確定申告書の控えは再発行可能!請求方法、必要書類、期間、手数料を解説
監修者: 奥 典久(奥典久税理士事務所)
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収入証明のためなどで確定申告書の控えが必要になっても、控えをもらっていない、または控えを紛失した場合は、必要な手続きが行えません。そこで、本記事では確定申告書の控えを再発行する方法を解説します。e-Taxで確定申告する場合や、郵送の場合の控えなど、状況別に請求方法やいつ届くのかなど詳細な情報をお伝えします。特に、e-Taxの場合、控えはどれなのか、どう印刷するのかなど不明点は多いはずです。
また、過去に提出した確定申告書の情報は、控えを発行しなくても知ることができます。こちらの方法についても併せてご紹介します。
確定申告書を提出するときは控えも作成する
確定申告書の控えは、各種ローン申し込み、奨学金申請、保育園の入園申し込みなどをする際、収入や就労の証明書として提出が求められる場合があります。そのため、確定申告書の提出時には控えを作成して保存しておくことをおすすめします。しかし、確定申告書の正本の提出で、控えを作成して管理していないか紛失した場合は、税務署に再発行を依頼できます。
後述しますが、2024年までは、確定申告書などを提出する場合に控えも提出すると受け付けた印として、収受日付印を控えに押なつして戻してくれました。しかし、2025年1月からは、確定申告書等の控えなどへの収受日付印の押なつが廃止されています。
そのため、税務署の窓口に持ち込む場合、確定申告書等の正本のみを提出します。必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をしましょう。
確定申告書の控えを発行する方法
確定申告書の控えは、確定申告書提出時に発行する場合と、再発行する場合で手続き方法が異なります。
税務署窓口で再発行する場合
所轄の税務署窓口では、確定申告書の控えを再発行できます。窓口で再発行を依頼するには「保有個人情報開示請求書」の提出に加え、1件につき手数料300円を支払う必要があります。「保有個人情報開示請求書」についての詳細は後述します。また、氏名と住所がわかる本人確認書類が必要です。運転免許証、マイナンバーカードなどを持参しましょう。
郵送で提出した場合
確定申告書を郵送する場合、控えは2パターンあります。1つ目は、確定申告書にボールペンで手書きで記入し複写した場合です。複写した用紙が控えになります。
2つ目は、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で作成する場合です。こちらで確定申告書を作成すると、控えも印刷できます。
e-Taxで申告した場合
e-Taxから確定申告を行う場合は、データで申告するため控えはありません。そのため、申告の受付日時がわかる受信通知データや申告データを印刷することで、控えの代わりにできます。
e-Taxのメッセージボックスにある「お知らせ・受信通知」から、申告した事実が確認できます。ただし、受信通知はメッセージボックスに格納されてから120日を過ぎると「メッセージボックス(過去分)」に移行しますので注意しましょう。また、1,900日を過ぎると削除されますので、印刷しておくなどの対応をしてください。
参照:e-Tax「受信通知の保存期間はどれくらいですか。」
申告等データの確認もできます。e-TaxのWeb版での確認方法は、以下の手順です。
メッセージボックス→受信通知→「帳票を表示する」をクリックすると、過去に提出した申告書などの一覧が表示されます。
一覧から該当の申告書を選ぶと、氏名、受付日、所得金額などのデータが見られます。また、帳簿作成を行うと、確定申告書がPDFファイルで表示され、印刷が可能です。
参照:e-Tax「e-Taxソフト(WEB版)で送信した申告・申請データを表示・印刷するにはどうしたらいいですか。」
提出した確定申告書の情報を知るための方法
提出した確定申告書の情報を確認する方法は、他にもあります。
税務署窓口での閲覧請求
税務署窓口では申告書等閲覧サービスを行っており、過去の申告書が閲覧できます。「申告書等閲覧申請書」を提出すると、閲覧が可能です。閲覧するには、本人確認できる運転免許証、マイナンバーカードなどが必要です。
ただし、本人確認の手続きが必須なため、税務署に来所した場合しかサービスは利用できません。電話では閲覧申請の方法などしか返答できず、郵送での申請は受理されませんので、注意しましょう。
申告書等閲覧サービスは、代理人が閲覧することもできます。代理人申請する場合は、委任状と、代理人の本人確認書類が必要です。なお、申告書のコピーは、災害時など以外は受け取れません。申告書の内容をメモに取ることや、写真撮影はできます。
また、代理人が写真撮影を行いたいときは、委任状にその旨が記載されていない場合、職員が本人に写真撮影を行うか確認しなければなりません。代理人に写真撮影を依頼する際は、委任状に記載しておきましょう。
