合同会社が納める税金の種類一覧!株式会社との違いや法人税率を解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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法人と個人事業主では課せられる税金の種類が異なります。合同会社を設立した場合は、法人税をはじめとする、法人に対して課せられる税金を納める義務があります。
起業や法人化の際に、納めるべき税金の種類を知らずに未納になってしまうと、追徴課税されたり、資金繰りに影響したりするかもしれません。また、税負担を減らせるはずだったのに、多く払いすぎていたという場合もあります。会社設立後に納める税金や税率を知っておくことで、適切な税金額を納められ、事業を安定させていくことにもつながるでしょう。
ここでは、法人税をはじめとする合同会社に納める税金の種類や税率、課税対象、申告・納付期限などを解説します。
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合同会社が納める税金の種類
合同会社が納める主な税金は、法人税や法人住民税、法人事業税、特別法人事業税、消費税などです。他にも、会社で車を使う場合は自動車税、土地建物などの固定資産を所有している場合は固定資産税などもかかります。
合同会社が納める主な税金の種類
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
- 消費税
法人税
法人税は、法人の事業活動によって得た所得に対して課せられる国税です。法人税の税率は、法人の種類や資本金の額で変動します。合同会社は普通法人に該当するため、資本金が1億円以下で所得が800万円以下なら法人税率は15%です。所得が800万円を超える場合は、800万円を超える部分の税率が23.2%、800万円以下の部分は15%となります。なお、資本金が1億円を超える場合は、所得金額にかかわらず税率は23.2%です。
法人税額は、以下のような計算式で求めることができます。
法人税額=課税所得(益金-損金)×税率-税額控除
益金は売上収入や売却収入、損金は売上原価や販売費、損失費用のことです。益金と損金は法人税法上の考え方であり、法人の会計上の収益や費用(経費)とは金額が一致しないこともあります。収益から費用を引いた利益に、法人税法の規定に基づく税務調整を行ったものが、課税される所得となります。
法人税については、国税庁のWebサイト「No.5759 法人税の税率」も併せてご確認ください。
法人住民税
法人住民税は、会社の住所地の都道府県と市町村に対して納める地方税で、消防やゴミ処理といった生活に身近な行政サービスの費用に充てられます。
法人住民税は、法人税割と均等割によって構成されており、2つの合計額を納めます。
法人税割
法人税割は、法人税の税額をもとに課税される税金です。法人税割の税率は、国が標準税率を定めており、都道府県に対して納める道府県民税・都民税が1.0%、市町村に対して納める市町村民税が6.0%と定めています。ただし、標準税率はあくまで国による目安であるため、各自治体は原則として自由に税率を定めることが可能です。後述する均等割を含め、詳しい税率は、会社の事業所の住所地の自治体にご確認ください。
なお、自治体によっては、標準税率とは別に、一定の基準を超えている法人には超過税率を適用しているケースもあります。
均等割
均等割は、所得金額にかかわらず、赤字であっても一定の金額を納税しなくてはいけない税金です。均等割の税率は、資本金の金額や従業者数などに応じて異なります。例えば、東京都23区で資本金が1,000万円以下で従業者数が50人以下の法人の場合、均等割の年額は7万円です。資本金が1,000万円を超えると均等割の年額は18万円となります。
法人事業税
法人事業税は、法人の所得に対して課税される地方税で、法人が事業を行ううえで利用する、公共サービスや公共施設の経費の一部に充てられます。法人住民税との違いは、課税対象が法人の事業という点だけでなく、納付先が都道府県のみということ、従業者数以外にも業種ごとなど税率の条件が細分化されていることです。
法人事業税の税率は、法人の種類や資本金の金額、所得額などによって変動します。また、税率は都道府県によって異なり、資本金額や所得に応じて、軽減税率、標準税率、超過税率のいずれかが適用されます。例えば、2022年4月1日以降に事業年度が開始する、東京都の普通法人の場合、資本金1億円以下であれば、所得が400万円以下の部分は3.5%、400万円から800万円以下の部分は5.3%、800万円を超える部分は7.0%です。
法人事業税については、総務省のWebサイト「法人事業税」や各自治体のWebサイトで確認してみてください。
特別法人事業税
特別法人事業税は、自治体ごとの財政力の格差を是正するために、2019年度の税制改正で、法人事業税の一部を分離する形で創設された税金です。法人事業税の納税義務のある法人が課税対象になるため、合同会社も課税対象です。
また、特別法人事業税は国税にあたりますが、法人事業税と併せて申告・納付します。特別法人事業税の税額は法人事業税に定められた税率を掛けて算出します。税率は法人の種類によって異なり、資本金1億円以下の普通法人などの所得割額は37%です。
