仕訳帳とは?記載項目や書き方、作成の流れなどを詳しく解説

2023/08/17更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

企業の事業活動において発生するお金の流れは、すべて仕訳して記録しておく必要があります。その流れを記録するのが仕訳帳ですが、重要な役割のある帳簿のため、しっかり記載しておかなければなりません。
ここでは、仕訳帳の概要や記載項目の他、具体的な作成の流れなどを、記入例を交えながら解説していきます。

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仕訳帳とは企業の取引を日付順に記載した帳簿

仕訳帳とは、企業が行ったすべての取引を日付順に記載した会計帳簿の1つです。取引を借方と貸方に振り分ける複式簿記のルールで記載します。

複式簿記では必ず作成する主要簿

仕訳帳は、資金の動きを記載する会計帳簿の中でも主要簿といわれる帳簿です。会計帳簿は貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成する際にも欠かせないもので、会社法によって作成と保存が義務付けられています。その中でも仕訳帳は、総勘定元帳などと同様、複式簿記では必ず作成しなければならない帳簿です。

なお、会計帳簿には主要簿の他に、補助簿といわれる帳簿もあります。補助簿とは、主要簿を補完するために作成される帳簿です。名前のとおり補助的な役割を担う帳簿であり、種類も多いため、どれを作成するかは各企業が必要に応じて判断します。補助簿には、現金出納帳や預金出納帳、仕入帳、売上帳、固定資産台帳などが挙げられます。

仕訳帳への記帳方法

仕訳帳への記帳は、1つの取引を借方と貸方に振り分けて適切な勘定科目に仕訳する複式簿記で行います。資産の増加や費用の発生時には借方に、負債や純資産の増加、収益の発生があった際は貸方に取引を記載し、この2つは金額が一致しなければなりません。

仕訳帳の目的

仕訳帳の目的は、日々の取引を発生順に記載し、お金の流れを把握することです。すべての取引における金額の増減がわかる仕組みになっているため、該当する日付の仕訳帳を見れば、取引の詳細を確認することができます。

なお、仕訳帳と同じく主要簿である総勘定元帳は、仕訳帳をベースにして作成します。そのため、仕訳帳がないと総勘定元帳を作成することができません。

仕訳帳の保存期間

仕訳帳は、一定期間保存しなければなりません。仕訳帳を含む会計帳簿や、その帳簿と取引などに関して作成または受領した書類は、法人税法で7年の保存が義務付けられています。

ただし、会社法では、会計帳簿の保存期間は10年と定められています。また、税務会計上での赤字である欠損金の繰越控除を受けた事業年度の会計帳簿についても、原則として10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。そのため、法人の場合は、会計帳簿の保存期間は10年間と考えておくと良いでしょう。

必要な帳簿書類をきちんと保存しておかないと、過去の取引やデータを確認できないだけでなく、税務上のさまざまな不利益を受ける可能性があります。

仕訳帳の記載項目

仕訳帳の記載項目例

仕訳帳の記載項目は、以下のとおりです。

仕訳帳の記載項目

  • 日付:取引のあった日付を記載
  • 借方:借方の勘定科目とその金額を記載
  • 貸方:貸方の勘定科目とその金額を記載
  • 摘要:取引の内容や相手、数量などを記載
  • 元丁:総勘定元帳の転記先(ページ数など)を記載。仕訳帳の内容を総勘定元帳に転記する際は、元丁を記載しておくことで、総勘定元帳への転記が済んでいるという印になる。会計ソフトの場合、総勘定元帳から該当する仕訳帳のページへ画面を移すことができるため、仕訳帳のページ数を示す仕丁欄はない場合が多い

なお、資産・費用が勘定科目になる場合、増えるときは借方、減るときは貸方に記入します。負債・純資産・収益が勘定科目になる場合、増えるときは貸方、減るときは借方に記入します。

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仕訳帳の書き方

では、仕訳帳はどのように作成すれば良いのでしょうか。ここからは、仕訳帳の書き方について見ていきます。

取引を会計基準に従って記録する仕訳

仕訳帳の書き方について説明する前に、仕訳帳を作成する際の基本となる「仕訳」について、説明しておきましょう。取引を会計基準に従って記録することを、仕訳といいます。企業が事業を行ううえで発生した取引は、すべて仕訳を行う必要があります。仕訳をする際には、1つの取引を借方と貸方に分け、取引内容の性質を表す勘定科目に振り分けなければなりません。