参照:国税庁「申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)」
申告書等情報取得サービスの利用
e-Taxの「申告書等情報取得サービス」では、直近3年分の申告書などの控えをPDF形式で受け取れます。受け取るには、まずe-Taxから税務署に申告書などの閲覧を申請する必要があります。また、サービスを利用するにはマイナンバーカードが必要です。
開示請求
開示請求を行うことでも、申告書の控えを入手できます。
開示請求を行うのに必要な書類と手数料
開示請求を行うには「保有個人情報開示請求書」の提出が必要です。窓口の場合は「保有個人情報開示請求書」に1件につき300円の収入印紙を貼って提出するか、現金で300円を納付します。
郵送の場合は「保有個人情報開示請求書」に300円の収入印紙を貼って郵送してください。返信用封筒に貼る切手代も必要です。また、窓口・郵送ともに本人確認書類が必要です。郵送の場合は、本人確認書類のコピーを同封してください。
郵送で本人確認書類をマイナンバーカードにする場合は、マイナンバーが記載されていない表面のみのコピーを同封してください。なお、郵送での請求では、住民票の写しも必要です。
住民票の写しは、以下の条件を守ったものでないと受け付けられないので注意しましょう。
- 開示請求日から30日以内に発行されたもの
- マイナンバーが記載されていないもの
また、代理人による開示請求もできます。法定代理人が開示請求する場合は、上記の書類に併せ、以下のいずれかを提示または提出します。開示請求した日より30日以内に発行されたもので、写しは認められません。
- 戸籍謄本
- 戸籍抄本
- 成年後見登記の登記事項証明書
- その他、法定代理人であることを証明する書類
任意代理人が開示請求をする場合には、開示請求した日より30日以内に委任者が作成した委任状を提出してください。写しは認められません。
また、以下のいずれかも必要です。
- 印鑑登録証明書(委任者の実印を押印したもの)
- 委任者の運転免許証、マイナンバーカード(通知カードは不可)などの写し
参照:国税庁「開示請求等の手続」
開示請求はオンラインからの申請も可能
開示請求は、e-Taxでオンラインからも申請できます。「イメージデータで送信可能な手続検索」から申請書をPDFファイルにして送信します。
開示が決定するとe-Tax上で開示請求手数料の納付番号が通知されますので、手数料200円を納付してください。手数料はインターネットバンキング・ATMなどの電子納付の他、所定の書類に収入印紙を貼り窓口に提出も可能です。
参照:国税庁「e-Taxを利用した開示請求等のオンライン申請について」
確定申告書の控えの再発行にかかる時間
「保有個人情報開示請求書」を提出すると、通常30日以内に決定され「開示決定通知書」で通知されます。開示の通知が来たら、確定申告書の控えの再発行が可能です。
参照:国税庁「開示請求等の手続」
なお、控えを閲覧するだけなら、当日中に窓口でできます。
【令和7年1月~】申告書等の控えに収受日付印の押なつが廃止!
手続きのオンライン化を進めるため、国税庁では、令和7年(2025年)1月から申告書などの控えに収受日付印の押なつを廃止しました。
そのため、2025年1月から確定申告書の原本のみを提出します。ただし、「当分の間の対応」として、確定申告書等を窓口または郵送で提出した方が希望する場合、収受した日付・税務署名が記載されたリーフレットを手渡すか返送する方針です。
また、金融機関から「収受日付印のある控え」を要求されないよう、国税当局では収受日付印を廃止することを周知していくとのことです。
今後、確定申告書を提出したことや提出年月日を確認する方法は以下になります。
- e-Taxによる申告・申請手続
- 申告書等情報取得サービス
- 保有個人情報の開示請求
- 申告書等閲覧サービス
- 納税証明書の交付請求
参照:国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
参照:国税庁「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」
確定申告書の控えは再発行することも可能!
確定申告書の控えは、税務署窓口、郵送で再発行できます。e-Taxの場合は、受信通知データや申告データが控えの代わりになります。確定申告は自分で行う場合、知識がないと難しい点があります。しかし、確定申告ソフトなら知識がなくとも作成しやすい点がメリットです。
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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)
奥典久税理士事務所 代表
簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。
