総勘定元帳とは?仕訳帳との違いや書き方をわかりやすく解説
監修者: 税理士法人 MIRAI合同会計事務所
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総勘定元帳は、企業が行ったすべての取引を勘定科目ごとに分類した帳簿です。会計帳簿の中でも企業が必ず作成しなければならない主要簿にあたり、損益計算書や貸借対照表といった決算書の作成にも欠かせないとても重要な帳簿です。総勘定元帳は仕訳帳から転記して作成しますが、記載項目や作成方法などを知っていないと正しく記帳することができません。
ここでは、総勘定元帳の概要や役割の他、総勘定元帳の記載項目、使用するメリットなどについても解説します。
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総勘定元帳はすべての取引を勘定科目ごとに分類した帳簿
総勘定元帳は、すべての取引を勘定科目ごとに分類した帳簿です。会社の取引が勘定科目ごとにまとまって記載されるため、それぞれの残高を把握したいときなどに役立ちます。決算の際は総勘定元帳をもとに損益計算書や貸借対照表を作成するため、会計帳簿の中でも特に重要なものだといえるでしょう。
なお、総勘定元帳は仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記したものなので、仕訳帳がなければ作成できません。
総勘定元帳は複式簿記で必要な主要簿の1つ
総勘定元帳は、複式簿記では必ず作成しなければならない帳簿である主要簿の1つです。
総勘定元帳は決算書作成や確定申告においても欠かせない帳簿であるだけでなく、税務調査が入った場合も提示を求められる帳簿であり、その際には過去3期分ほどの総勘定元帳をチェックされるケースがほとんどです。なお、主要簿として挙げられる帳簿は、この総勘定元帳と仕訳帳の2つです。
仕訳帳については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
総勘定元帳には、一定期間の保存が義務付けられている
総勘定元帳をはじめとする会計帳簿や、その帳簿と取引などに関して作成または受領した書類は、所得税法では7年の保存が義務付けられています。
税法上で定められている帳簿は、総勘定元帳だけでなく、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など、また書類は、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などが挙げられます。
一方、会社法で定められている会計帳簿の保存期間は、10年です。また、欠損金の繰越控除を受ける事業年度についても、原則として10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。そのため、法人の場合は、会計帳簿の保存期間は10年間と考えておくと良いでしょう。必要な帳簿書類をきちんと保存しておかないと、過去の取引やデータを確認できないなど経営上の不利益はもちろんのこと、税務上もさまざまな不利益を受ける可能性があります。
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総勘定元帳と仕訳帳の違い
先述のとおり、総勘定元帳は勘定科目ごとに取引が発生した日やその取引の内容、残高を確認できる帳簿であるのに対して、仕訳帳は特定の日の取引についてすべて確認できる帳簿であるという点が、両者の違いです。
仕訳帳は、会社が行ったすべての取引を、日付順に記録していく帳簿です。1つの取引を借方と貸方に振り分けて適切な勘定科目に仕訳する複式簿記で記帳します。仕訳帳の目的は、日々の取引を発生順に記載し、お金の流れを把握することです。すべての取引における金額の増減がわかり、取引の詳細を確認したい場合も該当する日付の仕訳帳を見れば一目瞭然です。
一方で、勘定科目ごとの取引については把握しづらいというデメリットがあります。
これらの違いを理解したうえで、確認したい内容に応じて両者を使い分けるようにしましょう。
総勘定元帳の記載項目
総勘定元帳には、どのような記載項目があるのでしょうか。記載項目は、次のとおりです。
総勘定元帳の記載項目
- 日付:取引のあった日付を記載。仕訳帳の日付欄に書かれた日付を転記する
- 摘要:取引の内容を記載。記載内容は、仕訳帳の摘要欄から転記する
- 仕丁:各取引が仕訳帳のどのページとリンクしているかを記載。該当する仕訳帳のページ数(丁数)を転記する。なお、会計ソフトの場合、総勘定元帳から該当する仕訳帳のページへ画面を移すことができるため、仕訳帳のページ数を示す仕丁欄はない場合が多い
- 相手勘定科目:その取引の相手側となる勘定科目を記載。現金の勘定口座であれば、交際費や消耗品費など、仕訳帳に記載した現金の相手方の勘定科目を記載する
- 借方金額/貸方金額:その勘定口座の科目の金額が仕訳帳の借方に記載されていれば総勘定元帳の借方に、仕訳帳の貸方に記載されていれば総勘定元帳の貸方に金額を記載
- 頁:総勘定元帳のページ数を記載
総勘定元帳を使用するメリット
総勘定元帳を作成する理由は、「作成しなければいけないと決まっているから」「確定申告や決算時に必要だから」というだけではありません。総勘定元帳を活用することで、次のようなメリットがあります。
勘定科目ごとの残高管理ができる
総勘定元帳は取引を勘定科目ごとにまとめたものなので、各勘定科目の残高を容易に把握することができます。例えば、「会社の財務状況を把握するために現預金や借入金の残高を確認しておきたい」というような場合、日付順に取引を記録した仕訳帳では個別の残高情報をピックアップするのに手間がかかるでしょう。
しかし、総勘定元帳なら、現金や預金、借入金といった対象の勘定科目の帳簿を確認するだけで、それぞれの残高がひと目でわかります。
決算書の残高が一致しない場合に、誤りの原因を見つけやすい
決算書の各勘定元帳の残高が一致しなかった場合には、どこに誤りがあるのかを帳簿から調べていく必要があります。勘定科目ごとの取引内容や残高の内訳をすぐ確認できる総勘定元帳を確認すれば、誤りの原因が見つけやすいでしょう。
勘定科目ごとの金額の推移を把握できる
総勘定元帳を1年通して、または前期と比較してみることで、勘定科目ごとの金額の増減の推移を把握することができます。
例えば、水道光熱費が前期に比べて大幅に増加していたら、どこに原因があるのかを探る必要があります。そんなとき、総勘定元帳を確認すればすぐに原因を特定することができるでしょう。また、毎月支払いが必要な費用なども、総勘定元帳で勘定科目ごとに確認すれば、支払い漏れがないかどうかがすぐ確認できます。
会計ソフトを使えば総勘定元帳は自動で作成できる
総勘定元帳は仕訳帳を転記して作成するものですが、借方・貸方の記載などは慣れていないとわかりにくく、ミスも起きやすいものです。一般的な会計ソフトなら入力したデータをもとに総勘定元帳が自動で作成されるので、記帳に手間や時間をかけずに済みます。
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仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。

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総勘定元帳は会計ソフトで自動作成がおすすめ
総勘定元帳は会計帳簿の主要簿にあたり、複式簿記では必ず作成しなければならない重要な帳簿です。また、総勘定元帳は法律によって保存が義務付けられており、税務調査の際にも必ずといっていいほど提出を求められるものです。総勘定元帳は決算書作成のもとになる帳簿でもあるため、作成時には正確な記載を心掛ける必要があります。
しかし、仕訳帳から手書きで総勘定元帳に転記していると、手間と時間がかかるうえ、仕訳ミスや転記漏れなどが起こりがちです。そんなときは会計ソフトを利用すれば、入力したデータをもとに総勘定元帳を自動で生成することができます。帳簿作成の効率化を目指すなら、ぜひ会計ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。
