小口現金出納帳とは?作成するメリットや現金出納帳との違いを解説

2023/07/13更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

「小口現金出納帳(こぐちげんきんすいとうちょう)」は、事業で使う現金を管理するために作成する帳簿の1つです。現金を管理して記録する帳簿である「現金出納帳」と同様、小口現金出納帳も重要な決算書類ですが、小口現金出納帳と現金出納帳には、どのような違いがあるのでしょうか。また、現金出納帳とは別に小口現金出納帳を作成することに、どんな意味があるのでしょうか。

ここでは、小口現金出納帳の役割や作成するメリット、現金出納帳との違い、小口現金出納帳の書き方などを解説します。

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小口現金出納帳の役割とは?

小口現金出納帳の役割は、会社で扱う小口現金の出入りを記録することです。小口現金とは、日々発生する経費精算のために会社に用意しておく少額の現金を指します。会社が扱うお金は大金になるため、現金を手元に置いておくのは危険です。とはいえ、会社にまったく現金がないと、消耗品などの備品購入や交通費などの経費精算にスムースに対処できません。そのため、多くの会社では、一定の金額を小口現金として会社に用意し、現金取引や経費精算などに使用しています。

また、小口現金出納帳には補給処理という作業もあります。小口現金を使用していると残高が減ってくるため、手元の現金がなくなる前に、経理担当者から現金を預かって補充する小口現金の補給処理が必要となるのです。

この小口現金の支払いや補給に関する情報を記入するのが、小口現金出納帳です。すべての現金の入出金を記録する現金出納帳とは別の帳簿になるため、それぞれ記帳する必要があります。

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小口現金出納帳を作成するメリット

小口現金出納帳を作成すると、日々の少額なお金の出入りを可視化して適切に管理することができます。具体的には、「経費精算の手間を省ける」「不正などのトラブルを未然に防止できる」という、大きく2つのメリットがあります。

経費精算の手間を省ける

会社に小口現金を置いておくと、交通費や消耗品といった少額の経費精算にとても便利です。しかし、だからといって、必要になった分だけ自由に現金を使用していると、いつ、何に、いくら使ったのかがわかりません。通帳を見れば取引内容がわかる預金とは異なり、現金の出入りは記録がないと後で確認することができません。そのため、小口現金出納帳を作成してお金の流れを把握する必要があるのです。

不正などのトラブルを未然に防止できる

小口現金出納帳は、不正や盗難などのトラブル防止にも役立ちます。小口現金出納帳を作成し、日々の帳簿残高と手元の現金が一致しているかどうかを確認することで、不正防止につながります。万が一、従業員が会社のお金を不正に持ち出すようなことがあっても、小口現金出納帳をチェックしていればすぐに発見できるでしょう。

小口現金出納帳と現金出納帳の違い

小口現金出納帳と似た役割を持つ帳簿に現金出納帳がありますが、小口現金出納帳の違いは「扱う金額の大きさ」になります。現金出納帳は会社において行われるすべての現金取引について記録する帳簿で、小口現金出納帳は日々の経費精算などに使う少額の現金の流れを記録する帳簿です。

また、現金出納帳は1冊で、主に経理担当者が会社全体の現金の流れを管理するものですが、小口現金出納帳は部署ごとや支店ごとに作成されるケースも少なくありません。各部署や支店で小口現金出納帳を作成し、小口現金を管理すれば、経費精算もスムースに行うことができるでしょう。

なお、現金出納帳は必ず作成しなければならない帳簿ですが、小口現金出納帳の作成は任意です。現金の流れは最終的に現金出納帳に記入するため、小さな会社や小口現金を使う頻度が少ない場合は、現金出納帳でまとめて管理しても問題ありません。

現金出納帳についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

現金出納帳とは?書き方や必要項目、作成のポイントなどを解説

小口現金出納帳を作成する流れ

ここからは、小口現金出納帳を作成する流れについて説明します。項目の説明から、記入法、現金の出し入れ、補給処理の仕方など一連の流れを見ていきましょう。

1 小口現金出納帳の項目の作成

まずは、小口現金出納帳の項目を作成します。一般的な項目は以下の5つです。

受入金額

受入金額は、現金が入金されたときに記入する項目です。経理担当者から小口現金を受け取ったときや、月初などのタイミングで小口現金の補給があったときには、この受入金額欄に記入します。

日付

小口現金出納帳は日付順に記入します。日付の欄には現金の入金または出金があった日を記入するようにし、領収書に記入された日付と実際に現金を利用した日が異なる場合は、領収書ではなく実際の日付を入れます。

摘要

摘要は、入出金の目的などの詳細を具体的に記入する項目です。交通費なら「タクシー代」、消耗品費なら「ボールペン◯本購入」など、後から誰が見てもわかるように端的にまとめてください。

支払金額

支払金額は、小口現金を支払った(利用した)際に記入する項目です。

支払内訳

支払内訳は、どのような目的で小口現金を使ったかを説明する項目です。「旅費交通費」「消耗品費」「水道光熱費」など、支払いの内容を表す勘定科目を記入します。

2 受取金額欄に受け取った金額を記入する

小口現金出納帳の1行目にある「受入金額」の欄に、経理担当者などから受け取った小口現金の金額を記入します。2行目の日付欄には受け取った日付を、摘要欄には「受取」と記入します。

