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自動車税の勘定科目は何を使う? 仕訳方法や経費計上の注意点を解説

監修者:中川 美佐子(税理士)

2024/08/14更新

会社が法人名義の社用車を所有している場合、毎年自動車税を納めなければなりません。そこで気になるのは、節税を目的とした経費計上が可能かどうかです。経費として計上するためには、「自動車の条件をクリアすること」と「決められた勘定科目を使うこと」が求められます。

この記事では、経費に含めるための基準や勘定科目、具体的な仕訳方法について、ケースごとに分けて解説します。また、自動車税を経費として計上するにあたり、注意すべきポイントも併せて紹介します。会社で経理業務に携わっており、自動車税の仕訳について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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自動車税に使える勘定科目

会社が社用車を保有している場合、毎年、自動車税の支払いが必要です。ただ、その費用について仕訳を行う場合、どの勘定科目を使えばよいのか迷う場合もあるでしょう。基本的には「租税公課(そぜいこうか)」を使いますが、会社の管理方法によっては「車両費」と記載することもあります。

租税公課

法人が事業を行うために社用車を使っている場合、その自動車にかかる税金は、租税公課として計上できます。租税公課の勘定科目を使うことで、自社が税金をどのくらい納めているかすぐに確認できます。

そもそも租税公課とは

租税公課とは、会社が事業に必要な経費として支払う費用のうち、税金に関する勘定科目を指します。厳密に言えば、「租税」と「公課」の2つが合体して作られた科目であり、租税は自動車税のほか、事業税や事業所税、軽自動車税、固定資産税などの各種税金が該当します。一方、公課は公的証明書の発行費用や行政サービスの手数料などが対象です。

車両費

会社が必要な経費として自動車税を納める場合、租税公課として処理する、あるいは自動車に関する経費と考えるなら、車両費に計上してもよいとされています。

先に述べたように、租税公課はさまざまな税金が含まれているため、自動車税がいくらかかったかを確認するのに、少々手間がかかることがあります。したがって、自動車にかかる費用を明確に把握したい場合は、租税公課ではなく、車両費を選択するのも一つの方法です。

法的に定められた基準などもないので、社内でどのように管理するかを最初に決めておきましょう。ただし、企業会計原則に「継続性の原則」というものがあります。もし、車両費として計上すると一度決めたなら、継続して同一の方法で管理します。勘定科目に迷ったら、前回はどの勘定科目だったのかを確認してみましょう。

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法人の自動車税は経費計上が可能

会社で使う社用車に関する費用のうち、経費として計上できるものには、自動車税や軽自動車税が挙げられます。それ以外に、事業のために欠かせないガソリン代のほか、万が一の事故に備えた自動車保険料、法的に定められている車検費用なども含まれます。

プライベート使用ではなく、あくまで会社の事業上必要となる自動車関係の費用は、経費として計上できることを認識しておきましょう。

経費計上できる車の条件

社用車に関する費用を経費として計上するのであれば、主に以下の2点に注意する必要があります。

まず、使っている自動車が、会社が事業を行う上で必要な社用車であることです。例えば、取引先や顧客への訪問活動、営業活動の移動、商品や材料の運搬などの用途が挙げられます。一方、在宅で完結できるようなビジネスの場合は、事業を行うのに自動車が必要であるとは見なされません。プライベート目的での利用は、会社の経費には計上できません。公私混同しないよう注意が必要です。

また、自動車関係の費用を経費として計上したい場合は、該当の自動車を法人名義にしておくことも重要です。法人化していない個人事業主でも、自動車税を経費として計上することができます。その場合、プライベートで使う割合をチェックし、家事按分で計上します。

例えば、按分割合が10%の場合、30,000円の自動車税のうち、経費として計上できるのは3,000円分です。家事按分割合については一律でルールがないため、走行距離や運転回数、運転時間などの基準から、あらかじめ決めておくことをおすすめします。

自動車税の仕訳方法の例

会社の経理担当者が自動車税の仕訳を行う場合、勘定科目は租税公課、もしくは車両費を使うことを理解できていても、具体的にどうすればよいのか悩む方が多く見受けられます。ここでの注意すべきポイントは、自動車税を納める際に選択した決済方法です。

以下より、現金・口座振替・クレジットカードの場合に分けて、それぞれの仕訳方法を確認しましょう。

自動車税を現金で納付した場合

現金で120,000円の自動車税を納めた場合は、次のように仕訳を行います。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
租税公課 120,000円 現金 120,000円 自動車税

