副業でアフィリエイトを始める方法は?注意点や確定申告を解説
監修者: 齋藤一生(税理士)
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パソコンやスマートフォンを使い、初心者でも始めやすい副業としてあげられるのがアフィリエイトです。ただ、副業の手段としてよく聞くものの、「デメリットはないのか?」「どうやってやるのか?」など気になるかもしれません。
そこで、本記事ではアフィリエイトのそもそものしくみや見込める収入額、メリット・デメリットのほか、始め方や確定申告が必要かどうかを解説していきます。
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アフィリエイトとは広告を貼って報酬を得るしくみのこと
アフィリエイトとは、インターネット広告の一種で、ブログやWebページに貼った広告を経由して商品購入や会員登録が行われると報酬を得られるしくみです。
アフィリエイトで報酬を得る流れをまとめると、以下のとおりとなります。
アフィリエイトで報酬を得る流れ
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1.ECモールのアフィリエイトプログラムやアフィリエイトサービスプロバイダー(以下、ASP)を利用し、紹介したい商品を決める
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2.商品の広告コードを自分のWebページやブログ、SNSなどに貼る
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3.掲載したアフィリエイト広告をクリックしたユーザーが商品を購入する、もしくは会員登録などアフィリエイトプログラムが指定する条件を達成する
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4.成果に応じて報酬が支払われる
なお、ASPとは広告主とアフィリエイトを行う人(アフィリエイター)を仲介するサービスのことを指します。
アフィリエイトで見込める収入額
特定非営利活動法人アフィリエイトマーケティング協会が行った調査によると、1か月に1万円以上の収入があると答えた人の割合は46%に上ります。割合は少ないですが、500万円以上の収入があると答えた人も4.9%いるという結果でした。
なお、同調査によると、経験年数が長いほどアフィリエイトの収入も多くなる傾向にあります。1か月の収入が「1万~3万円未満」ではアフィリエイト歴2年以上が50%を超えており、「5万~10万円未満」では3年以上が50%を超える結果となっていました。
アフィリエイトでの副業は、長期的な目標を持ってコツコツと行うことで、一定の収入が見込めるといえるでしょう。
- ※特定非営利活動法人アフィリエイトマーケティング協会「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査2023」
副業でアフィリエイトを行うメリット
アフィリエイトを副業で行うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な3つのメリットに絞って紹介します。
特別なスキルや準備が不要
アフィリエイトは特別な資格やスキルが不要であり、準備もパソコンやスマートフォンがあればできるため、初心者でも始めやすいといえます。
ただ、アフィリエイトで収入を得るためには、ある程度の流入(訪問数)を確保したうえで、広告を経由して商品購入や会員登録などのアクションを行ってもらうことが必要です。そのため、一定の流入があるWebページやブログを作るなどの手間は発生します。
時間の融通が利きやすい
アフィリエイトは、基本的にASPの利用やWebページへの広告掲載など、インターネット上で完結します。そのため、すきま時間を使ってパソコンやスマートフォンで作業ができるため、時間の融通が利きやすいといえるでしょう。
本業がある会社員の方も、出社前や退社後、休みの日を利用して取り組むことができるため両立しやすいといえます。
自身の興味や本業の知識を活かせる
アフィリエイトで取り扱うことのできる広告には、さまざまな種類の商品やサービスがあります。そのため、自分の興味関心のある商品でアフィリエイトを始めることができたり、本業と同じ分野のサービスを選んだりすることができます。
流入を確保するためのWebページ運営は、自分の興味関心に基づいた記事の作成なら続けやすく、本業と関連するものならさらに知識を深めるきっかけになるでしょう。
例えば、金融機関に勤める方は金融関連、家電が好きな方は家電に関する記事の執筆を行いながら、アフィリエイトで収入を得ることができます。
ただし、本業で得た情報を記事にすることは、本業の業務上の秘密を守る義務(秘密保持義務)に違反するおそれがあるため、取り扱いには注意が必要です。
