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2024年(令和6年)分の年末調整の変更点は?定額減税関連の対応もわかりやすく解説

年末調整の変更点について、2024年(令和6年)分で注意すべきポイントを解説します。2024年(令和6年)は定額減税が実施されたため、年末調整時の業務が通常とは異なります。そこで、年末調整の変更ポイントをまとめました。定額減税に伴う事務での計算方法や、追加される書類、申告書の簡素化など、重要な変更点を知っておき、年末調整業務をスムーズに行いましょう。

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2024年(令和6年)分の年末調整における変更点は5つ

国税庁「令和6年 源泉所得税の改正のあらまし」と総務省「令和6年度税制改正大綱」から、2024年(令和6年)の年末調整では以下の変更点があることがわかります。

  • 1.
    定額減税実施による「年調減税」の発生
  • 2.
    国外居住親族への「送金関係書類」の追加
  • 3.
    「給与所得者の保険料控除申告書」の簡素化
  • 4.
    「住宅ローン控除における借入金残高証明書」の手続き方式変更
  • 5.
    「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」記載内容の簡素化

各変更点の詳細について、以下で詳しく解説します。

変更点1. 定額減税実施による「年調減税」の発生

定額減税は、物価高を受けて2024年(令和6年)4月1日施行の「令和6年度税制改正法」により実施されています。所得税・住民税を納付しており、定額減税で設定された額を控除できる方が対象です。

納税者、同一生計配偶者および扶養親族1名につき、それぞれ所得税3万円と住民税1万円の計4万円が、2024年分の税金から控除されます。なお、定額減税実施に伴い、年末調整時には定額減税の所得税分を控除する年調減税事務が行われます。住民税の徴収金額は、市区町村から特別徴収税額通知書が届きますので、企業での業務は発生しません。

定額減税の詳細は、以下の記事をご覧ください。

年調減税の対象者

定額減税の事務手続きには、毎月行う「月次減税事務」と、年末調整時に行う「年調減税事務」があります。年調減税は、扶養親族の人数に変動があった場合も含めて、年末に正しい金額で精算することを目的としています。年調減税の対象者は、以下の方です。

年調減税の対象者
  • 2024年(令和6年)12月31日時点で国内に居住している方
  • 合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円)以下(※1)の方
  • 2024年(令和6年)6月2日以降に入社した従業員の方
  • 2024年(令和6年)6月2日以降に扶養親族の人数に変更が生じた方(※2)
  • (※1)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける場合は、給与収入2,015万円以下まで対象となります。その他、給与収入が2,000万円を超える方は年調減税の対象外で、また確定申告が必要です。
  • (※2)扶養親族の状況は「扶養控除等申告書」で確認してください。

年調減税の計算・控除方法

年調減税は、以下の手順で計算します。

  • 1.
    「扶養控除等申告書」などから、12月31日時点で居住者(※1)かつ同一生計の配偶者・扶養親族を確認し、所得税の控除額を算出します。
  1. 例1.
    納税者本人と同一生計配偶者の世帯の場合、30,000円×2=60,000円
  2. 例2.
    納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族一人の世帯の場合、30,000円×3=90,000円

なお、年調減税対象になる同一生計配偶者とは、以下の要件に該当する方です。

  • 「配偶者控除等申告書」に記載された控除対象配偶者
  • 合計所得⾦額が48万円以下の配偶者のうち、年調減税額の計算に含める配偶者として「年末調整に係る定額減税のための申告書」に記載された配偶者

また、扶養親族は所得税法上の要件に当てはまる方だけではなく、16歳未満も含みますのでご注意ください。

  • (※1)居住者とは、国内に住所があり現在1年以上国内に住んでいる方
  • 2.
    通常の年末調整どおりに、まずは給与所得控除額を差し引きます。給与所得控除は、以下の表どおりに行います。
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

引用:国税庁「No.1410 給与所得控除新規タブで開く

給与等の収入金額が600万円の場合は、以下のような計算式です。

6,000,000円×20%+440,000円=1,640,000円(給与所得控除額)

6,000,000円-1,640,000円=4,360,000円

  • 3.
    給与所得控除後の給与等の金額から所得控除額等を引き、差引課税給与所得金額を算出します。所得控除額は従業員ごとに額が違うため、各従業員が申告書に記入した額から算出します。

