休業手当とは?支給額の計算方法や休業補償との違いを解説

2024/03/01更新

休業手当は労働基準法にて定められた制度で、会社側の都合によって労働者を休ませたときに支払う手当のことです。しかし、経営者や人事担当者の中には「会社側の都合とはどのようなケースを指すのだろう」「休業手当はいくら支払えばいいのだろう」などの疑問を持つ方もいるかもしれません。また、休業手当と混同されやすいものに休業補償があり、両者の違いをきちんと把握しておく必要があります。

ここでは、休業手当の概要と計算方法の他、休業手当と休業補償の違いなどについて解説します。

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休業手当とは

休業手当とは、従業員には働く意思や能力があるにもかかわらず、会社の都合で休業したときに支払われる手当です。休業手当は労働基準法に定められている手当であり、法律の条文では次のように記載されています。

(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

労働基準法の条文にあるように、休業手当はその労働者の平均賃金の60%以上を手当として受け取れます。

休業手当が支給される条件と支給されない条件

休業手当は「使用者の責に帰すべき事由」に該当する場合に支給される手当です。使用者の責に帰すべき事由に該当し、休業手当が支給される例は次のとおりです。

休業手当が支給される条件例
  • 不況や材料不足などにより会社を休業する場合
  • 予告なしに解雇されたときの予告期間中の休業
  • 採用内定者が入社日以降も会社の指示で自宅待機をしている期間

逆に使用者の責に帰すべき事由に該当せず、休業手当が支給されない例は次のとおりです。

休業手当が支給されない条件例
  • 台風などの自然災害で事業所が使えない場合などによる休業
  • 労働安全衛生法に規定される健康診断の結果に基づいた休業
  • ロックアウトによる休業

会社が休業になったとしても、必ず休業手当が支給されるわけではありません。どのような条件で休業手当が支給されるのか理解しておくことが大切です。

休業手当と休業補償・有給休暇との違い

休業手当と休業補償や有給休暇は違うものです。各制度の違いを理解し、手当などの支給を受けるようにしましょう。

休業手当と休業補償との違い

休業手当と混同されやすいものに、休業補償があります。休業補償とは、労働基準法第76条で定められている災害補償の制度です。業務上負傷し、または疾病にかかり、その療養のため労働ができず、賃金を受けない場合には、休業を余儀なくされることになった労働者に対して、療養中平均賃金の60%が使用者から支払われます。なお、労災保険法との関係において、労働基準法に規定する災害補償の事由について、労災保険法から災害補償に相当する給付が行われる場合には、使用者は補償の責任を免れます。

休業手当と有給休暇との違い

休業手当と同じく、労働基準法で定められた制度として有給休暇(年次有給休暇)があります。有給休暇は、労働基準法第39条に記載されています。休業手当は会社の責任に基づく休業に対して支給されるものですが、有給休暇は一定の条件を満たせば取得できる、労働者の権利です。

休業手当の支給額の計算方法

休業手当の1日あたりの支給金額は「平均賃金の60%以上」です。この1日あたりの金額を、休業期間の日数に応じて支払います。実際には、会社の就業規則・給与規程で定めた計算式により支給金額が決定します。なお、休業手当を算出するベースとなる平均賃金は、基本給のことではありません。平均賃金は、下記の計算式によって算出されます。

平均賃金の計算式

平均賃金=事由の発生した日以前の3ヶ月間の賃金総額÷その3ヶ月間の総日数(暦日数)

平均賃金を算出するには、まず、休業開始直前3ヶ月間の賃金総額を求める必要があります。この期間は、賃金締切日がある場合は直近の賃金締切日、ない場合は「事由の発生した日(休業開始日)」の前日から起算します。また、賃金総額には基本給のほかに通勤手当や精勤・皆勤手当、年次有給休暇分の賃金、時間外手当なども含まれます。ただし、下記のような手当・賃金は、賃金総額から除外されます。

賃金総額に含まれない手当・賃金

賃金総額に含まれない手当・賃金は、次のとおりです。

  • 結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金など臨時で支払われる賃金
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(3ヶ月ごとに支払う賞与などは賃金総額に含みます)

賃金総額に含まれない手当・賃金を理解しておかないと休業手当の計算があわなくなるため、各項目を正確に把握しておきましょう。

法律で定められている休業制度

休業手当の対象となる「使用者の責に帰すべき事由」による休業の他にも、休業制度が法律で定められています。その代表的なものをご紹介します。

産前産後休業

産前産後休業は、労働基準法第65条で定められている休業制度です。使用者は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、その労働者を就業させてはいけません。また、原則として、産後8週間を経過していない女性を就業させるのは禁止されています。

産前産後休業期間は、基本的に給与を支払う必要はありません。ただし、労働者本人が健康保険の被保険者であれば、出産手当金を受け取ることが可能です。なお、産前産後休業保険料免除制度により、産前産後休業期間は条件により労働者本人の社会保険料の支払いが免除されます。

