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フレックスタイム制とは?給与計算方法やコアタイムなどのしくみを解説

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フレックスタイム制とは?給与計算方法やコアタイムなどのしくみを解説

近年、多くの企業で多様な働き方への対応が進んでいます。なかでも、子育てや介護と仕事を両立しやすい制度として注目されているのがフレックスタイム制です。本記事では、フレックスタイム制のしくみや導入目的、ほかの制度との違いを解説します。あわせて、給与計算のポイントやメリット・デメリットも紹介するので、導入を検討する際の参考にしてください。

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フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、簡単に言えば、一定のルールの範囲内で従業員が始業・終業時刻を調整できる働き方です。ただし、24時間いつでも自由に働けるわけではありません。一定期間における総労働時間があらかじめ定められており、その範囲内で日々の労働時間を調整します。

1か月の総労働時間が160時間と決められている企業を例に挙げましょう。フレックスタイム制では、従業員は1か月の労働時間の合計が160時間になれば、長時間働く日や短時間働く日があってもよく、働く時間帯も自由に設定可能です。

フレックスタイム制と時短勤務の違い

時短勤務(短時間勤務制度)は、1日の所定労働時間を原則として6時間に短縮して働く制度です。一般的には、始業・終業時刻や1日の労働時間があらかじめ決められており、日によって柔軟に変えることは想定されていません。

一方、フレックスタイム制は、一定期間内の総労働時間の範囲で、日々の始業・終業時刻や労働時間を調整できる制度です。そのため、ある日は短く、別の日は長く働くといった調整ができます。

なお、2025年の「育児・介護休業法」改正では、「柔軟な働き方を実現するための措置」として、フレックスタイム制や時短勤務などが選択肢に含まれています。子育てと仕事を両立するための制度として、両者をあわせて理解しておくことが大切です。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度で、「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。ここでは専門業務型を例に、フレックスタイム制との違いを見ていきます。フレックスタイム制は、一定期間内の総労働時間の範囲で始業・終業時刻を調整する制度であり、実労働時間をもとに管理します。

専門業務型裁量労働制の適用対象は、法令で定められた業務に限られます。2024年4月の見直しにより、対象業務は19種類から20種類に拡大されました。例えば、情報処理システムの分析・設計やコピーライター業務、弁護士、税理士などが対象です。

また、2024年4月以降は、制度の導入・継続にあたって本人の同意を得ることが義務化され、同意撤回の手続きも定めなければなりません。同意しないことや同意を撤回したことを理由に、不利益な取り扱いをしてはならないとされています。

裁量労働制について詳しくはこちらの記事で解説しています。

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フレックスタイム制を導入する目的

近年の社会情勢の変化や価値観の多様化に伴い、従来の枠組みにとらわれない柔軟な働き方を実現しやすくなっています。企業には、従業員が仕事と生活を調和させ、能力を発揮できる環境を整えることが求められます。

多様性のある働き方の実現

フレックスタイム制は、育児や介護、家事などと仕事を両立しやすくするための制度です。始業・終業時刻や労働時間を一定の範囲で調整できるため、従業員は自身の事情に合わせた働き方を選びやすくなります。

このような柔軟性は、ワーク・ライフ・バランスの向上にも有効です。仕事と生活のバランスを取りやすくなることで、無理のない勤務が実現し、働きやすさや仕事への満足感の向上に寄与します。

また、多様な働き方を認めることは、育児や介護を担う人を含め、幅広い人材に選ばれやすい職場づくりにもつながります。結果として、優秀な人材の確保や定着を図りやすくなる点も、企業にとって大きなメリットです。

育児・介護休業法改正への対応

2025年の法改正では、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対し、事業主が「柔軟な働き方を支援する措置」を講じるよう定められました。具体的には、次の5つの選択肢のうち、2つ以上を講じなければなりません。

  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク
  • 短時間勤務
  • 養育両立支援休暇
  • 保育施設の設置

このうちフレックスタイム制は「始業時刻等の変更」に含まれます。法改正への対応を進めるなかで、フレックスタイム制の導入や見直しを検討する企業は今後増えると考えられます。

通勤ラッシュの緩和

交通機関を利用する通勤において、通勤ラッシュや交通渋滞はつきものです。しかし、多くの従業員が満員電車に乗ることや交通機関の遅延などに強いストレスを感じています。

従業員の心身に大きな負担がかかれば、集中力やモチベーションの低下につながりかねません。従業員の始業・終業時間が分散すれば特定の時間帯に集中しにくくなるため、通勤ラッシュや交通渋滞の緩和が見込めます。通勤ラッシュによるモチベーションの低下も防げるようになり、従業員は心身の健康を保ちやすくなるはずです。