    上の例をもとに、以下の控除を受けると仮定し、差引課税給与所得金額を算出する場合の計算式は次のとおりです。
控除の種類 控除額
社会保険料控除 920,000円
配偶者控除 380,000円
基礎控除 480,000円
生命保険料控除 40,000円

4,360,000円-(920,000円+380,000円+480,000円+40,000円)=2,540,000円

  • 4.
    差引課税給与所得金額に所得税率をかけ、所得税額を算出します。所得金額にかかる税率と控除額は、以下のとおりです。
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

差引課税給与所得金額が2,540,000円の場合、以下の計算式になります。

2,540,000円×10%-97,500円=156,500円

  • 5.
    算出された所得税額から税額控除額を引き、年調所得税額を算出します。例として、住宅借入金等特別控除40,000円とします。

156,500円-40,000円=116,500円

  • 6.
    年調所得税額から年調減税額を引き、定額減税控除後の所得税額を算出します。ここでは、本人と同一生計配偶者の2人世帯とします。

116,500円-60,000円=56,500円

  • 7.
    定額減税所得税額に、2.1%の復興特別所得税を足し、年調年税額を算出します。

    【定額減税所得税額×102.1%=年調年税額(所得税額と復興特別所得税の合計額)】

56,500×102.1%=57,686.5円

100円未満は切り捨てるため、年調年税額は57,600円となります。

年末調整後に発行する「令和6年 給与の源泉徴収票」下部「(摘要)」欄には、源泉徴収時所得税減税控除済額と、年調所得税額から年調減税額を控除した額を記載します。控除しきれたら0円、控除しきれなかった場合はその額を記載してください。

年末調整時の定額減税について、こちらの記事もご覧ください。

変更点2. 国外居住親族への「送金関係書類」の追加

国外居住の扶養親族について扶養控除を受けるには、親族関係書類、送金関係書類などの書類を提出します。2024年(令和6年)分の年末調整からは、送金関係書類に「電子決済手段の移転による支払いを証明する書類」が適用されます。

具体的な変更点

送金関係書類は、金融機関の書類またはその写し、クレジットカード会社が発行した書類またはその写しに加え、「電子決済手段等取引業者の書類またはその写し」も追加されました。

「電子決済手段等取引業者の書類またはその写し」とは、電子決済手段等取引業者により電子決済手段が移転することで、居住者(納税者)が、国外居住親族に支払いをした証明になる書類です。

ここでいう電子決済手段とは、「法定通貨の価値と連動するステーブルコイン」とされています。ステーブルコインとは、安定性のある仮想通貨のことです。

変更点3. 「給与所得者の保険料控除申告書」の簡素化

生命保険料控除や地震保険料控除など、保険料控除を受ける際に必要となる給与所得者の保険料控除申告書も変更され、2024年(令和6年)分の年末調整から適用されます。2024年(令和6年)10月1日以降に提出する分は、保険金等の受取人と申告者の続柄が記載不要になり、簡素化されました。

具体的な変更点

記載不要になった部分は、以下の3つです。

  • 1.
    生命保険料控除:昨年は「保険金等の受取人」欄に「あなたとの続柄」を記載していましたが、今年からこの記載が不要となりました。
  • 2.
    地震保険料控除:昨年は「保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名」に「あなたとの続柄」を記載していましたが、今年からこの記載が不要となりました。
  • 3.
    社会保険料控除:昨年は「保険料を負担することになっている人」欄に「あなたとの続柄」を記載していましたが、今年からこの記載が不要となりました。

変更点4. 「住宅ローン控除における借入金残高証明書」の手続き方式が変更

2023年(令和5年)1月1日以降に住宅を取得した方が住宅ローン控除の適用を受けるにあたり、2024年(令和6年)分の年末調整では、借入金残高証明書(年末残高証明書)の提出や提示が不要になりました。

具体的な変更点

住宅ローン控除を受ける場合、年末調整時に年末残高証明書を勤務先へ提出する「証明書方式」から、金融機関が税務署に年末残高等調書を提出する「調書方式」へ移行しています。「調書方式」への移行には経過措置期間が設けられており、2024年(令和6年)分の年末調整から運用されます。

