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変形労働時間制とは?残業の扱い方やメリット・デメリットをわかりやすく解説

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変形労働時間制とは?残業の扱い方やメリット・デメリットをわかりやすく解説

通常、正社員の雇用契約における所定労働時間は、法定労働時間である1日8時間、週40時間以内(例えば週5日勤務)といった内容で締結されます。

多少の残業などはあるものの、日々の始業時間や終業時間、労働時間は原則としては一定しています。しかし、職種によっては時期ごとに繁忙期と閑散期がはっきり分かれるものもあり、一般的な法定労働時間制では適さない場合もあります。そのような職種に適している働き方が、変形労働時間制です。

制度としては複雑な部分が多く、残業の扱いなどに関して正しく理解したうえでの導入が求められます。本記事では変形労働時間制の概要を紹介したうえで、メリット・デメリット、導入方法、運用に関するポイントについてわかりやすく解説します。

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変形労働時間制とは

変形労働時間制は、一定の期間において、労働時間の柔軟な配分を可能にする働き方です。この制度では、1年、1か月、または1週間単位で労働時間を調整できます。通常、労働基準法では1日8時間以内、1週間40時間以内といった法定労働時間が決められていますが、変形労働時間制の場合はこれにこだわらず、業務の状況やニーズにあわせて労働時間を調整できるのが特徴です。

例えば、業務が忙しい時期は労働時間を増やし、逆に閑散期は労働時間を減らせます。この制度は労働者の働き方に柔軟性をもたらし、労働環境の改善やワーク・ライフ・バランスの向上に効果的です。

変形労働時間制について詳しくはこちらの記事で解説しています。

裁量労働制との違い

裁量労働制は、あらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。実際の労働時間ではなく、定められたみなし労働時間を前提に賃金を算定します。ただし、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合、または深夜労働・休日労働が発生した場合には、別途割増賃金の支払いが生じます。

一方、変形労働時間制は、一定期間を平均して法定労働時間の範囲内に収まるよう、あらかじめ各日・各週の労働時間を配分する制度です。裁量労働制が「労働時間をみなす制度」であるのに対し、変形労働時間制は「労働時間の配分を調整する制度」である点が異なります。

裁量労働制について詳しくはこちらの記事で解説しています。

交代勤務制(シフト制)との違い

変形労働時間制は、繁忙期や閑散期などのタイミングに合わせて従業員の所定労働時間を増減させる制度です。交代勤務制は従業員どうしが曜日や時間帯ごとに交代で勤務する制度であり、管理者が従業員の希望や業務のニーズを考慮してシフト表を作成し、労働時間を管理します。

変形労働時間制では業務の繁閑に合わせて労働時間を定めることによって効率化を図ることができ、交代勤務制は業務の特性や従業員の希望を考慮しながら労働時間を適切に配分でき、それぞれのメリットがあります。
シフト管理に役立つ便利な情報について詳しくはこちらの記事で解説しています。

フレックスタイム制との違い

大枠ではフレックスタイム制も変形労働時間制の一種です。厚生労働省の「変形労働時間制の概要」においても、変形労働時間制にフレックスタイム制を含めています。

ただし、変形労働時間制は会社が労働時間を設定し、フレックスタイム制は従業員が始業・終業時刻を決定するという大きな違いがあります。

また、適している業種も異なります。変形労働時間制は宿泊業や飲食業、農業など繁閑差がある業種に向き、フレックスタイム制が向いているのは自律的に働けるデザイナーやエンジニア、コンサルタントなどです。

フレックスタイム制以外の変形労働時間制とフレックスタイム制は、それぞれ異なった法定要件が設けられているため、同一の従業員に対して併用することは原則的にはできません(従業員ごとに異なる制度を適用することは可能)。

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変形労働時間制の種類

変形労働時間制は、一定の期間で労働時間の配分を調整するもので、具体的には1年単位、1か月単位、1週間単位で設定する3つの期間設定型が主な形態です。また、労働者が自ら始業・終業時刻を決定するフレックスタイム制も、変形労働時間制の一種として位置づけられます。これら4つの形態の違いを表にすると以下のようになります。