育児休業

育児休業は、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)で定められている制度です。労働者は、養育する子が1歳未満の場合、事業主に申し出ることで育児休業を取得できます。父親でも母親でも取得でき、一定の条件を満たせば1歳を超えて延長も可能です。

育児休業を取得する労働者が雇用保険に加入しており、要件を満たす場合は、育児休業給付金を受け取ることができます。また、社会保険に加入している場合は、産前産後休業期間中と同様に、育児休業期間中の社会保険料は条件により免除となります。

介護休業

介護休業は、育児休業と同じく育児・介護休業法に定められている制度で、家族などを介護するために取得できる休業です。労働者本人が雇用保険に加入していれば、介護休業給付金を受けることが可能です。また、労働者から介護休業の申し出があったとき、事業者がそれを拒むことはできません。なお、産前産後休業、育児休業とは異なり、介護休業期間中の社会保険料は免除されません。

休業手当の申請方法

休業手当は、会社が従業員に支払う手当であるため勤務先の会社に申請します。休業手当の申請方法は会社ごとに決められているため、会社の規定で申請方法を確認しましょう。申請書類の様式や提出先の窓口、決裁者などを確認し提出します。

休業手当が支給された具体例

休業手当が支給された具体例は、次のとおりです。

  • 採用内定者の休業手当について
  • 派遣社員の休業手当について
  • 半日だけ勤務したときの休業手当について

休業手当は使用者の責に帰すべき事由で、勤務できる状態の従業員を休ませることで発生します。しかし、この文章では具体的に、どのようなときに払われるのかがわかりにくいでしょう。ここからは、休業手当が支給された具体例を3つ紹介していきます。

採用内定者の休業手当について

休業手当は採用内定者にも支給されます。例えば、採用内定者を入社日以降も働かせなかった場合は、休業手当の支給が必要です。ただし、採用内定者を入社日以降に働かせなかった理由が災害による被害であったり、採用内定者の健康上の問題であったりした場合、休業手当は支給されません。あくまで入社日以降に働かせなかった理由が会社の一方的な都合で、採用内定者に働く意思があり、かつ働ける健康状態であることが前提となります。

派遣社員の休業手当について

休業手当は派遣社員にも支給されます。例えば、派遣先の会社の一方的な都合により派遣先で働けず、休業せざるを得なくなった場合です。ただし、休業手当が出る状況になってしまった場合、派遣会社から他の派遣先を紹介されるケースがほとんどです。そのため、派遣先の会社の都合により休業手当が支給されるケースはあまり多くありません。

半日だけ勤務したときの休業手当について

休業手当は、半日だけ勤務し帰宅させたときにも支給されます。例えば、半日だけ勤務し台風などで帰宅が困難になる恐れがある状態で、強制的に帰宅させた場合です。このようなケースで、帰宅するまでに勤務した分の賃金が従業員の平均賃金の6割満たない場合は、平均賃金の6割と勤務した分の差額が休業手当として支給されます。なお、帰宅は任意で従業員の意思で決められるような通達であれば、休業手当は支給されません。

休業手当に関するよくある質問

台風で会社が休みになったときに休業手当はもらえる?

台風で会社が休業になった場合、休業手当がもらえるのかどうかは被害の状況や出勤できるかどうかなどさまざま要因によって決まります。休業手当が出ない例としては、台風の被害により事業所が破損し物理的に仕事ができない場合、休業手当は発生しません。休業手当が出る例としては、事業所で仕事はできるものの台風により公共交通機関がストップし、従業員に影響が出るために休業する場合は、休業手当が必要なケースです。上記の例の違いは「使用者の責に帰すべき事由」があるかどうかです。帰すべき事由がなければ、休業手当は発生しません。

休業手当をもらうと所得税が増える?

休業手当をもらうと所得税が増えます。休業手当は給与所得に該当し、所得税計算の元になります。しかし、労働者が業務上で負傷などしてしまい、仕事ができなくなり休業した場合の「休業補償」は所得税の課税対象にはなりません。そのほかにも、治療費などを補償する「療養補償」、身体に障害が残った場合の補償である「障害補償」も所得税の課税対象にはなりません。

休業手当の支給は会社の都合かどうかによる

休業手当とは、従業員に働く意思があるにもかかわらず、使用者の責に帰す事由により会社を休業したときに支給される手当です。休業手当を支給するかどうかは、休業の理由が使用者の責に帰す事由があるかどうかに左右されます。どのような理由に該当する場合、休業手当を支給するのか把握しておくことが大切です。

休業手当の計算や管理は給与計算ソフトで効率化しよう

休業手当は、会社側の都合によって労働者を休業させた場合に支給しなければならない手当です。休業手当の支給金額を算出するには、まず、基本給や各種手当などから賃金総額を求め、そのうえで平均賃金を計算しなければなりません。また、休業手当は賃金として扱うため、所得税や社会保険料が発生します。

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