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小口現金とは?管理方法や仕訳方法、デメリットなどを解説

小口現金とは、企業が日々発生する経費の精算のために手元に用意する少額の現金のことです。事業において、消耗品の購入や交通費、慶弔費など、少額の出費が発生することがあります。このような場合に備えて、少額の現金を手元に用意している企業もあります。では、小口現金と現金にはどのような違いがあり、小口現金の管理や仕訳はどのように行えばよいのでしょうか。
本記事では、小口現金の管理方法や仕訳方法、デメリット、管理しやすくするポイントなどについて解説します。

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小口現金とは経費を精算するために手元に用意しておく少額の現金のこと

小口現金とは、企業が備品の購入や交通費など日々発生する経費を精算するために手元に用意しておく少額の現金のことです。少額の経費精算のたびに現金を銀行などから引き出すのは管理が煩雑になります。そこで多くの企業では、一定の金額を小口現金として手元に用意しておき、消耗品や交通費の支払などに使用しています。
なお、小口現金は少額であっても使用頻度が高いため、実際の残高と帳簿残高に差が生じていないか常にチェックすることが必要です。

小口現金の管理方法

一般的に、小口現金の管理には「小口現金出納帳」を使用します。
小口現金出納帳とは、あらかじめ用意しておいた小口現金から支払った金額や内容、補給した小口現金の金額を記録するための帳簿のことです。小口現金出納帳は会計帳簿の補助簿に該当し、実際の現金と帳簿上の金額が一致しているかチェックするために用いられます。定められている保存期間は、法人税法や所得税法で7年、会社法で10年です。小口現金と似た名称の「現金出納帳」は、小口現金出納帳と用途が異なり、企業のあらゆる現金収支を記録するために用いられます。例えば、現金で受け取った販売代金や原材料の現金購入などを管理するのが現金出納帳の用途です。これに対して、小口現金出納帳は日常的な雑費の支払に使われる小口現金の管理のみに用いられます。小口現金出納帳と現金出納帳の主な違いは以下のとおりです。

小口現金出納帳と現金出納帳の主な違い

帳簿 管理内容 記載する部署 記載するタイミング
小口現金出納帳 日常的な雑費の支払 経費を精算する部署ごと 小口現金の収支が発生したとき
現金出納帳 企業のあらゆる現金収支 経理部門 企業全体の支出を記録するとき
(小口現金の補給時など)

小口現金の補給方法

手元に用意しておく小口現金を補給する主な方法としては、大きく分けて定額資金前渡制度(インプレストシステム)と随時補給制度の2種類があります。
定額資金前渡制度とは、一定期間ごとに小口現金を補給する方法です。決まった金額を管理すればよく、複雑な作業が必要ないことから、多くの企業で採用されています。その一方で、随時補給制度は必要に応じて随時、小口現金を補給する方法です。一定期間に小口現金がどのくらい必要になるのか予測するのが難しい場合に用いられるケースが多く見られます。

小口現金の仕訳方法

ここからは、小口現金の仕訳方法について解説します。小口現金の仕訳に用いる勘定科目は、小口現金です。小口現金が増加したときは借方に、減少したときには貸方に小口現金と記入します。定額資金前渡制度での「小口現金を預金から引き出した場合」「小口現金から費用を支払った場合」「小口現金を補給した場合」の3つのケースを例に、具体的な仕訳方法を見ていきましょう。

小口現金から支払う費用の主な勘定科目

小口現金から支払う費用には、交通費や消耗品費、通信費、水道光熱費、修繕費、雑費などがあります。それぞれの勘定科目と主な使途は以下のとおりです。

小口現金から支払う費用と主な使途

勘定科目 主な使途の例
交通費 仕事のために使った電車やバス、タクシーの運賃、高速道路の利用料金、宿泊代金など
消耗品費 文房具、コピー用紙、帳簿、電池、梱包資材の購入費など
通信費 事業で使う切手・はがき代、固定電話・携帯電話料金、インターネット回線使用料など
水道光熱費 事務所や店舗などで使う水道・ガス・電気・灯油代など
交際費 取引先の接待のための飲食代、取引先への慶弔費など
修繕費 店舗や機械、器具、自動車など、営業活動に使用する資産(減価償却資産にあたらないもの)の修理代金
新聞図書費 業務上必要な新聞、書籍、雑誌の購入費など