項目 1年単位 1か月単位 1週間単位 フレックスタイム制
対象期間 1か月超〜1年以内 1か月以内 1週間 3か月以内(清算期間)
1日の上限時間 原則10時間 制限なし※対象期間平均で週40時間以内に収める必要あり 10時間 日・週単位での上限規定はなし
1週間の上限時間 原則52時間 制限なし※対象期間平均で週40時間以内に収める必要あり 40時間 日・週単位での上限規定はなし
労使協定の要否 必要 必要(または就業規則) 必要 必要
届出の要否 必要 必要(就業規則または労使協定を所轄労基署へ届出。常時10人以上の事業場では就業規則の作成・届出が必要) 必要 1か月を超える場合は必要
事業場制限 特になし 特になし 30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店 特になし

ここからは、それぞれの詳細について解説します。

1年単位の変形労働時間制

1年単位で設定される変形労働時間制は、1か月以上1年間以内の対象期間で労働時間の配分を調整する制度です。変形労働時間制では、平均して1週間の労働時間が法定労働時間内に収まれば、特定の日に8時間、または特定の週に40時間を超えた所定労働時間を設定できます。

ただし、この対象期間が3か月を超える場合は、労働日数は280日以内、労働時間は1日10時間・1週52時間以内といった上限があります。連続労働日数にも制限があり、原則6日、特定期間では12日までです。

対象期間における所定労働時間の総枠は、「40時間×(期間内の暦日数÷7)」で割り出します。例えば、対象期間が210日間であれば「40時間×(210÷7)=1,200時間」が上限です。1200時間に収まるよう勤務時間を配分することで、特定の週の労働時間を40時間以上に設定するなど、柔軟な運用が可能になります。

そのため、業務量に繁閑がある業種では、閑散期の所定労働時間を短くしたり休日を多く設けたりする一方で、繁忙期の所定労働時間を長めに設定するといった運用ができます。ただし、こうした配分は、あらかじめ労使協定等で定め、1日・1週の上限や連続労働日数の制限を守ることが求められます。

1か月単位の変形労働時間制

1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定期間について、1週間当たりの平均労働時間が40時間以内(特例措置対象事業場では44時間以内)になるよう、勤務日と各日の労働時間をあらかじめ定める制度です。

これにより、特定の日に8時間、または特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える所定労働時間を設定できます。月初が閑散期で月末が忙しい場合など、月ごとの業務量に応じて労働時間を調整したいケースに適しています。

対象期間における法定労働時間の総枠は、「週の法定労働時間×暦日数÷7」で計算します。たとえば28日の月であれば、40時間×(28日÷7)=160時間です。特例措置対象事業場では、44時間を基準に計算します。

例えば、通常は1日8時間・週5日勤務の職場でも、あらかじめ就業規則や労使協定で定めておけば、1週目の所定労働時間を少なくし、4週目の一部の日を10時間勤務とすることが可能です。このように、1か月全体で法定労働時間の総枠に収まるよう調整することで、繁閑に応じた柔軟な運用ができます。

1週間単位の変形労働時間制(非定型的変形労働時間制)

1週間単位で設定される変形労働時間制は、従業員が30人に満たない小売業や旅館、料理店、飲食店において適用可能です。1週間単位の変形労働時間制では、毎日の労働時間を1週間単位で決められます。

1週間の労働時間の総枠は原則40時間以内です。40時間の総枠に収まっていれば、1日当たりの労働時間を10時間まで設定できます。なお、週44時間が認められている特例措置対象事業場であっても、1週間単位の変形労働時間制を採用する場合は、週の労働時間は40時間以内、1日10時間までとなります。