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フレックスタイム制のしくみとは?清算期間と総労働時間の決め方

一般的なフレックスタイム制は清算期間と総労働時間、コアタイムやフレキシブルタイムで構成されます。それぞれの内容や残業代の扱いについて解説します。

フレックスタイム制の仕組みのイメージ図

清算期間とは、フレックスタイム制における労働時間の管理単位となる一定の期間を指します。清算期間には上限があり、法律では3か月と定められています。

清算期間を決めたら、次に総労働時間を決めましょう。総労働時間(所定労働時間)は、清算期間内で従業員が働くべき時間です。ただし、法定労働時間を超えた時間は設定できません。さらに、コアタイムやフレキシブルタイムも設定します。

必ず働かなければならない「コアタイム」とは

コアタイムとは、従業員に出勤が求められる時間帯のことです。コアタイムに出勤していない場合は、就業規則上の遅刻として扱われる可能性があります。ただし、清算期間内の労働時間が所定労働時間を満たしていれば、賃金控除が発生しないケースもあります。こうした扱いは、就業規則などで事前に定めておくことが大切です。

コアタイムの設定は任意ですが、設ける場合は労使協定で開始時刻と終了時刻を定めます。会議をコアタイム内に設定すれば、社員が参加しやすくなる点は運用上のメリットです。一方で、時間帯によってはフレックスタイム制の柔軟性を損なうおそれもあるため、設定には配慮が求められます。

働く時間を選べる「フレキシブルタイム」とは

フレキシブルタイムとは、従業員が始業・終業時刻を選択できる時間帯のことです。コアタイムと同様に設定は任意であり、設ける場合は労使協定で開始時刻と終了時刻を定めます。フレキシブルタイム内であれば、従業員はその範囲内で出退勤時刻を調整でき、中抜けも可能です。

一方で、フレキシブルタイムが短いと、制度の柔軟性が十分に活かされません。コアタイムの前後に適切な時間を設けることで、従業員は予定や業務に応じて働き方を調整しやすくなります。

コアタイムのない「スーパーフレックスタイム(フルフレックス)」とは

スーパーフレックスタイムとは、コアタイムが設定されないフレックスタイム制のことです。従業員はすべての始業・終業時間を裁量で決められるため、コアタイムが設定されている場合に比べて自由度が高くなります。時間に縛られなくなる点はメリットですが、従業員には高い自己管理能力が期待され、企業は勤怠管理を徹底しなければなりません。

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フレックスタイム制の残業代・給与計算の方法

フレックスタイム制はほかの勤務形態に比べて自由度が高く、時期や日によって労働時間が変動します。どのように残業代や給与を計算すればよいのか紹介します。

残業代(時間外労働)が発生するタイミング

通常の勤務形態では、法定労働時間の総枠を超えた時点で残業代が発生します。一方、フレックスタイム制で残業代が発生するタイミングは、清算期間終了時点で実労働時間が、法定労働時間の総枠を超えた場合です。通常の勤務形態と異なり、1日単位ではなく清算期間のトータルの労働時間で判断します。

残業代の計算方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。

割増賃金率の一覧

法定外時間となった場合に以下の割増率が適用されます。2023年4月1日より、中小企業にも月60時間超の割増賃金率50%が適用されました。フレックスタイム制においても、清算期間内の時間外労働が月60時間を超えると、50%以上の割増賃金が求められます。

残業の種類 割増率
時間外労働 月60時間まで:25%以上
月60時間超:50%以上
法定休日残業(法律に定められた、週に1日以上の休日。日曜日の場合が多い) 35%以上
深夜残業(22時〜5時) 25%以上

例えば、深夜労働が2時間発生した場合、深夜割増分は「1時間当たりの賃金額×2時間×25%」で計算します。ただし、時間外労働や休日労働と重なる場合は、それぞれの割増率を合算して計算することが求められます。

フレックスタイム制の給与計算の具体的な手順

まずは清算期間内の法定労働時間を確認します。法定労働時間は以下の式で算出されます。

法定労働時間の総枠=40時間(1週間の法定労働時間)×清算期間の暦日数/7日

フレックスタイム制では、清算期間が1か月の場合、法定労働時間の総枠は月の日数に応じて変わります。各月の上限は以下のとおりです。

清算期間の暦日数 上限
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間

これらを基準として、割増賃金が発生する「時間外労働」の時間を算出します。また、実労働時間が総労働時間に満たない場合の取り扱いは、就業規則にのっとり「欠勤として賃金控除を行う」もしくは、「不足分を翌清算期間の総労働時間に加算して繰り越す」かのいずれかとなります。