副業でアフィリエイトを行うデメリット
アフィリエイトには、デメリットもあります。アフィリエイトを始めるか検討する際は、次に紹介するデメリットについても理解しておきましょう。
収益化までに時間がかかる
アフィリエイトは、短期間での収入確保には不向きです。アフィリエイトは年数を重ねるほど収益が増える傾向があります。なぜなら、記事を更新してWebページの流入を増やすまでに時間がかかるためです。
SEOの知識が必要
アフィリエイトではWebページへの流入を増やすために、一定のSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)の知識が求められることもあります。
SEOとは、検索エンジン最適化のことです。Googleなどの検索エンジンで、自分のブログやWebページに掲載している記事の検索順位が上がるように最適化することを指します。検索エンジンが記事を評価する基準(アルゴリズム)は常に変化するため、SEOを行い続けることが必要となるのです。
不安定な要素が多い
検索エンジンのアルゴリズムが常に変化するため、ブログやWebページに掲載している記事の検索順位も常に変化し、流入数も変動します。
また、アフィリエイトの案件が突然終了する可能性もあるため、不安定な点もデメリットといえるでしょう。
副業でアフィリエイトを始めるための手順
副業でアフィリエイトを始めたいと思ったとき、何から行えばよいのでしょうか。ここからは、アフィリエイトを始めるための手順を紹介します。
1. Webページを開設する
まずは、アフィリエイト広告を掲載するためのブログやWebページを開設しましょう。無料のブログサービスを利用する方法と、WordPressなどの有料サービスを利用して開設する方法があります。
特にWordPressは、カスタマイズ性やSEOを施しやすいなどの特徴があるため、アフィリエイトを専業で行う人から選ばれる傾向があるようです。なお、WordPressでWebページを開設するためには、別途、レンタルサーバーやAWSなどのクラウドサーバーを利用する必要があります。
2. ASPに登録する
ブログやWebページにアフィリエイト広告を貼るために、「Amazonアソシエイト」「楽天アフィリエイト」「A8.net」「もしもアフィリエイト」などのASPに登録しましょう。
前述したとおり、ASPは広告主とアフィリエイトを行う人をつなぐサービスです。そのため、ASPへの登録は、アフィリエイトを行ううえで欠かせない作業といえます。
3. 紹介する商品・サービスを決める
ASPに登録したら、その中から紹介する商品やサービス(アフィリエイト案件)を選びます。自分の興味のある商品や本業と関連するサービス、または報酬獲得の条件のハードルが低い案件を選ぶとよいでしょう。よい案件を見つけたら提携申請を行い、審査に通ると広告コードが取得できるようになります。
4. 記事を作成してアフィリエイトリンクを設置する
ASPから広告コードを取得し、自分のWebページに設置します。掲載した広告経由で、指定する条件をクリアすると報酬が支払われます。
副業でアフィリエイトをするポイント
前述のとおり、アフィリエイトでの副業は、始めやすいといったメリットがある一方、収益化までに時間がかかるなどのデメリットもあります。アフィリエイトでの副業で成果を上げるためのポイントは、以下のとおりです。
自分の好きなものや知識を活かせるものを選ぶ
アフィリエイトではWebページの流入を増やすために、記事制作などが必要になります。こうした記事の制作を長く続けていくためにも、広告として紹介する案件は好きなものや自分の知識を活かせるものを選んだ方がよいでしょう。
記事のクオリティを上げる
記事の検索順位を上げるためにも、記事のクオリティを上げることが大切です。クオリティを上げるためには、「読者目線で必要な情報が盛り込まれているか」「読みやすいか」などの観点で記事を見直し、適宜修正することが必要になります。
Googleも「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」と公表しています。
コツコツと継続して記事を作成する
Webページの流入を増やすには、更新性も大切です。ユーザーの興味・関心を引くような記事を継続して発信することで接触回数が増え、Webページの流入も増えやすい傾向があるといえます。
記事数が増えたら、定期的に過去の記事を見直し、リライト(記事の一部を書き直す)をすることも大切です。法律改正により内容が変わるような記事の場合には、リライトを忘れないようにするために、各々の記事の内容を簡単に理解できる一覧表を作っておくと良いでしょう。
適格請求書(インボイス)発行事業者の登録を視野に入れる
アフィリエイトの場合、取引先は法人が一般的です。そのため、適格請求書(インボイス)の発行が求められるケースがあります。