あらかじめ設定した各日の時間を超えたり、週40時間を超えたりした場合は、時間外労働として割増賃金を支払うことになります。

1週間単位の変形労働時間制は、業務の繁閑が予測しにくい場合や、業務の状況が週単位で大きく変動する業種に適しています。例えば、週末や祝日に忙しくなるレストランでは、以下の例のように週ごとに柔軟に労働時間を調整できます。

(適用例)
  • 1週目:土曜日曜に10時間勤務、月曜・火曜は休み、水曜・木曜は6時間、金曜は8時間勤務
  • 2週目:土曜日曜と祝日になった月曜に9時間勤務、火曜・水曜は休み、木曜・金曜は6.5時間勤務

以上のように、1週間単位の非定型的変形労働時間制では、週40時間・1日10時間の範囲内で、業務の状況に応じて労働時間を配分できます。

各週の各日の労働時間は、就業規則で一律に固定しておくものではありませんが、制度を導入する際は、労使協定を締結したうえで、労働基準監督署へ届け出ることが求められます。さらに、各日の労働時間は少なくとも前週までに書面で労働者に通知しなくてはなりません。

そのため、制度を運用する際は、労働時間の決定方法や通知方法を明確にし、労働者にとって分かりやすく、公平な運用となるよう配慮することが大切です。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、3か月以内の一定期間(清算期間)について、あらかじめ総労働時間を定めておき、その枠内で労働者が各日の始業・終業時刻を自主的に決めて働く制度です。

一般的には、「必ず勤務する時間帯(コアタイム)」と、「自由に出退勤できる時間帯(フレキシブルタイム)」を設けて運用します。たとえば10時~15時をコアタイムとした場合、その時間帯は勤務が求められますが、それ以外は自分の都合に合わせて始業・終業時刻を調整できます。なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではありません。

フレックスタイム制は、始業・終業時刻を労働者の裁量に委ねても業務運営に支障が出にくい職場に向いています。通勤混雑の緩和や、育児・介護との両立にもつながりやすく、ワーク・ライフ・バランスに配慮しながら効率的に働ける制度です。

フレックスタイム制について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

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変形労働時間制でも残業代は発生する

変形労働時間制を採用していても、制度で定めた枠を超えて労働させた場合には、時間外労働(残業)として割増賃金の支払いが生じます。変形労働時間制における時間外労働は、制度上あらかじめ定めた各日・各週の労働時間を超えた時間や、対象期間における法定労働時間の総枠を超えた時間などを基準に判断します。

割増賃金の計算式は「時間外労働時間×1時間当たりの賃金×割増率」です。

割増賃金の対象となる労働 割増率
時間外労働(1か月60時間※以内) 25%以上
時間外労働(1か月60時間※超) 50%以上
休日労働 35%以上
深夜労働(22時から5時まで) 25%以上
時間外労働+深夜労働(1か月60時間※以内) 50%以上
時間外労働+深夜労働(1か月60時間※超) 75%以上
  • ※休日労働を除く

なお、月60時間を超える法定時間外労働に対する50%以上の割増賃金率は、以前は大企業のみが対象でしたが、2023年4月1日から中小企業にも適用されています。

変形労働時間制で残業代が発生するタイミング

変形労働時間制の時間外労働(残業)に関する考え方は、1年・1か月・1週間単位の中からどの期間が設定されているかによって異なりますが、基本的な考え方は共通しています。

1週間単位の非定型的変形労働時間制では、あらかじめ定めた各日の所定労働時間を超えて労働した時間や、1週間の労働時間が40時間を超えた部分が時間外労働となります。1か月単位・1年単位の変形労働時間制では、各日・各週の労働時間に加えて、対象期間全体の法定労働時間の総枠を超えていないかも確認します。

1か月単位の変形労働時間制で残業代を計算する際は、日単位・週単位・対象期間全体の順に、時間外労働となる時間を確認します。

まず日ごとに、所定労働時間が8時間を超える日はその所定労働時間を超えた時間、それ以外の日は8時間を超えた時間を確認します。

次に、日単位でカウントした時間を除いて週ごとに確認し、所定労働時間が40時間を超える週はその所定労働時間を超えた時間、それ以外の週は40時間を超えた時間を計算します。

