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育休手当(育児休業給付金)の計算方法・支給額を解説! 支給期間や条件とは?

監修者:川口 正倫(社会保険労務士)

2024/05/08更新

育児休業給付金は雇用保険の加入者が受給できる育児休業中の給付金で、健康保険の加入者が受給できる出産育児一時金や出産手当金とは異なります。ここでは、育休手当の計算方法、支給額、支給期間や受給要件について詳しく解説します。

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育休手当(育児休業給付金)とは

育休手当は「育児休業給付金」の略称です。雇用保険の被保険者である従業員が育児を目的に休職する際、一定の要件を満たすと支給されます。

育児休業中の従業員に対する給与支給の法的義務は存在せず、多くの企業では育児休業中は無給の状態となります。この期間に経済的な支援を提供するための社会保障制度が育休手当です。なお、令和5年10月に新設された出生育児休業をした場合には、育休手当ではなく、出生時育児休業給付金という別の給付金が支給されます。

育休手当の計算方法と支給額

育休手当の計算方法は日数によって異なる

計算方法は180日目までと以降で異なり、以下のとおり算出します。

育児休業開始から180日目まで
  • 休業開始時賃金日額×休業期間日数×67%
育児休業開始から181日目以降
  • 休業開始時賃金日額×休業期間日数×50%
    • 休業開始時賃金日額=休業開始前直近6か月の総支給額を180で割った額
      (総支給額には交通費や残業手当等各種手当を含む、賞与や保険料は除く)
    • 出生時育児休業給付金が支給された日数は、180日に通算されます。

参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続新規タブで開く

育休手当は支給額の上限と下限が定められている

育休手当には賃金日額および30日を1単位とした場合の上限額と下限額が定められています。

休業開始時賃金日額
  • 上限額…15,430円 下限額…2,746円
支給日数30日
  • 支給率67% 上限額…310,143円 下限額…55,194円
  • 支給率50% 上限額…231,450円 下限額…41,190円
  • 令和5年8月1日から令和6年7月31日までの額

支給上限額および下限額は平均給与額の増減を基に毎年見直され、8月1日より変更される場合がありますので確認するようにしましょう。なお、下限額は育児休業中に支払われた給料の額によりこの額を下回る場合があります。より詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続新規タブで開く

育休手当の1か月の支給額の目安

参考例として1か月の給料が30万円だった場合について計算します。

  • 1支給単位は30日間
  • 育休前の賃金日額
  • 賃金日額の計算式:30万円×6か月÷180日
  • 賃金日額:10,000円
育休開始から180日 育休開始から181日以降
支給額の計算式 10,000円×30日×67% 10,000円×30日×50%
支給月額 201,000円 150,000円

参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続新規タブで開く

育休手当の支給日は原則2か月に1回

育休手当の支給は2か月に1回です。従業員が育休手当の支給を受けるためには、2か月に1度、事業主からハローワークへの支給申請が必要です。また、支給日は支給決定通知が届いてから約1週間後です。出産手当金の支給期間が出産日の翌日以降56日までとされているため、この間は育休手当の対象期間になりません。よって女性の場合、育休手当の支給開始は産後3か月以降となるのが一般的です。

  • 出産手当金(産休手当金)=出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までに支給される手当金

育休手当の初回申請期限は休業開始日から起算して4か月後の末日です。手続きはこの初回申請のみではないため、企業側は申請漏れがないよう注意が必要です。

育休手当の支給期間

育休手当の支給期間は原則1年

育休手当は母親と父親で支給期間が異なります。

母親
産後休業期間終了後の翌日から原則子が1歳になる誕生日の前々日までとなります。
父親
出産予定日もしくは出産日どちらか早い日から1歳になる誕生日の前々日までとなります。
  • 民法上誕生日の前日が満年齢到達日となるため誕生日の前日=誕生日の前々日(育児休業の取得可能な期間は誕生日の前日までとなります)

どちらも育休中に実際に休業していた日が対象となるため、早くに職場復帰した場合はその分の育休手当は支給されません。

参考:厚生労働省「Q&A~育児休業給付~新規タブで開く

育休手当の支給期間延長の条件

育休手当の支給期間は原則1年ですが、一定の要件に該当すると最長で子が2歳になる前々日までの延長が認められています。

延長の要件
  • 保育所等に保育の利用の申し込みをしているが、待機児童等により保育が実施されないとき
  • 養育を予定していた配偶者の死亡
  • 養育を予定していた配偶者の疾病、負傷等
  • 養育を予定していた配偶者との別居
  • 養育を予定していた配偶者の産前産後
必要書類

延長理由により下記のような書類が必要となります。

  • 保育所等の入所保留の通知書など保育が実施されない事実を証明する書類
    • 市町村が発行したもの
  • 世帯全員の住民票の写しおよび母子健康手帳
  • 養育を予定していた配偶者の状態についての医師の診断書等

より詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「育休手当支給期間の延長について新規タブで開く

パパ・ママ育休プラス制度を利用すると支給期間は延長される

パパ・ママ育休プラス制度は、育休取得率の低い父親の育休取得を促進する目的で2010年に制定されました。夫婦ともに育休を取得し要件を満たした場合、後に取得した配偶者の育休期間が1歳2か月まで延長されます。