3 現金出し入れの処理を行う

小口現金出納帳の出し入れ処理では、日付欄に使用した日付、摘要欄に使用目的、支払金額、支払内訳を記入します。小口現金の管理者が小口現金を支払う際には、帳簿上の残高と手元にある小口現金の残高の額にずれがないかを、その都度、確認するようにします。

4 次月への繰り越し作業をする

小口現金出納帳は月末ごとに締め、次月への繰り越し作業を行います。その月の最後の記帳が終わったら、二重線などの仕切り線を引き、その下の摘要を「◯月合計」として支払金額と受入金額それぞれの合計額を記入。さらに、その下の行の適用を「次月繰越」とし、次月に繰り越す残高を記入します。

このとき、支払金額の合計と次月繰越残高を足した金額が、受入金額の合計額と一致するかどうかを確認しましょう。一致しなかった場合は、記入の漏れやミス、計算間違いの可能性があります。また、実際の現金有高との一致も確認します。

5 前月の繰り越し作業をする

次月への繰り越し作業を行ったら、その翌月の初日には「前月繰越」の作業を行います。摘要を前月繰越とし、受入金額の欄に次月繰越の金額を記入します。作業を行った日付も忘れずに記入しましょう。

6 補給処理をする

経理担当者などから現金の補給を受けたら、受入金額の欄に補給された金額を、日付欄に受入日を記入し、摘要は「本日補給」とします。

小口現金出納帳に記載する勘定科目

小口現金出納帳の支払内訳欄には、該当する勘定科目を記入するのが一般的です。ただし、小口現金で用いられる勘定科目は数多くあり、会社や業種などによっても捉え方が異なります。できるだけ統一して管理できるように、社内ルールを設定しておくと良いでしょう。

小口現金出納帳で用いられることの多い勘定科目には、以下のようなものがあります。

旅費交通費

旅費交通費は仕事のために使った公共交通機関や高速道路、タクシーなどの交通費、宿泊施設などを利用した際に支払った代金です。出張手当も含みます。

消耗品費

消耗品費は文房具やコピー用紙、電球、梱包資材などが該当します。会社によっては、帳簿やペン、コピー用紙、封筒といった日常使われる事務用品については、消耗品費とは分けて「事務用品費」という勘定科目を使用することもあります。

水道光熱費

水道光熱費は事務所や店舗などで使用する水道料金・ガス料金・電気料金のことです。冷暖房に使う灯油などの燃料代も該当します。

通信費

通信費は事業で使う切手・はがき代、固定電話・携帯電話料金、インターネット回線使用料などを指します。宅配便、有料放送の視聴費なども通信費に含まれます。

修繕費

修繕費は店舗や機械、器具、自動車など、営業活動に使用する資産(減価償却資産にあたらないもの)の修理代金です。また、おおむね3年以内の周期での修理や改良、20万円以下の修理や改良の場合は修繕費として必要経費に算入できるとされています。

新聞図書費

新聞図書費は、業務上必要な情報を収集するための新聞・書籍・雑誌などを購入する費用です。インターネットのメールマガジン購読や電子書籍も新聞図書費に含まれます。

雑費

少額で重要性が低く、どの勘定科目にもあてはまらない支出が「雑費」となります。具体的には一時的なレンタル料金やゴミ処理費用などが挙げられます。

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小口現金出納帳は会計ソフトを活用して効率良く作成しよう

小口現金出納帳は、事業で扱う少額の現金(小口現金)の出入りを管理する帳簿です。現金出納帳とは異なり、小口現金出納帳は、必ずしも作成しなければならないものではありません。しかし、小口現金出納帳があれば部署や支店ごとに小口現金を管理することができ、日々の経費精算を行う上でもとても便利です。

小口現金出納帳の記入方法は比較的シンプルなので、基本的なルールさえ覚えてしまえば、作成はそれほど難しくはありません。必要事項が記入されていれば様式に定めはないので、手書きや表計算ソフトで作成することも可能です。ただ、手書きやエクセルで小口現金出納帳を作成していると、時間や手間がかかるだけでなく、計算ミスや転記漏れなどが起こりやすくなってしまいます。小口現金出納帳を正確かつ効率良く作成するには、会計ソフトの導入がおすすめです。

会計ソフトなら、テンプレートに沿って数字を入力するだけでかんたんに帳簿を作成できます。さらに、入力した数値は自動で集計されるため、計算間違いの心配もありません。帳簿作成の手間を削減して経理業務の効率化を目指すなら、ぜひ自社に合った会計ソフトを利用してみてはいかがでしょうか。

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よくあるご質問

小口現金出納帳とは?

「小口現金出納帳(こぐちげんきんすいとうちょう)」は、事業で使う現金を管理するために作成する帳簿の1つです。小口現金出納帳の役割は、会社で扱う小口現金の出入りを記録することです。詳しくはこちらをご確認ください。

小口現金出納帳と現金出納帳の違いは?

現金出納帳は会社において行われるすべての現金取引について記録する帳簿で、小口現金出納帳は日々の経費精算などに使う少額の現金の流れを記録する帳簿です。なお、現金出納帳は必ず作成しなければならない帳簿ですが、小口現金出納帳の作成は任意です。詳しくはこちらをご確認ください。

小口現金出納帳に記載する勘定科目は?

小口現金出納帳で用いられることの多い勘定科目には、旅費交通費・消耗品費・水道光熱費・通信費・修繕費・新聞図書費・雑費などが挙げられます。ただし、会社や業種などによっても捉え方が異なるため、統一して管理できるように社内ルールを設定しておくと良いでしょう。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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