預金から引き出して小口現金を補給した場合

定額資金前渡制度では、まず一定期間分の小口現金を小口現金担当に前渡しします。一定期間分の小口現金10万円を預金から引き出して、小口現金担当に渡して補給した場合の仕訳例は以下のとおりです。

預金から引き出して小口現金を補給した場合の仕訳例

借方 貸方
小口現金 100,000円 預金 100,000円

小口現金から費用を支払った場合

小口現金担当は、消耗品の購入などのために小口現金から支払ったら、何に使ったのかをその都度把握しておかなければなりません。そして、一定期間の終わりに、その期間に支払った小口現金の金額と内訳を経理に報告します。
預金から10万円引き出した小口現金のうち、消耗品費8,000円、交通費2万円、水道光熱費1万5,000円、通信費5,000円、雑費2,000円を一定期間に支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。

小口現金から費用を支払った場合の仕訳例

借方 貸方
消耗品費 8,000円 小口現金 50,000円
交通費 20,000円
水道光熱費 15,000円
通信費 5,000円
雑費 2,000円

小口現金を補給した場合

定額資金前渡制度では、月に1度や週に1度など回数を決めて、その期間内に使用した金額を定期的に補給します。上述した「小口現金から費用を支払った場合」の例で使用した小口現金5万円分を、預金から小口現金に補給した場合の仕訳例は以下のとおりです。

小口現金を補給した場合の仕訳例

借方 貸方
小口現金 50,000円 預金 50,000円

小口現金のデメリット

消耗品や交通費の支払などに使用できる小口現金は便利な一方で、経理担当者の負担が増えたり、盗難や紛失のリスクがあったりするなどのデメリットが生じます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

経理担当者の負担が増える

小口現金のデメリットは、管理に手間がかかり小口現金の管理担当者の負担が増えることです。
各部署の小口現金の管理担当者は、出納が必要になるたびに現金を数えて従業員に手渡すことに加え、小口現金出納帳に正確に記帳しなくてはなりません。こうした精算は日々発生するケースが多く、担当者はそのたびに通常業務の手を止めて小口現金の出納に対応することになります。
また、現金と帳簿上の金額が一致しているか、勤務終了前に毎日確認する必要があります。現金と帳簿上の金額に不一致が確認された際には、原因を特定しなくてはなりません。さらに、数多くの出納が発生した日などは、どの段階で金額がずれたのかが判明するまでに時間を要する場合もあります。こうした日々の作業が、担当者にとって少なからず負担になるでしょう。

盗難や紛失のリスクがある

小口現金の管理では現金を扱うため、盗難や紛失のリスクが伴うこともデメリットとしてあげられます。
現金が入っている引き出しには必ず鍵をかけたり、小型の金庫を利用したりするなど、厳重な管理をしなければなりません。また、リスクを最小限にとどめるためにも、現金を扱うのはごく一部の担当者に限定しておく必要があります。万が一、盗難や紛失が発生すると、担当者の管理責任も問われるからです。
なお、昨今は企業に現金を置くこと自体、安全面であまり好ましいことではないと捉える向きもあります。少額であっても現金が保管されていると、セキュリティ対策を強化しなければならないケースも少なくありません。こうした管理コストを含めて総合的に考え、小口現金の廃止を検討する意義はあるでしょう。

小口現金を管理しやすくするポイント

小口現金の管理においては、日々細かい現金の出入りが発生するため、管理が煩雑になる場合が多いでしょう。特に、手書きで帳簿付けをしていると、計算ミスが起こりやすく、後々に残高が合わないといった事態になりかねません。そこで、小口現金を管理しやすくするポイントを3つご紹介します。