清算期間が1か月を超える場合は、各月において「週平均50時間を超えた労働時間」をその月の時間外労働として処理します。

また、年次有給休暇を取得した場合は、就業規則に定められた「標準となる1日の労働時間分×年次有給休暇取得日数」を労働したものとみなして計算しましょう。

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フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制の導入により、企業と従業員の双方がさまざまなメリットを受けられます。自由度が高くなることでもたらされる効果について、以下で紹介します。

仕事とプライベートの両立が叶う

子育てや介護などのさまざまなライフイベントが起こる中で、仕事と両立させるのは容易ではありません。始業・終業時間を自分で設定できるようになれば、ライフスタイルに合わせた勤務が可能です。

フレキシブルタイムを活用すればライフイベントが起きた時にも対応しやすくなり、仕事とプライベートを両立しやすくなります。趣味や娯楽などにも時間を割けるようになり、プライベートの充実も見込めます。平日しか対応していない行政や銀行の窓口での手続きや、通院などもスムーズに済ませられるようになります。

残業時間の軽減につながる

1日の労働時間が決められている場合、仕事量に合わせて終業時間を調整することは不可能です。繁忙期には時間内に仕事が終わらず残業が多くなり、閑散期は仕事が早く終わっても退社できません。

フレックスタイム制ならば繁忙期は長時間、閑散期は短時間で切り上げるなど時間を調整できます。残業による負担が減り、従業員は時間を有効活用できるようになります。他方、労働時間の調整をはかり時間外労働が少なくなれば、残業代を抑えることができ、企業としてもコスト削減が可能です。

仕事の効率が上がる

フレックスタイム制により、仕事量やスケジュールに合わせて労働時間の配分や始業・終業時間を決められます。業務の進捗状況と合った時間の使い方ができるようになれば、仕事の効率向上が可能です。

また、通勤ラッシュを避けることでストレスが軽減されれば前向きに仕事に取り組めるため、生産性の向上につながります。仕事のペース配分を考える力も鍛えられますし、自分で決めた終業時間までに仕事を片付けようというモチベーションも高くなるはずです。

離職率を抑えられる

子育てや介護をする従業員は、急に休まざるを得ないことがあります。フルタイムで働くことが難しければ、仕事を続けられなくなるかもしれません。フレックスタイム制の導入により、子育てや介護があっても働く日や時間帯を調整できて、仕事と両立しやすくなります。

イベントやライフスタイルの変化に柔軟に対応できれば、従業員は安心して働けます。企業への帰属意識や信頼が高くなることで、離職率の低下につなげられるかもしれません。優秀な人材の流出を防ぐことは、企業としてもプラスです。

採用時のアピールになる

ライフスタイルや価値観の多様化により、場所や時間に縛られない働き方を望む人が増えています。そのためフレックスタイム制を導入していることは、採用時の大きなアピールポイントです。時間に融通が利き、多様な働き方を認める企業は注目されやすく、イメージや評価が高まります。

労働人口の減少が進むにつれて、人材獲得競争の激化が見込まれます。仕事とプライベートを両立し、長く働ける企業は就職希望者が増えるため、優秀な人材を確保しやすくなるはずです。

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フレックスタイム制のデメリット

さまざまなメリットがあるフレックスタイム制ですが、デメリットがないわけではありません。勤怠管理や社内コミュニケーション、社外への対応などの課題があります。

労働時間の管理が複雑になる

フレックスタイム制では始業・終業時間が従業員ごとに異なるため、個別の労働時間、休憩時間や時間外労働を正確に把握しにくくなります。自分の労働時間を管理できない従業員の場合は総労働時間が不足したり、かえって残業が増えたりするかもしれません。コアタイムを設定した場合、従業員が該当する時間にきちんと働いているかどうかの確認も求められます。

労働時間の管理が複雑かつ煩雑化するため従来の管理方法では限界があり、管理する担当者の業務に支障が生じかねません。業務効率化のためには運用ルールをあらかじめ細かく規定し、フレックスタイム制に対応した勤怠管理システムやツールの導入も検討しましょう。

顧客や取引先への対応が難しくなる

自社がフレックスタイムを導入する一方で、顧客や取引先の労働時間が固定の場合は、相手が連絡を取りにくくなります。電話に出なかったり、返信が遅れたりすることが続けば、仕事に支障が生じて企業へのイメージや信頼は低下します。