適格請求書を発行するためには、税務署に申請し、適格請求書発行事業者の登録が必要です。適格請求書発行事業者の登録は義務ではありませんが、登録が必要になる可能性があることを理解しておきましょう。
なお、適格請求書発行事業者に登録した場合は、ルールに従った帳簿付と消費税の申告・納付が必要となります。
アフィリエイトの所得が年間20万円超なら確定申告が必要
アフィリエイトでの副業の年間所得を含めて本業以外の所得の合計額が20万円を超える場合、所得税の確定申告が必要です。所得とは、すべての収入から経費を差し引いた残りの金額を指します。アフィリエイトにおいて経費に該当する主なものとしては、以下のとおりです。
アフィリエイトで経費に該当する費用の例
- 業務で使用するパソコンやスマートフォン、タブレットの購入費
- レンタルサーバーの契約料
- アフィリエイトに関する書籍代
- コワーキングスペースの利用料
- 通信料
アフィリエイトの確定申告についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。
アフィリエイトの副業は、雑所得か事業所得に分類される
アフィリエイトの副業は、「雑所得」か「事業所得」に分類されますが、雑所得に該当するケースが多いといえるでしょう。
事業所得とは、継続する事業によって得られた所得です。事業所得に該当するかどうかは、事業規模や費やす時間、継続性の観点から総合的に判断されます。そして、帳簿付が条件です。
確定申告は報酬の支払が確定したタイミングで判断する
売上は、役務を提供した月に計上するのが原則です。
しかし、アフィリエイトの報酬の支払いには、企業側最低支払額が設定されている場合があります。報酬が最低支払額を下回る場合は翌月以降に繰り越されるため、場合によっては、長期間最低支払金額に達しない可能性もあるでしょう。その場合、報酬の支払いが確定したタイミングで、売上として計上することも可能です。
例えば、最低支払額が4,000円で、12月と翌年の1月に2,000円ずつの報酬が発生し、1月に支払いが確定した場合、「報酬の発生月に応じて売上を計上し、年を分けて確定申告をする」「1月の売上として4,000円を計上し、確定申告をする」の2つの方法から選択できます。
副業の年間所得が20万円以下でも確定申告をした方がよいケースも
副業の年間所得が20万円以下であっても、医療費控除や住宅ローン控除など、年末調整の対象とならない控除を受けたい場合、確定申告によって既に支払った所得税の一部が還付されるケースがあります。その場合は、確定申告を行うことをおすすめします。
なお、副業以外の理由で確定申告をする場合は、副業の所得も含めて確定申告が必要です。
確定申告が不要でも、住民税は別途申告が必要
副業の年間所得が20万円以下で確定申告を行わない場合でも、1円でも利益が出ていれば、居住地の市区町村に対して住民税の申告は必要です。
副業の所得が20万円を超える場合は、所得税の確定申告をするので、自動的に住民税にも反映されます。確定申告をした場合には、別途、住民税の申告は不要です。
アフィリエイトは初心者でも始めやすい!デメリットも理解したうえで検討しよう
アフィリエイトは、ブログやWebページに貼った広告を経由して商品購入や会員登録が行われると報酬を得られるしくみです。特別な資格やスキルが不要であり、パソコンやスマートフォンがあれば取り組めるため、初心者でも始めやすいといえます。
その一方で、記事を更新してWebページの流入を増やすまでに時間がかかるため、短期間での収入確保は難しいというデメリットも理解しておくことが大切です。
なお、副業アフィリエイト含めて本業以外の所得の総額が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
事業所得として、確定申告を行う際、複雑な業務の手間を少しでも軽減するために、確定申告ソフトの導入もぜひ検討してみてください。弥生のクラウド確定申告ソフト「やよいの白色申告 オンライン」なら、会計や簿記の知識がなくても必要な帳簿・書類を手間なく作成できます。
アフィリエイトの副業は雑所得になるケースが多いものです。雑所得の場合、帳簿付けは義務ではありませんが、所得を計算するためには売上や経費を把握しておくことが必要なので、帳簿付けをしておくことをおすすめします。なお、雑所得の場合でも適格請求書発行事業者の登録をする場合は、要件に従った帳簿付は必要です。
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会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。
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