ただし、取得可能な育休期間はあくまで1年間(母親の場合産後休業を含む)であり、1年2か月に延長されるのではありません。1歳になる前日までという休業可能期間の要件が1歳2か月までに延長されます。また、パパ・ママ育休プラスの支給額は、通常の育休と同様、育休開始日から180日目までは67%で、181日目以降は50%です。

受給要件
  • 夫婦2人ともが育休を取得すること
  • 配偶者(ママ)が子どもの1歳の誕生日までに育休を取得していること
  • 本人(パパ)の育休開始予定日が子どもの1歳の誕生日以前であること
  • 本人(パパ)の休業開始日が、配偶者(ママ)の開始日以降であること
  • 上記はパパが本制度を利用して1歳2か月まで延長するケースであり、ママの利用も可能です。

育休手当の支給条件

育休手当の支給期間前と期間中の支給条件は以下のとおりです。

支給期間前
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 育児休業の開始前2年間に賃金や報酬の支払対象となる労働日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること。ない場合は労働時間数が80時間以上の完全月が12か月以上あること

以下の場合には受給要件が緩和される場合があります。

  • 本人の疾病等により30日以上働けなかったとき
  • 1人目の子の育児休業により対象月を満たさなかったとき

正社員のほか、アルバイトやパート勤務であっても雇用保険に加入していて支給要件を満たしていれば制度を利用できます。また、有期雇用で働いている場合は上記支給要件に加え以下の要件を満たしていれば利用できます。

  • 子どもが1歳6か月(延長を受ける場合は2歳)までに労働契約が終了することが明らかでないこと
支給期間中
  • 育休期間中に支払われる賃金は休業開始前の80%未満であること

育休中も全く仕事ができないわけではありません。ただし育休前の賃金の80%を超えると支給されなくなるので注意が必要です。また、80%未満であっても、13%以上を超えると支給額が減額されます。

  • 1支給単位の勤務日数が10日以下であること、または勤務時間数が80時間以下であること

勤務日数や勤務時間が規定を超えてしまった場合でも、対象期間は支給されませんが翌月以降に規定を満たせば支給が再開されます。

  • 育休期間中に支払われる賃金とは、原則、支給単位期間中に支払日のある給与・手当等の賃金総額をいいます。ただし、育児休業給付金の初回申請の最初の支給単位期間において、一部分でも育児休業期間外を対象とするような給与・手当等や対象期間が不明確な給与・手当等は賃金に含めません。

育休手当の申請方法

育休手当の申請方法は以下のとおりです。

  • 1 申請者が会社の人事部や総務部等の担当部署へ育休手当取得の旨を申し出る
  • 2 会社側が管轄のハローワークへ必要書類を提出する
  • 3 ハローワークから受給確定通知と育児休業給付金支給申請書(次回分)が届く

育休手当申請に必要な書類

必要書類は申請者側、企業側それぞれに用意する書類があります。

申請者側
  • 母子健康手帳、出産予定日証明書等の写し
    (育児の事実、出生日を確認できるもの)
企業側
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • (初回)育児休業給付金支給申請書
  • 被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 賃金台帳、名簿、出勤簿、タイムカード等(賃金の額と支払状況を証明できるもの)

1回目の申請の際には上記書類がすべて必要となりますが、2回目以降は育児休業給付金支給申請書と賃金台帳、出勤簿等申請書の記載内容を確認できる書類のみの提出となります。

参考:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続新規タブで開く

産後パパ育休と育児休業の分割取得について

以前は育児休業の分割取得は認められていませんでしたが、2022年10月から、1歳未満の子どもを持つ夫婦ともに、育休を2回に分けて取得できるようになりました。さらに、産後パパ育休(出生時育児休業)においても2回の分割が認められており、父親は最大で4回に分けて育休を取得することが可能です。この変更に伴い、給付金も2回まで分割して受給できるようになりました。

産後パパ育休と通常の育休では制度が異なるため、育児給付金の回数制限に抵触することなく、父親はそれぞれの育休に対して給付金を受け取れます。

育休手当の計算方法や制度の周知をはかりましょう

育休手当は育児休業中の収入源として大切な制度です。政府は産後パパ育休制度や育休の延長などを通じて、夫婦が仕事と子育てを両立させるために積極的に支援を行っています。働く一人ひとりがこれらの制度を活用できるようにするために、会社としてその内容を十分に理解するだけでなく、従業員にも周知することが大切です。そのためは、担当者が詳細な計算方法や申請手続きなどをしっかりと理解し、従業員が適切な申請を行えるようにしましょう。

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この記事の監修者川口 正倫(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。
総務・人事の分野で零細企業から上場企業まで勤務後、社会保険労務士に転身。平成19年社会保険労務士試験合格、その後平成31年に特定社会保険労務士の付記登録。『労務事情令和4年3月15日号』(産労総合研究所)に「年4回賞与の取扱いについて」を記事寄稿・『年金復活プランがよくわかる本』(Kindle本)を出版。

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