打ち合わせや会議の時間をあらかじめ決めている場合は対応できますが、課題となりやすいのは緊急時の対応です。迅速な対応が求められる場面で対応できる従業員がいないと、状況によっては影響が広がるおそれがあります。場合によっては、顧客や取引先との関係に影響が及ぶ可能性もあります。

フレックスタイム制を導入しながら、適切なタイミングでの顧客対応をするには、従業員間の情報共有を徹底し、担当の従業員以外も対応できる体制を整えるのが望ましいと考えられます。

社員同士の交流が希薄になる

フレックスタイム制により懸念されるのが、社内コミュニケーションの希薄化です。始業・終業のタイミングがそれぞれ異なるため、従業員同士で顔を合わせる機会が減少します。業務連絡をメールや電話だけで済ませると誤解や行き違いが生じ、ミスにつながりかねません。

正確に情報の伝達や共有が行われるように、チャットツールやWEB会議システムのようなツールを導入しましょう。コミュニケーションツールの活用によって手軽に連絡を取り合えるため、ミスの防止や人間関係構築の補完が可能です。

自己管理ができないと生産性が落ちる

フレックスタイム制で業務効率化を図れるかどうかは、従業員の自己管理能力によって決まります。決まった時間に出退社しなくてよいため、自己管理能力が低い場合はペース配分の設定やメリハリをつけることができず、時間固定の労働に比べて生産性が落ちる可能性があります。

企業側には、勤怠管理を徹底して総労働時間が不足していないか、きちんと業務をこなしているかどうかの確認が求められます。勤怠管理を行ったうえで従業員の成果を把握し、適切に評価できれば、従業員のモチベーション維持につながります。

フレックスタイム制が普及しない理由

労働時間の自由度が高く、多様な働き方の実現に寄与するフレックスタイム制ですが、現時点では導入率がそれほど高いとはいえません。

厚生労働省の「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」によると、変形労働時間制がある企業は全体の60.2%ですが、フレックスタイム制を導入している企業は8.3%にとどまっています。また、企業の規模別に見ると、従業員1,000人以上の企業では34.5%であるのに対し、30〜99人の企業では4.9%にとどまっています。

さらに、フレックスタイム制は業務内容によっては導入が難しく、職種や部署によって適用の可否が分かれやすい制度です。こうした違いから、働き方の自由度や評価基準に差があると受け取られ、不公平感が普及の妨げになることもあります。

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フレックスタイム制の導入方法

フレックスタイム制を導入するには、2つの要件を満たさなければなりません。

  • 就業規則の規定
  • 労使協定の締結

就業規則を定める

フレックスタイム制を導入するには、始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を就業規則に明記しなければなりません。コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合は、時間帯の記載も行います。作成または変更した就業規則は、管轄の労働基準監督署に届け出ましょう。

就業規則の変更について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

労使協定を結ぶ

労使協定では、以下の基本的枠組みを定めます。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間
  • 清算期間における総労働時間(所定労働時間)
  • 標準となる1日の労働時間
  • コアタイム(任意)
  • フレキシブルタイム(任意)

清算期間の起算日は、毎月何日からなのかを記載しましょう。清算期間が1か月を超える場合、所管の労働基準監督署への届け出が求められます。

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フレックスタイム制を導入する際の注意点

フレックスタイム制を効果的に運用するに、導入時に十分な検討と確認を行うことがポイントです。従業員への通達や就業命令の可否など、注意すべき点を紹介します。

従業員に説明を行う必要がある

フレックスタイム制に対して、正しい知識や情報を持つ従業員ばかりとは限りません。自由で働きやすいといったイメージを持つ一方で、残業代が出ないという誤解をされる可能性もあります。

導入時には、制度の詳細についての周知を徹底しましょう。単に制度の概要を伝えるのではなく、労働時間の決め方や時間外労働・休日出勤の扱いなど、従業員が実際の働き方をシミュレーションできるような説明を行いましょう。疑問を解消し、制度について正しく理解してもらうことで、スムーズな運用が可能です。

フレックスタイム制に見合う仕事であるか確認する

フレックスタイム制は、すべての職種に適しているわけではありません。適した職種に採用することが成功のポイントです。

顧客や取引先と頻繁に連絡を取る営業部門に導入すれば、業務に支障が生じる可能性があります。また、リアルタイムでの情報共有や連携が求められる職種では、業務を進めにくくなります。

外部との連絡が少なく、個人で業務をこなせる職種で導入すれば、大きな問題は起こらないはずです。制度の内容やメリット・デメリットを正しく理解したうえで、メリットを活かせる部署に導入しましょう。