しかし、住宅ローン控除を受ける方が利用している金融機関が、システム改修を終えておらず「調書方式」に対応できない場合は、従来の「証明書方式」で年末調整を行います。

変更点5. 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載内容の簡素化

令和7年分の源泉徴収実務(毎月の給与計算)からは、変更がない旨を記載した「扶養控除等(異動)申告書」を用いる「簡易な申告書」での対応が可能となります。

具体的な変更点

以下に変更がない場合は、「前年から異動なし」などと記載するだけで提出できるようになります。

  • 給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書の記載事項

「簡易な申告書」を提出できるかは、以下の従業員向け案内用リーフレット内のチェックリストで確認できます。

2025年(令和7年)以降の年末調整に反映予定の変更点

2025年(令和7年)以降の年末調整でも、変更点がいくつか予定されています。変更点を確認し、適切な対応ができるよう準備しましょう。

確定:住宅ローン控除の拡充

住宅ローン控除の拡充について、以下の2つが変更されます。

  • 1.
    「特例対象個人」(※1)の借入限度額の拡充

2024年(令和6年)以降の新築住宅等にかかる借入上限額について、「特例対象個人」に限り、以下のとおり2023年(令和5年)入居の場合と同額が適用される形となりました。2025年(令和7年)についても、同様の方針で検討が進められています。

  • 認定住宅:4,500万円→5,000万円
  • ZEH水準省エネ住宅:3,500万円→4,500万円
  • 省エネ基準適用住宅:3,000万円→4,000万円

借入限度額については、住宅ローン関連の書類に記載された額をよくご確認ください。

  • (※1)「子育て世帯・若者夫婦世帯」(夫婦のどちらが40歳未満、または19歳未満の扶養親族(子など)がいる世帯)の人
  • 2.
    床面積要件40㎡以上の緩和措置が延長

合計所得金額が1,000万円以下の場合、新築住宅の床面積要件を40㎡以上にする措置の建築確認期限が、2024年(令和6年)12月31日まで延長されます。

住宅借入金等特別控除申告書について、こちらの記事で解説しています。

予定:扶養控除の縮小

2024年(令和6年)10月から、高校生の年代にも児童手当が支給されています。

それを踏まえ、16歳以上19歳未満の扶養控除は所得税38万円が25万円、住民税33万円が12万円に縮小される予定です。2025年(令和7年度)改正で確定し、以降適用予定です。

予定:ひとり親控除の拡充

扶養控除の縮小により、課税対象の所得金額や納付額などが変更されます。そのため、より困難な状況にあるひとり親への支援を進めるべく、ひとり親への負担軽減に向けて、ひとり親控除の拡充が予定されています。

具体的には、ひとり親控除の所得要件が、500万円以下から1,000万円以下まで拡大される予定です。また、ひとり親控除の所得税控除額は35万円から38万円に、住民税の控除額は30万円から33万円にそれぞれ拡充される予定です。

予定:生命保険料控除の拡充

2012年(平成24年)以降契約分の新生命保険料にかかる一般生命保険料の控除額は、23歳未満の扶養親族がいる場合、現在の上限額4万円から6万円へ拡充される予定です。一時払生命保険は対象外です。

また、一般生命保険料、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の合計適用限度額は、12万円から変更はありません。

生命保険料控除の拡充は2025年(令和7年)度改正で確定され、以降適用予定です。生命保険料控除の拡充は、子どもの扶養者が万一亡くなった場合、子どもを含む世帯が経済的に困窮しないために重要だと考えられています。扶養控除の縮小・ひとり親控除の拡充と加えて、子育て支援のため実施予定です。

年末調整は早めの準備が大切

2024年(令和6年)分の年末調整では、5つの変更点があります。

  1. 1.
    定額減税実施による「年調減税」の発生
  2. 2.
    国外居住親族への「送金関係書類」の追加
  3. 3.
    「給与所得者の保険料控除申告書」の簡素化
  4. 4.
    「住宅ローン控除における借入金残高証明書」の手続き方式変更
  5. 5.
    「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」記載内容の簡素化 (※令和7年分の給与計算事務からの変更)

従業員が正しく記入しているかチェックできるよう、担当者は5つの変更点を正確に理解しましょう。スムーズな業務を行うためにも、年末調整に向けて早めの準備が大切です。

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  • 本記事は2024年10月時点の情報を基に執筆しています。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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