出精値引きとは?通常の値引きとの違いや行う意味、書き方を解説
監修者: 高崎文秀(税理士)
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出精値引きとは、個人事業主や企業が商品やサービスの質を落とさずに行う企業努力の値引きです。よく目にする在庫処分割引のような幅広い顧客層に行う値引きとは異なります。出精値引きは顧客との長期的な取引継続を期待して行われることが多く、端数を丸めるなど、常識的な範囲での値引きが通常です。出精値引きを行うことは違法ではありませんが、買手側が過剰な値引きを要求することは法律に触れることがありますので、注意または配慮が必要です。
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出精値引きとは
「出精値引き(しゅっせいねびき)」とは、個人事業主・企業が、商品やサービスの質を下げずに企業努力で値引きを提示することです。あくまでも、顧客との良好な関係を保つために行われるもので、ビジネスを円滑に進めるための潤滑油のような存在です。
したがって、原価を下回るような大幅な値引きなどはなく、端数を丸め(切り捨て)て、キリのいい価格にするなど、良識的な範囲で行われます。過剰なダンピングはサービスや品質の低下を招くこともあり、逆に顧客の信用を損なうおそれがあります。
通常の値引きとの違い
通常の値引きは広範囲の顧客に販売促進を目的として提供されるもので、「在庫処分セール」や「期間限定セール」などのように明確な理由の下で行われます。顧客にとっても企業・個人事業主側にとってもメリットがある場合が多いです。
一方で出精値引きは特に明確な理由はなく、顧客との取引継続を見越して売手側の努力で行われます。広範囲な顧客層に対するものではなく、“お得意さま”など特定の顧客のみが対象となるところも通常値引きとは異なります。しかも、売手側が譲る形で行われるため、ギリギリの値下げであり、これ以上は値引きできないという意味も含まれます。
請求書の値引きの書き方については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
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出精値引きを行う意味・期待できる効果
出精値引きは売手側の努力によって行われるため、メリットがあるのは取引先(買手側)だけで、売手側は損をする一方のように思えます。しかし、長い目で見ると売手側にもさまざまなメリットが期待できます。
取引先との信頼関係の構築に役立つ
出精値引きで期待できることの第一は、取引先との信頼関係を築くのに役立つことです。出精値引きを適切なタイミングと条件の下で行えば、取引先に好感をもってもらえます。売手側の誠実さと柔軟性、ニーズへの対応力をアピールすることで、取引先の信頼を得るという大きなメリットがあります。
次に、比較的小さな金額で取引先のキャッシュフローに少なからず貢献できるため、特に受注競争が激しい業界では、発注企業に「選ばれる」ための有効な差別化の手段となります。いわゆる「商談をクローズする」段階の「詰めの一手」となることもあります。
継続的な取引を維持できる
取引先との信頼関係は、長期的に取引関係を維持することにつながります。商品やサービスの質を下げずに値引きを行うことは、顧客の満足感を決定的に高めるからです。単価の高い案件の場合は、「丸める」桁も大きくなる傾向にあり、後の大口発注や、一括購入につながることが期待できます。また取引先の事業が売手側にとってもよい影響をもたらす場合は、取引先の事業を支援する意味で、出精値引きが行われる場合もあります。
また、継続した役務提供の契約などの場合、契約更新の際に出精値引きを提示することは、契約継続のインセンティブを高めるのに効果的です。
市場の状況に合った柔軟な価格設定ができる
出精値引きのメリットには、柔軟な価格設定ができるという側面もあります。市場の状況や競合の価格にあわせて適切な値引きを行うことで、競争が激しい市場では価格優位性を発揮し、顧客獲得につながります。ただし、顧客を獲得した後は、良好な取引関係を継続するために、商品やサービスの質が低下しないように努力を続けていく必要があります。
逆に、値下げが恒常化してしまうと、買い手は値下げした価格が本来のものと認識してしまい、価格が硬直化してしまう弊害があることにも注意しなくてはいけません。
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出精値引きの書き方
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参照:国税庁「(端数値引きがある場合の適格請求書の記載)
」をもとに作成
値引き後の金額だけを記載すると値引き前の金額がわからなくなるため、一般的には、値引きした場合は金額の前に値引きを表す「▲」や「-」を付けます。
出精値引きの場合も同様ですが、出精値引きに限った特別な記号があるわけではないため、「▲」や「-」だけでは通常の値引きとの区別ができません。したがって「出精値引き」の項目欄を別途に作成して金額を記載し、出精値引きであることを明確にすることが望ましいでしょう。
