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給与規程(給与規定)とは?記載する内容や作成時の注意点などを解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/19更新

従業員の給与に関する取り決めをまとめたものが、給与規程です。給与規程は、企業の就業規則の中でも必ず定めなければならない項目が含まれ、従業員を雇用するのであれば、作成は不可欠です。

また、給与規程は記載項目などにルールがあるため、作成にあたっては注意が必要です。ここでは、給与規程に記載すべき内容のほか、作成時のポイントと注意点などについて解説します。

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給与規程とは賃金のルールを定めたもの

給与規程とは、従業員の給与(賃金)に関するルールをまとめたもので、「賃金規程」とも呼ばれます。給与規程は、従業員の給与の計算方法や支払方法、支払期日、昇給に関する事項などが定められた企業の就業規則の一部です。

労働基準法では、雇用形態にかかわらず常時10人以上の労働者を使用する工場、事務所、店舗などの事業場ごとに就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ることを義務付けています。また、労働者が10人未満の企業においても、職場のルールを明確にするために、就業規則の作成が望ましいとされています。

就業規則には記載しなければならない事項があります。ただし、具体的な給与に関する取り決めを就業規則内で網羅することは困難なため、多くの企業では給与についてのルールだけをまとめた給与規程を作成しています。この場合は、給与規程も労働基準監督署への届出が必要です。

給与規程に記載が必要な項目

給与規程には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、企業の制度によって記載が必要な「相対的必要記載事項」があります。それぞれの詳細を見ていきましょう。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項は、労働基準法第89条に定められており、必ず記載しなければなりません。記載事項は以下のとおりです。

給与規程の絶対的必要記載事項

  • 賃金の決定方法
  • 賃金の計算方法
  • 賃金の支払方法
  • 賃金の締め切り日
  • 賃金の支払時期
  • 昇給に関する事項

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、退職金やボーナス(賞与)など、以下のような制度を設けている場合に記載が必要な項目です。

給与規程の相対的必要記載事項

  • 退職手当に関する事項
  • 賞与などの臨時の賃金に関する事項
  • 最低賃金に関する事項
  • 食費、作業用品など従業員の負担に関する事項

給与規程を作成する際のポイント

給与規程の作成は、労働基準法に沿った内容にすることが大前提です。企業は独自の給与形態を設けることができますが、法令に反する内容は認められません。下記のポイントを確認してから、給与規程を作成しましょう。

賃金支払いの五原則を満たす

労働基準法第24条では、一般的に「賃金支払いの五原則」と呼ばれる5つの規程があります。それぞれの内容について、詳しく紹介します。

通貨払いの原則

賃金は、日本の通貨(現金)で支払うことが原則です。現物支給や給与額相当の商品券などで支払うことは、基本的に認められません。ただし、労働者の同意があれば、銀行口座振込が可能です。

直接払いの原則

賃金は、労働者に直接支払うのが原則です。基本的には代理人など、本人以外の人に支払うことはできません。

全額払いの原則

賃金は一括して全額を支払わなければならず、分割払いなどは認められません。また、法令で定められている、または労使協定で合意されているもの以外の、控除は認められません。

毎月1回以上払いの原則

賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。年俸制の場合は、年俸額を最低でも12分割して毎月支払う必要があります。

一定期日払いの原則

賃金は、「月末」「毎月25日」というように、あらかじめ定めた一定の期日に支払う必要があります。「毎月第3金曜日」など月ごとの支払日が変動したり、「毎月20~25日」のように支払日に幅を持たせたりすることはできません。

休業手当を定める

労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定められています。つまり、会社都合で従業員を休ませた際は、平均賃金の6割以上の休業手当を支給しなければならないということです。

平均賃金とは、事由が発生した日(この場合は休業した日)以前の3か月間にその従業員に支払われた賃金総額を、3か月間の総日数(就労日数ではなく暦日数)で割った金額をいいます。

また、ここでいう「使用者の責に帰すべき事由による休業」は、経営悪化による業務量の減少や、機械・設備の故障などによる休業が該当します。一般的に地震や台風などの自然災害や、私傷病や業務外の事故などによる休業は、使用者の責任とは見なされません。なお、雨天時の屋外作業の休業などは、個々のケースによって判断されます。

出来高払制の保障給を定める

労働基準法第27条では、固定給ではなく、出来高払いなど請負制の労働者に対し、労働時間に応じて一定額の賃金の保障をしなければならないと定めています。

これは、労働者が働いたにもかかわらず、何らかの事情によって成果が上がらなかったときに、賃金が大きく下がってしまうことを防ぐための決まりです。保障給の金額に明確な定めはありませんが、多くの企業では休業手当に合わせて平均賃金の6割以上を目安としています。出来高払制を導入している場合は、給与規程に必ず記載しておきましょう。