それぞれの勘定科目は、貸借対照表における「資産」「負債」「純資産」の3つ、または損益計算書における「収益」「費用」の2つの、合わせて5つのグループに分けられます。それぞれに属する代表的な勘定科目は、次のとおりです。

勘定科目の各グループと主な勘定科目一覧

  • 資産:現金、預金、売掛金、受取手形、商品、固定資産など
  • 負債:買掛金、未払金、借入金、支払手形など
  • 純資産:資本金、繰越利益剰余金など
  • 収益:売上、受取利息、受取配当金など
  • 費用:仕入、給与、水道光熱費、消耗品費など

掛取引を行った場合

まずは、掛取引を行った場合の仕訳帳の書き方について解説します。

掛取引とは、商品の引渡し時には代金支払いを行わず、後日決められた期日までに支払いを行うことです。
掛取引の場合は、商品の代金を現時点受け取っていないということになるため、売掛金と売上の勘定科目で仕訳をします。

例えば、2月1日に10万円のノートパソコンを掛取引で販売した場合の仕訳帳への書き方は下記のとおりです。商品の代金を現時点では受け取っていないことになるため、借方欄に売掛金として10万円を記入し、貸方欄に売上として10万円を記入します。

2月1日に10万円のノートパソコンを掛取引で販売した場合
日付 借方 貸方 摘要
2月1日 売掛金 100,000 売上 100,000 ノートパソコン

現金取引を行った場合

現金取引とは、商品の受け渡しやサービスの提供と同時に、その代金を現金で支払う(または受け取る)取引です。

例えば、3月15日に2万円のオフィスチェアを現金で購入した場合の仕訳帳への書き方は下記のとおりとなります。なお、購入金額が10万円未満のものや耐用年数が1年未満のものの他、文房具やコピー用紙、事務所のロッカーなどの10万円未満の備品も消耗品として扱いますが、はがきや切手を購入したときの代金は通信費です。

ここでは、資産である現金が減るため借方欄に現金の2万円を記入し、消耗品を購入したとして貸方欄に消耗品費の2万円を記入します。

3月15日に2万円のオフィスチェアを現金で購入した場合
日付 借方 貸方 摘要
3月15日 消耗品 20,000 現金 20,000 オフィスチェア

銀行振込で振込手数料が発生した場合

銀行振込での振込手数料の勘定科目は支払手数料となります。例えば、4月1日にパンフレットの制作費3万円を銀行振込で支払い、振込手数料が200円発生した場合の仕訳帳への書き方は下記のとおりです。

パンフレットやチラシ、カタログなどは商品やサービスを宣伝するためのものであるため、それらの制作費や印刷費は、広告宣伝費になります。この場合は、借方欄に広告宣伝費の3万円と支払手数料の200円を記入し、貸方欄に普通預金の3万200円を記入します。

4月1日にパンフレットの制作費3万円を銀行振込で支払い、振込手数料が200円発生した場合
日付 借方 貸方 摘要
4月1日 広告宣伝費 30,000 普通預金 30,200 パンフレット
支払手数料 200

このような複数の勘定を用いる仕訳を、「複合仕訳」と呼びます。複合仕訳の場合は、それぞれ行を分けて記入しましょう。なお、先述した掛取引や現金取引の例などの1対1の仕訳を「単一仕訳」といいます。

掛取引で購入した商品の代金を小切手で支払った場合

小切手を振り出した場合の勘定科目は、当座預金になります。

例として、掛取引で購入していた30万円の材料の代金を、小切手を振り出して5月1日に支払った場合の仕訳帳への書き方を見てみましょう。この場合は、負債である買掛金が30万円減り、それに伴い、資産に分類される当座預金も30万円減ります。そのため、借方欄に買掛金の30万円を記入し、貸方欄に当座預金の30万円を記入します。

30万円のセミナーの代金を、小切手を振り出して5月1日に支払った場合
日付 借方 貸方 摘要
5月1日 買掛金 300,000 当座預金 300,000 材料

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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