株主(社員)資本等変動計算書とは?作成義務や見方について解説

2023/07/13更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

企業が作成しなければならない決算書の中に、株主(社員)資本等変動計算書という書類があります。株主(社員)資本等変動計算書は、2006年の新会社法の施行により導入された書類で、事業年度における企業の純資産の変動を表すものです。株式会社では「株主資本等変動計算書」、合資会社や合同会社などでは「社員資本等変動計算書」という名称になります。

株主(社員)資本等変動計算書を見ると、どのようなことがわかるのでしょうか。また企業にとって、株主(社員)資本等変動計算書の作成義務はあるのでしょうか。

ここでは、株主(社員)資本等変動計算書の概要や、作成義務の有無、株主(社員)資本等変動計算書から読み取れることなどについて解説します。

株主(社員)資本等変動計算書に記載されている内容

株主(社員)資本等変動計算書は、決算書の1つです。決算書という呼び方は一般的なもので、金融商品取引法では「財務諸表」、会社法では「計算書類」と呼ばれます。まずは、株主(社員)資本等変動計算書がどのような書類なのかを確認していきます。

企業の純資産の部の変動を詳しく記載する

株主(社員)資本等変動計算書に記載されているのは、企業の純資産の変動です。決算書には貸借対照表や損益計算書などさまざまな書類がありますが、株主(社員)資本等変動計算書は、このうち貸借対照表の純資産の部の変動を詳しく記載したものです。

株主(社員)資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成されます。株主資本の変動の様子を一覧にし、株主資本が増加もしくは減少した原因や、株主資本を振り分けた項目を示します。

貸借対照表・損益計算書ではわかりにくい資本金の流れを把握できる

株主(社員)資本等変動計算書は、2006年に施行された新会社法によって、新たに計算書類として設定されました。法改正前に貸借対照表としてまとめられていた株主(社員)資本等変動計算書に記載される内容は、新会社法の施行によって、株式会社は株主総会や取締役会の決定により剰余金の配当をいつでも決定可能になり、株式資本の計数を変動することができるようになりました。それによって、貸借対照表や損益計算書だけでは変動する資本金などの流れを把握することが難しくなり、株主(社員)資本等変動計算書が導入されることになったのです。

すべての企業に作成義務がある

株主(社員)資本等変動計算書は、法律によってすべての企業に作成が義務付けられている書類です。貸借対照表や損益計算書と同様に、事業規模などにかかわらず、必ず作成しなければなりません。なお、株式会社では「株主資本等変動計算書」、合資会社や合同会社などでは「社員資本等変動計算書」という名称で作成されます。

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株主(社員)資本等変動計算書の見方

ここからは、株主(社員)資本等変動計算書の具体的な見方について解説します。株主(社員)資本等変動計算書の項目は、大きく「株主資本」と「株主資本以外」に分けられ、それぞれの項目について当期首残高、当期変動額、当期末残高が記載されています。記載項目が多く一見複雑に見えますが、下記のポイントを押さえて内容をしっかりと把握しましょう。

当期首残高、当期変動額合計、当期末残高から純資産を把握する

株主(社員)資本等変動計算書の中でも重要なのが、当期首残高、当期変動額合計、当期末残高の3項目です。これらを見ることで、純資産の変動を把握することができます。

当期首残高

当期首残高とは、期初時点での残高です。この株主(社員)資本等変動計算書の当期首残高と、前期末における貸借対照表の純資産の部で、各項目と金額が一致していないといけません。

当期変動額合計

当期変動額合計とは、当期変動額にある各項目の合計のことです。当期変動額には、新株の発行や剰余金の配当といった変動事由が記載されています。これらの変動事由ごとの変動額を合計したものが、当期変動額合計です。

当期末残高

当期末残高とは、期末時点での残高です。この株主(社員)資本等変動計算書の当期末残高と、貸借対照表の純資産の部は、各項目と金額が一致しなければなりません。

純資産の増減を確認する

当期首残高、当期変動額合計、当期末残高の3項目を確認したら、次に純資産の変動が発生した理由を見ていきます。変動した事由ごとに変動額を見ると、純資産のうち何がどれくらい増減したかがわかるでしょう。

株主(社員)資本等変動計算書から読み取れる内容

株主(社員)資本等変動計算書に記載されている各変動事由と変動額からは、企業にとって有用なさまざまな情報を読み取ることが可能です。変動が発生した理由に注目すれば、お金の流れをより詳細につかむことが可能になるでしょう。各項目を「株主資本」と「株主資本以外」に分けて、主な変動事由とそこからわかる内容について見ていきます。