最後に、対象期間全体について、法定労働時間の総枠を超えた時間を確認します。なお、日単位でカウントした時間を、週単位や期間単位で重ねて計上しないようにしましょう。

1年単位の変形労働時間制でも、基本的な考え方は同じです。各日・各週の労働時間に加え、対象期間全体における法定労働時間の総枠を超えた時間がないかを確認します。

以下、1年単位の変形労働時間制の場合、日、週、対象期間で残業時間をどのようにカウントするのか、例を記載します。

  • ※1日の所定労働時間は8時間とします。
単位 設定 残業としてカウントする部分
1日8時間勤務と設定した場合 8時間を超えた部分
週50時間と設定した場合 50時間を超えた部分
365日の場合 2085.7時間を超えた部分
366日(うるう年)の場合 2091.4時間を超えた部分

フレックスタイム制の場合

フレックスタイム制では、日ごとの単位ではなく1か月から3か月の間で設けられる清算期間の単位で考えます。フレックスタイム制の場合、清算期間内での実労働時間が法定労働時間の総枠(清算期間における労働時間の限度)を超えた時点から残業代が発生します。変形労働時間制とは異なり、日単位・週単位ではなく、清算期間全体で時間外労働を確認するしくみです。

変形労働時間制の残業代の計算方法

時間外労働を行った際に支払われる割増賃金(残業代)は、「時間外労働時間×1時間当たりの賃金×割増率」で計算されます。

月給制の場合の1時間当たりの賃金額は、「月の所定賃金÷月の平均所定労働時間」で求めるのが一般的です。なお、割増賃金の基礎から除外できる賃金は法令で定められており、家族手当や通勤手当などが該当します。

基本給23万円、精勤手当1万円、月平均所定労働時間160時間として計算してみましょう。

  • 1時間当たりの賃金額
    (23万円+1万円)÷160時間=1,500円
  • 1か月間に深夜労働が6時間あった場合
    1,500円×6時間×1.25=11,250円
  • うち深夜割増分
    1,500円×6時間×0.25=2,250円

なお、1か月の法定時間外労働が60時間を超える場合、超えた部分の割増率は50%以上となります。例えば、月の時間外労働が70時間あった場合、60時間以内の部分(60時間)は割増率25%、60時間を超える部分(10時間)は割増率50%で計算します。

  • 60時間以内の時間外労働分
    1,500円×60時間×1.25=112,500円
  • 60時間超(10時間)の時間外労働分
    1,500円×10時間×1.5=22,500円

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変形労働時間制のメリット

変形労働時間制のメリットとして以下の3点が挙げられます。

  • 残業代を抑えられる
  • メリハリのある働き方ができる
  • 人員の過不足を管理しやすくなる

繁忙期や閑散期がはっきり分かれている事業の場合は、これらのメリットが得られるため変形労働時間制の導入に適しています。

残業代を抑えられる

繁忙期がある事業では、1日8時間以上働く日も多く、残業代がかさむ傾向があります。しかし、変形労働時間制を導入すると残業代を抑えることが可能です。例えば、通常の所定労働時間が8時間のところを、繁忙期の所定労働時間のみ9時間に設定している場合、繁忙期では1日の労働時間が9時間を超えたところから残業代が発生するため、企業側は経済的なメリットを得られます。

メリハリのある働き方ができる

変形労働時間制を採用すると、メリハリのある働き方を実現できることもメリットです。繁忙期はしっかり働き、閑散期は労働時間を減らすようにすれば、従業員の負担を軽減し、モチベーションの維持や向上にもつながります。また、閑散期には短時間労働や休暇の取得を推進することで、従業員のリフレッシュを促し、効率的な業務運営が可能となります。

人員を管理しやすくなる

変形労働時間制は人員管理をしやすくする利点もあります。労働時間の調整によって人員の過不足を管理することで、労働力の最適化や生産性の向上が期待できます。適切なスケジュール管理をすることは、従業員の体調不良や過労の防止にも効果的です。

