確定申告はどこに相談すればいい?窓口や相談前の準備を解説
監修者: 岡本匡史(税理士)
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所得税の確定申告をするにあたって「この経費はどの勘定科目で仕訳する?」「控除額や税額の計算方法は?」といったさまざまな疑問に直面することがあります。このような疑問をあいまいにしたまま確定申告書の作成を進めると、税額の計算間違いにつながるおそれがあります。では、処理の仕方がわからないときや不安なときは、どのような窓口に相談すればいいのでしょうか。
ここでは、税務署をはじめとする確定申告の相談ができる窓口や、確定申告の相談をする時期、相談前にしておきたい準備などを解説します。
確定申告に関する税務署の相談窓口
税務署では、確定申告についての相談を複数窓口で受け付けています。以下のように、窓口や確定申告会場での対面による相談のほか、電話、メール、チャットといったさまざまな選択肢があります。ご自身で、都合の良い方法を選んで相談しましょう。相談料などもかかりません。
税務署窓口、確定申告会場
税務署窓口や確定申告会場では、確定申告相談を受け付けています。対面で相談できるため、複雑な相談にも書類を確認してもらいながら回答してもらうことが可能です。簡単な内容であれば、アドバイスを受けながらその場で確定申告書を作成・提出することもできます。
税務署と確定申告会場のどちらで相談を受け付けているのかは、地域によって異なります。確定申告期間は、税務署ではなく、署外の確定申告会場で相談を受けている地域もあるため、事前に確認しておきましょう。
税務署や確定申告会場の利用時間は、基本的に平日8時30分から17時までです。ただし、相談受付は16時までで、事前に入場整理券を受け取っておかなければなりません。状況によっては当日分の整理券が早めになくなってしまう可能性もあるため、余裕を持って訪問する必要があります。
なお、確定申告会場への入場は、入場できる時間枠がしていされた「入場整理券」が必要です。電話などで事前に予約できるケースもありますが、電話等の事前予約による申告相談は、税務署ごとに順次終了し、入場整理券による申告相談体制に移行される模様です。入場整理券は、各会場での当日配布やオンラインでの事前発行といった方法で、入場整理券を受け取ってください。
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※国税庁「入場整理券による申告相談体制への移行等のお知らせ
」
国税局電話相談センター
税に関する一般的な質問については、国税局電話相談センターで相談することもできます。確定申告に関する質問も受け付けています。対応時間は、平日8時30分から17時までです。
電話相談センターでの相談方法は、以下のとおりです。
電話相談センターでの相談方法
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1.国税相談専用ダイヤル「0570-00-5901」に電話をかける
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2.音声ガイダンスが流れたら、相談内容に応じた番号を選択する
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3.電話相談センターにつながったら、相談を行う
専用ダイヤルにつながらない場合は、以下の手順で相談しましょう。
電話相談センターにつながらない場合の相談方法
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1.所轄の税務署の代表番号に電話をかける
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2.音声ガイダンスが流れたら「1」を選択する
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3.音声ガイダンスに従い、相談内容に応じた番号を選択する
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4.電話相談センターにつながったら、相談を行う
国税庁のWebページ「国税に関するご相談について」では、電話相談に関する詳しい案内が掲載されています。併せてご確認ください。
聴覚障害者等専用電子メール相談窓口
聴覚に障害がある方など、電話相談が難しい方に対する窓口として、税務署が電子メールでの相談を受け付けている窓口もあります。利用したい場合は、国税庁のWebページ「聴覚障害者等専用電子メール相談窓口」にアクセスしてください。
入力フォームに氏名と住所、所轄の国税局、メールアドレス、内容を記入して送信すると、返信が届きます。内容によっては返信に時間がかかることもあるため、早めに相談するのがおすすめです。
なお、メール窓口はあくまでも電話相談が利用できない方向けの窓口です。電話が可能な人は利用しないようにしましょう。また、次の項目以降で紹介しているチャットボットやタックスアンサーも、聴覚に問題があっても利用できるサービスです。併せて活用してください。
チャットボット(ふたば)
チャットボット(ふたば)は、国税庁が運営している税務相談サービスです。国税庁のWebページ「チャットボット(ふたば)に質問する」にアクセスして、質問や疑問のジャンルなどを選択していくことで、回答候補が表示されます。
「チャットボット(ふたば)に質問する」というボタンを押すと、複数のメニューが表示されます。確定申告についての質問であれば「所得税」メニューの「所得税の確定申告」ボタンをクリックしてください。調べたい項目の候補が記載されているため、該当する項目を選択して、内容を確認しましょう。
チャットボット(ふたば)は、メンテナンス時間以外であれば24時間、土日祝日も利用できるため、気軽に税に関する疑問を解消できます。
タックスアンサー