コアタイム外の就業命令は出せない

フレックスタイム制では、従業員が始業・終業時刻を一定の範囲で調整できることが前提となります。このため、コアタイム外に定例会議や取引先との打ち合わせを設定していても、企業が一方的に就業を命令することはできません。

例えば、コアタイムが10時から始まる場合、10時までに出勤する義務はありますが、9時出社を求めることはできません。繁忙期であっても、企業が勤務時間帯を指定することは認められていません。

ただし、従業員の個別具体的な同意がある場合は、コアタイム外の勤務を依頼することも可能です。しかし、このような状況が頻繁に発生し、制度の趣旨を損なうおそれがある場合は、労働者の自主性を尊重しつつ、その取り扱いについて労使協定に明記しておくことが望まれます。

休憩時間のルールは労働基準法規定どおりに適用される

フレックスタイム制であっても、労働基準法に基づいた休憩を与えなければなりません。労働基準法第34条において、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を与えることが定められています。

また、労使協定の締結や特定業種などの一定条件を満たしている場合を除き、休憩時間は原則として一斉に設けることとされています。フレックスタイム制を導入している企業で、一斉休憩を実施する場合には、コアタイムの中に休憩時間を設けることが一般的です。

ただし、労使協定で一斉休憩の適用除外を定めた場合や、運輸交通業、商業、金融広告業など特定の業種については、一斉休憩の適用が除外されます。コアタイムを設定しない場合は、休憩を一斉に与えることが難しくなるため、一斉休憩の適用を除外する労使協定を締結します。

労使協定を結び、労働者の判断で自由に休憩をとる形にする際は、休憩時間の長さを定めたうえで、具体的なタイミングは従業員に委ねる旨を就業規則に記載しましょう。

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フレックスタイム制に関するよくある質問

フレックスタイム制の導入を検討する際によくある疑問について、Q&A形式で解説します。

フレックスタイム制は1日何時間働きますか?

フレックスタイム制ではコアタイムさえ勤務していれば、1日の労働時間に決まりはありません。仕事の開始時間や終了時間を従業員が自由に決められます。

ただし、清算期間内の総労働時間を満たしていることが前提です。総労働時間は、例えば「1か月170時間」のようにあらかじめ定められており、労働者はその範囲内で日ごとの労働時間を調整できます。

フレックスタイム制のメリットとデメリットは何ですか?

フレックスタイム制には以下のようなメリットがあります。

  • 仕事とプライベートの両立
  • 残業削減
  • 業務効率の向上
  • 離職率の低下

一方で、以下のようなデメリットも挙げられます。

  • 労働時間管理の複雑化
  • 外部対応の難しさ
  • コミュニケーションの希薄化
  • 自己管理が求められる点

フレックスタイム制は自由度が高く、従業員にとっては魅力的ですが、企業側にはデメリットもあるため、導入の際にはよく検討することが求められます。

フレックスタイム制で9時出社は強制できますか?

コアタイムに9時が含まれている場合であれば、会社は出社を義務付けられます。しかし、9時がコアタイム外の場合は、出社を命令することは原則としてできません。

本来、フレックスタイム制は始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねるという制度です。したがって、会社がコアタイム以外の時間帯を指定して出社を強いることは、制度の趣旨に反します。

例外的なケースとして、特定の日に会議や顧客対応などがある場合、従業員が同意したうえでその時間に出勤することは、直ちに法律に反しているとなるわけではありません。ただし、企業から一方的に指示するのではなく、労働者の自主性を最大限尊重した運用が求められます。

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フレックスタイム制は給与ソフトを導入して適切に管理しよう

フレックスタイム制とは、従業員が始業・終業時刻や労働時間を一定の範囲で調整できる、柔軟性の高い働き方です。育児や介護と両立しやすく、仕事とプライベートのバランスを取りやすいほか、業務効率の向上も期待できます。一方で、勤務時間が多様になり、勤怠管理や給与計算が複雑になることは課題となりやすい点です。

フレックスタイム制のような柔軟な働き方に対応し、正確な給与計算を行うためには「弥生給与 Next」の導入がおすすめです。勤怠管理や給与管理などをシームレスに行うことができ、フレックスタイム制にも対応しています。業務効率化にぜひお役立てください。

  • ※ご契約のプランによって利用できる機能が異なります。
    ※本記事は2026年4月22日時点の情報を基に制作しています。

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この記事の監修者下川めぐみ(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。
医療機関、年金事務所等での勤務の後、現職にて、社会保険労務士業務に従事。

下川めぐみ(社会保険労務士)

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