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変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制のデメリットとしては以下の3点が挙げられます。

  • 勤怠管理が複雑になる
  • 他部署との就業時間が合わなくなる
  • 従業員が急な業務変更に対応しにくい

変形労働時間制を導入すると、繁忙期や閑散期に応じて所定労働時間が変動するため、常に一定の勤務時間で働く場合とは異なる課題が生じます。

勤怠管理が複雑になる

一定期間ごとに所定労働時間を設定する変形労働時間制は、勤怠管理が複雑になりやすく、残業時間が発生した場合は通常とは異なる算出方法での計算が求められます。そのため、労務担当者を増やしたり、あらかじめ勤怠管理システムを導入し、データベースを作成したりするなどの対策を要します。

おすすめの勤怠管理システムについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

他部署との就業時間が合わなくなる

また、他部署との就業時間が合わなくなることもデメリットの1つです。変形労働時間制を一部の部署で採用した場合、他部署とは就業時間が異なる可能性があります。例えば、閑散期に所定労働時間を短く設定していても、他部署とのかかわりで結局長く働いてしまうことがあります。所定労働時間よりも多く働きすぎると法令に抵触する可能性があるため、組織全体での協力や理解が不可欠です。

従業員が急な業務変更に対応しにくい

変形労働時間制は、あらかじめ労働時間を確定させるため、急に業務内容や勤務時間を変更することが難しい面があります。

いったん確定した勤務時間を、会社都合で後から自由に変更することは、原則として認められていません。ただし、天変地異や設備の重大な不具合など、やむを得ない事由がある場合に、労働者の個別同意を得るか、または労働契約法に基づく就業規則の変更手続きを行うことで、例外的に変更が認められるケースがあります。

変形労働時間制は業務量に応じて柔軟に労働時間を調整できる一方で、運用方法によっては、従業員から「ずるい」と感じられたり、不公平だと受け止められたりすることも少なくありません。

特に、繁忙期と閑散期で労働時間に大きな差が生じると、体力的・精神的な負担が偏りやすくなります。また、勤務時間の決定が直前になる場合は、私生活の予定を立てにくくなる点にも配慮が求められます。そのため、勤務時間はできるだけ早めに周知し、負担が一部の時期に偏りすぎないよう調整することが大切です。

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変形労働時間制の導入方法

変形労働時間制を導入するために求められる手順は以下のとおりです。

  • 1.
    勤務実態の調査
  • 2.
    労働時間や対象者の決定
  • 3.
    就業規則の変更と労使協定の締結
  • 4.
    労働基準監督署への届出
  • 5.
    従業員に周知して運用を開始

1. 勤務実態の調査

変形労働時間制は、勤務実態の調査なくしていきなり導入することはできません。そもそも変形労働時間制は、繁忙期や閑散期が分かれている場合に効率よく業務を遂行することに適した制度です。そのため、まずは実際の勤務実態を調査することから始めます。

具体的には、以下を中心に調査します。

  • 繁忙期と閑散期にあたる期間
  • 繁忙期にどのくらいの勤務時間を確保することが望ましいか

あらかじめ把握しておくことで、以降の作業がスムーズになります。

2. 労働時間や対象者の決定

調査結果が出た後は、実際に導入する際の所定労働時間や、対象となる部署、対象者を決定します。対象者については調査結果を参照し、どの時期にどのくらいの残業が発生しているかを確認しながら、繁閑の差が出るスパンなども含めて総合的に判断することが重要です。

3. 就業規則の変更と労使協定の締結

変形労働時間制の導入によって労働条件が変更になるため、就業規則を見直します。具体的な内容として、以下のような項目が挙げられます。

  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間と起算日
  • 労働日と労働時間
  • 有効期限

変形労働時間制の導入にともない、企業は就業規則の変更および対象者との間で労使協定を締結します。ただし、週単位や年単位の変形労働時間制を導入する場合には労使協定の締結が求められる一方で、月単位の変形労働時間制については、就業規則に一定の内容を定めるだけでよく、労使協定は不要です。