特別法人事業税については、東京都主税局のWebサイト「特別法人事業税」をはじめ、各自治体のWebサイトで確認してみてください。
消費税
消費税は、商品やサービスの取引においてかかる税金のことで、消費者が負担し、事業者が納付します。消費税の税率は標準税率10%ですが、酒類・外食を除く飲食料品など条件に該当する場合は軽減税率8%です。
合同会社をはじめ、新たに会社を設立する際に資本金が1,000万円以下なら、原則として設立2期目まで消費税は免除されます。ただし、2023年10月から導入されるインボイス制度に伴って、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は課税事業者となるため、設立2期以内であっても免除されません。
消費税については、国税庁のWebサイト「消費税のしくみ」を確認してみてください。
株式会社と同じ税金が課税されるが初期費用は抑えられる
合同会社と株式会社は、税法上どちらも普通法人として扱われ、納める税金の種類は同じです。税金の計算方法や税率も、合同会社と株式会社に違いはありませんが、設立時に納める登録免許税だけ異なります。
合同会社の登録免許税は、資本金額×0.7%か6万円のどちらか高い方です。株式会社では、資本金額×0.7%か15万円のどちらか高い方となりますので、合同会社の方が費用を抑えられます。資本金がおよそ857万円を超えると、資本金に0.7%を掛けた金額が登録免許税の額になります。例えば、合同会社の資本金を900万円で設立するなら登録免許税は6万3,000円です。
- ※合同会社の設立費用については以下の記事をあわせてご確認ください
個人事業主より節税効果はある?
合同会社などの法人と個人事業主は税金の仕組みが異なり、条件によっては節税効果を得られることもあります。その一方で合同会社などの法人だからこそ負担しなくてはいけない税金もあります。
これから起業を考えていて、個人事業主か合同会社かで迷っている場合は、所得税と法人税の両方を考慮して検討してみてください。主な違いは以下のとおりです。
課税所得が900万円以上なら節税効果は高い
個人事業主の所得税は、所得が高くなるほど段階的に税率が上がる累進課税で、5%~45%の間で7段階に区分されています。事業所得から所得控除を差し引いた、課税される所得が899万9,000円までの部分の税率は23%ですが、課税される所得が900万円を超えた部分の税率は33%です。一方、合同会社の法人税は、資本金1億円以下の法人で課税される所得800万円以下なら15%、800万円を超える部分は23.2%と税率が一定になります。そのため、課税される所得が900万円以上なら合同会社の方が節税効果は高いといえるでしょう。
給与所得控除で税額の負担が軽くなる
合同会社の場合、代表社員や業務執行社員が受け取る役員報酬は給与所得になり、給与所得控除が適用されます。個人事業主と所得金額が同じだったとすると、給与所得控除がある分、合同会社の方が役員本人の税額が軽くなります。
赤字でも課税される
個人事業主であれば、赤字なら所得税や住民税はかかりませんが、法人の場合は赤字であっても、法人住民税の均等割を納付しなくてはいけません。
課税される税金の条件はさまざまな角度から検証するようにしましょう。
合同会社の税金についてはこちらの動画でも解説しているため、合同会社の設立を検討している人は参考にしてみてください。
税金の申告と納付時期
法人税、法人住民税、法人事業税、消費税については、事業者が納めるべき税額を計算して申告し、納付する必要があります。申告や納付期限は、いずれも事業年度終了日の翌日から2か月以内です。
なお、固定資産税の対象となる償却資産を保有している場合は、毎年1月31日までに申告し、年4回に分けて納税します。会社が保有する土地や建物については、自治体から固定資産税の通知が来るため、事業者が申告する必要はありません。
税金のことは税理士に相談する
税金は、種類によって税率や計算方法が異なり、専門知識がないと把握するのは難しいものです。税金や会社のお金に関することは、税務の専門家である税理士に相談しておくと安心です。税理士なら、法人化のタイミングや節税のポイント、資金繰りなどのアドバイスが受けられるでしょう。
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会社設立時には負担する税金についても意識しておこう
合同会社は、法人税や法人住民税、法人事業税、消費税などの税金を納める義務があります。法人と個人事業主では、税金の仕組みが大きく異なりますので、起業するときには負担する税金についても知っておき、納税額が資金繰りに影響しないようにしましょう。
税金や資金繰りについては税理士に相談することで、納税額のシミュレーションや資金繰りについてもアドバイスをもらえます。起業に強い税理士を探す際は、弥生の「税理士紹介ナビ」の活用をご検討ください。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
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