株主資本の各項目の主な変動事由

株主資本に関連する項目の変動事由としては、下記が挙げられます。

株主資本の変動事由

  • 当期純利益、または当期純損失
  • 新株の発行
  • 剰余金(その他資本剰余金、またはその他利益剰余金)の配当
  • 自己株式の処分
  • 自己株式の取得
  • 自己株式の消却
  • 企業結合(合併、会社分割、株式交換、株式移転など)による増加または分割型の会社分割による減少
  • 資本金から準備金、または剰余金への振替
  • 準備金から資本金、または剰余金への振替
  • 剰余金から資本金、または準備金への振替
  • 剰余金の内訳科目間の振替
  • 連結範囲の変動、または持分法の適用範囲の変動
  • 非支配株主との取引に係る親会社の持分変動

この中から、代表的なものについて解説します。

当期純利益、または当期純損失

当期純利益は、企業がその会計期間(1年間)に生み出した最終利益です。利益がプラスなら株主資本が増額し当期純利益と、マイナスであれば減額し当期純損失となります。当期純利益として金額が記載されていれば、その金額が企業に蓄積されているということがわかります。

新株の発行

新株の発行は増資の1つで、資金調達が大きな目的です。新しく株式を発行する代わりに、第三者から出資という形で資金を得ることができます。新たに株式を発行して自己資本を増額すると、株主(社員)資本等変動計算書の株主資本も増えることになります。

剰余金(その他資本剰余金、またはその他利益剰余金)の配当

株主(社員)資本等変動計算書に記載されている剰余金の配当という項目は、その会計期間中に実際に株主に分配された金額です。剰余金を株主に配当すると、株主資本は減額します。これは、企業が蓄積している利益の一部を金銭によって株主に配当することで、企業が持つ純資産は減少することになるためです。

株主資本以外の各項目の主な変動事由

一方、株主資本以外の各項目の主な変動事由には、下記のようなものが挙げられます。

株主資本以外の主な変動事由

  • その他有価証券に評価差額が発生したときにその差額を処理する
  • 純資産の部に直接計上されたその他有価証券評価差額金の増減
  • ヘッジ対象の損益認識、またはヘッジ会計の終了による増減
  • 純資産の部に直接計上された繰延ヘッジ損益の増減
  • 連結範囲の変動に伴う為替換算調整勘定の増減
  • 純資産の部に直接計上された為替換算調整勘定の増減
  • 新株予約権の発行、または取得、行使、失効
  • 自己新株予約権の消却、または処分
  • 非支配株主に帰属する当期純利益

この中から、代表的な事由について解説します。

その他有価証券の評価差額

その他有価証券を時価評価した場合などに生じる評価差額を「その他有価証券評価差額金」といい、その増減を記載する必要があります。損益計算書に計上された損益に税効果を調整した後の金額と、調整する前の金額のいずれかの方法で記載されます。

新株予約権の発行、または取得、行使、失効

新株予約権とは、一定の条件で企業に対して新株式の発行、または自己株式の提供を請求し、その株式を購入できる権利のことを指します。新株予約権保有者は、事前に決定された価格で新株式を購入することができます。新株予約権の発行時には購入金額を記載し、権利が行使、取得、失効されたときに株式払込分とともに損益額を記載することになります。

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株主(社員)資本等変動計算書の見方を知って、自社の分析に役立てよう

株主(社員)資本等変動計算書は、企業の純資産の変動を示す書類です。純資産の変動の様子を項目ごとに記載することによって、どの項目がどのような理由でいくら変動したのかを、詳細に把握することができます。また、株主(社員)資本等変動計算書からは、企業に蓄積された利益や、資金調達の傾向などもわかり、将来的な経営戦略を立てるうえでも役立ちます。企業の状況を分析するには、前年度や前々年度の株主(社員)資本等変動計算書と比較しながら見ていくことも大切です。株主(社員)資本等変動計算書の役割と見方を知って、企業経営のため有効に活かしましょう。

株主(社員)資本等変動計算書は決算書の1つであり、すべての企業に作成が義務付けられています。記載項目が多く一見複雑そうに見えますが、日々の帳簿付けをしっかり行い、1つひとつの項目の意味を理解していれば、比較的スムースに作成できます。自社に合った会計ソフトを活用して、帳簿付けから見直してみてはいかがでしょうか。

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よくあるご質問

株主(社員)資本等変動計算書とは?

株主(社員)資本等変動計算書は、2006年の新会社法の施行により導入された書類で、事業年度における企業の純資産の変動を表すものです。株式会社では「株主資本等変動計算書」、合資会社や合同会社などでは「社員資本等変動計算書」という名称になります。

株主(社員)資本等変動計算書に記載される項目は?

株主(社員)資本等変動計算書の項目は、大きく「株主資本」と「株主資本以外」に分けられ、それぞれの項目について当期首残高、当期変動額、当期末残高が記載されています。詳しくはこちらをご確認ください。

株主(社員)資本等変動計算書からわかることとは?

株主(社員)資本等変動計算書に純資産の変動の様子を項目ごとに記載することによって、どの項目がどのような理由でいくら変動したのかを詳細に把握することができます。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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