税に関する一般的な質問は、タックスアンサーで調べることで解決できる場合もあります。国税庁のWebページ「タックスアンサー(よくある税の質問)」では、国税庁が公開している税に関するよくある質問と解説を確認することが可能です。個別に質問の回答してもらえるサービスではありませんが、一般的な税の疑問であれば解決できる可能性があります。
タックスアンサーでは、Webページ上で表示される質問に答えると、自身の知りたい項目に該当する可能性が高い質問や解説を表示できる「自分に合った状況から探す」といったサービスや、確定申告に関する解説をまとめたページなどがあります。状況に応じて活用しましょう。
ただし、タックスアンサーの解説ページの説明は、初心者向けではありません。わかりにくいと感じた人や確定申告が初めての人は、チャットボット(ふたば)も試してみてください。一方、詳しい説明を確認したい人には、タックスアンサーが適しています。
税務署以外の確定申告についての相談窓口
確定申告の相談ができる窓口は、税務署以外にもあります。税に関する正しい知識を持った、信頼できる相談先を活用しましょう。税務署以外の主な相談先は、以下のとおりです。
税理士
税理士は、確定申告の相談はもちろん、節税対策の相談などにも乗ってくれる身近な存在です。ただし、利用するためには、基本的に確定申告の代行や顧問契約の締結などが必要です。詳しい対応範囲は契約内容によって異なるため、個別に確認しましょう。
確定申告期限が差し迫ると相談の受付を締め切ってしまう会計事務所もあるため、契約を検討している場合は早めの相談がおすすめです。
弥生では、豊富な経験と実績のある税理士や会計事務所を無料でご紹介するサービス「税理士紹介ナビ」を提供しています。地域別に検索したり、電話でお悩み内容などを話して紹介を受けたりできるため、税理士選びにご活用ください。
青色申告会、納税協会、商工会議所、商工会
青色申告会、納税協会、商工会議所、商工会では、無料で確定申告の相談を受け付けていて、確定申告期間には相談会なども実施しています。
青色申告会は青色申告を行う個人事業主のサポートや経営相談などを行う団体で、納税協会は、企業や個人事業主の税に関する相談や正しい申告の支援を行う公益法人です。商工会議所や商工会は、商工業者のために経営相談などを行っています。
相談を希望する場合は、会員限定のケースもあるため、詳細はそれぞれの窓口に確認することをおすすめします。青色申告会での相談は、会員向けのサービスであるため、希望する場合は入会を検討しましょう。
なお、「弥生会計」や「やよいの青色申告 オンライン」の記帳指導に精通した青色申告会、商工会、商工会議所は「青色申告推奨会サーチ」で検索できます。
青色申告会については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
市区町村
市区町村の税務関係窓口では、確定申告に関する相談を受け付けていることがあります。地域によって対応が異なるため、お住まいの地域の市区町村役場で確認してみましょう。
ただし、受け付けているのは一般的な質問のみです。事前に質問内容を電話などで伝え、対応可能か確認しておくと安心です。
確定申告の相談をする時期
税務署での確定申告の相談は、1年間を通していつでも可能です。その他の窓口についても、基本的には年間を通して相談できます。
ただし、2月16日から3月15日までの確定申告期間中は、相談が混み合う可能性があり、特別に相談窓口が設けられているケースもあります。税務署や税理士も繁忙期に入るため、回答をもらえるまでに時間がかかるかもしれません。確定申告期間に複雑な相談を行うことは、できるだけ避けましょう。
帳簿の作成は普段からコツコツ進めることができ、将来わからなくなりそうなところを事前に質問しておくこともできます。また、年明け後、確定申告期間に入る前に申告書類の作成を進めることも可能です。早めに作業を進めて、余裕を持って不明点を解消していくことをおすすめします。
確定申告の相談前にしておきたい準備
確定申告の相談をするときは、事前に相談内容などをまとめておくのが重要です。
必要な情報が足りないと、その場で問題を解決できずに改めて相談に行かなければならなくなる可能性もあります。「わからない」と思ったときにすぐに問い合わせをするのではなく、以下のような準備を行い、状況を整理して、質問したい内容を端的にまとめておきましょう。
確定申告の相談前にしておきたいこと
- 何を聞きたいかをまとめる
- 質問に必要な資料を揃える
- 相談先の受付時間や予約の要否などを確認する
- 税務署などに相談に行く場合に、確定申告と質問をまとめて行うのであれば、必要書類を揃えておく
聞きたいことが複数あったり、うまく説明できるか不安に感じたりする場合は、紙に質問事項を箇条書きにしておくと安心です。また、質問に関連する資料や書類はできるだけ揃えておくことをおすすめします。例えば、生命保険料控除の質問がしたいのであれば「生命保険料控除証明書」を用意しておくと、相談がスムーズに進むかもしれません。
電話相談をする場合も、事前に質問事項を紙に書き出しておけば質問漏れを防げます。また、資料が手元にあれば、電話でも詳しい状況を説明しやすくなります。事前に準備を整えてから電話をかけるのがおすすめです。
確定申告をスムーズに進めるために、相談窓口を知っておこう
スムーズに正しい確定申告をするためには、疑問点をそのままにせずにその都度解消していくことが大切です。さまざまな相談窓口があることを把握しておいて、状況に応じて最適な窓口を選択しましょう。
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この記事の監修者岡本匡史(税理士)
「岡本匡史税理士事務所」の代表税理士。
1979年和歌山県生まれ。滋賀県立膳所高校、横浜国立大学経営学部卒業。城南信用金庫、公認会計士事務所勤務を経て、2012年に豊島区池袋にて岡本匡史税理士事務所を設立。
低価格で手厚いサポートを行うことを目標としており、特に開業前~開業5年目の法人・個人事業主の税務会計が得意。
毎年、市販の確定申告本や雑誌の監修にも携わっている。
