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副業で得た雑所得の税率や計算方法は?確定申告が必要なケースも解説

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雑所得とは、10種類ある所得区分のうち、他の9種類の所得に分類されない所得を指します。雑所得には「業務」「公的年金等」「その他」の分類があり、分類によって雑所得の算出方法が異なります。副業で得る収入は、雑所得に該当するケースが多いものです。

本記事では雑所得の分類や税率のほか、控除などの計算方法について解説。雑所得を得ている場合、確定申告が必要となる所得額についても紹介しますので、参考にしてください。

雑所得には所得税の税率がかかる

基本的に税金は、「課税標準×税率」で決まります。課税標準は「税金を計算する際の算定基準」であり、所得税であれば「所得」を指します。

この所得に含まれるのが、雑所得です。そのため、雑所得に所得税の税率を掛けることで所得税額を算出することができます。
なお、所得税は課税される所得額によって算出されるため、事業所得や給与所得の場合も税率は変わりません。

雑所得の算出方法

冒頭で触れたとおり、雑所得には「業務」「公的年金等」「その他」の3種類があり、分類によって算出方法が変わります。それぞれの算出方法を見ていきましょう。

業務にかかる雑所得

業務にかかる雑所得は、副収入のうち、営利を目的とした継続的な業務の所得を指します。具体的には原稿料や講演料、シェアリング・エコノミーなどの収入があり、副業で得た収入の多くは「業務」に該当します。業務にかかる雑所得の算出方法は次のとおりです。

業務にかかる雑所得の計算式

業務にかかる雑所得=総収入金額-必要経費

公的年金等の雑所得

公的年金等の所得は、国民年金法や厚生年金保険法などに基づく年金や、過去の勤務により会社などから支払われる年金などが該当します。公的年金等の雑所得の算出方法は次のとおりです。

公的年金等の雑所得の計算式

公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金控除額

公的年金等の雑所得は国税庁のWebページに掲載されている速算表でも算出できます。

その他の雑所得

業務や公的年金等ではない雑所得は「その他」に分類されます。具体的には、生命保険の年金や暗号資産取引などです。その他の雑所得も、業務の雑所得と同様の計算式で求めることができます。

その他の雑所得の計算式

その他の雑所得=総収入金額-必要経費

雑所得の所得税を計算する手順

雑所得には所得税がかかります。副業で収入を得ている場合、どれくらい税金がかかるのか気になる方もいるでしょう。そこで、所得税を計算するための手順を紹介します。

1. 雑所得の所得を算出する

まず行うのは、雑所得の所得金額の算出です。前掲の算出方法を基に、雑所得の所得金額を算出しましょう。業務にかかる雑所得とその他の雑所得があるなど、複数ある場合は、合計した金額が最終的な所得金額となります。

2. 課税される所得金額を算出する

所得税は、「課税される所得金額」に後述する税率を掛けることで算出します。
ステップ1で導き出した雑所得と本業の給与所得など他の所得とを合算し(合計所得金額)、所得控除を差し引くことで課税される所得金額を算出しましょう。

課税される所得金額の計算式

課税される所得金額=所得金額-所得控除

所得控除とは、扶養家族の人数や支払った医療費など、納税者の状況に合わせ、所得税の負担を軽減するために設けられている制度です。

所得控除についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

3. 所得税を計算する

課税される所得金額に所得税の税率を掛けて所得税を算出します。
日本の所得税は、超過累進課税制度が採用されており、課税される所得金額が高くなればなるほど税率も高くなります。税率は課税される所得金額に応じて、5~45%です。
所得税の税率の区分ごとに計算しなければならないため複雑ですが、国税庁が発表している下記の速算表に当てはめることで簡単に算出することができます。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円から 3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円
  • 国税庁「No.2260 所得税の税率新規タブで開く
  • 課税される所得金額は1,000円未満の単数金額を切り捨てた後の金額

例えば、課税される所得金額が300万円の場合は次のようになります。

課税される所得金額が300万円の場合の所得税

300万円×10%-9万7,500円=20万2,500円

4. 税額控除を引き、納税額を算出する

3で算出した所得税から、税額控除を差し引くことで最終的な所得税額を算出します。税額控除とは、税金から直接差し引くことができるものです。具体的には、配当控除や住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などがあります。

なお、2037年までの確定申告においては、所得税に加えて、復興特別所得税の申告・納付が必要になります。復興特別所得税の税率は、所得税額の2.1%です。課税される所得金額に対して2.1%を乗じるのではなく、所得税額に2.1%を乗じて計算する点にご注意ください。

所得税の計算方法についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

雑所得で経費として計上できるものは?