就業規則の変更や労使協定の締結が完了したら、対象者に対して交付します。これは、対象者が自身の労働条件を把握するために欠かせない措置です。

就業規則の概要や変更手順について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

4. 労働基準監督署への届出

さらに、厚生労働省が指定した届出書を作成し、労働基準監督署へ提出します。届出書には、変形労働時間制の導入に関する詳細な情報や就業規則の変更内容を記載します。また、残業や休日出勤の可能性がある場合には、36協定届も提出しましょう。

5. 従業員に周知して運用を開始

労働基準監督署への届出が完了したら、変形労働時間制の運用を開始できます。ただし、従業員の混乱を避けるために、導入の1か月前までには全従業員に対して制度の概要や導入背景について説明しておきましょう。事前の準備期間を設けることにより、従業員が制度について理解を深め、円滑な運用が可能になります。
また、運用開始後は設定した就業規則や所定労働時間を厳守して運用することが肝心です。運用中に問題や疑問が生じた場合には、誠実に対応して労使間の信頼関係を構築することで、効果的な変形労働時間制の運用が可能になります。

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変形労働時間制の注意点

変形労働時間制の導入を検討する際は、以下の注意点について理解しておきましょう。

  • 労働時間の繰越しはできない
  • 所定労働時間は後から変更できない
  • 満18歳未満の従業員には変形労働時間制を適用できない
  • 法定時間外労働や休日労働が発生する場合、36協定の締結・届出が求められる

ここからは、それぞれの注意点について詳細を解説します。

労働時間の繰り越しはできない

変形労働時間制では、日ごとの所定労働時間を厳守することが求められます。つまり、労働時間を繰り越して所定労働時間と相殺することはできません。例えば、1日の所定労働時間が8時間と定められている日に9時間働いた場合、1時間分の時間外労働となり、割増賃金の支払いが生じます。この1時間分を、別の日の労働時間を短くすることで単純に相殺することはできません。

所定労働時間は変更できない

変形労働時間制では、労使協定や就業規則等に基づいて、あらかじめ各日・各週の所定労働時間を定めます。対象期間の開始後に、会社都合で所定労働時間を自由に変更することは原則として認められていません。これは、労働者の権利を保護し、労働時間の安定性を確保するため、労使協定や就業規則で定められているためです。

たとえ結果として1週間の労働時間が40時間以内に収まる場合でも、後から所定労働時間を変更すると、変形労働時間制の要件を満たさなくなるおそれがあります。

そのため、導入開始前には十分なデータ分析を行い、適切な所定労働時間を設定することが求められます。労働時間の適正な管理と労使の合意内容を遵守し、変形労働時間制を円滑に運用しましょう。

満18歳未満には変形労働時間制を適用できない

満18歳未満の年少者には、原則としてフレックスタイム制を含めた変形労働時間制を適用できません。ただし、労働基準法第60条3項により、以下の2つの例外が認められています。

  • 1週間の労働時間が40時間以内かつ、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内にした場合、他の日の労働時間を10時間まで延長可能
  • 1週間の労働時間が48時間以内かつ1日8時間以内の範囲内で、1か月や1年単位の変形労働時間制を実施

年少者を雇用する場合は、制度の内容を正しく理解したうえで、ルールに沿って運用することが大切です。

法定時間外労働や休日労働が発生する場合、36協定届の締結・届出が求められる

企業は、原則として法定労働時間を超える時間外労働や、法定休日における休日労働を命じることはできません。変形労働時間制を導入していても、この原則は同じです。そのため、制度上想定した範囲を超えて時間外労働や休日労働が発生する可能性がある場合は、あらかじめ36協定届を締結し、労働基準監督署へ届け出ておくことが求められます。

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。なお、対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では、月42時間・年320時間が上限となります。