会計ソフトを利用する

現金出納帳や小口現金出納帳などの管理が可能な会計ソフトを利用すれば、小口現金にかかわる記帳や管理の手間を大幅に軽減できます。会計ソフトを利用すると、手書きの帳簿付けで発生しやすい計算ミスが起こりにくく、現金の出入りをより正確に管理しやすくなるからです。
会計ソフトの中には自動仕訳機能がある製品もあり、頻繁な小口現金の出納を事細かに転記する必要がありません。さらに、クラウド型の会計ソフトなら、インターネット環境さえあれば外出先からでも利用できます。このようにしくみの面から小口現金の管理方法を見直すことは、合理的で正確な管理を実現するうえで重要なポイントの1つです。

表計算ソフトで管理する

Excelなどの表計算ソフトで小口現金を管理する場合は、あらかじめ用意されているフォーマットなどを活用する方法がおすすめです。
小口現金出納帳のフォーマットであれば、必要な計算式があらかじめ設定されているケースが多く、スムーズに導入できます。既に表計算ソフトを業務で利用していれば、新たにツールなどを導入する必要がなく、管理コストが増加する懸念もなく安心です。また、さまざまなWebサイトで小口現金出納帳のフォーマットが配布されており、無料でダウンロードできるものも少なくありません。ただし、表計算ソフトはあくまでも手作業による入力を前提としていることから、入力ミスが発生するリスクがあります。操作ミスによって計算式が消去されてしまったり、集計すべき範囲の指定が誤っていたりすれば、計算ミスが発生するおそれもあります。長い目で見た場合、前述の会計ソフトを導入するほうが結果として費用対効果が期待できるでしょう。

小口現金を廃止する

そもそも小口現金を廃止するのも1つの選択肢です。
近年は働き方が多様化しており、在宅勤務やリモートワークを導入する企業も増えています。こうした働き方を実現するためには、キャッシュレス対応が不可欠です。小口現金による経費精算のために出社しなくてはならないなど、非効率な状況を避けるためにも、廃止を含めて検討しておく意義は十分にあるでしょう。小口現金を廃止した場合の主な代替方法としては、以下の2つがあります。

従業員に経費を立て替えてもらう

小口現金を廃止した場合の代替方法としては、いったん従業員に経費を立て替えてもらい、月に一度など決まった周期で銀行振込で精算する方法があります。給与振り込み時に合算して振り込む方法も考えられます。
その一方で、小口現金を廃止することで立て替えによる従業員の金銭的負担が大きくなる点についても考慮しておかなくてはなりません。日々発生している出納の金額や頻度は、企業ごとに多種多様です。小口現金を廃止しても支障をきたさないかどうかは、自社の状況に合わせて判断する必要があります。

法人カードを従業員に貸与する

法人カードを従業員に貸与する方法も、小口現金を廃止した場合の代替方法にあげられます。法人カードとは、法人名義で発行されるクレジットカードのことです。従業員が法人カードで決済した経費は法人口座から引き落とされるため、従業員自身は現金を取り扱う必要がありません。また、経費がまとめて精算されるため、経理担当者の負担の軽減にもつながります。小口現金を廃止したいものの、経費精算の手段を確保しておきたい場合は、法人カードの導入も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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小口現金の適切な管理方法への理解を深めよう

小口現金は、消耗品の購入費や交通費など、日々発生する企業の経費を精算するために手元に用意しておく少額の現金です。少額の経費精算の際に便利な一方で、小口現金が適切に管理されていないことで残高の不一致が頻繁に発生したり、現金の盗難や紛失のリスクにさらされたりすることにもなりかねません。また、日々の出納や残高の確認といった作業が経理担当者にとって負担になることも懸念されます。
小口現金をはじめとした企業の現金を適切に管理するには、会計ソフトの活用がおすすめです。会計ソフトを活用することで人的ミスを防げるうえ、企業にとって欠かせない帳簿付けの手間も大幅に軽減されます。さらに、クラウド型の会計ソフトであれば、働き方の多様化にも対応可能な業務環境を構築しやすくなります。業務効率化を目指すためにも、自社に合った会計ソフトを導入してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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