小口現金とは?仕訳例や管理を楽にする方法などについて解説
監修者:税理士法人アンサーズ会計事務所
2024/05/21更新
小口現金とは、少額の現金を意味する用語です。事業を行ううえでは、消耗品の購入や交通費の精算、慶弔費など、少額の出費が発生することがあります。このような場合に使用するため、少額の資金を手元に用意している企業は少なくありません。
では、小口現金と現金にはどのような違いがあるのでしょうか。また、小口現金の管理や仕訳は、どのように行えばよいのでしょうか。ここでは、小口現金の意味や小口現金の仕訳例、小口現金の管理を楽に行う方法などについて解説します。
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小口現金とは経費精算用に用意しておく少額の現金のこと
小口現金とは、日々発生する経費精算のために会社に用意しておく少額の現金のことです。会社が扱うお金は大金になるため、すべてを現金で手元に置いておくのはセキュリティ上問題があります。会社の現金は銀行などに預けるか、金庫などで保管することになるでしょう。
しかし、会社にまったく現金がないと、交通費や消耗品などの経費精算にスムースに対処することができません。少額の経費精算のたびに銀行から現金をおろしたり、金庫から現金を取り出したりするのも管理が大変です。そのため、多くの企業では、一定の金額を小口現金として会社に用意し、交通費や消耗品の支払いなどに使用しています。
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小口現金の2つの制度
小口現金は日々の経費精算などに使用するものなので、適切なタイミングで現金を補給しなければ、いずれなくなってしまいます。小口現金の補給方法には、定額資金前渡制度と随時補給制度の2種類があります。会社によって、どちらの方法を選んでも問題ありません。
定額資金前渡制度(インプレストシステム)
定額資金前渡制度はインプレストシステムとも呼ばれ、一定期間ごとに使った金額を小口現金に補給する方法です。まず、あらかじめ1週間や1か月など定められた期間分の小口現金を、経理から小口現金係に渡しておきます。そして、その小口現金から日々の経費精算などを行い、一定期間が終了したら、使った分の金額を補給します。
例えば、1か月の小口現金を10万円と決め、ある月に5万円の出費があったとしたら、使った分の5万円を翌月に補給し、残高を10万円に戻します。複雑な作業が必要なく決まった金額を管理すればよいため、多くの企業で採用されている補給方法です。
随時補給制度
随時補給制度は、必要に応じて、随時小口現金を補給していく方法です。特に期間を定めずに、必要になったときに小口現金を補給します。例えば、創業間もない企業など、一定期間に小口現金がいくら必要かを予測するのが難しいような場合に用いられることが多い補給方法です。
小口現金の仕訳方法
ここからは、小口現金の仕訳方法について解説します。小口現金を処理する勘定科目は、「小口現金」です。小口現金が増加したときは借方に、減少したときには貸方に「小口現金」と記入します。
定額資金前渡制度での「小口現金を預金から引き出した場合」「小口現金から費用を支払った場合」「小口現金を補給した場合」の3つのケースを例に、具体的な仕訳方法を見ていきましょう。
小口現金を預金から引き出した場合の仕訳方法
定額資金前渡制度では、まず、一定期間の小口現金を小口現金係に前渡しします。一定期間の小口現金10万円を預金から引き出して、小口現金係に渡した場合の仕訳は下記のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
小口現金 | 100,000円 | 預金 | 100,000円 |
小口現金から費用を支払った場合の仕訳方法
小口現金係は、消耗品の購入などのために小口現金から現金を支払ったら、何に使ったのかをその都度把握しておかなければなりません。そして、一定期間の終わりに、その期間に支払った小口現金の金額と内訳を経理に報告します。
預金から10万円引き出した小口現金のうち、消耗品費8,000円、交通費2万円、水道光熱費1万5,000円、通信費5,000円、雑費2,000円を一定期間の間に支払った場合の仕訳は下記のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 8,000円 | 小口現金 | 50,000円 |
交通費 | 20,000円 | ||
水道光熱費 | 15,000円 | ||
通信費 | 5,000円 | ||
雑費 | 2,000円 |
小口現金を補給した場合の仕訳方法
定額資金前渡制度では、月に1度や週に1度など期間を決めて、その期間内に使用した金額を定期的に補給します。10万円の小口現金から5万円を使用し、5万円を補給する場合の仕訳は下記のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
小口現金 | 50,000円 | 預金 | 50,000円 |
ちなみに、小口現金から支払う費用の主な勘定科目は次のとおりです。