雑所得のうち、業務とその他については、収入を得るためにかかった費用を経費として計上できます。副業の雑所得の場合、収入から経費を差し引いた金額が所得金額となるため、経費を漏れなく計上することで節税対策につながります。
経費に算入できる金額の条件は、次のとおりです。

雑所得の経費に計上できるもの

  • 収入を得るためにかかった費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用の額

例えば、副業の雑所得の場合、経費計上できる費用として以下のようなものがあげられます。

副業の雑所得で経費計上できるものの例

  • 業務で使用するパソコンやスマートフォン、タブレットの購入費
  • 打ち合わせや取材の交通費・飲食費
  • コワーキングスペースの利用料
  • コピー用紙や文房具などの事務用品費
  • 通信費や家賃などの一部(自宅を仕事場として利用している場合)

通信費や家賃など、プライベートで使用しているものを副業の業務でも使用しているものがある場合、副業の仕事に使用している割合を決めて割合に応じた金額を経費として計上することが可能です。
所得をきちんと把握するためにも、収入と経費が確認できるようにしておきましょう。

副業の経費についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

雑所得で確定申告が必要なケース・した方がよいケースは?

副業などで雑所得を得ている場合、いくら以上で確定申告が必要なのでしょうか。確定申告が不要な所得金額であっても、確定申告をした方がよいケースもあることを理解しておきましょう。

副業などの所得が20万円を超えるなら確定申告が必要

本業以外で、年間の雑所得が20万円を1円でも超えるなら、所得税の確定申告が必要です。ただし、雑所得が年間20万円以下でも下記に該当する場合、確定申告をした方がよいこともあります。

医療費控除や住宅ローン控除などを受けたいとき

医療費控除や住宅ローン控除など年末調整の対象とならない控除を受けたい場合、確定申告を行います。この場合、雑所得が20万円以下でも、雑所得分も含めてすべての所得の申告が必要です。

雑所得の収入・報酬から源泉徴収されて支払われているとき

副業の業務にかかる収入や報酬から源泉徴収されて支払われている場合、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が還付される可能性があります。この場合、確定申告をすることをおすすめします。

雑所得の確定申告が不要でも、利益があれば住民税の申告は必要

雑所得が年間20万円以下で確定申告は不要だとしても、1円でも利益を得ている場合は、居住している市区町村に対して住民税の申告を行う必要があります。

所得税は「国の税金」であるのに対し、住民税は「都道府県または市区町村の税金」です。このうち所得税に対しては、雑所得が年間20万円を超えない限り確定申告は不要という特別措置が設けられています。しかし、住民税はこうした特別措置が設けられていないためです。

なお、所得税の確定申告を行う場合は、その結果が自動的に住民税にも反映されます。そのため、別途、住民税の申告は不要です。

雑所得の税率や所得税のしくみをきちんと理解しておこう

雑所得は所得区分の1つであり、業務を行う副業は多くが雑所得に該当します。雑所得は、所得税がかかり、総所得金額によって税率が異なります。確定申告が必要なケースもあるため、正しい申告のためにも、本記事でご紹介した所得税率や計算方法などをきちんと理解しておきましょう。

確定申告をするうえでは、収入や必要経費を正しく把握することが大切です。雑所得の場合、帳簿付けの義務はありませんが、必要経費を漏れなく計上するためにも帳簿があると役立ちます。
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なお、「やよいの白色申告 オンライン」で作成した収支内訳書から確定申告書を作成すると、自動で事業所得に集計されます。雑所得の確定申告をする際は、「やよいの白色申告 オンライン」で作成した書類を基に、国税庁の確定申告書等作成コーナーで転記をして申告するとスムースです。

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事業所得になる副業の確定申告は会計ソフトを使って楽に済ませよう

会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。

事業所得になる副業は、帳簿付けが必要です。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド確定申告ソフト『やよいの白色申告 オンライン』です。『やよいの白色申告 オンライン』はずっと無料で使えて、初心者や簿記知識がない方でも必要書類を効率良く作成することができます。e-Tax(電子申告)にも対応しているので、税務署に行かずに確定申告をスムースに行えます。

副業の所得区分を事業所得・雑所得どちらにするか迷っている場合、まずは帳簿付けをしておきましょう。事業所得で確定申告する場合は帳簿が必要です。雑所得の場合、帳簿付けの義務はありませんが、売上や仕入・経費などの集計に帳簿がある方が便利です。

なお、『やよいの白色申告 オンライン』では、雑所得の収支内訳書と所得税の確定申告書は作成できません。もし、『やよいの白色申告 オンライン』で作成した収支内訳書から確定申告書を作成すると自動で「事業所得」に集計されます。国税庁の確定申告コーナーで、自分で収支内訳書と確定申告書に転記して申告をしてください。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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