最低賃金を下回らない

労働基準法第28条により、企業は従業員に対して必ず最低賃金額以上の給与を支払わなければなりません。最低賃金には地域(都道府県)別と産業別の2種類があり、いずれか金額の高い方が適用されます。たとえ最低賃金額よりも低い賃金を労使合意のうえ定めたとしても、法律によって無効になります。

最低賃金額は、物価上昇の影響などを考慮して毎年改定が行われるため、更新された際には必ず確認するようにしましょう。

賃金から天引きするものを定める

前述した賃金支払いの五原則のうち、「全額払いの原則」の例外として、賃金からの天引き(控除)が認められる場合があります。賃金から控除できるのは、社会保険や税金といった法令で定められたものや、社内旅行積立金や親睦会費、社宅費など書面による労使協定の締結があるものに限られます。賃金から天引きするものについても、給与規程における定めが必要です。

給与規程を作成する際の注意点

給与規程にあいまいな部分や誤りがあると、後々大きなトラブルに発展してしまうおそれがあります。給与規程を作成するときには以下の点に注意し、できる限り正確かつ詳細な記載を心掛けましょう。

賃金の構成が法律に沿っているか

給与規程に記載する「賃金の決定方法」は、労働基準法で定められた賃金の構成に従って定めることが大切です。賃金の構成は、「基本給」「手当」「割増賃金」という3つの要素で成り立っています。

基本給

基本給には、月給や日給、時給、日給月給(月給を定め、欠勤した場合にその日数分だけの賃金を差し引く形)などがあります。職務内容や能力、勤続年数、年齢、資格、学歴などを考慮したうえで、公正に決めることが大切です。

手当

手当には、家族手当や通勤手当、役付手当、技能・資格手当、精勤手当などがあります。その他にも、住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当といった手当を支給する企業もあります。どのような手当を設けるか、金額をいくらにするかを給与規程に定めます。

割増賃金

割増賃金には「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」の3種類があり、それぞれ割増率が定められています。

その他、賞与や出来高手当、所定内労働時間と所定外労働時間などについても、給与規程に書いておいたほうがいいでしょう。

賞与は法律上の義務ではないものの、厚生労働省「モデル就業規則新規タブで開く」では、「就業規則に支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を明確にしておくことが必要です」と定められています。

出来高払いは、労働基準法27条において「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と明記されています。つまり会社は、従業員の業績がゼロであっても一定額の賃金を支払わなければいけないため、給与規程を作成する際には注意が必要です。

会社が決めた労働時間である所定内労働時間も給与規程に明記し、それを超えて法定労働時間内の残業を行う場合は賃金が通常の労働時間と同額で支払われるのか、それとも割増で支払われるのかも定めておくことをおすすめします。

雇用形態ごとに給与規程を定める

正社員、契約社員、パート、アルバイト、嘱託社員など、雇用形態の異なる従業員がいる場合は、雇用形態ごとに給与規程を定めるといいでしょう。正社員は月給制、パートやアルバイトは時給制など、雇用形態が違うと賃金体系も変わります。

もしすべてを同じ給与規程にまとめてしまうと、雇用形態ごとの違いがわかりにくくなったり、正社員に適用される手当などがパートやアルバイトにも支払われると誤解されたりする可能性があります。

なお、雇用形態ごとに給与規程を定めた場合でも、短時間労働者や有期雇用労働者に対して不合理な待遇差を設けてはいけません。

給与規程を変更する場合には手続きが必要

給与規程は、法改正や賃金体系の変更、手当の新設・廃止などによって、変更する場合もあります。常時10人以上の労働者を使用する事業場は、作成時と同様に、給与規程を変更したときにも労働基準監督署に届出をしなければなりません。

このとき、就業規則変更届と併せて、労働者の過半数を代表する者の意見書を添付する必要があります。「就業規則とは別に作成した給与規程だけを変更して、就業規則本体は変更していない」という場合でも、労働基準監督署への届出は必要なので注意しましょう。

給与計算ソフトは給与規程に則った計算ができるものにしよう

給与規程は就業規則の一部で、従業員の給与(賃金)に関するルールをまとめたものです。給与に関する取り決めは、従業員にとっても重要な事項であり、後々のトラブルを避けるためにも詳細な記載が求められます。労働基準法を踏まえたうえで、しっかりとルールを定めておかなければなりません。

給与の支払いにあたっては、給与規程に則った細かい給与計算が必要になります。さらに、法改正などによって給与規程の変更があると、その都度適切な対応が必要です。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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