特別条項付きの36協定を締結する場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内で、月45時間を超えられるのは年6回までです。また、長時間労働が続かないよう、従業員の健康に配慮した運用も大切です。

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【2026年最新】変形労働時間制に関する法改正の動向

働き方改革関連法の施行後5年の見直し時期を迎え、労働時間法制のあり方について議論が進められています。

厚生労働省の研究会報告書では、現行の4週4休の特例を2週2休へ見直すことも含め、連続勤務の日数を抑えるための制度整備を検討すべきとしています。あわせて、13日を超える連続勤務を認めないルールの導入も、検討課題として挙げられています。

また、法定休日については、あらかじめ特定すべきことを法律上に位置付ける方向での検討も示されています。変形労働時間制では勤務パターンが多様になりやすいため、法定休日の明確化が今後の論点の1つとなっています。さらに、勤務間インターバル制度についても普及促進が進められており、今後の制度見直しの議論の中で注目されるテーマの1つです。

2025年12月26日、厚生労働大臣の記者会見において、これらの内容を盛り込んだ法案の2026年通常国会への提出を見送ることが明言されました。施行時期も未定であり、今後の審議会や法改正の動向を注視しましょう。

変形労働時間制含む労働基準法改正について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

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変形労働時間制に関するよくある質問

変形労働時間制において残業代はどのような扱いになるのか、シフト制との違いは何かなど、多く寄せられる質問にお答えします。

変形労働時間制で残業代は出ないのですか?

制度上あらかじめ定めた各日・各週の所定労働時間を超えて働いた場合や、対象期間における法定労働時間の総枠を超えた場合には、割増賃金(残業代)が発生します。

変形労働時間制は労働時間を柔軟に配分できる制度ですが、制度で定めた枠を超えて労働させた場合には、残業代を支払うことが求められます。

変形労働時間制とシフト制の違いは何ですか?

変形労働時間制は、業務の繁閑に応じて一定期間内の労働時間をあらかじめ配分する制度です。一方、交代勤務制(シフト制)は、一定期間ごとに勤務表を作成し、曜日や時間帯ごとに従業員の勤務日・勤務時間を決める勤務形態を指します。

両者はいずれも業務に応じて人員配置を調整しやすい点は共通しています。しかし、変形労働時間制は労働時間の配分方法に関する制度であるのに対し、シフト制は勤務日や勤務時間の決め方に関する運用形態である点が異なります。なお、シフト制の職場で変形労働時間制を組み合わせて運用することもあります。

詳しくはこちら

変形労働時間制では1週間で何時間まで働けますか?

1年単位の変形労働時間制では、対象期間を平均して週40時間以内に収まる範囲で、1日10時間、1週間当たり52時間まで労働時間を設定できます。

ただし、対象期間が3か月を超える場合は、1週48時間を超える設定ができるのは連続3週以下です。さらに、対象期間を3か月ごとに区分した各期間でも、1週48時間を超える設定ができるのは3回以下とされています。

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変形労働時間制の適切な管理には給与ソフトの導入を検討しよう

変形労働時間制は、時期によって繁閑の差が大きい職場で、特に活用しやすい働き方です。制度には、1年単位・1か月単位・1週間単位の変形労働時間制と、フレックスタイム制の4種類があり、それぞれ運用方法が異なります。

導入の際は、事前に内容をよく確認しておくことが大切です。また、就業規則の変更に伴う労働基準監督署への届出や、労働時間の繰越しができない点など、制度運用上のルールも押さえておきましょう。

こうした複雑な制度のもとでも、効率よく給与計算を行いたい場合は、「弥生給与 Next」の活用がおすすめです。フレックスタイム制をはじめ、複雑な勤務形態にも対応しており、勤怠管理から給与計算までスムーズに進められます。業務効率化にぜひお役立てください。

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この記事の監修者下川めぐみ(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。
医療機関、年金事務所等での勤務の後、現職にて、社会保険労務士業務に従事。

下川めぐみ(社会保険労務士)

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