期に含まれる12月分から3月分を、賞与引当金として先に計上します。

退職給付引当金

退職給付引当金とは、将来支払う退職金のうち、当期までの見積額です。従業員が退職する際の退職金の支払いに備えて計上します。

退職金は、その従業員が就業していた期間全体の費用と考えられるお金です。そのため、当期に負担する金額を見積もり、退職給付引当金に計上する必要があります。引当金を計上していない場合、退職者の有無によって、企業の損益が大きく変動してしまいます。

修繕引当金

修繕引当金とは、建物や機械といった固定資産の機能を維持するために準備する修繕費用です。実際に修理をするのが翌期以降であっても、修繕が必要と判断されたタイミングが当期なら、修繕引当金を計上します。また、定期的にメンテナンスを行っている設備について、修繕の実施や支払いが来期になった場合も、修繕引当金として処理されます。

引当金は原則として損金不算入

引当金の扱いは、会計上と税務上で異なります。会計上は、より正確な決算のために、引当金の適切な計上が求められます。しかし税務上は、原則として、引当金は損金として認められません。引当金はあくまで将来の支出に備えた見積金額であり、確定した損失や費用ではないからです。

ただし、引当金のうち貸倒引当金については、一部の企業に限り、法人税法で規定された繰入限度額まで損金算入が可能です。貸倒引当金を損金算入できる企業は、資本金が1億円以下の中小企業や、一般企業より貸倒れリスクが大きい金融機関などです。なお、個人事業主でも、青色申告の場合は貸倒引当金を設定できます。

引当金の仕訳例

ここからは、引当金を計上する際の仕訳例を解説していきます。評価性引当金と負債性引当金のケース別に、具体的な仕訳例を見ていきましょう。

評価性引当金の仕訳例

評価性引当金の中でも、貸倒引当金は発生する可能性が高い引当金です。貸倒引当金の仕訳について、ここでは、貸倒引当金を計上する場合、計上した貸倒引当金を期末に見直す場合、貸倒れが発生した場合の3段階に分けて、仕訳例を解説していきます。

貸倒引当金を計上する際の仕訳例

貸倒引当金を計上するのは、基本的に決算時です。貸倒引当金は、債権が回収不能になるリスクに備える引当金なので、負債となり、貸方に記載することになります。

例えば、決算時に売掛金に対して貸倒引当金の計上限度額の計算を行い、貸倒引当金10万円を計上した場合の仕訳例は、下記のとおりです。

貸倒引当金を計上する仕訳例
借方 貸方
貸倒引当金繰入額 100,000 貸倒引当金 100,000

前期に計上した貸倒引当金を、期末に見直す際の仕訳例

貸倒引当金を計上しても、必ず貸倒れが生じるとは限りません。そのため、決算時には、前期に計上した貸倒引当金の金額を見直す必要があります。このとき、貸倒引当金の会計処理には、差額補充法と洗替法(あらいがえほう)という2つの方法があります。

差額補充法とは、期末時点の貸倒引当金の残高に、その期に設定する貸倒引当金との差額を補充する方法です。

例えば、前期に計上した10万円の貸倒引当金が残っていて、当期に12万円の貸倒引当金を設定する場合、差額の2万円を繰り入れて、貸倒引当金の総額が12万円になるようにします。反対に、貸倒引当金の残高に比べて当期に設定する貸倒引当金が少ない場合は、差額を戻し入れます。

前期に貸倒引当金10万円が設定されており、当期に貸倒引当金12万円を計上した場合の仕訳例は、下記のとおりです。

差額補充法を用いた場合の仕訳例
借方 貸方
貸倒引当金繰入額 20,000 貸倒引当金 20,000

また、前期に貸倒引当金10万円が設定されており、当期に設定した貸倒引当金は9万円だった場合の仕訳例は、下記のとおりです。

差額補充法を用いた場合の仕訳例
借方 貸方
貸倒引当金 10,000 貸倒引当金戻入額 10,000

一方、洗替法とは、期末時点で残っている貸倒引当金をいったんすべて収益に戻し入れてから、当期の貸倒引当金を新たに計上する方法です。つまり、貸倒引当金の残高を一度0にしてから、当期の貸倒引当金を計上するということです。

例えば、前期に貸倒引当金10万円が設定されており、当期に貸倒引当金12万円を計上した場合の仕訳例は、下記のとおりです。

洗替法を用いた場合の仕訳例
借方 貸方
貸倒引当金 100,000 貸倒引当金戻入額 100,000
貸倒引当金繰入額 120,000 貸倒引当金 120,000

貸倒れが発生した場合の仕訳例

実際に貸倒れが発生したときは、貸倒損失として仕訳処理をします。あらかじめ貸倒引当金を設定していた場合は、その金額を上回った差額分を、貸倒損失として計上します。

例えば、前期の売掛金15万円について貸倒れが発生して、かつ前期には貸倒引当金10万円を計上した場合の仕訳例は、下記のとおりです。

貸倒れが発生した際の仕訳例
借方 貸方
貸倒引当金 100,000 売掛金 150,000
貸倒損失 50,000

負債性引当金の仕訳例

賞与引当金を例にあげて、負債性引当金の仕訳例を説明します。

例えば、3月決算の企業で、翌期7月に支給する賞与(査定対象期間は1月から6月)の見積総額が600万円だったと考えてみましょう。この場合、決算までの1月~3月に相当する金額を、賞与引当金として計上します。

3月末の決算時点では、査定対象期間6か月のうち3か月が経過しているため、計上すべき賞与引当金の額は、下記のように計算します。

賞与引当金を求める計算式

600万円×3/6=300万円

そして、決算時には、300万円の賞与引当金を計上します。仕訳例は下記のとおりです。

決算時の仕訳例
借方 貸方
賞与引当金繰入額 3,000,000 賞与引当金 3,000,000

また、翌期になり、実際に600万円の賞与を支払ったときには、下記のように仕訳をします。

賞与支給時の仕訳
借方 貸方
賞与引当金 3,000,000 普通預金 6,000,000
賞与 3,000,000

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引当金について正しく理解し、適切に計上しよう

引当金とは、将来発生する可能性が高い支出に備えて、あらかじめ計上しておくお金のことです。引当金を計上するには、いくつかの満たすべき要件があり、貸倒引当金や賞与引当金、退職給付引当金など、さまざまな種類があります。引当金の種類によって仕訳方法も違うので、正しく理解しておくことが大切です。

また、引当金は、将来の損失に備えるための評価性引当金と、支出・費用に備えるための負債性引当金の2つに大別されます。評価性引当金は貸借対照表の「資産の部」にマイナスの値で記載され、負債性引当金は貸借対照表の「負債の部」に記載されます。引当金を適切に計上することで、期間損益を正しく計算でき、利害関係者に対する有用な情報提供にもつながります。決算時には、忘れずに引当金の処理を行うようにしましょう。

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この記事の監修NA税理士法人

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