このように借方は租税公課、貸方は現金と記載することがポイントです。そもそも税金に消費税がかからないため、「対象外」となります。

自動車税を口座振替で納付した場合

上記と同額の自動車税を、法人名義の銀行口座振替で納めた場合、もしくは直接振り込んだ場合は、次のように仕訳を行います。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
租税公課 120,000円 普通預金 120,000円 自動車税

借方は同じ租税公課ですが、現金での納税ではなく、口座からの振替であるため、貸方は普通預金と記載します。

自動車税をクレジットカードで納付した場合

法人名義のクレジットカードで自動車税を納めた場合は、少し注意が必要です。なぜなら、クレジットカードで納めてから、実際に資金が法人口座から引き落とされるまで、タイムラグがあるためです。したがって、仕訳する際は次のように、2回に分けて計上しなければなりません。

(1)自動車税の納付時
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
租税公課 120,000円 未払金 120,000円 自動車税
(2)自動車税の引き落とし時
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
未払金 120,000円 普通預金 120,000円 自動車税

つまり、納付時の借方は租税公課、貸方は未払金とした上で、引き落とし時の借方は未払金、貸方は普通預金と記載します。このように段階的に仕訳を行うことで、自社のお金の動きや流れを明確に把握できます。

自動車税の還付金があった場合

自動車税を納めた後に、還付金があった場合の仕訳方法も確認しておきましょう。例えば、同一の自動車について二重に税金を納めてしまったケースや、事業で不要になった自動車を、車検有効期間内に登録抹消したケースなどが該当します。

また、登録を抹消した場合は、月割りで翌月以降、先に納めていた分が還付されます。ただ、月割り制度のない軽自動車の場合は、還付されないので注意しましょう。

還付金の受け取り方法によって、次のように仕訳方法が変わります。

(1)銀行口座への振込で受け取った場合
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
普通預金 32,000円 租税公課 32,000円 自動車税の還付金
(2)金融機関にて現金で受け取った場合
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
現金 32,000円 租税公課 32,000円 自動車税の還付金

還付金の場合は、税金を納めた場合と逆になると考えれば問題ありません。銀行口座への振込で還付金を受け取った場合は、借方として普通預金、貸方として租税公課を記載します。一方、金融機関にて現金で受け取った場合の借方は現金、貸方は租税公課です。

自動車税を経費計上する場合の注意点

法人名義で保有する社用車に関して、自動車税などの納付もれを防ぐために、以下の3点に注意しましょう。

勘定科目を決めたら変更しない

先に述べたように、自動車税は租税公課として処理することが一般的です。しかし、自動車に関する経費をわかりやすく把握したい場合などは、車両費として計上することもできます。つまり、自動車税の勘定科目は会社の管理方針によって決定でき、租税公課と車両費のどちらでもかまいません。一度租税公課として計上すると決めたら、原則変更しないで毎年統一しましょう。

延滞金は損金不算入できない

自動車税は経費として計上できるため、納付が遅れた場合に課される「延滞金」なども、同様に計上が可能であると思われがちです。しかし、経費として認められるのはあくまで自動車税であり、延滞金や「加算金」は法人税法上の損金にはなりません。

つまり、いくら自動車税を経費に含めて節税できたとしても、延滞したことで余分に支払わなければならないお金が発生すれば、節税効果は結局薄まってしまいます。自動車税の納付書類が届いたら、延滞しないように期限内に正しく納めることが大切です。

税区分を確認する

自動車税は税金の一種であり、二重課税が発生しないように、消費税の対象外となっています。帳簿で仕訳を行う際は対象外と記載します。二重チェックを実施するなどして、ミスをしないように注意しましょう。

自動車税の経費計上は会計ソフトを活用して正確に行おう

会社が事業で使う社用車は、経費として計上できるため、節税につながりやすくなります。仕訳を行う場合は、「租税公課」あるいは「車両費」を使います。自社での自動車にかかる費用の管理方法に基づいて、勘定科目を最初に決めることが重要なポイントです。

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この記事の監修者中川 美佐子(税理士)

税務署の法人税の税務調査・申告内容の監査に29年勤務後、令和3年「たまらん坂税理士法人新規タブで開く」の社員税理士(役員)に就任。法人の暗号資産取引を含め、法人業務を総括している。

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