通勤手当とは?非課税・課税限度額や計算方法、交通費との違いを解説

2024/03/01更新

この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

従業員の通勤にかかる費用を、会社が手当として支給するものを通勤手当といいます。

通勤手当は、一般的に実費支給となるため、従業員ごとに必要な通勤費を管理し、適切に支給します。また、通勤手当は一定要件のうえでは非課税になるなど、通常の給与とは異なる性質があるため注意が必要です。

ここでは、通勤手当と税金や社会保険料との関係の他、通勤手当の計算方法、通勤手当とその他の交通費との違いなどについて解説します。

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通勤手当は勤務先までの通勤費を支給するもの

通勤手当とは、従業員の自宅から勤務先までの通勤にかかる費用を、企業が手当として支給するものです。残業手当などとは異なり、企業に通勤手当を支給する法的な義務はありませんが、多くの会社では福利厚生のひとつとして通勤手当を支給しています。

通勤手当の支給の有無や金額、支給方法などは、会社の賃金規程によって規定されます。支給額についても会社ごとに決めることができ、通勤にかかる実費を全額支給する場合もあれば、定期券の購入を認め1か月あたりの上限額を定める場合もあります。

同一労働同一賃金の観点から、正社員やパート、アルバイトなどの雇用形態によって、通勤手当の支給の有無を変えることは法令違反となります。ただし、「月の所定労働日数の半分を超えて出社した従業員には定期代を支給し、半分以下の従業員は実費精算を行う」など、条件を設けて支給方法を変えることは可能です。

通勤手当と交通費の違い

会社が従業員に支払う移動費用としては、通勤手当の他に、営業や出張などの業務上発生する交通費があります。交通費とは、取引先への訪問や打ち合わせのための外出、遠方への出張など、業務の移動にかかる費用です。

通勤手当の場合は、従業員の自宅から勤務先までの経路に関する費用と決まっており、交通費は、給与規程によりその支給ルールを決定します。

また、一般的に通勤手当は給与と同時に支給しますが、交通費はかかった費用を一時的に従業員が立て替えて、後で経費精算をするケースが多いでしょう。ただし、出張など交通費が高くなることが予想される場合は、事前に一定金額を従業員に仮払いとして支給し、出張後に実費との差を精算する方法をとることもあります。

交通費についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

通勤手当の課税ルールは通勤手段ごとに異なる

通勤手当は、給与の一部として支給される手当です。従業員が受け取る給与には、その所得に応じて所得税がかかります。しかし、通勤手当は一定の金額まで、所得税の課税対象にはなりません。なお、通勤にどのような交通機関を利用するかによって、通勤手当の課税ルールは違います。

ここでは、通勤手段ごとに異なる、通勤手当の非課税限度額についてご説明します。

公共交通機関を利用する場合の非課税限度額は15万円

通勤に公共交通機関を利用する場合、1か月あたり15万円までは通勤手当が非課税となります。電車やバスなどの公共交通機関を使って通勤しているなら、15万円以下の通勤手当には税金がかかりません。

この非課税限度額を超えて通勤手当を支給する場合は、超えた分の金額が通常の給与と同様に課税対象となります。

自家用車などを利用する場合の非課税限度額は距離で変化

通勤に自家用車やバイク、自転車などを使用している従業員の場合は、片道の通勤距離に応じた1か月の非課税限度額が決まっています。

自家用車などで通勤している人の1か月あたりの非課税限度額
片道2km未満 0円(全額課税対象)
片道2km以上10km未満 4,200円
片道10km以上15km未満 7,100円
片道15km以上25km未満 1万2,900円
片道25km以上35km未満 1万8,700円
片道35km以上45km未満 2万4,400円
片道45km以上55km未満 2万8,000円
片道55km以上 3万1,600円

なお、駐車場代は特定の個人が専属利用する場合、非課税になりません。原則として、全額が課税対象です。

また、公共交通機関と自家用車やバイクなどを組み合わせて通勤する場合は、自家用車などを利用する通勤距離に応じた非課税限度額と、公共交通機関を使った通勤費を合計して、15万円までが非課税になります。

高速道路など、有料道路の利用料金は原則として課税対象ですが、「そこを通らないと通勤できない」という場合に限り非課税となり、有料道路の料金は公共交通機関と同様に扱われます。したがって、自家用車などを利用する通勤距離に応じた非課税限度額と有料道路の料金、他の公共交通機関の交通費などを合わせて、非課税限度額は15万円になります。

通勤手当は合理的な運賃額である必要がある

公共交通機関による通勤費を非課税の通勤手当とするには、支給する金額が「合理的な運賃等」でなければなりません。合理的な運賃とは、最も通勤時間が早い経路や、最も金額が安い経路、最も乗り換えが少ない経路による運賃のことです。

一方、金額の安いルートにすると大幅に通勤時間が増えてしまうような場合は、従業員の負担につながるため柔軟な対応が求められます。新幹線通勤なども、合理的と判断されれば月15万円まで非課税の通勤手当に該当しますが、グリーン車など快適さを得るための料金は対象外です。

なお、タクシー代は原則として非課税の通勤手当にはなりませんが、深夜営業の店舗などで公共交通機関による通勤が不可能な場合など、タクシーの利用が合理的と判断されれば、通勤手当として非課税限度額が適用されます。