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出精値引きに関する注意点
出精値引きは通常の値引きと違い、特定の顧客のみに向けて、企業・個人事業主側の努力で行うものです。そのため売手側、取引先側共に注意しなければならない点もあり、事前に確認しておくことがスムーズな取引につながります。
取引先との関係や削減できるコストを確認する
まず出精値引き行う対象が、長期的にパートナーシップを継続させたい企業・個人事業主かどうかを考慮しなければなりません。その取引先を理解することに努め、関係性を確認することが必要です。また、値引き分は純粋に売手側が負担することになるため、自身の経営状態を詳しく確認する必要があります。本当に余地があるのか、どのコストを削減してその費用を捻出するのかを熟慮してから行うことが重要です。
営業努力の名目で過剰な値引きをした結果、サービスの質が下がって評判を落としてしまったり、経営が傾いたりしては元も子もありません。
取引の透明性を確保する
出精値引きをするときは、取引の透明性を確保することが重要です。具体的には、買い手側に対して値引き後の金額を元の金額だと認識させないことです。見積書や請求書の合計欄の直前に「出精値引き」の項目を作成して、そこに値引き金額と理由を書く方法が、わかりやすい方法です。後日の監査や、万が一、税務調査が入った際にもきちんと説明できるようにしておきましょう。
さらに、値引きをした理由として、あくまでも売手側の「自発的」な動機に基づくものであることを記録しておけば、後述する下請法などへの抵触が疑われた際に役立ちます。
適格請求書は値引きの時期によって対応が分かれる
適格請求書(インボイス)とは、売手側が買手側に対して適用税率や消費税額を正確に伝えるために作成する請求書のことです。法律の用語では、商品の販売や役務の提供で対価をもらうことを「課税資産の譲渡」といいます。
商品を引き渡した後に請求書を作成する場合は、「売り上げに係る対価の返還」つまり請求書の合計金額から値引き額を差し引くことで処理します。
また、商品を引き渡す前に代金を振り込むなどの場合は、対価の額から直接減額して、値引き後の金額から税金を算出します。請求書には値引き後の金額と、それに対する消費税額を記載します。
値引きの時期が「課税資産の譲渡」を行う前か後かの厳密な区分が難しい場合は、2パターンのうちどちらの処理を行ってもかまいません。
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参照:国税庁「(端数値引きがある場合の適格請求書の記載)
」
過度な値引き要求は下請法(取適法)に抵触するおそれがある
出精値引きを行うこと自体は違法ではありません。そもそも「値引き」というのは企業努力であり、正当なビジネス上の交渉の一種です。
ただし、大手の発注側(親事業者)が小さな受注者(下請事業者)に対し不当な低価格を要求する、いわゆる「買いたたき」は、下請法(下請企業など立場が弱い企業を守る法律)に抵触します。
これまで下請法は資本金3億円以上、1000万円以下、など資本金の多寡で「親事業者」と「下請事業者」を定義していました。しかし、下請法は2026年1月施行に大幅に改正されて、取適法となります。
取適法では従業員数も基準に加わりました。買手側から過剰な値引きを要求された場合は、感情的にならず要求の背景を聞き、きちんと相場などを説明したうえで、オプションの提案や価値を明確化することで対処することが望ましいです。
※下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、令和8年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(通称:取適法・略称:中小受託取引適正化法)」に改正
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出精値引きは意味を知って効果的に活用しよう
出精値引きは企業が努力によって行う値引きです。販売促進を目的とした通常の値引きとは違い、顧客との継続的な取引を期待して行われることが多く、金額も比較的小さいです。タイミングによっては効果的ですが、過剰なダンピングは製品やサービスの質を落とす危険があります。また、買い手側からの大幅な値引きの要求は法律に抵触することがあるので、注意が必要です。請求書などに出精値引きを記載する場合、その旨を明示する必要があります。
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この記事の監修者高崎文秀(税理士)
高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役
早稲田大学理工学部応用化学科卒
都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業し、現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また通常の税理士業務の他、一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行っている。