勘定科目 | 支払い内容 |
---|---|
交通費 | 仕事のために使った電車やバス、タクシーの運賃、高速道路の利用料金、宿泊代金など |
消耗品費 | 文房具、コピー用紙、帳簿、電池、梱包資材の購入費など |
通信費 | 事業で使う切手・はがき代、固定電話・携帯電話料金、インターネット回線使用料など |
水道光熱費 | 事務所や店舗などで使う水道・ガス・電気・灯油代など |
交際費 | 取引先の接待のための飲食代、取引先への慶弔費など |
修繕費 | 店舗や機械、器具、自動車など、営業活動に使用する資産(減価償却資産にあたらないもの)の修理代金 |
新聞図書費 | 業務上必要な書籍、雑誌、新聞の購入費など |
雑費 | 来客へのお茶代、ごみ処理代、クリーニング代、引越代など |
小口現金を管理しやすくする方法
小口現金は、日々細かいお金の出入りが発生するため、管理が煩雑になりがちです。特に手書きで記録をつけていると、計算ミスや記入漏れが起こりやすく、後々に残高が合わないなどの事態になりかねません。小口現金を管理しやすくするには、どのような方法があるのでしょうか。
表計算ソフトで管理する
できるだけ費用をかけずに小口現金を管理したい場合は、Excelなどの表計算ソフトを使う方法があります。例えば表計算ソフトの操作に慣れている方なら、使いやすい形にカスタマイズして効率性をアップすることも可能です。インターネット上で無料配布されているテンプレートを活用することもできます。
小口現金を表計算ソフトで管理するときに使われることが多いのが、金種表です。金種表とは、現金の残高を1円から1万円までのお金の種類ごとにまとめた表です。表計算ソフトでの管理は手軽な一方で計算ミスなども起こりやすいため、管理の際には十分気をつけましょう。
小口現金を廃止する
小口現金の管理に手間がかかり、担当者の負担が大きくなってしまう場合、思い切って小口現金を廃止するのも1つの方法です。特に、近年では在宅勤務やリモートワークを導入する企業が増えており、小口現金で経費精算を行うことが難しいケースも考えられます。
小口現金を廃止した場合の代替方法としては、いったん従業員に経費を立て替えてもらって月に1度銀行振込で精算する方法や、業務に関する支払いのためのビジネスカードを従業員に持たせて経費の立て替えをなくすやり方などがあります。
ただし、いきなり小口現金を廃止すると、立て替えによる従業員の金銭的負担が大きくなったり、現場が混乱したりする可能性もあるため注意しましょう。小口現金を廃止しても問題ないかどうかは、会社の状況に合わせて判断することが大切です。
会計ソフトを利用する
現金出納帳や小口現金出納帳などの管理が可能な会計ソフトを利用すれば、小口現金に関わる記帳や管理の手間を大幅に軽減することができます。会計ソフトなら手書きやExcelで起こりやすい計算ミスの心配もなく、お金の出入りを正しく管理できるでしょう。
さらに、自動仕訳に対応している会計ソフトであれば、記帳の際にどの勘定科目で仕訳すべきかなどと悩む必要もありません。経理作業の効率化を目指すなら、インターネット環境さえあれば出先からでも利用できる、クラウド型会計ソフトもおすすめです。
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小口現金は適切に管理することが大切
小口現金とは、消耗品や交通費といった日々の経費精算のために、手元に用意しておく少額の現金のことです。経費精算をスムースにするために、部署や支店ごとに小口現金を管理している企業も少なくありません。小口現金は便利な一方で、適切に管理しないと、細かい支払いに対応しているうちに残高が合わなくなったり、盗難や不正のリスクが発生したりすることがあります。かといって、小口現金を一切廃止してしまうと、従業員の金銭的負担や混乱を招く可能性も考えられます。
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よくあるご質問
小口現金とは?
小口現金とは、日々発生する経費精算のために会社に用意しておく少額の現金のことです。多くの企業では、一定の金額を小口現金として会社に用意し、交通費や消耗品の支払いなどに使用しています。詳しくはこちらをご確認ください。
小口現金にはどんな制度がある?
小口現金の補給方法には、一定期間ごとに使った金額を小口現金に補給する「定額資金前渡制度(インプレストシステム)」と、必要に応じて、随時小口現金を補給していく「随時補給制度」の2種類があります。会社によって、どちらの方法を選んでも問題ありません。詳しくはこちらをご確認ください。
小口現金を適切に管理するポイントは?
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この記事の監修者税理士法人アンサーズ会計事務所
吉祥寺にオフィスを構えて10年以上の実績と、40名以上のスタッフのマンパワーで、個人事業主から従業員100名を超える会社まで、幅広く対応中。司法書士、社会保険労務士など他士業との連携で法人のお悩み事にワンストップで対応可能。