従業員が15万円の非課税限度額まで通勤手当を受け取ろうとして、合理的ではない通勤経路を会社に申告することが考えられますが、当然、合理的でない範囲は課税対象となります。そのようなことがないように就業規則などで通勤手当について定めておくと同時に、従業員から申告された通勤経路や運賃が合理的かどうかを、しっかり確認することが大切です。

社会保険料の計算には通勤手当が含まれる

前述したように、通勤手当は一定の金額までなら非課税となり、所得税や住民税がかかりません。しかし、社会保険料を算出する際には、非課税となる15万円以下であっても、通勤手当を含めて計算する必要があります。社会保険料の計算時には、混同しないようご注意ください。

通勤手当の計算方法

通勤手当は福利厚生の一種なので、会社によって計算方法は異なります。ここからは、一般的によく見られる計算例を紹介していきます。

電車やバスの場合

通勤に、電車やバスなど公共交通機関を利用する場合は、通勤手当として通勤定期券の金額を支給するのが一般的です。通勤定期券の期間には1か月、3か月、6か月といった種類があり、基本的には期間が長くなるほど1か月あたりの費用が安くなります。あらかじめ就業規則や賃金規程で、どの期間の定期券代を支給するか定め、それにもとづいて通勤手当を支給しましょう。

自動車やバイクの場合

自動車やバイクで通勤する場合の通勤手当は、1kmあたりのガソリン代をあらかじめ定めておき、それに距離と出勤日数を乗じて算出するケースが一般的です。計算式にすると、以下のとおりです。

自動車やバイクで通勤する場合の通勤手当の計算式

1か月の通勤手当=1kmあたりのガソリン代×往復の通勤距離×その月の出勤日数

ガソリン価格の変動に備えて、ガソリン代の改定基準や見直しの時期についても、賃金規程などに定めておくといいでしょう。

なお、自動車やバイクでの通勤は、片道の通勤距離によって通勤手当の非課税限度額が変わります。そのため、会社によっては、非課税限度額の範囲に合わせ、自宅から勤務先までの距離に応じて通勤手当の上限を決めているケースもあります。

自転車の場合

自転車通勤の場合は、運賃やガソリン代のような費用は発生しません。ですが、自転車通勤であっても福利厚生として通勤手当を支給する会社もあります。

自転車の場合の通勤手当の金額は、「一律定額」「公共交通機関を利用すると仮定した定期券相当額」「自宅からの距離に応じて金額を定める」など、会社によって異なります。なお、自転車通勤の非課税限度額は、自動車やバイクで通勤する場合と同様、片道の通勤距離に応じて変わります。

テレワーク時の通勤手当の場合

働き方の多様化により、近年ではテレワークを導入する企業も増えています。テレワークが多く、出社日数の少ない従業員には、定期券相当額を通勤手当として支給するのは合理的ではありません。その場合は、出社日数に応じて、個別に通勤手当を計算するのが一般的です。

なお、従業員のほとんどがテレワーク中心の企業などでは、通勤手当を取りやめ、在宅勤務の通信費や備品代として「在宅勤務手当」を支給するケースも見られます。ただし、在宅勤務手当には通勤手当のような非課税枠がなく、他の手当と同様、原則として課税対象になるため注意しましょう。

なお、在宅勤務でかかった備品代などを経費として精算する場合は、給与には含まれないため課税対象となりません。

通勤手当の支給ルールを定めておく

通勤手当にかかわるトラブルを防ぐには、就業規則や賃金規程で、通勤手当の支給ルールを明確に定めておくことが大切です。ここでは、ルールとして定めておきたい項目についてご説明します。

支給対象者

まずは、通勤手当の支給対象者を明確にすることが重要です。公共交通機関を利用する従業員のみなのか、マイカー通勤も対象か、自転車通勤はどうするかなど、しっかりと規定しておきましょう。

通勤経路の決め方

例えば「実費支給」など、曖昧なルールにしてしまうと「どのような経路でも、通勤費の実費が支給される」というように、従業員に誤って認識されてしまう可能性があります。

トラブルを避けるためにも「最安経路、または最速経路の運賃等を支給する」など、経済的に合理的な通勤手当の判断基準を決めておきましょう。

計算方法や上限額

通勤経路や通勤手段は、従業員一人ひとりで異なります。認識違いによるトラブルを招かないように、「何か月分の定期券の金額を支給するのか」「ガソリン代は、いつの金額を基準とするのか」「通勤手当の月額上限額を設けるか、設ける場合いくらが上限か」など、細かいルールを設定しておきましょう。

通勤手当の支給に給与計算ソフトを活用しよう

通勤手当の支給は会社の義務ではありませんが、福利厚生のひとつとして支給するケースがほとんどです。通勤経路は従業員によって異なるため、さまざまな状況に対応できるよう、就業規則や賃金規定でルールをしっかりと定めておくことが重要です。

通勤手当には一定の非課税限度額があり、その上限を超えた金額は課税対象となります。また、所得税の計算においては非課税限度額以下であっても、社会保険料の計算においては、算定の基礎となる標準報酬月額に通勤手当も含まれるなど、注意すべき点があります。通勤手当に関するさまざまな処理をミスなく行うためには、給与計算ソフトを活用するのがおすすめです。

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